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本木「お尻を見せるくらいの無防備さでいることに努力した」
西川監督「本木さんは、映画のタイトルどおり言い訳の多い方」
本木雅弘&西川美和監督が登壇した
映画『永い言い訳』大阪舞台挨拶レポート

映画『永い言い訳』の試写会が、5日(水)、大阪市内で行われ、本作が7年ぶりの映画主演となる本木雅弘と西川美和監督が登壇し、舞台挨拶を行った。

本作は、直木賞候補となった西川監督の小説を自ら映画化した作品で、突然のバス事故で妻を失いながらも心からの悲しみを感じられずにいた幸夫が、同じ事故で母親を失った幼い兄妹と父親と出会い、触れ合うことで、人生の輝きを取り戻していく様を描くヒューマンドラマ。

西川監督は「自分が生まれ持ったものを正面から受け止めて背負っていくことのできない、いつまでも幼稚な中年を主人公に想定して物語を作った」と本作を解説した。本木が演じる主人公・幸夫のフルネームが衣笠幸夫といい、元広島東洋カープの衣笠祥雄(きぬがささちお)と漢字は違うが同姓同名である件については、「物語を端的に表現するために、大きすぎる名前を持った人がいいなと思った」と、鉄人・衣笠の名前を借りた経緯を明かした。
 
広島出身の西川監督は、25年ぶりのリーグ優勝の瞬間も東京ドームにいたという大のカープファン。しかし、広島に住んでいたころからのファンというわけではないらしく「わたし自身、天の邪鬼なところがあるので、周りがあまりにもカープ一色なときは自分は違うと思っていた。でも大人になって東京に出るとカープを含め、遠い広島のことが愛おしくなってきて。身近にある幸せってなかなかみつけにくいものだなと気づきました」と告白した。
 
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そんな、大きすぎる名前を持ちながらもいつまでも幼稚な男・幸夫を演じた本木は、そのキャラクターについて「あんまり野球に詳しくなくて…」と苦笑しながらも、「自意識過剰で天の邪鬼なところが似ている」とコメント。この役柄に手ごたえを感じている様子だった。しかし、似ているから演じるのが楽ということはなく「カメラを意識せずにお尻を見せるくらいの無防備さでいることに努力した」と話した。
 
それに対して西川監督も「本木さんは、幸夫の持つ弱さやみっともなさも感じられて、人として親近感が沸きましたし、現場のスタッフにも愛されていました。自分の欠点を余すことなくさらけ出すし、映画のタイトルどおり言い訳の多い方です」と笑った。
 
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もう映画が完成しているというのに、いまだにあのシーンはあぁだこうだと言い訳しています…」と本木が話すと、西川は「ね、面倒くさいでしょ(笑)」と慣れた様子で返し、会場の笑いを誘う場面も。そんな関係性を本木は喜んでいるようで「西川監督は10歳ほど歳下ですがなんだか頼ってしまう。S系M系の相性がいいというか。声のトーンも素敵ですよね」と笑顔を見せていた。
 
また、本木は共演者の竹原ピストルについても「野性味が強く見えるかもしれませんが、魂の純粋さを持っていて深い優しさを持っている。今ではぼくがすっかり熱を上げておりまして、明日名古屋で会えるんですっ」とニッコリ! 嬉しそう笑顔を見せた。 
 
西川監督は「水と油のような存在感の人をぶつけてみようと思った。竹原さんのような人を連れてくると本木さんがタジタジするだろうなというのがねらい。出会う機会がなさそうななふたりがリスペクトし合う関係性でいられたのが大きかった」と喜んでいた。
 
1年間にも及ぶ撮影期間を要した本作は「四季の移り変わりを撮るというだけでなく、キャストらの関係性が長い期間を共にすることで色濃くなっていったことが良かった。最初は演じることが何か分かっていないような感じだった子どもたちもだんだんしっかりした俳優になっていった」と西川監督が話すとおり、映画1本の中で様々な成長が目に見えるところも本作のポイントだろう。
 
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最後に本木は「もともとある濃い絆ではない人とのつながりにも人間は気づかされることがあるし、わずかでも成長できるんだなと思った。自分にとってこの映画はセラピーのような作品。立場ごとで見え方が違ってくると思うので、みなさんそれぞれの取り方で観ていただけたらいいなと思います」と語り、舞台挨拶を締めくくった。
 
 
映画『永い言い訳』は、10月14日(土)より全国で公開される。



(2016年10月 6日更新)


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Movie Data

© 2016 「永い言い訳」製作委員会

『永い言い訳』

▼10月14日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開

出演:本木雅弘
   竹原ピストル
   藤田健心 白鳥玉季 堀内敬子
   池松壮亮 黒木華 山田真歩
   深津絵里
原作・脚本・監督:西川美和

【公式サイト】
http://nagai-iiwake.com/

【ぴあ映画生活サイト】
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