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浜村淳の名調子に乗って、
綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉ら豪華ゲスト陣も終始ニコニコ
《おおさかシネマフェスティバル2015》表彰式レポート

 《おおさかシネマフェスティバル2015》が、3月1日(日)大阪市北区のエルセラーンホール(ホテル エルセラーン大阪5F)にて開催され、同イベントのメインプログラムであるベストテン&個人賞の表彰式に主演男優賞の綾野剛、主演女優賞の池脇千鶴、助演男優賞の菅田将暉ら豪華ゲストが出席。大阪らしい笑いの絶えないイベントとなった。

 《おおさかシネマフェスティバル》は、“映画ファンのための映画まつり”として約40年近く続いている映画祭。関西で前年中に上映された作品からベストテンおよび個人賞を選出し、毎年豪華ゲストが来場する表彰式を行うなど、大阪の春の風物詩として映画ファンに親しまれている。本年度より、大阪市からの助成が無くなったことでその存続が危ぶまれた時期もあったが、大阪の映画ファン有志による実行委員会を立ち上げ、今回の開催へと繋げた。
 
 
 同映画祭の創立メンバーのひとりでもある大森一樹監督から「今日はプレゼンターですが、来年は受賞者で出席したいです。今日はみなさん楽しんでいってください!」と挨拶があった後、表彰式が開始された。
 
 まずは、外国映画作品賞を受賞した『6才のボクが、大人になるまで。』で、配給会社である東宝東和の関西営業所長が出席。「アカデミーを取れずに泣きながら書いたかもしれない…」という、リチャード・リンクレイター監督からのメッセージを代読した。続けて、日本映画作品賞を受賞した『そこのみにて光輝く』の代表として出席した永田守プロデューサーも、「『永遠の0』じゃなくていいんですか?」と、先日発表された《日本アカデミー賞》で8部門制覇し話題となった作品に絡めたコメントで会場の笑いを誘っていた。
 
 特別賞を受賞した『太秦ライムライト』では、脚本兼プロデューサーの大野裕之が出席。チャールズ・チャップリン研究者としても有名な大野は「チャップリンの娘(ジョゼフィン)さんから、あなたが脚本を書くならいいわよ」と承諾を得たことをきっかけに今回脚本を書いたと明かした。

 

 新人監督賞は、同映画祭で3年前に新人女優賞を受賞した杉野希妃監督。しかし、1月末にオランダで道路を横断中に思いがけない交通事故に遭い、両足を骨折。現在は国内で入院中のため表彰式は欠席となった。変わりに出席した、『欲動』『禁忌』『マンガ肉と僕』で音楽を担当している富森星元(杉野希妃の弟)から、「順調に回復に向かっている」と杉野監督の容態について報告があった後、「映画『欲動』の内容と同様に生死に向き合う経験をし、今後の人生や映画作りも少し変わってきそうな予感がしています。よりよい作品で、またみなさまとお目にかかりたいです」という杉野からのメッセージを伝えた。

 

 音楽賞は『舞妓はレディ』で音楽を手がけた周防義和が受賞。京都の御茶屋を舞台に田舎から出てきた少女が立派な舞妓になるまでをミュージカル仕立てで描く本作の音楽制作について「京都弁のアクセントに気をつけながら作りました。そんな作曲は生まれて初めてでした」と述べた。
 
 撮影賞は『そこのみにて光輝く』『私の男』の近藤龍人、脚本賞は『ぼくたちの家族』の石井裕也、監督賞は『そこのみにて光輝く』の呉美保が受賞。3人とも大阪芸術大学の卒業生ということで「この3人と、あと、山下敦弘、熊切和嘉なんかも合わせますと日本映画の主流となっております。大学の名前を上げてくれてありがとう」と大森一樹監督から感謝の意が述べられる場面も。また、石井監督の作風が『川の底からこんにちは』から、どんどん変わってきたことについて浜村に聞かれた石井は「まだまだいろいろと試してもいいかなと思っています。今後もいろんなジャンルの映画を企画しています」と返答。そして、石井の妻で女優の満島ひかりを「次回作で起用しましょうよ」と浜村に提案されると「前向きに検討します」と、それまで表情の硬かった石井が照れ笑いを浮かべていた。
 
 新人女優賞は『アオハライド』『小川町セレナーデ』の藤本泉、『柘榴坂の仇討』の真飛聖が受賞。颯爽とした男役で人気を博した元・宝塚歌劇団の花組トップスターである真飛。浜村は「大スターに新人賞は失礼なんじゃないかと思ったけど、映画の世界では新人ですからね」と経緯を説明。「また男役もしたいですか?」という問いには「いえいえ(笑)! 人生の半分以上を男として生きて、女子としてはまだ3年目なのでこれからは女子として生きたいと思います!」と笑顔で話した。
 
 新人男優賞は『日々ロック』の野村周平が受賞。裸で熱唱するバンドマンを演じた野村を浜村は「アホの坂田が羨ましがるくらいアホな役でしたな」と言うと、「本当にアホになって演じました」と野村も笑顔で返答した。
 
 助演女優賞は『ぼくたちの家族』『蜩ノ記』の原田美枝子が受賞。「10代、20代のころは自分が褒められたいって気持ちがあったけど、今はその役の人がどんな気持ちかをみんなに伝えてあげるねという感じなんです」と自身の演技について語り、そういう面でも「『ぼくたちの家族』での末期ガンを患う母親役は難しかった」と話した。
 

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 助演男優賞は『0.5ミリ』の坂田利夫、『そこのみにて光輝く』ほかの菅田将暉が受賞。浜村は菅田(すだ)の読みにくい芸名と、本名(菅生大将(すごうたいしょう))について話を始め、「よ!たいしょう!」と浜村に呼ばれると、「たいしょうって言われるのなんか気持ちいいですね」とニッコリ。そして、『そこのみにて光輝く』への出演オファーが来たときは「今の日本にはない場末感を出すためにはタバコかなと思って、まずタバコを吸う練習から始めた」と語った。その後も、撮影中は呉美保監督のことを「ミポリン」と呼んでいたことを明かしたり、ニコニコと浜村との会話を楽しんでるようだった。

 
 主演女優賞は『そこのみにて光輝く』の池脇千鶴が受賞。昨年は助演女優賞を同映画祭で受賞した池脇。浜村から「ちょっとふっくらした?妊娠してないよね?」と言われて苦笑しつつも、『そこのみにて光輝く』では、呉美保監督とともに下着にまでこだわって役作りをしたというエピソードなども飛び出し、盛り上がった。
 

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 主演男優賞は『そこのみにて光輝く』の綾野剛が受賞。ずっと笑いをこらえているかのような表情で登場した綾野は、浜村いわく「チャチなトロフィー」のことも「ちっちゃ!」と笑顔で反応。『そこのみにて光輝く』では、台本を3行読んだだけで出演を決めたという綾野。浜村から監督の印象について聞かれると「チャーミングな方ですよ。かわいいですからね」とニコニコ。また、次回作『新宿スワン』についても触れ、「(どんな役でも挑戦したい)やりたくない役を探すほうが難しい」と語った。
 
 
 浜村淳の名調子に受賞者らも飲み込まれ、終始笑顔の絶えない、おだやかで楽しい表彰式となった。普段テレビや映画では観ることができない、豪華ゲストらの素顔が間近で見れた貴重な機会となり、観客らも満足したはず。



2014年度個人賞

【日本映画 個人賞】
主演男優賞 綾野剛(『白ゆき姫殺人事件』『そこのみにて光輝く』)
主演女優賞 池脇千鶴(『そこのみにて光輝く』)
助演男優賞 坂田利夫(『0.5ミリ』)
      菅田将暉(『海月姫』『そこのみにて光輝く』『闇金ウシジマくん Part2』)
助演女優賞 原田美枝子(『蜩ノ記』『ぼくたちの家族』)
新人男優賞 野村周平(『クジラのいた夏』『日々ロック』)
新人女優賞 真飛聖(『柘榴坂の仇討』)
      藤本泉(『アオハライド』『小川町セレナーデ』)
監督賞   呉美保(『そこのみにて光輝く』)
脚本賞   石井裕也(『ぼくたちの家族』)
撮影賞   近藤龍人(『そこのみにて光輝く』『私の男』)
音楽賞   周防義和(『舞妓はレディ』)
新人監督賞 杉野希妃(『欲動』)
特別賞   『太秦ライムライト』
 
【外国映画 個人賞】
監督賞   クリント・イーストウッド(『ジャージー・ボーイズ』)
主演男優賞 マシュー・マコノヒー (『インターステラー』『ダラス・バイヤーズ クラブ』)
主演女優賞 ケイト・ブランシェット(『ブルージャスミン』)
助演男優賞 ジャレッド・レト(『ダラス・バイヤーズクラブ』)
助演女優賞 ジェニファー・ローレンス(『アメリカン・ハッスル』)

 
2014年度ベストテン
 

作品賞(日本映画)『そこのみにて光り輝く』 

作品賞(外国映画)『6才のボクが、大人になるまで。』


日本映画      外国映画     
①そこのみにて光輝く ①6才のボクが、大人になるまで。
②紙の月 ②ジャージー・ボーイズ
③0.5ミリ ③アデル、ブルーは熱い色
④ぼくたちの家族 ④チョコレートドーナツ
⑤私の男 ⑤罪の手ざわり
⑥小さいおうち ⑥インターステラー
⑦蜩ノ記 ⑦ゴーン・ガール
⑧柘榴坂の仇討 ⑧ブルージャスミン
⑨WOOD JOB! 神去なあなあ日常 ⑨ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
⑩太秦ライムライト ⑩her/世界にひとつの彼女

 

(2015年3月 1日更新)


Check
新人女優賞 藤本泉(『アオハライド』『小川町セレナーデ』)
新人女優賞 真飛聖(『柘榴坂の仇討』)
新人男優賞 野村周平(『クジラのいた夏』『日々ロック』)
助演女優賞 原田美枝子(『蜩ノ記』『ぼくたちの家族』)
主演女優賞 池脇千鶴(『そこのみにて光輝く』)

Event Data

《おおさかシネマフェスティバル2015》

日時:3月1日(日) 開場9:30/開演10:00
会場:ホテル エルセラーン大阪
   5F エルセラーンホール
   大阪市北区堂島1-5-25

【公式サイト】
http://www.oocf.net/

【Facebook】
https://www.facebook.com/osaka.cinemafest