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「フィリピン版『恋する惑星』も登場
 今注目しておきたいのはフィリピンニューウェイブ!」
大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター
暉峻創三氏に聞いた映画祭必見作は?

 いよいよ来月! 3月7日(金)~16日(日)に梅田ブルク7、ABCホール、シネ・ヌーヴォをはじめとした大阪市内の数会場で開催される大阪春の風物詩、《第9回大阪アジアン映画祭》。世界初上映や日本初上映の作品をはじめ、数多くのアジアの“今”を感じることのできる上質な映画に出会え、この機会を逃すとなかなか会えないような豪華ゲストや海外の映画人とも交流できる貴重な映画の祭典だ。

 「ここ1年間、応募作を含め様々なアジア映画を観てきて、本当に驚いたのがあらゆるフィリピン映画の質がとても高いこと。監督が国際的に名声がある人だけではないので、ラインナップを観ると敬遠してしまいそうだが、むしろ今年はココにこそ注目してほしい!」と語るのは、2009年より《大阪アジアン映画祭》のプログラミング・ディレクターを務める暉峻創三氏。コンペティション部門、特別招待作品部門で5本のフィリピン映画に出会えることが今年の映画祭の見どころと言えそうだ。そこで、暉峻氏に聞いたオススメのフィリピン映画5作品に加え、アジア映画初心者でも楽しめる注目作を一挙ご紹介したい。

『シフト』~フィリピン版『恋する惑星』がみせる新しいマニラ~
 

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「フィリピンの世界的イメージは貧困、怪しげな場所、出稼ぎ労働者のイメージだが、この作品はある意味僕らのイメージを打ち破る新しいマニラが見える」と語る暉峻氏。マニラの街の捉え方が独特で、とてもオシャレな映像はまさにフィリピン版『恋する惑星』だ。主人公たちの関係も、女らしい男と男らしい女をさりげなく、一つのありえる恋の形として描いているところが新鮮だ。二人がデートするカフェやギャラリーなど日本と変わらない都会の空気感に触れることができる。ヒロインのイエン・コンスタンティーノは、ミュージシャンでもあり、劇中でも素晴らしい歌声を披露。マニラのフェイ・ウォン(『恋する惑星』)と言えるぐらい魅力的なヒロインが熱演する都会派ラブストーリー。仕事や恋にままならぬ人生に立ち向かう20代女子が共感すること間違いなし!

『アニタのラスト・チャチャ』~少女の初恋相手は「大人の女性」だった~
 

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「小さい女の子が同姓の年上の女性に憧れ以上の想いを抱く。あまり典型的ではない恋の形が新鮮」と暉峻氏が紹介してくれたのが『アニタのラスト・チャチャ』。大人になった主人公アニタが子どもの頃を思い出す形で、少女時代のアニタの初恋が瑞々しい映像と共に描かれていく。この作品の見どころはアニタやアニタの幼馴染の友達コンビだ。フィリピンの子役俳優たちのコミカルな演技は日本の子役では真似のできないうまさがあり、12歳のアニタを含めた初恋模様にほのぼのさせられる。市場でチャチャを踊るシーンや、村の祭りシーンなどフィリピンならではの土着文化に触れることもできるほろ苦い初恋ストーリーだ。


『もしもあの時』~あらゆるショットが過去を振り返らせる、“青春の痛み”~
 

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「『あの頃、君を追いかけた』、『建築学概論』、『サニー 永遠の仲間たち』のような構成で、あらゆるショットが「もしもあのときこうしていれば…」と思わせる」と暉峻氏が絶賛したジェロルド・ターログ監督最新作。カメラで撮影する主人公を配した作品を3作連続して作っており、本作はそのカメラトリロジーの最新作でもある。「カメラマンを主人公にしていると、映像美に頼ろうとしがちだが、シナリオがよく書き込まれており、最後は役者のアドリブも取り入れた演出で、一つ一つの展開がかなり新鮮」と暉峻氏が語るとおり、結婚式の写真撮影から深化していく登場人物たちの複雑な心理描写にどんどん惹きこまれる必見作だ。

フィリピンインディーズ映画の祭典、シネマラヤ映画祭グランプリ受賞作品。


『インスタント・マミー』~アラフォー女性必見、騙し騙されの遠距離恋愛コメディー~
 

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今日本で一番出演作品が紹介されているといっても過言ではないフィリピン人気女優ユージン・ドミンゴ。大阪アジアン映画祭では昨年フィリピン版マンマ・ミーア『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』で歌も披露、また東京国際映画祭では『ある理髪師の物語』で見事最優秀女優賞を受賞し今ノリにのっているユージン・ドミンゴの最新コメディーが日本初公開される。昨年の大阪アジアン映画祭来場時に日本人の相手役を募集していた本作は、大阪に住む男性とマニラの独身・妊娠2か月女性の遠距離恋愛からはじまる大人のラブコメディーだ。妊娠していたヒロインが流産したことから起こる騙し騙されの恋物語の着想について、「スカイプによるコミュニケーションなど、一緒に住んでいないからこそつける嘘」と語った暉峻氏。結婚、妊娠、仕事とアラフォー独身女性が直面する問題をコミカルかつリアルに演じるユージン・ドミンゴから、まさに目が離せない!


『ブルー・ブースタマーンティー』~出稼ぎに出たお父さんが戦隊ヒーローに!?~
 

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「海外出稼ぎ者ものに属する作品で、シリアスな問題を扱いながら、そういう状況をおもしろく映画に生かしている」とユーモラスな語り口が魅力的な『ブルー・ブースタマーンティー』。技術者として日本に出稼ぎにきた主人公が、戦隊ヒーローのスーツアクター(戦隊ヒーローの中に入る人)の職を得たはよかったが、主人公が演じている戦隊ヒーローをテレビで見たフィリピンに住む主人公の子どもが何も知らずに夢中になってしまう笑い半分、切なさ半分のヒューマンドラマだ。主人公が日本で過ごす日常や、主人公の息子の話を交差させながら、コメディータッチで家族物語を紡ぎ出している。小さい頃から日本の戦隊シリーズや、仮面ライダーが大好きだったというミコ・リヴェロ監督のこだわりも必見の注目作!


 

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さらに世界初上映作品の中でオススメは、

 

●ロックバンド「Λucifer(リュシフェル)」のボーカルとして知られる日本人俳優でアーティストの越中睦士が本人名義で出演、越中睦士を追いかけるヒロインと、ヒロインを巡る同性愛者も絡めた三角関係めいたラブストーリーがカラフルに展開する世界初上映の『すご~い快感』(タイ)。

 

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●2014年の大統領選挙を題材に、突如殺人罪で投獄されてしまった大統領選挙候補者と父親の無実を信じて真相究明に奔走する息子の姿や、警察や司法も巻き込んだ政治家の汚職ぶりを香港映画さながらのエンターテイメント感いっぱいに描いた衝撃のサスペンスアクション『2014』(インドネシア)。

 


 

●他にも毎年大好評の特集企画『Special Focus on Hong Kong2014』では、カリーナ・ラウ主演のカンヌ映画祭出品作『越境』や、香港の名匠ジョニー・トーとビル・コンが製作総指揮にあたった話題作『ある複雑なお話』他を上映。そして、今年1月に永眠した香港映画の黄金期を築いた映画会社ショウ・ブラザーズの創始者ランラン・ショウを追悼し、傑作武侠映画の『大酔侠』『片腕必殺剣』『空とぶギロチン』の3作品を上映するのも見逃せない。

 

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●また、今年初となる特集企画として『台湾:電影ルネッサンス2014』と題し、やる気ゼロの弱虫中年刑事とやる気満々の新人女性刑事の凸凹コンビがチョコレートを食べた小犬の変死事件から端を発する連続殺人事件解決に挑む、1月に公開されたばかりのミステリー喜劇『甘い殺意』を海外初上映する他、本邦初公開となる台湾語映画特集と合わせて全10本を上映する。

 

 

 アジア映画と一括りで言っても、もちろんジャンルは様々。今まで観たこともないような驚きがいっぱい詰まった奥深きアジア映画の世界にぜひこの機会に触れてほしい。チケットは現在好評発売中(一部すでに完売となっている作品もあり)!




(2014年2月18日更新)


Check
大阪アジアン映画祭
プログラミング・ディレクター
暉峻創三

Data

《第9回大阪アジアン映画祭》

日程:3月7日(金)~16日(日)
会場:梅田ブルク7/ABCホール
   テイジンホール/シネ・リーブル梅田
   大阪ステーションシティシネマ
   シネ・ヌーヴォ
   プラネット・スタジオ・プラス・ワン

【公式サイト】
http://www.oaff.jp/

チケット情報はこちら

・全国のチケットぴあ店舗、セブン-イレブン、サークルK・サンクスでのご購入につきましては、発券手数料はかかりません。
・ぴあwebサイト予約、ぴあ電話予約の場合のみ、別途発券手数料105円が必要です。あらかじめご了承ください。

連携企画

《花開くコリア・アニメーション2014》

日程:3月7日(金)~14日(金)
会場:プラネット・スタジオ・プラス・ワン
   (3/8のトークのみ大阪韓国文化院)

【公式サイト】
http://anikr.com/2014/top.html


《CINE DRIVE 2014》

日程:3月21日(金・祝)~23日(日)
会場:プラネット・スタジオ・プラス・ワン
   天劇キネマトロン/イロリムラ
   シアターセブン

【公式サイト】
http://cinedrive2014.businesscatalyst.com

Check!

アジアン スター フェスティバル

永瀬正敏や坂井真紀ら、映画祭の
ゲストがレッドカーペット上に登場!

日時:3月7日(金)16:00~
会場:JR大阪駅「時空の広場」