ホーム > インタビュー&レポート > 『梅ちゃん先生』や名作CM『最後の試合』にも出演 テレビ、CM、舞台、映画と大活躍の若手俳優 『江ノ島プリズム』野村周平インタビュー
――懐かしさと甘酸っぱさ、そして切なさもある作品ですね。最初に脚本を読まれたときの感想から伺えますか?
「脚本を読む前にどんな話か少し聞いていて、すぐに思い浮かべたのは『時をかける少女』でした。それで、なんとなくSFっぽい作品なんだろうなと思いながら脚本を読んだのですが“タイムスリップ”をメインに描いているのではなく“友達を助ける”ということを主軸に、青春や恋愛、笑い、そしてもちろんSFの要素が盛り込まれていて、いい作品だなと思いました」
――野村さんが演じた朔(さく)という男の子は、ちょっとクールな印象をうけましたが、演じる上で気をくばったところはありますか?
「そうですね、ちょっとクールな男の子です。見た目には分からないけど、朔は心臓に病を持っているので、あまり早く走らないようにして、ひとりだけ少し遅れて来たりするようには意識しました。あとは、福士くん演じる修太を小バカにしたような態度をとりながらも、憧れている部分もあるだろうと思ったので、そんな雰囲気を何気なく出すのが難しかったです」
――福士さんと本田さんとは、この映画が初対面だったのでしょうか?
「福士くんとはこの映画が初対面です。本田さんは以前、ドラマ『GTO』に僕がゲストで数回出演させていただいたときにご一緒していたのですが、「はじめまして」と挨拶してしまって。「はじめましてじゃないよー」と言われてしまいました(笑)」
――では、ほぼ初対面な感じ(笑)で幼馴染の大親友の雰囲気を出すのは大変でしたか? 3人で普段はどのようなお話をされましたか?
「3人揃ってのリハーサルがなかなか出来なかったので不安もありましたが、撮影が始まってしまえば意外とすんなり馴染めましたね。幼馴染の仲の良さ以外にも三角関係と男同士の友情もうまく出せたと思っています。学園ドラマとかだと個々で話したりして話せない人も出てきますが、今回は3人しかいないので自然と話すことが出来ました。しかも撮影初日から仲の良い雰囲気を出さないといけないシーンでしたから。でも、本当に他愛もない話をたくさんしました。本田さんはゲームが好きなのでゲームの話をしたり、福士くんとは芝居の話や恋愛の話なんかもしました」
――福士さんとしたお芝居についての話とは?
「修太と朔は今までどんな風に遊んでいたのかな? このシーンはどういう風にやる? とかいろいろです」
――普段の福士さんはどんな方ですか?
「最初にお会いしたときはクールな人なのかな? と思いましたが、すすんで話しかけてくれたので初対面でも話しやすかったです。場の空気も作ってくれて、すごいいい方ですよ(笑)」
――では、本田さんはどんな方ですか?
「年齢は僕のひとつ上ですがどちらかと言うとキャピキャピしていて、この映画で本田さんが演じたミチルの雰囲気のままですね。映画の中のミチルがそのまま本田翼です(笑)」
――映画の舞台となっている江ノ島、湘南の印象は?
「高校2年生で上京して以降、湘南にはよくサーフィンをするために行っているんです。海外沿いに道路があって、波を見ながら走ったり。七里ヶ浜や鎌倉の景色もいいんですよ。町にはあまり行かないですが、江ノ電が走っている光景もいいんですよね。だから新鮮味はとくに無いのですがいいところですよ」
――前作『旅立ちの島唄~十五の春~』での演出も高い評価を得ている吉田康弘監督の演出はいかがでしたか?
「最初、ちょっとヤンキーっぽく演じていたら「もうちょっとクールな感じで」と言われましたが、あとは役者に任せる感じの演出でした。優しいお兄さんという感じです」
――3人が学校に忍び込んで花火をするシーンが印象的でした。
「あのシーンの撮影は夜中の0時を超えていたので、みんなが徹夜をした時みたいな変なテンションになってしまっていました(笑)。本当に花火をして盛り上がっているテンションが映画の中にもそのまま映っていて良いシーンになったのではと思います!」
――野村さんが好きなシーンはどこですか?
「花火のシーンもいいですが、電車のシーンも好きだし。でも、やっぱりラストかな。結末がどうなるのかは映画を観ていただきたいのですが、とてもいいのでお楽しみに! としか言えません(笑)」
――お父さまが勝手にオーディションに応募したのがきっかけで俳優になられたと伺いました。
「そうなんです。オーディションの賞金を目当てに父が勝手に応募して(笑)。そこから僕の役者人生が始まりました。もともと演技に興味があったわけではないですが、今ではこの世界も自分に合っているような気もしています。新しい道を切り開いてくれた父に感謝ですね!」
――神戸で過ごした高校1年間の思い出は?
「めっちゃ面白かったですね。食堂で食べ物の取り合いしたり(笑)、学校帰りに立ち食いの焼鳥屋や駄菓子屋に寄ったり、友達と一緒にゲームしたり。あと、先輩に喧嘩を売られたこともありました(笑)。商店街に80円のひやし飴が売っているような神戸の下町の学校に通っていたんですが、神戸で過ごしたその高校生活1年は本当に濃かったです。ひとつ上の先輩を好きになって、その後半年つきあって。その彼女と一緒に公園のベンチに座って話したり。まさに“青春”でした!」
――その後、上京して演技についてはどのように学んでいったのですか?
「実戦あるのみでしたね。今でもまだまだですが、やっと最近になって「どう演じよう」とか考えるようになりました。上京してすぐは仕事も学生生活も不安定で、芝居なんて大嫌いになりそうな時期もありましたが、今はこのお仕事が大好きです。いろんなお仕事を経験することで、いろんな人に出会い、心情に変化が出てきたように思います」
――転機になったような作品はありますか?
「今思えば、映画『スープ~生まれ変わりの物語~』(2012年公開)辺りから変わってきたように思います。1ヶ月近くリハーサルをさせてもらって。監督が厳しい方だったんですが、僕らキャストのことを親身になって演出してくださっているのが身にしみて伝わってきて。そういう作品に関われたことで、だんだん変わってきたように思います」
――テレビドラマ、CM、舞台、映画といろいろやられていますが、中でも“映画”のお仕事は野村さんにとってどんなものですか?
「リハーサルをきっちりしたいタイプなので、映画や舞台のお仕事は好きです。中でも“映画”は、演じるのも好きですし観るのも大好きですね。ただ、日本映画を観ると出演者に知り合いがいたりしたら話の内容よりその知り合いが気になりすぎたり、僕だったらこう演じたいなとか思い始めてしまうので洋画のほうが好きかもしれません」
――憧れや目標としている俳優はいますか?
「ライアン・ゴズリングです。『ブルーバレンタイン』という映画の彼がとにかく素晴らしくて。自然な演技なのですが、若いときの輝きと歳を取ってから醸し出す雰囲気がまるで違っていて魅了されました。日本映画だと松田優作さんや窪塚洋介さんが好きです。窪塚洋介さんの作品は『ピンポン』『凶気の桜』『GO』『Laundry〈ランドリー〉』など見まくっています」
――よく映画観てらっしゃるんですね。
「2,3時間空き時間が出来たら映画観るくらいしかなくて。休みが出来たら自転車に乗って出かけたりしますし。雨の日にDVDで観ることが多いですかね」
――スポーツ万能で運動神経が良い印象ですが、アクションなどにも挑戦したいですか?
「アクションもいいですね! でもスポーツ全般得意なわけではなく球技は苦手なんですよ。審判に見られて縛られているようなスポーツは苦手ですね。自由に表現するようなスポーツが好きなんです」
――ひと夏の思い出を描いた作品ですが、野村さんの今年の夏の思い出は?
「今年の夏は映画の撮影がありまして、あとはずっと舞台で埋まっていました…。だから特に思い出らしい思い出はないのですが、そのお仕事が楽しかったです」
――映画は同世代の共演者がいますが、舞台では先輩方に囲まれて刺激も大きかったのでは?
「先輩方の人生経験を聞くのは楽しいですね。昔の芸能界や役者の話とかいろいろ聞かせていただいていて。本当に面白い話をいろいろ聞きました」
――今年20歳を迎えられますが、やりたいことはありますか?
「お酒やタバコをやってみたいというか、そういう役やCMも出来るようになるのが嬉しいですね。人間味のある演技が出来るような俳優になりたいと思っています」
(2013年8月28日更新)
のむら・しゅうへい●1993年11月14日、兵庫県生まれ。2012年、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(NHK)への出演で注目を集める。積水ハウス、携帯のCMなどのお茶の間のCMや音楽PV等にも多数出演。映画『桐島、部活やめるってよ』の監督である吉田大八が演出したスポーツ振興くじtotoのCM『最後の試合』は放送後もネット上で“泣けるCM”と評判に。繊細な演技力に定評があり、映画では『探偵はBARにいる』(2011)を始め『天国からのエール』(2011)、 『スープ~生まれ変わりの物語~』(2012)、ドラマに「35歳の高校生」(NTV)、西田征史作・演出の舞台「小野寺の弟・小野寺の姉」など出演作の相次ぐ注目株。
●[京都]元・立誠小学校 特設シアターにて上映中
●8月31日(土)より、
[大阪]シネ・ヌーヴォ
[神戸]109シネマズHAT神戸
[京都」TOHOシネマズ二条
●9月7日(土)より、
[大阪]TOHOシネマズ梅田
にて公開
【公式サイト】
http://enoshimaprism.com/
【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/161588/
【日程】8/31(土)
【会場・時間】
[京都]TOHOシネマズ二条
11:20の回上映前
[神戸]109シネマズHAT神戸
18:00の回上映前
【料金】2000円
【登壇者(予定)】
野村周平/吉田康弘監督
【日時】8/31(土)
13:00の回上映後/14:55の回上映前
【会場】シネ・ヌーヴォ(大阪・九条)
【料金】通常料金
劇場窓口発売:8/31(土)AM10:00~
【登壇者(予定)】
野村周平/吉田康弘監督