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ホーム > インタビュー&レポート > 「与えられた人生を思いきり生きるんだ!って、 インドの子どもたちから教わりました」(USA) EXILE・USAが踊りを求めて世界を旅する “DANCE EARTH”初の劇場公開! 『DANCE EARTH~BEAT TRIP~』EXILE・USAインタビュー

「与えられた人生を思いきり生きるんだ!って、
インドの子どもたちから教わりました」(USA)
EXILE・USAが踊りを求めて世界を旅する
“DANCE EARTH”初の劇場公開!
『DANCE EARTH~BEAT TRIP~』EXILE・USAインタビュー

EXILEのUSAが、’06年よりライフワークとして活動し続けるダンスプロジェクト“DANCE EARTH”。「言葉のいらないシンプルなコミュニケーション手段」であるダンスの可能性を信じて、世界中のダンスを求めて旅をする。これまで、書籍やDVD、絵本など、その旅をさまざまな形にして見せてきたUSA。そして今回、同プロジェクトで初めて、’10年に訪れた7ヵ国(スペイン・イビサ島、タンザニア、ケニア、バリ、インド、ジャマイカ、アメリカ・ニューヨーク、シカゴ)のドキュメンタリー映像『DANCE EARTH~BEAT TRIP~』を劇場公開。USAこと宇佐美吉啓に話を訊いた。

 

――まず、この“DANCE EARTH”を始めたきっかけを教えてください。

 

「‘06年の7月にキューバを訪れたとき、言葉も肌の色も宗教もみんな違うんだけど、現地の人と踊り合った瞬間にスッと繋がれる感覚があって、それが妙に心地よかったんです。それで踊りについて調べてたら、踊りがない国も民族もないっていうことがわかって。もしかすると、この踊りを使ったら、世界中の人と繋がれるんじゃないか、世界を繋げられるんじゃないかという想いがあふれてきて、“DANCE EARTH”という旅がスタートしました。世界は広いから、きっと今回の人生を使わないと周れない。世界中のリズムを今の人生で乗りこなしたいという夢が生まれて、ライフワークになったんです。そしてただ旅をするだけじゃなく、その地球を巡る冒険を、書籍や映像、舞台、絵本、ヴィレッジという、いろんな表現に変えています」

 

――そうやって活動を書籍や映像にして表現することは、たくさんの方の目に触れられるという点でとても重要なことですよね。ご自身としてはどういう思いで形にされているんですか?

 

「EXILEは放浪者っていう意味なんですよ。でも僕らはただ放浪するだけじゃなくて、旅をして、自由に表現していくことがEXILEの活動に繋がる。だから、僕は冒険をして表現する。ひとりの活動でもEXILEでありたいなって思うし。その僕が感じた“最高だ!”って思った瞬間を見ていただいて、見た人も心が自由になったり、パワーがみなぎるきっかけになれたら最高に嬉しいです。身体を動かすだけのダンスじゃなくて、僕の活動を見て心まで踊っていただけたら嬉しいなと思います」

 

――言葉がわからない中でも、踊り合えば繋がることは映像を観ていても感じますが、その前の段階で苦労することや難しく感じることはありますか?

 

「言葉がわからないどころか、僕が何者かも知らないし、どこの国の人かもパッと見じゃわからないですよね。僕も相手のことがわからないし。だけど、例えばアフリカの山奥の村を訪ねたときに、その何者かわからない同士が警戒し合いながら会って、音楽がかかって踊っただけで、その瞬間で怪しい者じゃないというのがわかる。お互いに(笑)。普通逆ですよね。日本だと、会った瞬間いきなり踊られたら、“なんだこの人?”って思われるのが普通ですけど、その常識を覆されましたね。それは世界に出たときにどこに行っても感じますね。心の中にあるすでに繋がっている何か温かいものが、踊りや音楽だとすぐに確認しやすいのかもしれないですね」

 

――この『DANCE EARTH~BEAT TRIP~』では、発展途上国に訪れることが多かったですね。

 

「特に今回は、僕の中のルーツを巡った旅なので。そういう意味で、踊りが始まった原点の場所であったり、ONE LOVEとかPEACEな気持ちを教えてくれたボブ・マーリーのジャマイカに行ったり。必然的に発展途上の国は多かったですけど、ニューヨークやシカゴとか、ストリートダンスが盛んなところも大好きで訪れたし。人類の長い歴史をこの旅で感じましたね」

 

――“DANCE EARTH”を始めたことで、ダンスに対しての気持ちの変化はありますか?

 

「ダンスは始めたときから最高の遊びだと思っていて、それは一生変わることはないと思うんです。EXILEとして大きな夢を叶え、多くの人に見て頂ける状況になったからこそ、ひとりのダンサーとしての気持ちは変わりたくないなと思う。常に挑戦したいし、踊りで貢献できるところがあったらしたい。踊りに対しての気持ちはどんどん深まっていきますね」

 

――EXILEにいるからこそ、USAさんを突き動かすものがある。

 

「でも今回のこの旅では、EXILE・USAとしてではなく、“旅人・宇佐美吉啓として”って言ってて。わざわざ言わなくてもいいのにそう言っているのは、“EXILEだからできたんでしょ”って思ってほしくないから。僕たちは誰でも世界が呼ぶ声が聞こえたら、バイトしてお金を貯めれば、どんなところでも行けるような、恵まれた国に住んでいる。だから、“自分もできるかも”って思ってもらえたらいいなっていう想いもこめて、今回は旅人・宇佐美吉啓として行きました」

 

――そうやって世界に出ていくことは、日本の踊りについて考えることにも繋がりますよね。今後、日本での活動も考えられたりしているんですか?

 

「そうですね。今年から日本の祭りと踊りを巡る旅、“DANCE EARTH JAPAN”をスタートさせたいと思っています。やっぱり、世界に出てみると日本がより見えてきたんですよね。特にこの間、国民の97%が幸せと答える世界一幸せの国、ブータンに行って感じたんです。数年前に世界幸福度ランキングっていうのがあったときに、ブータンが1位で日本が125位くらいだったんですね。そのとき、“俺たちの国はこんなもんじゃない!”って思って(笑)。だけど、何かどこかで幸せを感じられなくなっているんですよね、きっと。それで、なんとなく閉塞的な空気感が漂っているのはなぜだろう?って考えて。祭りとか踊りとかを重要視しなくなりつつあるのかもしれない。もっと踊ったらみんなの繋がりを確認できるだろうし、寂しい気持ちとか悲しいこととかも絶対乗り越えていけるはず。きっと今踊りの力をフルに使う時代がきてるなと思って、日本を巡る旅をしたいと思っています」

 

――踊っている人たちは、すごく目がキラキラしていたり何か強いものを持っているように感じますが、実際現地で一緒に踊ってみていかがですか?

 

「いちばん予想外に感じたのはインドのバラナシですね。貧困層が多くて、貧しい=不幸って、先入観だけで勝手にそういう図式を考えちゃっていたんです。でも全然そんなことなくて。きっと、お金持ちでも不幸な人はいるだろうし、貧しくても幸せを感じている人もいる。そういう意味では、インドの子どもたちは目がギラギラしていましたね。“与えられた人生を思いきり生きるんだ!”っていうエネルギーを感じて、逆にズドンと心に響きました。もっと頑張んなきゃとか、もっと強く生きなきゃっていう気持ちがあふれてきましたね。バラナシはヒンドゥー教の人たちにとっての聖地なんですよ。そこで死んで、灰になってガンジス川に流されたら幸せっていう聖地で、365日24時間、河原で毎日人が燃やされている。そんな光景を目の当たりにすると、いつか俺もこうなる、いつか大切なあの人もこうなるんだってリアルに感じて。この肉体があるうちにできることを全身全霊でやろうと思いましたね」

 

――痛切に感じそうですね。

 

「日本だと、火葬場で燃やされて、あっという間に骨になって出てくる。それがリアルに感じられなかった自分がいて。でもガンジス川での光景を見て、生まれることも死ぬことも同じくらい大切なことだって感じて。死ぬことがリアルに感じるから、今をちゃんと生きようって思える。インド人に教わりましたね」

 

――日本で暮らしていると、そうした大切に思うべきことが見えづらいですよね。

 

「そうですね。インド人の子どもたちは、親の職業をやるって決まっているから、将来何になりたいとか考えたこともない子がほとんど。日本に暮らしていると、いくらでも夢を描くことができる。それによって不安もセットでついてくるけど、選べることができるだけで幸せだと思う。だからこそ、夢を持って懸命に生きたいですよね」

 

――旅へ出る前はやはり期待感の方が大きいですか?

 

「行く前はワクワクしますね。着いた後で、“うわ~どうしよう、この踊り”とか、そこで悩むんです(笑)。悩んで悩んで、その結果、“踊るしかねぇな!”っていう答えに辿り着くんですよ。今のところ、自分がピン!ときたところに行くっていうスタイルで、そこには必ず今会うべく人がいるし、今会うべく音楽に出会えるし、自分の感性で決めたことに関しては後悔がない。必ず面白いことが待っていますね」

 

――そのピンとくる場所はご自身で調べて?

 

「調べるときもあるし、映画のワンシーンの場合もあるし、人から聞いた話も。この旅をスタートさせてから、いろんな人から情報を頂けるようになって。日本でもいろんな出会いが生まれたんですよ。自分がアンテナを立てた途端に、似たような人たちが集まる。“類は友を呼ぶ”ってよく言うけど、なんとなくそういう周波数が出てるんでしょうね。世界に面白いことないかな?っていう周波数が(笑)。世界中を旅している人と出会ったり、面白い仲間がどんどん増えています」

 

――そうして旅を続けることで、ご自身のパフォーマンスにどんな影響がありますか?

 

「旅から帰ってくると、メンバーに“踊りが変わってる”って言われるんですよ。特に斜め後ろで踊っているTETSUYAがすごい敏感で、“USAさんセネガル帰りだから薄っぺらい靴履いてるな”とか、“躍動感が違う”って(笑)。同じ振りでも、旅へ出る前と後では変わってるみたいですね。実際に習得してきた踊りを振付に反映させたりすることもありますね」

 

――先ほどインドのお話がありましたが、今回行った国の中で、踊り自体で強く印象に残っている国はどこですか?

 

「踊り自体で言えば、シカゴのフットワーキングという踊りですね。ストリートダンスで、25年続いているけど、ヒップホップやブレイクダンス、ハウスほど広まっていないと思う。高速ステップで、めちゃくちゃ速い。人間が踊れるBPMの最大いってんじゃないかなって思うくらい。久しぶりに衝撃を受けました。あのダンスバトルの興奮はいまだに忘れられませんね。今はもっとうまくなってるはずだから、次行ったら多分勝つと思います(笑)」

 

――それもまた目標のひとつになっていたりするんですか?

 

「そうですね、リベンジしたいです(笑)」

 

――活動8年目に入りましたが、まだまだできていないことがあるという思いですか?

 

「踊りは尽きることがないから、一生飽きない遊びを僕は見つけましたね。“いつまで踊れるの?”っていうツッコミはよく入るんですが、今回ケニアの旅で80歳を超える伝説のおじいちゃんダンサーに出会って、そこで僕の一切の迷いが吹き飛びましたね(笑)。“いつまで踊れるんだろう”っていう悩みがなくなりました。あのおじいちゃんよりはめっちゃ鍛えてるし、いけるんじゃないかな(笑)」

 

――旅をすることで目標も持てるし、悩みも解消できるんですね。

 

「たまたま僕が悩みを抱えてたり、踊りが好きで旅を始めたんですけど、それぞれ旅人によって想いとか心境とか、悩みも違うじゃないですか。でも行った先には、その人に必要なことが必ず待ってると思うんです。例えば、“あれ食べたいな”とか、“あの景色を見たい”とか、“海を見たい”とか、何でもいいんですよ。急に思ったことって意外と大切なことが埋まっていて、そこにどんどん反応していってほしいなってすごく思います。僕の経験上、そこには必ず面白いことが待っているので」

 

――見た人が一歩踏み出すきっかけになる映像だなと思いました。

 

「そんなふうに見てもらえたら嬉しいですね。旅好き、踊り好きの人はもちろん。僕の場合はたまたま踊りを目的に旅をしているけど、自分だったらどうするかなとか、そんなふうに想像しながら見ていただけたらいいなと思います」

 

(取材・文:黒石悦子)




(2013年5月22日更新)


Check
EXILE・USA

Movie Data

Introduction

ダンスが世界共通言語だと気づいた時、この終わりなき旅は始まった――
日本のダンスエンタテインメントを牽引し、常に進化し続けるアーティストとして全国区の人気を誇るEXILE。中でも、天才的なパフォーマンスでファンを魅了して止まないパフォーマー、EXILE USA(宇佐美吉啓)。彼は、日々パフォーマーとして踊り続けるうちに「ダンスは言葉のいらない最もシンプルなコミュニケーション」手段だという事に気づくのであった。以来、EXILEとして活動する傍ら、そのダンスの可能性を信じてスタートさせたのがダンスで世界を繋げる旅、「DANCE EARTH」。自身がライフワークと言い切るこのダンストリップも06年のスタートから8年目を迎え、世界15か国以上を回るに至った。

本作品は、EXILE・USA自身が、言葉やカルチャーの異なる世界7ヶ国(スペイン・イビサ島、タンザニア、ケニア、バリ、インド、ジャマイカ、アメリカ・ニューヨーク、シカゴ)に渡り、ダンスを共通言語とし、地域の人々と心を通わせ交流する旅をテーマに制作された。

グローバルダンスエンタテインメントを標榜するUSAが各国で見せる超絶パフォーマンスはもちろん、旅先で出会った様々な国・人種・世代を越えた人たちとのダンスコミュニケーションで繋がっていく様は必見!USAが大好きなダンスを通じて繋がり合ったその先に何を感じ、何を見たのか?LOVEとPEACEなマインドに満ちたEXILE USAのダンストリップでのリアルなヒューマンストーリーの進行形をここに凝縮!稀代のパフォーマーEXILE USAがダンスを通じて世界中の人たちに語りかける。映画の中で踊り続けるUSAのダンスで、あなたのココロも踊り出すかも!?




(C)2013 LDH INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『DANCE EARTH~BEAT TRIP~』

●5月24日(金)まで、
TOHOシネマズ なんばにて上映中
●6月8日(土)より、
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
●6月15日(土)より、
TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ
●6月22日(土)より、札幌シネマフロンティア
●6月26日(土)より、
TOHOシネマズ 天神
※全て一週間限定上映

出演・総合プロデュース:EXILE USA
監督:佐藤徹也
語り:ロバート・ハリス
上映時間:95分
音楽監修: DJ KIRA
製作:LDH、LDH DE
制作:monos、オフィスクレッシェンド
宣伝・配給:ニッポン放送、ELECTRO89

【公式サイト】
http://movie.dance-earth.com

【TOHOシネマズ なんば】
http://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/032/TNPI2000J01.do