インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 家族や故郷の大切さを再確認する 日中友好40周年を記念して製作された日中合作の感動ドラマ 『明日に架ける愛』市井紗耶香&アレックス・ルーインタビュー

家族や故郷の大切さを再確認する
日中友好40周年を記念して製作された日中合作の感動ドラマ
『明日に架ける愛』市井紗耶香&アレックス・ルーインタビュー

 日中友好40周年を記念して製作された日中合作の感動ドラマ『明日に架ける愛』が、3月31日(土)より、梅田ブルク7ほかにて公開される。青森と東京、北京を舞台に、東京でデザイナーとして働くシングルマザーが、つがる市に住む中国残留孤児の祖母や同じくデザイナーで幼なじみの中国人男性との交流を通して成長していく姿を描く。元モーニング娘。の市井沙耶香と新人俳優アレックス・ルーが主演を、八千草薫が祖母役を演じている。本作の公開に先立ち、デザイナーをしながら娘の瑠唯を育てているシングルマザーの悠子に扮した市井紗耶香と、悠子が幼い頃、青森で共に幼少期を過ごした幼なじみの中国人・王予安を演じたアレックス・ルーが来阪した。

 

 本作は、悠子が中国の有名モデルに着せるドレスのコンペに参加する過程で、幼なじみの王予安(ワン・ユーアン)と再会し…という物語。日本人である市井紗耶香と中国人のアレックス・ルーにお互いの国に対するイメージを聞いてみるとー

 

市井紗耶香(以下、市井):私は、中国に行く前は、ビルも人も多くて、みんな忙しそうなイメージでした。最近は中国に行く機会も多いんですが、行ってみるとすごく家族を大事にしている国だし、今の日本人が忘れかけているものをすごく大切にしているような印象を受けました。撮影中もスタッフの方きが私に対して自分の娘のように接してくださる方がいらっしゃったり、家族の仲がすごくいいと思いました。

 

アレックス・ルー(以下、アレックス):僕は、北京生まれ北京育ちなんですが、北京より東京の方が好きです(笑)。天候も快適ですし。今回の撮影では、青森の方にすごく優しくしていただいて感動しました。元々、日本のサムライの文化が好きだったので、日本の丁寧な挨拶が好きなんです。

 

 お互い、同じ事務所ということもあり、元々プレイベートでも親しくしているふたりだが、今回は幼い頃の淡い初恋を思い出してしまうような、微妙な恋心に似た感情を抱く間柄を演じている。かたや、シングルマザーのワーキングウーマンを演じた市井と、中国人のイベントプロデューサーに扮したアレックス、ふたりとも自身の役柄にはどのように取り組んだのだろうか。

 

asukake_photo1.jpg

市井:子どもがいながら仕事をしているワーキングマザーであるところなど、私が演じた悠子という役と私自身のプライベートの部分が、けっこう重なる部分が多かったので、台詞の言い回しに気をつけるぐらいでした。後は、プライベートでは、お姉ちゃんと弟みたいな感じで仲がいい分、演じるにあたって最初は恥ずかしさもあったので、ユーアンと悠子のコミュニケーションの取り方などは、クランクインの1ヶ月前頃から監督とトレーニングをしていました。

 

アレックス:プライベートではほんとにお姉さんみたいな存在なんですが、この作品の中では幼なじみとして気持ちを切り替えなきゃいけなかったので、それは大変でした。それと、監督が特にアクセントに厳しかったので、日本語のアクセントが難しかったです。これからもっと勉強します。

 

市井:私は劇中で中国語を使うシーンはありませんでしたが、アレックスは日本語のアクセントや、幼い頃に日本にいた経験があって、多少日本語が話せる中国人という設定で、日本語を理解したうえで演技をしなければいけないので、ものすごく大変だったと思います。

 

 そのように、ふたりの共演シーンには多少恥ずかしさも感じていたようだが、そんなふたりの淡い初恋を描くとともに、本作は日中友好40周年を記念して作られているだけに、日本と中国の深い歴史も根底には描かれている。ふたりは、本作に出演してどのように感じたのだろうか。

 

市井:台本をいただいた時に、日本と中国って自分が生まれる前からこんなに深い繋がりがあったんだと驚きました。実際、この映画は日本と中国の戦争の後、置いていかれた日本人の子どもを分け隔てなく自分の子どものように育ててくださった中国人の方の実話に基づいていて、監督の中では日中友好40周年という記念すべき年にやるべき作品だという気持ちが強かったと思うんです。それと、血を超えた絆みたいなものを描こうと思って作られた作品だと思うので、私も色々と学ばせてもらいました。この作品を撮り終えてもう1年ぐらい経つのですが、子どもの愛おしさをさらに実感できるようになりましたし、自分と重なる部分のある役だったので、1日1日丁寧に生きていくことや、人の絆や尊さを学ぶことができました。

 

アレックス:今回この映画に出演させていただいたことは僕にとって本当にいい経験になりました。日中で製作される作品がこれからもっと増えてくれると嬉しいです。この映画の風景を見て、中国人はそこに行ってみたいと思うと思います。青森の自然は本当に素晴らしかったです。

 

市井:あの青森の菜の花畑もそうですし、岩木山がどこにいてもほんとに綺麗に映るんですよ。監督曰く、「岩木山が映してくれってアピールしている」そうです(笑)。菜の花畑は、悠子とユーアンのふたりの秘密基地だったと思うんです。心の故郷というか、日本人でも中国人でも、自分の生まれ故郷の思い出ってあると思うので、この映画を通じて故郷へ帰りたいと思わせてくれる作品なんじゃないかと思います。

 

アレックス:北京の田舎と日本の田舎の違いって感じました?

 

市井:日本も中国もあんまり変わらないんじゃないかな。もちろん土地の匂いや風景は違うと思うけど、人の故郷に向けての心は日本人も中国人も変わらない気がします。やっぱり生まれ故郷ってすごく温かいし、足を踏み入れた時点で街に「おかえり」って言われているような気分になるじゃないですか。そういう温かさは変わらないと思います。私は生まれ故郷が千葉なので、帰ろうと思えば電車でさっと帰れちゃう距離なんですが、そういういつでも帰れる距離だからこそ帰らなかったりするんですよね。でも、この作品を通じて、自分の母親に対する思いを再確認することができました。私を28歳まで、怪我なく育ててくれたことってすごいことだと思うんです。そういうことを改めて深く感じさせてもらったと思います。

 

 この作品に出演したことで、家族の大切さや親の偉大さなど様々なことを感じたり、深く考えるようになったと語る市井だが、最後に改めて本作への思いをふたりに語ってもらったー

 

市井:劇中で八千草さんがおっしゃった「子どもを育てることは命を繋いでいくこと」という言葉がこの作品のキーワードだと思うんです。悠子自身はもちろん子どもは大事だし、頭の片隅にはあるけれども、自分の仕事も大事にしなきゃいけないし、自分が成功することは子どもの成功でもあるし、幸せでもあるという考えを持っていると思うんです。でも、お祖母ちゃんとしては、子どもは1日1日成長していく過程で色んな顔をするし、その一瞬がものすごく大切なんだということを伝えてくれているんですよね。私もよく母親に「子どもはいつまでも子ども」だと言われるんですが、それって見返りを求めない無償の愛だと思うんです。そういうことを感じ取れる作品だと思います。この映画は、単なる奇跡というくくりではなく、自分の生まれる前に日本と中国にこういった歴史があったということを知ることができると思いますし、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの時代に思いを馳せることもできると思うんです。だから、家族の方と観てもいいと思いますし、大切な方と観てもいいですし、観終わった後に離れてる故郷のことを思い出したらちょっと電話をしたり、手紙を出してみるきっかけになる温かい作品だと思います。

 

アレックス:この作品は、受け継がれていく命をテーマに国と時代を越えた家族の繋がりを描いた感動の物語です。皆さんに観ていただけると嬉しいです。




(2012年3月30日更新)


Check

Movie Data

(C)「明日に架ける愛」製作委員会

『明日に架ける愛』

●3月31日(土)より、梅田ブルク7ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.asukake.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/157886/