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藤原竜也主演で
究極のサバイバル・ゲームを描いた人気作、待望の続編
『カイジ2~人生奪回ゲーム~』佐藤東弥監督インタビュー

 累計1900万部を突破した福本伸行の大人気コミックを藤原竜也主演で実写映画化した『カイジ~人生逆転ゲーム~』の続編『カイジ2~人生奪回ゲーム~』が11月5日(土)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて公開される。今回も、借金まみれの主人公カイジが人生の一発逆転をかけ、知力・体力を駆使して壮絶なサバイバル・ゲームに挑む姿が描かれる。藤原演じるカイジの最強のライバルで、帝愛グループの裏カジノの支配人・一条に伊勢谷友介が扮し、前作では敵役であった香川照之演じる利根川とカイジが本作ではともに闘うなど、演技派俳優のバトルも見どころの本作の公開にあたり、佐藤東弥監督が来阪した。

 

 興行収入22.5億円の大ヒットを記録した前作『カイジ~人生逆転ゲーム~』。前作には、“限定ジャンケン”や“Eカード”など原作ファンに人気の高いエピソードが凝縮され、カイジの世界観を濃縮して描いていただけに、続編製作を聞いた時に監督は、どのような感情が生まれたのだろうか。

 

監督:前作を作る時にもっと色々と盛り込みたいこともありましたし、カイジをはじめとするキャラクターももっと膨らませたいという思いがあったので、実は前作を作っている時から続編を作りたいと思っていたんです。自分の中で、描ききれていないというかやりきってない感じがしていたので、そういう意味では、パート1とパート2を合わせて前後篇というか、ひとつの物語が完結したんじゃないかと思っています。

 

 「キャラクターをもっと膨らませたい」と監督が語っているように、ゲームのスリル感を中心に描いていたパート1と違い、本作ではカイジや利根川、本作からの登場となる坂崎(生瀬勝久)、そして、パート1の最後に少しだけ登場していた、鉄骨渡りで落ちてしまった石田のオッサンの娘の裕美(吉高由里子)、カイジのライバルとなる裏カジノの支配人・一条(伊勢谷友介)ら主要キャストの心の動きがつぶさに描かれ、よりカイジに感情移入できる作品となっているのも特徴のひとつ。最もそれを強く感じるのが、カイジと裕美のエピソードだ。

 

監督:前作は、カイジが様々なことに巻き込まれるたびにどうするのか決断していったと思うんですが、今回はスタート時点で、明快に「仲間を地上に戻す」という大きな目的があることが一番の違いだと思います。今回は、主体的に自分の意思で決定しているんですよね。自分が生き残るだけで精一杯だった人間が、他者のために戦うようになっていく部分がパート1とパート2で大きく成長した部分だと思います。それと、救えなかった石田のオッサンの意思をもう1度ちゃんと受け止めさせたかったんです。(パート1の“電流鉄骨渡り”のゲームの中で)カイジが鉄骨の上で石田のオッサンから受け取ったチケットの結末をちゃんとつけたかった。パート1の最後のシーンでは、カイジとしては精一杯のごめんなさいだったと思うんですが、ちゃんと(そのチケットを娘である裕美に)渡せなかったんですよね。それだと、裕美に(石田のオッサンの)思いはちゃんと伝わらなかったんじゃないかと。石田のオッサンのメッセージをちゃんと伝えることも今回やりたかったことですね。僕自身が、パート1の先を見たかったんです。

 

 そのように前作との違いを語る監督だが、本作では石田のオッサンの娘である裕美に石田のオッサンの遺志を伝えたい、仲間を救いたいという自分の意思でゲームに参加し、勝利を勝ち取ろうとする、カイジが成長していく姿も描かれる。監督は、カイジを描くに当たってパート1との違いなどは意識したのだろうか。 

 

監督 :カイジは決断力があるようで優柔不断だし、勝負強いようでギリギリのところで切り抜けているだけだし、ヒーロー的な才能があるとすると、人が彼に何かを託してしまうところ。そこがカイジの一番素敵なところだと思っていたので、そういう人間性に説得力を持たせるために藤原くんとたくさん話もしました。結局カイジは、完璧すぎないヒーローで、いい奴というと身も蓋もないんですが、そういうところがカイジの魅力だし才能だし、そこは逆にパート1から変えずに持ち続けていたかったところです。だから藤原くんとも、かっこよくなりすぎないように、という話はしていました。95%のところまでは普通の人間でいてほしいと話していました。最後の最後までは身近な存在で、ヒーローっぽくない方がいいと思ったんです。それは、色んな人がカイジの中に自分を見てほしかったからなんです。

 

 監督曰くヒーローっぽくないカイジと、パート1ではとことん戦った敵であった利根川は、パート1での敗北によって、カイジ同様に帝愛グループを憎むようになり、本作ではなんとカイジとともに戦うことになる。そんな利根川の台詞で「1に勇気、2に度胸、3に覚悟」という利根川らしい印象的なフレーズが登場する。その言葉に込めた監督の思いとはー 

 

監督 :あの台詞は、利根川の人生観というかメッセージだと思うんです。カイジは「ついてる」とか「ついてない」とかしきりに言うんですが、そういうことを言ってる間はダメなんですよ。そこを主体的に考えて、覚悟を決めて動かなきゃいけなんです。あの台詞は、たしかに中々耳が痛い言葉ですよね。でも、最終的には、今隣にいる人との絆を大事にしようということをこの映画では伝えたかったんです。他者のために今自分ができることをする、ということがメッセージとして伝えたかったことなんです。

 

 そして、パート1の利根川のように本作でカイジのライバルとなるのが、伊勢谷友介演じる、帝愛グループの裏カジノを取り仕切る若き支配人・一条だ。実は、一条はカイジと同じように地下で働いていた経験があり、あの鉄骨渡りを渡りきったふたりの内のひとり。一条は、もうひとりがカイジであることを知り、より敵対心を募らせていくのだが、そんな、カイジと同じような人生を歩んできた一条を描くにあたって監督はー

 

監督:カイジと瓜ふたつの人生を送ってきた人間だけど、ふたりの違いは自分が助かるか人を蹴落とすかという二択を迫られた時に、どちらを選ぶかというところ。そこで、不幸にして蹴落とす方を選んでしまったのが一条ですよね。そこが一番カイジと違うところだけど、他はほとんど同じ人間なんです。だから、コインの裏表じゃないですが、もうひとりのカイジとして描きたいと思っていました。その小さな違いが、後の人生の大きな違いになっていくんです。一条自身も、この映画の中でカイジによって変わるというか、救われるようになればいいと思って描きました。

 

 そんな個性豊かなキャストたちが一堂に会すシーンが、一条が経営する裏カジノの奥の奥に位置する“人喰い沼”と呼ばれる巨大なモンスターパチンコでの闘いの場面。映画の中では、パチンコの玉が勢いよくはじかれているが、実は全くパチンコの玉がない中で撮影しているシーンもあったそうで、そのシーンを演じる難しさは想像以上のものがあったようだが、そんなことを思いつかないほど映画の中ではエキサイティングなシーンとなっている。

 

監督:最終的には俳優さんの想像力にお任せするしかなかったんですよね。そこをみんなが必死にワンカットワンカット埋めてくれたおかげだと思います。大変でしたが、高いレベルでやり遂げてくださいました。パート1の時は、“Eカード”という利根川とカイジが対峙するゲームがあったんですが、あれは人間対人間なので、やりやすいということはないですが、そこでうまれてくるものもありました。でも、相対するものが機械になった瞬間にやっぱり難しくなるんですよね。もちろんワンカットずつ俳優さんたちと話をして撮影に臨むんですが、やはり最後は俳優さんの力なんです。最後の瞬間に向けて集中力を維持していかないといけないので大変だったと思いますし、それをやり遂げた俳優さんたちはすごいと思いました。

 

 藤原竜也、香川照之、伊勢谷友介ら日本を代表する演技派キャストが一堂に会し、人ではなく巨大なモンスターパチンコを相手に、鬼気迫る大迫力の演技を披露している本作。そして、最後に勝つのは誰を信じた者なのか、そしてその者は誰を信じたのか、その裏にある人と人との絆が胸を打つエンタテインメント大作だ。




(2011年11月 4日更新)


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佐藤東弥監督

Movie Data


(C)福本伸行・講談社/2011「カイジ2」製作委員会

『カイジ2~人生奪回ゲーム~』

●11月5日(土)より、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.kaiji-movie.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/155966/