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「人と触れ合って何かが生まれることが“オアシス”なのかな?(笑)」
『東京オアシス』小林聡美&加瀬亮インタビュー

 『かもめ食堂』『めがね』の小林聡美主演による、自然体のヒロインの姿を描いた人間ドラマ『東京オアシス』が10月22日(土)より梅田ガーデンシネマほかにて公開される。東京を舞台に、撮影現場から抜け出した女優トウコと、彼女が行く先々で出会った人々とのほのかな交流が繊細なタッチで綴られる。加瀬亮、原田知世、黒木華ら、共演者たちにも注目だ。公開に先立ち、女優・トウコを演じた小林聡美と、ヒッチハイクをしようとするトウコがコンビニの前で出会うナガノに扮した加瀬亮が来阪した。

 

 『かもめ食堂』『めがね』『プール』『マザーウォーター』と続く、このプロジェクトの最新作である本作『東京オアシス』。このプロジェクトのファンなら、『東京オアシス』? と首をかしげてしまうかもしれない。それもそのはず。今までの4作品は、フィンランドのヘルシンキや与論島、タイのチェンマイに京都と、“ココではないどこか”を舞台に物語は繰り広げられていたからだ。まずは、本プロジェクト初となる東京での撮影についてふたりに聞いてみるとー

 

小林:逆に新鮮な感じがしましたね。自分の暮らしている街以外の場所で今までは撮影していたので、自分が暮らしている街で、しかも見たことがあるような景色の中で撮影するのはすごく新鮮でした。ある意味、見守られているような感覚でリラックスして撮影にのぞめました。 

 

加瀬 :今までの作品の流れからすると、すごく挑戦的だなと思います(笑)。このチームが東京で撮影するということが、僕も新鮮に感じました。今までは、そこに立てば自然とふわーっとするような場所が舞台だったんですが、今回は場所よりも登場人物の心境にスポットライトが当てられているように感じました。

 

 声をそろえて「新鮮な感じがした」と語るふたりだが、そんな東京での撮影に加えて、本作の『東京オアシス』というタイトルにも新鮮さを感じるのではないだろうか。“東京”に対するイメージというと、ひと昔前のCMにもあった“東京砂漠”などと揶揄されることも多く、“東京”と“オアシス”という言葉はあまり繋がらないイメージがある。そんな『東京オアシス』というタイトルについてはー 

 

小林 :たくさんの人がいる東京の中でひとりとひとりが出会う。今回の映画で、東京という大きな塊の中での小さな出会いがたくさんあるんだな、と改めて感じました。あたりまえのことなんですけど。あまりそういうことに向き合わず、流れていきがちな日常で、人と触れ合って何かが生まれることが“オアシス”なのかな?(笑)

 

 小林が語るように「東京という大きな塊の中での小さな出会い」をテーマに、小林演じるトウコと、加瀬演じるナガノ、トウコと原田知世演じるキクチ、そしてトウコと黒木華扮するヤスコ、というように、物語は常に1対1というふたりの会話で綴られていく。今までの4作と違い、1対1のエピソードが3つ紡がれていくのが本作のスタイルだ。

 

小林:非常に日常に近い感覚だと思いました。一日の時間の流れは、そんな感じかもしれませんよね。朝は近所の人に会って、昼間は仕事の人、夜もまた違う誰かに会って。人って、そんなにたくさんの人と毎日一緒にいないようで意外と誰かに会っていると思うんです。そういう意味でも、私はすごく自然な感じがしました。それに、(1対1での演技だったので)すごく集中できましたね。 

 

加瀬 :僕は、芝居どうこうの前に普段から1対1以外得意じゃないんです(笑)。僕のシチュエーションでは特に車を運転しているシーンが多いのですが、撮影で走行する区間が決まっていて、その間に台詞を言わなければいけないので、1対1の芝居だからこそ集中してできました。 

 

小林 :加瀬くん、よく運転してたよね? こんなに運転させて大丈夫かなって思うほど運転してましたよ。あんなに加瀬くん自身が運転するとは思わなかった(笑)。

 

加瀬:ここを過ぎたから、もうちょっとで台詞を言い終わらなければ、などと考えながら運転してました。しかも、劇用車がマニュアル車だったんです。余計な作業が増えると思ってましたし、さらにマニュアル車だってことは劇中で言ってないんです(笑)。

 

小林:だって、(運転してたのは)高速だもんね(笑)。

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 そんな仲睦まじい様子で撮影のエピソードを語ってくれたふたりだが、『めがね』、『プール』、『マザーウォーター』と続き、本作『東京オアシス』で、共演回数は4度目となる。お互いの印象については、4度の共演でどのように変化したのだろうか。 

 

小林 :初めて加瀬くんが『めがね』の現場に来た時は、どういう風に(現場に)いていいかわからないという戸惑いの色が非常に濃くて、なんか機嫌悪いのかな? と思ったりしてたんですけど、ちょっとずつちょっとずつ慣れていって、自分の場所を見つけていったんじゃないかと思います。私も、俳優さんの中でそんなに何回も一緒にお仕事をする方はいないんですけど、知らないうちに4本もやっていた感じで、ちょっとずつ親戚になっていったような感覚です(笑)。 

 

加瀬 :『めがね』に出演させていただくまでは、いわゆるインディーズ映画にたくさん出演していたので、体育会系のような過酷な現場も多く、最初はこれでいいのかな? と思っていました(笑)。このプチームは基本的に現場もゆるやかなんですが、全く別のところですごく厳しいことが、最近わかってきました。役者とか演技とか、そういうことじゃなくて、人としてどうか、ということを要求されている気がします。現場でというよりは、例えば『マザーウォーター』が終わって、今回の『東京オアシス』までどう生活していたかが問われるという感じなんです。

 

 そのような現場の雰囲気の中で、ひと際小林にも加瀬にも影響を与えているのがプロデューサーの存在のよう。しかし、加瀬はそんなプロデューサーの話から見えてきたものがあるようだ。 

 

加瀬 :思いを伝えるしゃべり方が論理的ではなくて、すごく感覚的で抽象的だし、良く言えばポエムみたいだから、汲み取るのに時間がかかります。僕は、毎回脚本を読んで「わかりません」と言ってるんですが、毎回「わからないままやりなさい」と言われるんです。そんな中で、最近やっと『めがね』がわかってきました(笑)。 このチームの映画は、すごくパーソナルな映画なんだと思います。映画は、大勢で観ていたとしても、結局は1対1で向かい合うものなので、このチームの映画は、より丁寧に、パーソナルに作っているからこそ、個人に届いていくんじゃないかと思います。

 

 『東京オアシス』は、加瀬が話してくれたように、今までの映画とは違い、初めて1対1で向き合う人たちのエピソードを映した作品に仕上がっていることで、より個人的な人と人との繋がりの大切さを意識させるものになっている。流されていきがちな都会の日常の中で、誰かと触れ合うこと、繋がることの大切さを感じてほしい。

 

 そんな本作で、10月23日(日)に小林聡美&加瀬亮が来阪し、梅田ガーデンシネマとなんばパークスシネマで舞台挨拶を実施することが決定! 10月8日(土)よりプレリザーブ受付開始、10月15日(土)より一般発売となる。このインタビューでも見られたような、“ちょっとずつちょっとずつ親戚になってきた”ふたりの掛け合いを、生で楽しんで!




(2011年10月 1日更新)


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Movie Data



(C)2011オアシス計画

『東京オアシス』

●10月22日(土)より、梅田ガーデンシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://www.tokyo-oasis-movie.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/156796/


Ticket Data

【日時】10月23日(日)  
10:00の回上映後/12:10の回上映前
【劇場】梅田ガーデンシネマ
【登壇者】小林聡美/加瀬亮(予定)
【料金】2000円
【Pコード】558-595

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【日時】10月23日(日)  12:35の回上映後
【劇場】なんばパークスシネマ
【登壇者】小林聡美/加瀬亮(予定)
【料金】2000円
【Pコード】558-596

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★チケット購入★
【先行プレリザーブ(WEB先行抽選販売)】
《申込受付》 
チケットぴあhttp://t.pia.jp/
《受付期間》 
10月8日(土)11:00AM~10月13日(木)11:00AM
《抽選結果発表》 
10月14日(金)
※プレリザーブは抽選にて購入当選者を決定するもので、先着順ではありません。
※プレリザーブは優先的に良いお席をご用意するものではありません。

【一般販売】
《販売期間》 
10月15日(土)10:00AMより
《購入受付》 
チケットぴあ店舗/サークルK・サンクス/セブンイレブン/インターネットhttp://t.pia.jp/

★注意事項★
※チケットは、お1人様4枚までとさせていただきます。
※チケット販売に関する問い合わせ:ぴあインフォメーションセンター(0570-02-9111)