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これまでの日本映画にはないアクションエンタテインメント
『DOG×POLICE 純白の絆』七髙剛監督インタビュー

 『海猿』の原作者、小森陽一が警視庁に実際に存在する「警備犬」を徹底取材し、その真実の正義をベースにしたアクションエンタテインメント『DOG×POLICE 純白の絆』がTOHOシネマズ梅田ほかで公開中だ。市原隼人演じる若く熱い警察官・早川勇作と警備犬を目指すシロをはじめとする、警察官とバディ=相棒である警備犬との絆が新たな感動を呼び起こすとともに、警視庁を震撼させる連続爆破事件に挑む勇作らの姿が胸を打つ感動のアクションエンタテインメントだ。本作の公開にあたり、七髙剛監督が来阪した。

 

 『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督や、『海猿』シリーズの羽住英一郎監督の助監督を務めていた七髙剛の初監督作となる本作。監督が、「今までの日本映画になかった映画」と語るように、冒頭の商業施設の爆破シーンや、派手なアクションシーンなど、邦画ではなかなか見ることの少ない本格的なアクション映画に仕上がっている。まずは、映画化のきっかけと意気込みについて聞いてみるとー 

 

監督 :まずは、原作者の小森陽一さんが、警備犬という新しいジャンルのスペシャルチームの取材を重ねてらっしゃって、それから爆弾魔と対決する話を思いついて、炎に包まれたり、アクション映画で犬の映画って観たことないからやってみたい、という感じで話が進んでいきました。その中でも描きたかったのは、犬と人の絆、人と人の絆、仲間との絆の大切さなんです。それが根底にありましたが、感動だけじゃなく娯楽作としても楽しんでもらいたいと思って作りました。今回、冒頭のシーンから無茶をやったのは、今まで犬の映画がたくさん公開された中でも、癒し系や感動ものが多かったので、これは癒しの映画じゃなくて、アクションエンタテインメントなんだぞ、と宣言するつもりで撮りました(笑)。邦画で今まで観たことのない映画を観てもらいたい、アクション映画の娯楽作を目指しました。

 

 「アクション映画で犬の映画って観たことないからやってみたい」と言っても、アクションシーンの大変さに加え、犬たちにも演技をつけ、芝居をしてもらわなければならないということは、撮影中は苦労の連続だったのではないだろうか。

 

監督:やっぱり大変でしたね。映画に出演してもらったのは、一番優秀だと言われる、ジャーマンシェパードという犬たちでしたが、言葉は通じないわけですから。簡単な走るシーンとか、ついて歩くシーンでもいつもの10倍ぐらいフィルムは回っています。簡単そうに見えると思いますが(笑)。また、今回の映画は犬たちにもアクションを要求しているので、そこでも時間がかかっていますし、役者さんも何回も同じ芝居をしながら、フレッシュな芝居をしないといけないので、大変だったと思います。市原くんや戸田さんをはじめとするキャストの皆さんが頑張ってくれた姿がスクリーンに映っていると思います。

 

 やはり撮影は大変だったようだが、特に、主演の市原隼人は、ほぼ出ずっぱりなうえ、市原演じる早川勇作のバディ犬であるシロとの演技がほとんど。さらに、市原の体格もひとまわり大きくなったように見えるほど、屈強な体格に変化している。市原のキャラクターづくりについてはー 

 

監督 :まずは、屈強な警察官の役だったので、身体を大きくしてくれ、と言いました。それに応えて、市原くんはジムに通いまくってすごく身体を大きくしてくれましたね。それと同時に、この映画は絆を描いている作品なので、まずは犬との信頼関係をスクリーンに映し出すために、犬との絆を築いてほしいと言いました。だから、市原くんはクランクインの3ヶ月以上前から訓練所に毎日通ってもらって、シロと特訓をしてもらいました。撮影現場では、市原くん以外のキャストにも、本番以外の休憩中でも絶えずバディ犬と一緒にいてもらって、絶えずコミュニケーションをとってもらっていました。それがなければ、あそこまでのアクションはできなかったと思います。劇中で、火を使ったアクションもあったんですが、犬はもちろん火が怖いんです。でも、それができたのは、市原くんとの信頼関係があったからなんです。市原くん演じる早川勇作の正義感であったり、胸に秘めてる意思の強さもそうですが、彼がシロというバディと出会うことで、少しずつ絆を築き、少しずつ成長していくという、彼の成長していく姿も表現できたと思います。

 

 そのように、市原とバディ犬との信頼関係や絆について話す監督だが、本作はクランクイン直後に東日本大震災が発生し、撮影場所の変更を余儀なくされ、関西で新たな撮影場所を探す中で、改めて様々な人が支えてくれることのありがたさを痛感したようだ。 

 

監督 :撮影中に東日本大震災があって、撮影を予定していた北関東で撮影ができなくなって、関西方面で探すことになったのですが、犬を使うし、爆破シーンはあるし、そういう撮影ってなかなか許可がおりにくいんですよね。商業施設ってほとんど犬を入れることができないところが多いですし。許可を出してくれた施設の方や、許可をとるために奔走してくれた方々など、人の支えがあってこそ、こういう作品が作れたんだと思いますし、ありがたかったです。けっこう危ない場所でも撮影したんですが、そういう無茶なロケができたのも関西ならではだと思います。関西の方ってあったかいですよね。

 

 最後に、“人と人の絆の大切さ”を痛感する出来事が起きたこの年に公開される本作への、監督からのメッセージとはー 

 

監督 :東日本大震災があって、これだけ不幸なことが起きて、不況で、暗い世の中ですけど、そういう時代だからこそ、こういう娯楽作を観て少しでも楽しんでもらって、笑顔になってもらって、少し元気が出て、明日も頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいですね。映画にはそういう力があると思うので、それを信じてこの映画を作りました。




(2011年10月 3日更新)


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七髙剛監督

Movie Data



(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS

『DOG×POLICE 純白の絆』

●TOHOシネマズ梅田ほかにて公開中

【公式サイト】
http://www.dogpolice-movie.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/156378/