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「キラキラした少女たちの輝きを感じとってほしい」
『少女たちの羅針盤』の長崎俊一監督インタビュー

 作家・島田荘司が絶賛した、水生大海の“第1回 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作”である同名小説を『西の魔女が死んだ』などで知られる長崎俊一監督が映像化した『少女たちの羅針盤』が5月14日(土)より梅田ブルク7ほかにて公開される。過去に怯える新進女優と、4年前に演劇仲間の女子高生の間で起こった殺人事件という、現在と過去を巧みに交錯させながら事件の真実に迫っていくスリリングなミステリーだ。成海璃子、忽那汐里、森田彩華、草刈麻有などフレッシュなキャストの共演で、10代の少女が背中合わせに持つ “きらめきと危うさ”を徹底的に描き出している。公開に先立ち、長崎修一監督が来阪した。
 

 本作は、福山を舞台に、4年前に人気を博した女子高生4人組の演劇ユニット“羅針盤”の活動とメンバーの死、そして4年後の現在で過去に怯える新進女優のネットシネマの撮影現場が交錯して描かれる。対照的な現在と過去を交錯して描くことで、4年前の主人公たちの青春時代はより瑞々しく、輝きを放って映し出されている。その演出について監督に聞いてみるとー

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監督:彼女たち(主人公の4人)は、今が輝いている時期だとは知らずに、キラキラしている時間を過ごしているんですよね。その輝いているシーンの間にミステリーやサスペンス色をはさむことで、お客さんにはそのキラキラしている時間は長くは続かないということを感じつつ、対比として響きあうようにキラキラしている時間の輝きを感じとっていただきたいと思ったんです。
 

 監督の思惑どおり、劇中で“羅針盤”のメンバー4人を演じた成海璃子、忽那汐里、森田彩華、草刈麻有らは、女子高生特有の危うさを含みながらも、キラキラと輝いている。その輝きが最も増しているのが、“羅針盤”の劇場デビュー公演でありラスト公演となった、新人劇団の登竜門「ステージバトル」での舞台のシーンだ。森田以外は初舞台でありながら、劇中劇という高いハードルに挑んだ彼女たちは、初めてとは全く思えないほど堂々と演じてみせている。
 

監督:こちらから言ったことは、“羅針盤”に見えてくれなきゃ困るということだけでした。彼女たちは役としても俳優としても、ステージをうまくやらなきゃいけないというプレッシャーを感じていたと思います。彼女たちがステージに向かっていく部分が、ある意味映画とシンクロしているんですよね。ただお芝居をするだけじゃなくて、“羅針盤”の舞台をやることで、役への思いとか自分への思いがクロスして重なっていく部分があったんじゃないかと思うんです。それがすごく効果があったんじゃないかと思います。
 

 特に成海は役に入り込み、舞台のシーンはOKが出た後で「これは“羅針盤”じゃないと思う」と、撮り直しを直訴したそう。そんな彼女たち自身でもある、主人公たちの演劇への思いの強さが劇中からひしひしと感じられる。
 

監督:自分たちがやりたいことをやりたいようにやるために闘う熱さというか、キラキラした感じが、原作を読んで一番感じたことなので、そういう部分を映像にしたいと思いました。彼女たちを突き動かしているものをどうしても描きたかったんです。
 

 何かに熱中し、それを実現するために戦う熱さを描くキラキラした青春映画でありながら、ミステリーやサスペンスといった、謎解きの面白さを併せ持つ、傑作エンタテインメントだ。




(2011年5月13日更新)


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Movie Data

(C)映画「少女たちの羅針盤」製作委員会

『少女たちの羅針盤』

●5月14日(土)より、梅田ブルク7ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.rashinban-movie.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/155111/