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日本遺産「伊丹・灘五郷」の魅力をPRすべく
神戸から江戸へ船で輸送する“下り酒”を再現!
ウォーターズ竹芝での到着セレモニーをレポート

2019年、神戸が誇る伊丹・灘の酒の歴史的魅力や伝統、文化を伝えるストーリーおよび生産される清酒が、文化庁の日本遺産に登録認定された。そのことを首都圏にアピールすべく、酒輸送専用の樽廻船によって、神戸から江戸に清酒を届けていた「下り酒」と言われる史実を再現! 神戸から竹芝までをはるばる渡航してきた船が無事に到着した11月28日に、「ウォーターズ竹芝」でセレモニーが開催。鏡開きや振る舞い酒が大盛況だったので、その模様をお届けする。

神戸と江戸を行き来していた「下り酒」とは?
 
まだ、鉄道インフラが整ってなかった時代、酒の流通手段として重宝されていたのが、樽酒を届けていた樽廻船だ。江戸では都がある京都や大坂などの「上方」から、江戸へ送られた産物が「下りもの」として珍重され、特に灘の酒は「下り酒」として、人気を博していたとか。近代になってからは樽廻船自体が姿を消したが、それを遺産として両都市に継承すべく、今回の下り酒のイベントが開催された。
 
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須磨ヨットクラブの船員たちが竹芝に到着
 
令和バージョンとして、樽廻船はヨットにアップグレードされたが、実際に須磨ヨットクラブの船員が舵を取り11月23日に神戸を出発し、6日間をかけて江戸(竹芝)に航行。桟橋間近にヨットが見えてくると、待ち構えていた人々が笑顔で手を振る姿が見受けられた。
 
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威勢よく太鼓をたたく早稲田大学和太鼓サークル「魁響」
 
到着時には、早稲田大学和太鼓サークル「魁響」による和太鼓の演奏が披露され、会場のテンションもアップ! 無事に桟橋に停泊したあと、陽に焼けた船員たちによって、大きな酒樽たちが下ろされた。
 
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ヨットから酒樽を下ろす様子
 
 
レセプションでは振る舞い酒が大盛況
 
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来賓たちによる鏡開きが開催
 
セレモニーのあとは、「メズム東京、オートグラフコレクション」に移動してレセプションが開催。文部科学大臣・末松信介氏の祝辞を皮切りに、来賓たちによるスピーチで会場の空気が温まっていく。小池百合子東京都知事からも感謝と真心がこめられたメッセージが代読された。
 
続いて来賓たちが法被をまとい、「灘の酒」の鏡開きが行われることに。本日のMC・飯室大吾の「ヨイショ!ヨイショ!ヨイショ!」というかけ声に合わせて、木槌を樽に振り下ろし、樽が開破されると、拍手が挙がる。その後は、待ちに待った振る舞い酒の時間となった。
 
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「灘の生一本」の試飲コーナー

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日本酒に合う神戸のチョコレート「JHOICE」でマリアージュも楽しめた
 
テーブルには、地元の子どもたちが作ったオリジナルラベルの日本酒も並んでいて思わずほっこり。日本遺産PR動画も流れるなか、笑顔で試飲をしながらの談笑タイムに。試飲コーナーでは、日本酒だけではなく、日本酒に合うチョコレートも提供され、参加者たちは、マリアージュを堪能していた。

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地元の子どもたちが描いたイラストが、オリジナルラベルに!
 
最後に、下り酒の到着を祝し、下り酒問屋の方々の発声によって「新川締め」をすることに。「一緒にご唱和いただきたいと思います」というかけ声の下、全員が手拍子をして歌い上げ、大盛況のなか、レセプションは幕を閉じた。

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下り酒問屋の方々の「新川締め」でレセプションは締めくくられた
 
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「新川締め」のやり方が書かれた歌詞カードも配布された
 
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ホテルメムズ東京にも振る舞い酒のコーナーが
 
古に行われていた下り酒というものを初体験し、神戸から運ばれてきた日本酒を試飲してみると、その味わい深さに感嘆しつつ、改めて日本遺産「伊丹・灘五郷」の歴史の重みをかみしめることに。
 
また、レセプション会場となったラグジュアリーホテル、メズム東京をはじめ、レストランやカフェ・オフィスフロアなどが入る地上26階建ての「タワー棟」と、エンターテイメント施設や劇団四季が入る「シアター棟」などから構成された複合施設、ウォーターズ竹芝の充実ぶりも再発見できた。
 
浜離宮恩賜庭園を臨む立地の良さに加え、芝生広場や船着場、干潟なども完備されていて、まさに都会のオアシスといえそう。今度はまたオフの時に、ゆっくりと時間をとって散策してみたいと思った。

取材・文・撮影:山崎伸子



(2021年12月24日更新)


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