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まるでCG!? “LEDダンス”で話題騒然
9/15(土)・16(日)大阪・シアターBRAVA!にて
『FAKEST』=“最上級の偽物”を上演する大阪発のダンスグループ
WRECKING CREW ORCHESTRAにインタビュー!

 大阪を拠点に活動する8人のストリートダンサーで構成されるWRECKING CREW ORCHESTRA(レッキング・クルー・オーケストラ)。ジャンルの異なるダンサーたちが、「ストリートダンスの新しい可能性を見出す」ために集まり、’03年に結成。今年、NTTドコモのスマートフォン『Xperia』のTVCMに “LEDダンス”が起用されたことをきっかけに、にわかに注目を集めている彼らが、9月15日(土)・16日(日)に大阪・シアターBRAVA!にて新作『FAKEST』を上演する。装着した光を暗闇の中で点灯させながら踊る“ELワイヤー”を駆使した“LEDダンス”はもちろん、多彩なジャンルのストリートダンスを融合させたステージについて、リーダー・YOKOIに思いや意気込みを訊いた。

リーダー・YOKOIから動画コメントが到着!

――まず、WRECKING CREW ORCHESTRAを結成したきっかけから教えてください。

「ストリートダンスには、ヒップホップとかハウス、ロッキングというようにいろんなジャンルがあって、元々はそれぞれが違うジャンルで活躍していた人ばかり。その中で、ストリートダンスをやっていくにあたって、何か新しい方向性を切り開いていかないと、未来が開けていかないんじゃないかって話をしていたんです。その新しい可能性を見出そうと思って最初に行き着いたのが舞台なんですよね。一般の人たちにもストリートダンスの面白さを知ってもらうべく、ストリートダンスを舞台でやろうと結成したのがきっかけですね」

――実際、やってみての感触はいかがでしたか?

「ストリートダンスを1時間半とか2時間やり続けることってみんな観たことがないものだったので、すごくいろんな反響を頂きました。さらに、ストリートダンスで何かしらのメッセージを伝えることに対しても感動して頂けた部分はたくさんありましたね。それが僕たちの力にもなって今までやり続けられています。もっともっといろんな人たちに活力を与えられたらと思いますね」

――毎回テーマはどのように決められているんですか?

「いちばん最初にやった『ID』というのは、自分たちのストリートダンサーとしてのアイデンティティをしっかり見せたいという思いで、ダンスをメインに作りました。その次の『M.O.A.L.I.V.E.』では、ダンサーがミュージシャンのコンサートのように生バンドと一緒に90分踊るという試みをやってみたり、『daft-line』という作品では、メッセージを伝える、ストーリーのあるステージを作るなど、毎回いろんなことを考えて打ち出しています」

――そして、昨年の『FAKEST』でLEDダンスを取り入れたパフォーマンスを披露されました。

「元々、'08年頃に海外のアーティストが"ELワイヤー"を使った衣装をまとってライブをしているのを見たんです。そういうパフォーマンスが世界で同時多発的に始まっていて、自分たちのダンスとも融合出来るんじゃないかと思って、去年の『FAKEST』に取り入れてみたんです」

――今年もタイトルが同じ『FAKEST』ですが、内容はどのように構成されますか?

「基本的なコンセプトは同じなんですが、中身に関してはさらにパワーアップさせて、完全リニューアルします。僕たちのダンスって、何がカッコよくて何がカッコ悪いということの決まりがないんですよね。それがダンスのいい部分でもあるんですけど、そういう中で、自分たちが貫き通してきたものが果たして本物なのか、偽物なのか。例えばダンスで一般的にイメージされるのがEXILEのようなテレビに出てるものだと思うんですけど、僕たちはメディアとの繋がりがほとんどないので、実力一本でやっていくしかない。だからこそ、辿りついた自分たちの世界観があって、それはもしかしたら偽物なのかもしれないけれど、その中でもFAKEST="最上級の偽物"っていう自負を持ってやっているという。観た人にそれを感じてもらいたいと思って、本物、偽物というところの問いをいろんなところに散りばめて構成しています」

――真っ暗闇の中で踊るLEDダンスは、タイミングや位置取りなどとても難しいパフォーマンスだと思うのですが。

「去年のELワイヤーのパフォーマンスに関しては、実は点灯を全て手動でやってるんですよ。バッと動いてピッて点けてって、めちゃくちゃ大変でしたね(笑)。真っ暗闇の中なので、実際スイッチを押せなかったりとかミスもあったんですよ。ですが今回は、LEDパフォーマンスを研究している方にプログラミングしてもらってシステムを開発したので、全部パソコンで、音楽と一緒にプログラム制御して作っています」

――自由なパフォーマンスの中で動きが制御されてしまうことで、表現に対する制約が生まれることはないですか?

「もちろん、プログラミングで制御されているので、絶対に間違えられない。場所を間違えたりとかタイミングを間違えると、関係ないところで点いたりしちゃうんで(笑)、とんでもないことになりますよね? ただ、僕の中にはこのパフォーマンスにおいての"絵"がイメージされていて、そこに行きつくための形がある。決められたことをやるからこその感動に繋がっていく良さがこのLEDダンスにはあると思うんです。逆に、お客さんをビックリさせられることが出来るので、パフォーマンスしてても楽しいです」

――ELワイヤーを取り入れたことで、新たなダンスの広がりは見つけられましたか?

「そうですね。今年2月にYouTubeにアップしたところ、テレビにも出させて頂いたり、いろんなところから仕事を頂くようになって。正直、あそこまで反響があるとは思っていなかったですね。今までも、誰が観ても喜べるものをとストリートダンスをかみ砕きながらやってきたつもりですが、やっぱりこういうインパクトのあるものに対して多くの人が反応することを実感しました。自分たちの普段やっているダンスにも活かせるような気がしましたね」

――驚かしたいとか、そういうことですか?

「それはありますね。僕たちの活動自体が、"ダンサー初"とか今までに誰もしたことがないことをやろうというのをテーマとしてやってきたので。そういう思いがあるからこのパフォーマンスも生まれたと思うんですよね。普通のダンサーの感覚でいうと、LEDダンスのように、顔も出ない、決まりきったことをやるという表現に抵抗がある人もいると思うんですよ。だけど、僕は観てる人を驚かせたいとか、感動を与えたいという思いがあるので、出会ってよかったなと思います」

――LEDダンスをきっかけにメディアで取り上げられるようになりましたが、皆さんの目標としては今はどんな段階にいますか?

「まだELワイヤーのパフォーマンスが注目されているだけで、僕たちが目指す"ストリートダンスの素晴らしさを"というところまでは至っていない状況です。ただ、今までにないすごくいいきっかけにはなったと思いますね。注目されたことは本当に嬉しいんですけど、案外冷静な部分もあって、自分の中でもLEDダンスと自分たちの本来のパフォーマンスとの区切りがあるんですよ。なので、出来るだけ自分たちのダンスにもこの感覚を融合させて伝えていきたいと思っています。その辺りを今模索していて、そのひとつの形を次の『FAKEST』の舞台で見せたいですね」

――今の段階ではどういうイメージをされているんですか?

「前回は、1つの作品としてやっただけなんですが、それを随所に見せられるようにしたいと思っています。ただ流行ったから増やしたということでは意味がないので、自分たちのダンスと融合させられるように考えています。ただの飛び道具ではなく、新しいダンスの形として取り入れたいですね」

――お客さんは新しいものをどんどん期待するでしょうし、それを超えねばならないプレッシャーもあるのでは?

「その内イリュージョンで浮いたり消えたりせなあかんのちゃうか?みたいな(笑)。もちろん、その期待にも応えたいですし、常に新しいものをやり続けたい思いはありますね。その一方で、時代に関係ない、普遍的な素晴らしさもダンスの中にたくさんあると思うので、それも伝えていきたい。只々奇抜なものを出していくだけでは、結局本質的な良さは伝わらないですし、僕たちはストリートダンスの純な素晴らしさを伝えることを曲げずにやってきたので。その中で、LEDのパフォーマンスは奇抜なものに見えるかもしれないですけど、ただそれを使っているというだけで、ダンスは僕たちのものなんですよね。今までの僕たちが培ってきたダンスが根底にあるからこそ、この作品が認められたと思うんですよ。ただこれを使ってパフォーマンスしているだけだったら、こんなに多くの人に注目されなかったと思うんですよね。なので、そういう根本的な部分というのは曲げずに伝えていきたいなと思います」

――今回の『FAKEST』は、LEDダンスをきっかけに観に来られる方が多くなりそうですね。

「ストリートダンスって、やんちゃっぽい子がやっているような固定観念を持たれている方も多いと思うんですが、全く違うものとして観て頂けると思います。こんなにも表現の幅があるものなんだとか、ひとつのエンタテインメントとして、受け入れてもらえるものだと思ってやっていますので、その七変化ぶりを観て頂きたいですね。ストリートダンスは形がないものなので、何でもアリなんですよ。よりアーティスティックなものもあるし、ELワイヤーのようなテクノロジーを使ったものもあるし、お笑いもある。LEDダンスはもちろん見どころの1つにはなりますが、それはきっかけでしかなくて、そこの奥にある本質を観て頂きたいと思っています。特に、メンバーはダンス以上に笑いのスキルが高いので、大阪を拠点とする自分たちならではのステージが観られます(笑)。あとは、言葉が全くないので、文化の違いを飛び越えて皆さんの心に響くものが用意されています。きっと人種、年齢、性別関係なく感動して頂ける内容だと思うんです。そして、その要素の全てがストリートダンスに秘められていることを知って頂けるんじゃないかなと思いますね」

 
 
Text by 黒石悦子
 



(2012年8月27日更新)


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Profile

レッキング・クルー・オーケストラ…大阪を拠点に活動するストリートダンサー、YOKOI、DOMINIQUE、HANAI、TAKE、SHOHEI、BON、SAWADA、U.Uの8人で構成される、ハイスキルなダンサー集団。’03年の結成後は年に1度の公演を行うほか、’05年にはストリートダンスグループ初の『SUMMER SONIC』出演、シンガポール政府からの招致、香港ワールドトレードセンターのカウントダウンイベントへのゲスト出演など、国内外で活躍を見せる。スポーツブランド『FILA』のイメージキャラクターを務め、今年1月にはスマートフォン『Xperia』のTVCMにも起用。今年11月には『FAKEST』の香港公演も決定している。

WRECKING CREW ORCHESTRA
オフィシャルサイト

http://wizarts.jp/


Live

公演日、席種によっては売り切れも
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『FAKEST』
チケット発売中 Pコード621-573
▼9月15日(土)18:30/16日(日)13:00/17:00
イオン化粧品 シアターBRAVA!
S席6300円 A席5250円
イオン化粧品 シアターBRAVA!■06(6946)2260/
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※3歳以下は入場不可。

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