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Profile

The Wisely Brothers
(ワイズリー ブラザーズ)

都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt,Vo)、和久利泉(Ba,Cho)、渡辺朱音(Dr,Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし、会話をするようにライブをするスリーピースバンド。2021年7月7日に初アナログEP『AGLIO OLIO』を発売。2022年10月12日には新作EP『THINK WISELY』をデジタル・リリース。11月からキャリア初のイギリス・ツアーを行う。

オフィシャルサイト
https://wiselybrothers.com/

Live

The Wisely Brothers UK Tour 2022

▼11月11日(金)
ディール THE LIGHTHOUSE
▼11月12日(土)
プジー OLD WOOLLEN
▼11月17日(木)
ヘブデン・ブリッジ TRADES CLUB
▼11月19日(土)
バーミンガム DARK HORSE
▼11月20日(日)
ロンドン THE WAITING ROOM

 

まだ頭の中で整理できていない部分はあるけれど、
ひとまず書いてみようという気持ちで、パソコンを打っている。
16日の早朝、私たちはグラスゴー行きの飛行機に乗った。

 

この3日間、私たちは悩んでいた。
スコットランド・グラスゴーには、大好きなバンド
The Pastelsのスティーブンがやっているレコード屋Monorail Musicがある。
今回のツアーにグラスゴー行きはないけれど、3日間程のロンドンでの休みがあり、
そこに行けるには十分な時間があるということ。
飛行機では1時間半、電車で5時間。

 

イギリス出発前にこのことを話した何人かの人からも
「会えるかはわからないけれど、絶対に会いに行くべきだよ」と。
前日の午前中に直前で安くなった飛行機のチケットを見つけて、帰りの電車も手配。
そして、いざ16日の早朝、私たちはグラスゴー行きの飛行機に乗った。

 

もしスティーブンがお店にいなくても、
レコードを渡して、伝言をお願いすればいい。
グラスゴーという、音楽シーンの歴史がある街がどんな場所なのか知りたい。
そう思っていた。

 

4時半に起きて、夜明け前のヒースロー空港へ。
カフェも灯りを落としている。
頼んだSmallサイズのコーヒーはいつもなみなみと入っている。

 

1時間半のフライト後、小さめのグラスゴー国際空港に到着した。

 

 

薄いオレンジ色の光が差し込んでいる。
夕方かな?と思うその光を浴びながら、15分ほどで着く中心地へバスで向かった。

 

気温はロンドンよりぐっと下がり、
用意してきたヒートテックなどがやっと本領発揮している。
息を吸い込む、冬の香りがする、寒い。
街には音楽スタジオや楽器屋さんが目につく。

 

 

グラスゴーの街の真ん中は聞いた通りすこし賑わっている。
私たちはレコード屋さんの開店までお店で時間を潰すことに。

 

何気なく見つけた、ギリシャのパイ屋さんに入ったら、
これがとても素敵なお店!
ご夫婦と生まれてまだ5ヶ月の赤ちゃんの3人で切り盛りされていて、
伝統的なギリシャの焼きたてのパイを数種類販売している。

 

私たちはスピナッチ、マッシュルーム、チーズの3種類を選びシェア。
ギリシャごはんはそんなに経験がないけれど、目が覚める感動のおいしさ。
その合間に目のぱっちりした赤ちゃんを見て2度癒されるお店、最高でした。

 

 

その後歩いてMonorail Musicに到着。
素晴らしい建物で、その中の奥の方にお店がある。
ぼんやりとお昼の光がさすけど暗さもある店内は、
ほどよい大きさで、いい空気が流れている。
彼がこの場所を作ったということがぴったりとくる、そんなお店。
20分ほどレコードをDigして、
私はミシェル・ルグランの日本で見たことのなかったサントラ集を購入。

 

お店の人にスティーブンはいるか聞いてみようとしたその時、
お店のドアが開きスティーブンが登場した。
ハッ!!として何も出来ず、3人で呼吸を整えてから、話しかけに行った。
私たちは東京のバンドで、UK Tour中のお休み日にここにきた、
「あなたの音楽が好きです。レコードを受け取ってほしい」と話したら、
いいよと言ってくれた。

 

目の前にしたスティーブン。
この場所に今私たちが3人で来れて、彼に会えたこと、
去年出したEP「AGLIO OLIO」のレコードのジャケットをいいねと言ってくれたこと、
いろんな奇跡に改めて感謝して
またきっとライブでグラスゴーに来れるようにしようと外で写真を撮る。

 

 

そこからのことはあまり気持ちを思い出せない。
一度私たちは解散し、セルティック(グラスゴーにあるサッカーチーム)のお土産屋さんに寄ったりして、
列車の1時間前に指定したパブに集合、スコッチを飲んだ。
地元のおじさんたちが集うお店、わいわい可愛くて、
朱音が注文しているところを遠くから見ていると、
お客さんと朱音がおじいちゃんと孫感があって、可愛い。

 

 

本当の夕暮れを見ながら、列車の駅へ向かう。
今日のことは、自分達の音楽の歴史の中で、
これからいろんな形で思い出す出来事になるんだと思う。

 

 

ありがとう、スティーブン。
ありがとう、グラスゴー!

 


 

text by 真舘晴子