ホーム > 魂のランキングルメ~たまラン~ 「ケンドーコバヤシのたまらない店」 > 酒彩 渡
エレベーターを下り眼前に現れた店は、カウンター8席のコバコ。どこから見てもバーと疑えないスリム空間にはしかし、一見客では辿り着けそうにないオーラが漂う。そんな場所とは裏腹な敷居と値段の低さ、料理レベルの高さ、気さくな店主のユルさを求め、夜な夜な同業者が集う。鮮魚・和食系の一品が中心ながら、鹿児島産の牛ステーキや京の伝統野菜・海老芋を使った煮炊きものなど約70種以上の料理が光る。生ビールは500円、地酒やワインは700円からスタンバイする。
高山「昨日の酒がまだ残ってるけど、やっぱり迎え酒はええな」
コバ「こんな時間から呑めるなんて最高ですよ」
高山「幸せやな」
コバ「ボクも酒が残るようになりましたけど」
高山「もう、みんなオッサンやもんな」
コバ「こちらの店主オススメの地酒がまた旨すぎます」
高山「オレは別の酒をいただいてるんやけど、これも旨いわ」
コバ「ボク、高山さんとお酒ご一緒するなんて、初めてのことですよ。河本さんはあるんですけどね」
高山「そうやんな」
コバ「怒ったらこの河本さんより怖い高山さんを前に、正直、今ビビってますから」
高山「まあまあ(と言って酒を注ぐ高山)」
コバ「ありがとうございます! かつて後輩たちがビビって凍りついた鬼の先輩に注いでもらえるなんて…」
高山「鬼はないやろ!」
コバ「高山さん、この秋刀魚めっちゃうまいですよ」
高山「うまい! こりゃええわ。日本酒にめっちゃ合うし」
コバ「白子の揚げ出し、食べないんですか?」
高山「痛風やけどオレも1個ぐらい大丈夫やんな?」
コバ「いや、これはダメですね。食べたら痛風一直線ですよ」
高山「でも1個だけ(と言ってひと口)うまッ!!」
コバ「大将、日本酒おかわりを!」
高山「自分もお願いします!」
コバ「しかし、河本さんは本当に滅茶苦茶な人でしたよね。何回かホストともケンカしてましたよね」
高山「やっとったな」
コバ「今からホストとケンカするからって言って、劇場まで安全靴に履き替えに来てましたから」
2人「(爆笑)」
コバ「若かったから自分も行きますよって言ったら『アカン、これは一人で行かなアカンやつやねん』って行って、ボコボコにされて帰ってきてましたけど」
2人「(爆笑)」
高山「なんやねん、かっこ悪いやん!」
コバ「いや、19歳のオレは正直シビれましたよ」
高山「ロケ中でも、イチビリな兄ちゃんおったら普通に殴りかかってたからな」
コバ「(爆笑)」
高山「メガネ奪って投げたりとか(笑)」
コバ「あの人はなぜか常に臨戦態勢でしたもんね。オランダ人気質なんですよ」
高山「最近になって、河本が天才やったとか、生きてたらお笑い界の図式が変わってたとかって言われてるけど、たぶん今おったら普通に会社クビになってたと思うわ」
コバ「(爆笑)でも、実は自分の下ネタトークも背中を押してくれたのが河本さんだったんですよ」
高山「そうなん?」
コバ「昔、ワチャチャTVで風俗行った話をしたんですけど、その後で河本さんが『オマエ良かったぞ。あれで笑い取れるヤツはなかなかおらん。これからは風俗ネタを武器にしろ』って言ってくれたんですよ。それ以来ですよ、自分が風俗ネタを言うようになったのは」
高山「キッカケはどうであれ、合ってるから良かったやん」
コバ「河本さんに『オマエ、これからは給料全部風俗に使え!』って言われてましたからね(笑)。だから、オレが結婚できてないのも実は河本さんのせいなんですよ!」
高山「知らんわ!(笑) でもアイツは基本的に言いたがりやから。野球ヘタクソやったけど、野球の理論語らしたら天下一品やったから」
コバ「(爆笑)」
高山「コバは結婚せえへんの?」
コバ「めっちゃしたいです」
高山「それやったら早くした方がええわ。芸歴積んでいったら知名度とかも含めて周囲の評価が年々上がるやん。そうなったら嫁にする人のレベルも上がってしまうし」
コバ「自分の一番の誤算はコンドームの進化なんです。やっぱりシリコンになると破けないんですよ」
高山「(爆笑)それは岡本理研に文句言え!」
コバ「『責任取ります』が自分のプロポーズの言葉やと思ってますから」
高山「でも、結婚してからも『こないだ風俗行ってきてね…』って話してたら、めっちゃカッコええ芸人やと思うわ」
コバ「オレが風俗やめたら、正直悲しむヤツ多いでしょ」
高山「アホやな」
コバ「アホです」
高山「でもスゴいよな。スゴいところで飯食えてるもんな」
コバ「杉作J太郎さん以来じゃないですかね」
2人「(爆笑)」
高山「とにかく、コバにも映画観てもらいたいわ」
コバ「だけど正直、鬼の高山さんを描いてない『ベイブルース』は真のベイブルースじゃないでしょ?」
高山「なんでやねん! でも、作品としてはちゃんとキャラ分けされてる方がええやろ」
コバ「今回の映画は破天荒な河本さんを描いた作品だとは聞いてますが、本当に当時の芸人がビビってたのは高山さんですから。マネージャーが失敗した時とか、たまに使わせてもらってますよ。『今回の件、高山さんやったらブチ切れてるぞ』って」
2人「(爆笑)」
高山「なんでオレが切れイメージやねん! もっと他におるやろ!!」
コバ「ま、それは冗談として、ボクから言いたいのはこの『ベイブルース』を観る前でも観た後でもいいので、河本さんが亡くなったことを明かさずに高山さんが一人でやり遂げた伝説のラジオ『ヤングタウン』を聴いてもらいたいですね。確かYouTubeとかで聴けるはずですから。そうすれば、映画がさらに楽しめるはずです。ホント、あの時の高山さんは男の中の男でしたね」
高山「あの時だけ頑張ったから(笑)。大将、違うオススメの酒をおかわりで!」
コバ「じゃ、同じヤツを自分も(酔)」
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