ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第6回 downy 青木ロビンさん



 

Profile

青木ロビン(写真右)
2000年に結成されたdownyのボーカル&ギター。エレクトロ・ミュージックと人力のバンドサウンドが融合したビート、そして映像担当のメンバーが在籍する特異な編成から繰り出される、視聴覚を刺激する独自のアウトプットにより、日本の音楽シーンにおけるポストロックの先駆者とも言われる存在。2004年に活動休止後、青木ロビンは沖縄へ移住。9年の沈黙を破り2013年に再始動を果たし、通算5枚目のアルバム第五作品集『無題』をリリースした。

downy HP
http://downy-web.com/

五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。

LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/

五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/

THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/

Release

【downy】

downy 第五作品集
『「無題」 Remix Album』
3月19 日(水)リリース

downy 第五作品集『「無題」 Remix Album』

¥2,300(税抜)/ PECF-1092

<収録曲>
01. 十六月 downy resonance mix
02. 曦ヲ見ヨ!Fragment remix
03. 椿 Ametsub remix
04. 春と修羅 Geskia remix
05. 黒 Olive Oil remix
06. 或る夜 mergrim remix
07. 時雨前 Taigen Kawabe remix
08. 「  」zezeco remix
09. 雨の犬 YAKENOHARA 303 MIX
10. 赫灼セルロイド ATSUKI remix
11. 燦 SUNNOVA remix
12. 十六月 Fragment remix
13. 下弦の月 dark reflection version remixed by 石橋英子
14. 時雨前 munnrai remix
15. 時雨前 GuruConnect remix


第五作品集『無題』
発売中

映像作品集8巻 ~Tour 2012 ランドマーク~

¥2,500(税抜)/ PECF-1081

<収録曲>
01. 『   』
02. 赫灼セルロイド
03. 曦ヲ見ヨ!
04. 下弦の月
05. 時雨前
06. 黒
07. 春と修羅
08. 雨の犬
09. 燦
10. 或る夜
11. 椿

 

【LOSTAGE】

ライブ盤
『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO』

LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO

発売中
¥2,800(税込)/DDCZ-1861
※CD2枚組紙ジャケット仕様

<収録曲>
01. BROWN SUGAR
02. 12
03. 断層
04. BARON
05. 言う
06. BLUE
07. DOWN
08. TOBACCO
09. あいつ
10. 真夜中を
11. 裸婦
12. 眩暈
13. 私
14. 僕の忘れた言葉達
15. 喉
16. 瘡蓋
17. 楽園
18. NAGISA
19. これから
20. HELL
21. カナリア
22. 夜に月
23. ペラペラ
24. 手紙
25. MINDJIVE
26. ひとり
27. NEVERLAND

Live

【downy】

Pコード:219-639
『ART-SCHOOL presents
「KINOSHITA NIGHT2014」』

▼3月14日(金) 18:30
BIGCAT(大阪)
オールスタンディング-4800円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
[メンバー]中尾憲太郎(サポートメンバー)/
藤田勇(サポートメンバー)
[ゲスト]downy/THE NOVEMBERS [DJ]DAWA
※未就学児童は入場不可。
[問]夢番地
[TEL]06-6341-3525

Sold Out!!
▼3月23日(日) 18:00
恵比寿LIQUIDROOM(東京)
前売・当日-3500円(ドリンクチャージ別)
[出演] downy
[問]VINTAGE ROCK std.
[TEL]03-3770-6900

Pコード:223-613
『downy/toe』
▼3月28日(金) 20:00

桜坂セントラル(沖縄)
全席自由-3800円(別途ドリンク代必要。)
[問]桜坂セントラル
[TEL]098-861-8505

3月15日(土)10:00~一般発売
Pコード:222-511
▼5月10日(土) 18:00
CLUB QUATTRO(東京)
オールスタンディング-3500円
(ドリンク代別途必要)
[出演] eastern youth
[ゲスト]downy
[問]SMASH
[TEL]03-3444-6751

チケット情報はこちら

※Pコード表記のないものはチケットぴあ取扱の前売り券完売。

 

『一夜だけの灯るい村 vol.2』
▼3月25日(火) 19:00

下北沢440(東京)
前売-3000円(ドリンク代別途必要)
[出演]波多野裕文(People In The Box)/
小林祐介 (THE NOVEMBERS)
[ゲスト]青木ロビン (downy / zezeco)
[問]440
[問]03-3422-9440

『downy x toe TAIWAN SHOW』
▼3月30日(日) 19:00

Legacy Taipei(台北)
前売- 1300元(枚数限定)  - 1500元(通常)
※チケットは7-ELEVEN ibon(台湾国内のみ)販売。
[問]strobocreature@gmail.com
(日本語可)

 

【LOSTAGE】

『LOSTAGE presents SHOWNEN』
3月21日(金・祝) 19:00

NEVERLAND(奈良)
前売-2300円  当日-2800円
(ドリンク代別途)
[出演]LOSTAGE/THE THANKS(from HELL)/B.B.JUNKIE(from HELL)
[問]NEVERLAND
[TEL]0742-36-2431
※チケットはthroatrecords@gmail.comにてメール予約受付中

 

3月16日(日)10:00~一般発売
Pコード:226-795
『Rainbow's End 2014』

▼5月24日(土)12:30
京都市円山公園音楽堂(京都)
前売-3300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]アナログフィッシュ/the band apart
/LOSTAGE/Keishi Tanaka/
LOVE LOVE LOVE/ベベチオ/他
[問]KYOTO MUSE
[TEL]075-223-0389

チケット情報はこちら


『FEVER TOURS 2014
-FEVER 5th ANNIVERSARY-』
▼5月16日(金)19:00

LIVE HOUSE Queblick(福岡)
スタンディング-3000円
[出演]ASPARAGUS/LOSTAGE/他

▼5月15日(木19:00
SR HALL(鹿児島)
スタンディング-3000円
[出演]ASPARAGUS/LOSTAGE/他

▼5月18日(日)18:30
4.14(広島)
スタンディング-3000円
[出演]ASPARAGUS/LOSTAGE/他

▼5月20日(火)19:00
Live House HUCK FINN(名古屋)
スタンディング-3000円
[出演]ASPARAGUS/LOSTAGE/他

[問]新代田FEVER
http://www.fever-popo.com/

LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第6回はdownyの青木ロビンさんとの対談です。沖縄で杯を酌み交わし、飲んだくれたというおふたりが、しらふでまじめに語ります。

 

「そこに仕事があって、空間があって、作りたいものがあるから、
今はそこをホームだと認識していて」(青木)

 

五味岳久
(以下、五味)

この連載の趣旨が、地元を拠点に発信している自分と、他の場所にいる人の地元感とか価値観とか、そんな話ができたらという…。では、始めます。よろしくお願いします!

青木ロビン
(以下、青木)

よろしくお願いします。

五味

まず、今日のライブ、すごくよかったです。みんな喜んでました。今は沖縄在住ですよね?

青木

はい。沖縄在住です。

五味

ほかのメンバーは?

青木

みんな東京にいる。

五味

再始動するまでの9年間ずっと、沖縄にいたんですか?

青木

ずっと沖縄です。4枚目のアルバム制作中ぐらいから、沖縄にもこっち(東京)にも家があるみたいな。

五味

行き来しながら。何でそういうふうに?

青木

まあ、音楽以外のこともやりたくて。その頃、アパレルの会社も立ち上げたので向こうでそれをやりながら、もちろんバンドもちゃんとやろうと。会社もまだ軌道に乗ってなくて、毛が生えたぐらいで。で、行ったり来たりしている間に子どもができて、子育てを考えて、いよいよ沖縄だなって。

五味

その前、最後に沖縄を出たのは?

青木

高校を卒業して。その後、福岡、大阪、東京と。

五味

あ、じゃあ、だんだん東に進んで…。

青木

そう(笑)。

五味

どのタイミングでdownyを結成したんですか?

青木

当時、盛り上がってた福岡のオルタナティヴ系のバンドと一緒にがーっと東京に出て行って。レコード会社も決まってたんだけど、いろいろあってぽしゃって。それから1年、メンバー探しのセッションをずっとやってて、そういう中で出会ったメンバーと1回スタジオに集まってポンっとやったらすごくよくて。で、当時下北沢シェルター店長だった西村(仁志)さんに「バンド決まりましたよ」って言ったら、枠があるからということで名前も決まらないうちにシェルターのライブが決まって。当日、さすがにバンド名を出さないといけないからって電話があって、ちょうど洗濯してたから「じゃあ、downyでいいですか?」って。ほんと、軽いノリで言ったら決まってしまって、そのまま。

五味

それでシェルターで初ライブして。それからお子さんができて、沖縄に帰る決断をした時、メンバーの反応は…?

青木

東京と沖縄の生活でも、しばらくライブもやれてたから、スケジュールさえちゃんと調整できればいけるし、制作に関しても環境も大して変わらないなって思って。運よく(東京で)機材を預かってくれる人もいて。俺が沖縄にいるから困ることがそんなになくて、実際。それと活動休止とは全然、別の話というか。

五味

あ…関係ない。

青木

そうそう。最近の取材でも話してるんだけど、音楽を冷静に聴くことができなくなっちゃって。音楽がすごく好きで、楽しみたくてやってたのに、楽しくやれなくて。ほんと修行みたいな感じだった。それでどうしても1回休みたいってメンバーに相談して。一度、完全に移住して、そこで本当にやりたいことを全部やってしまおうと。そうやってたら9年かかったっていう。

五味

音楽以外にやりたいことっていうのは?

青木

“衣食住”をやりたかった。アパレルのほかにも、飲食店とか空間デザインの仕事をしてるんだけど、俺は最初、「音楽がなくても生きていけるじゃん」って思ってた。でも全部、音楽につながってて。そこに気づいたとき、やっぱり自分にとって大切なことをやれてたっていう誉れがやっと沸いて、また音楽を作りたいなって思って。あと、レイ・ハラカミさんがうちの店でライブをやってくれて。亡くなる前に。その時、「今年は(アルバム)出せ。俺も出すから」って。そういうことがあって、何かこう、やりたいっていう種がだんだん膨らんで、いざメンバーに電話して。ほんと、タイミングがよかったんだと思う。

五味

じゃあ、満を持して。

青木

今、やらなかったら多分、ないなっていう空気もちょっとあって。本当に最後のつもりで「やろう」って。最初に(青木)裕さんに電話したんだけど、「この電話はちょっと違う」って運命的なものを感じたらしくて、長い溜息の後に「……やろうか」って(笑)。

五味

それなりの覚悟が。

青木

そうそうそう、やっぱりお互いに覚悟が。

五味

今日、ライブやってみてどうでしたか? お客さんの“待ってた感”はすごかったです。

青木

お客さんが温かかったおかげでやりきれたと思う。演奏させてもらえるっていう、こんなありがたいことはないなって思った。お客さんもいてくれてさ。最初はメンバー5人なのにお客さん3人とかあって、そんなことも思い出しつつ。温かかった、お客さんが。「俺、ちゃんとここにホームがあったんだな」みたいな感じがして、すごく嬉しかった。

五味

活動を9年ぶりに再開されて。この後ですよね。

青木

まず5枚目のアルバムのリミックスアルバムを出して。

五味

この9年の間に知り合った人も絡んだリミックス盤ですか?

青木

うん、そうそう。ハラカミさんが約束してくれてて。「(アルバム)出したら、何が特典あるんですか?」って言ったら「リミックスやるよ」って。「マジで!?」って。「俺、NUMBER GIRLしかリミックスしたことないんだよ」って言ってたけど。

五味

そんな話してたんですね。

青木

そう、してくれた。活動再開後、Fragmentともリミックスの話をして、やりましょうってなって、5枚目と6枚目の間の“5.5”みたいなものができたらいいなと。

五味

“5.5”枚目が出て、ライブもやっていって、その次にまたアルバムを出されると思うんですけど、ロビンさんだけ沖縄にいるっていうやり方は、そのまま維持して?

青木

うん、一旦このまま。手伝ってくれる友達とかに迷惑かけちゃうんだけど…。体がきついという以外はできる範疇かなって思っていて。

五味

沖縄に思い入れは? ホーム感もあると思うんですけど。

青木

高校を卒業する時は、とにかく嫌いで出て行ったから、沖縄を。二度と帰ってくるかって。

五味

何が嫌だったんですか?

青木

いや~、何もかんもが嫌いだった。何もかもが。話が合わなくて、当時の同級生と。音楽の話をしても洋楽っつったらボン・ジョヴィとジーザス・ジョーンズ。タワーレコードとかなかったから、手に入る方法がなくて。俺はかーちゃんが海外に行った時にニルヴァーナを買ってきてくれたりして、それで「ちょ~カッケーじゃん!」ってやってて。

五味

いいお母さんですね。

青木

かーちゃんが師匠みたいなもんで、音楽は。いろいろ聴かせてくれて。あとはもう、誰も分かってくれなくて。“絶対嫌や、早く出よう”と。でも、帰ってきたらみんないいやつだった。結局、俺がシャットアウトしてただけで。

五味

今は好き?

青木

うん、すごい好きですね。沖縄のテンポに馴染んだっていうのもある。前は沖縄も好きじゃなかったし、もっと遡ると5歳まで香港に住んでて、日本語がしゃべれないまま日本に来て。やっと日本語をちょっと覚えたと思ったら沖縄に来て。まあ、全く違う方言でさ。香港にいる時は日本人って言われて、沖縄に来たら「外人」。で、高校卒業してとっとと福岡行って、東京に出てきたもんだから、別に“とんこつラーメンじゃなきゃダメ”も “沖縄そばじゃなきゃダメ”もないし、好きな野球チームもないし。それで自分が東京に住んでて思ったのは、「ホームがない」。沖縄出身ですとも言わなかったし。自分にはインドの血が入ってるけど、インドには住んだことないし。自分のホームがなくて。音楽もそうだし、今の仕事もそうなんだけど、自分のホームを作りたくて物を作ってるんじゃないかなって思います。結果、そこに仕事があって、空間があって、作りたいものがあるから、今はそこをホームだと認識していて。今日のライブもだけど、やっぱり何かしら人が集まってくれて反応があるから。コミュニケーションがあるから、そこが今の自分の居場所でありホームなんだなって思いながら生活してるかな。別に沖縄だけが自分のホームというわけじゃなくて、東京に行けば友達がいるし。うん。自分にはホームはないと思ってたんだけど、逆にいっぱい作ってきたんだなって。

五味

……今、ピカ!っと来ました。いつも対談後記を書くんですけど、それを書くいいフレーズが。

青木

よかった~(笑)。もちろん一人じゃ生きて行けないです。それは地方に行っても。だからちゃんとありがとうって言わなきゃなって、そんな感じがするかな。

 

「コミュニケーションだけでも人は救われたり、やる気が出たり
するんだったら、やらないことに何の意味もない」(青木)

 

五味

僕はずーっと奈良にいて、奈良がホームって言いながらやってきたんですけど、それはまあ、そこで生まれ育って、そこから発信してやってきたから当たり前という考え方があって。でもそうじゃない人もいて。そういう人は、自分で作ったりとか、育てたりとかするために色々な活動をして。音楽だけじゃないんですけど。今、話を聞いて、音楽から離れてた時間も何か、そういう方に進んでたんかなぁって。

青木

これもよく話すんだけど、飲食店に関しては俺がプロデューサーというか、スタッフとしゃべっても俺のやりたいことが伝わんなきゃ違う料理が出てくるし、違う接客をするし…。飲食店なんて毎日がライブだから。ほんと毎日ライブ。毎日人に見られて、同じ料理出して、クオリティが少しでも下がったら「まずい」って言われて。そういう中で、自分がやってきたことは全然、無駄じゃなかったなっていうか。全部つながってるんだっていう目線をやっと持てた。自分にとって立ち返る場所がバンドであり音楽なんだけど、そこでも同じように蓄積した経験がまた別で生かせるというか。音楽では僕の技術は止まってたけど、9年経ってちゃんと音楽に還せるものがあったなって思ってやってます。それに気づけたことがよかったなと思って。だから今日のライブも楽しかったんだと思います。今日も楽しいし、いつも楽しいです、楽器を弾くのは。

五味

休んでたわけじゃない。

青木

止まってたわけじゃなかったんだなって思って。ただ、9年経って音楽業界も変わったし、ツールも変わって、先に人と絡むことができるようになって。5枚目のジャケットを描いてくれた人が大阪在住のE N N A°(エンナ)さんっていう方なんだけど、メールと電話のやりとりだけでジャケ制作をやってもらったから、今日のライブ終わりで初めて会って。

五味

インターネット経由で会ったんですか? 全く接点もない。

青木

全くない。

五味

9年間で一番変わったなって思うことは何ですか? ブランクって言ったらアレですけど、9年って結構な期間やと思うんです。

青木

何もかもが違った。当時は配信もなかったし。YouTubeも。自分の楽曲をポンポンネットに上げるとか、考えてもなかったし。今は、それをいちいち突っぱねていくのか?とか、そういうことも考えながら。ネガティブに全部切っていくよりも、9年経っても応援してくれる人たちに何ができるかを考えた方がいいんじゃないかなとか思って、その方法を考えているというか。リミックス盤もその一つだったりするし…。曲を作るとか、演奏以外のことは全部、変わってた…。

五味

あ~新しい世界というか。

青木

そうそう、知らない世界に入ってきた感じ。違う社会、違う国になってた。9年前とは違う国がそこにあって、配信がとか、YouTubeがとか、売れないからとか何だかんだ、違う話をしているなって。

五味

でも、ネガティブなイメージというか、そんな感触ではない?

青木

うーん、ネガティブな感触ではないかな。景気が悪いのはどこも一緒だし、暗く考えてもなっていうか。たまたまTHE NOVEMBERSがプロデューサーを依頼してくれて。前から誘ってもらってたんだけど、タイミングとかいろいろあって断ったんだけど。会ってみたらやっぱりいい子達で、一緒にやってみようってなって。とにかくコミュニケーションが一番大事なことは変わってない。結局はそうだなって。何でもかんでもネガティブに突っぱねるとさ、前に進めない気がして。社会で仕事をしていく中でも、メールの打ち方もちゃんとしてなかったことに気づかされて(苦笑)。そして、みんないい人。ほぼ、いい人。99%の人がいい人で。俺、みんなもっと嫌なやつだと思ってたから(笑)。みんな腹に黒いもの抱えてると思って生きてたから。沖縄に戻って友達ができて、飲んだくれて。ミュージシャンって会うと音楽の話ばっかりするじゃん。そうじゃなくて、昨日見たテレビがどうだとか言って。

五味

そういう感覚が新しい。

青木

そうそうそう。「昨日、友達にこんなことあって、ちょっと助けに行くんだ」みたいな話とか聞いて、“いい人だな~”って(笑)。こんな人になりたいなって思ったりとか。そんなふうに思って。その時に1から勉強して、社会で学んで。

五味

その9年が今に生きてる?

青木

単純なところでもっとシンプルに…。ライブが終わって「おつかれ、ありがとう!」って、このコミュニケーションだけでも人は救われたり、やる気が出たりするんだったら、やらないことに何の意味もないなと思って。そういうのを学んだ。

五味

……そういうことを青木さんから聞くとは思わなかった(笑)。…何かそんなね…? ラブ&ピースな感じじゃない…。

青木

「ラブ&ピース」は言わないけど(笑)、自分もこんな温かい気持ちになるとは思ってなかった。…悪魔のような人間でもなかったと思うけど(笑)、でもやっぱり人だしね。今回の作品も自分たちはすごく温かいアルバムができたと思ってるし。人がどう思うかは置いといて。それは隠せないというか、メンバーの関係も含めて、僕らの歩んできた中で出会った人たちと楽しくやって…。今更こう、“怒りながら音楽をやってくれ”って言われても、怒ってないしなぁって。

五味

昔は温度感みたいなものを消してたって思ったんです。

青木

ほんとにそんな感じ。

五味

人間がちょっと滲み出てる感じが新しいかなって。そして今後ですけど、ライブの数とかは変わるかもしれないけど…。

青木

うん、そうですね。downyというバンドの形は今、ちょうどいい状態なのかもしれない。お互いが尊敬し合って、集まった時に「やっぱこのバンド、いいね」って言える感じとかいいなってすごく思います。

五味

楽しみですね。沖縄で何かやるとか、そういうことは?

青木

3月もやるよ。あと、海外に出たいなっていうのがあって。

五味

海外に行ってませんでしたっけ?

青木

行ってない。聞いた話だけど、行ったらアンプが一個しかなくて「ベースとギター、一緒に挿せよ」とか言われたとか、そんなん絶対嫌やと思って(笑)。でも今はさ、予めYouTubeとかで見てもらって、ある程度こっちの考えとか伝えられると思うから。

五味

では今後は、活動休止する予定もない?

青木

ない! やります! みんな、やる気満々です。

五味

楽しみにしてます。

青木

ぜひぜひ、今日はありがとうございました。

五味

ありがとうございました。

 

 


ロケ地:梅田Shangri-La
取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:高橋はじむ
企画・構成:岩本和子