ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第4回 ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文さん
後藤正文(写真左)
1996年に結成されたASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギターでありソングライター。2003年のメジャーデビュー以降、海外からのバンドを招聘した主催イベント『NANO-MUGEN FES.』の開催や、レーベル『only in dreams』の設立、フリーペーパー『THE FUTURE TIMES』の発行など、音楽活動はもちろんSNS等での言動も注目され、昨今はシーンのオピニオンリーダーとしても機能。9/14(土)・15(日)には、地元横浜スタジアムにてデビュー10周年記念ライブも控える。愛称は“ゴッチ”。
五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。
LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/
五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/
THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/
【ASIAN KUNG-FU GENERATION】
2013年6月5日リリース
『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013』
コンピレーションCD
¥2,520(税込)/KSCL-2246
<収録曲>
01. Loser / ASIAN KUNG-FU GENERATION
02. マイ・ロスト・シティー / cero
03. 適当な闇 / the chef cooks me
04. レインボー / Dr.DOWNER
05. 花束 / 岩崎愛
06. STARS / NOWEARMAN
07. 石川町ファイヤー / PHONO TONES
08. Rapid Reality / Radical Dads
09. There's A Change / Sara Radle
10. SUNNY / シャムキャッツ
11. ストーリー / スカート
12. beautiful world / SPECIAL OTHERS
13. BRAND NEW EVERYTHING / ストレイテナー
14. Misleading Interpretations / Turntable Films
15. WORDS KILL PEOPLE ( COTODAMA THE KILLER ) / うみのて
LIVE DVD/Blu-ray
『映像作品集8巻 ~Tour 2012 ランドマーク~』
DVD¥5,565(税込)/KSBL-6021
Blu-ray¥6,300(税込)/KSXL-28
Ki/oon Music/
<収録曲>
[DISC:1]
01. MC
02. Loser
03. All right part2
04. N2
05. 1.2.3.4.5.6. Baby
06. AとZ
07. 新世紀のラブソング
08. 大洋航路
09. ブルートレイン
10. Re:Re:
11. 君という花
12. それでは、また明日
13. アフターダーク
14. ラストダンスは悲しみを乗せて
15. 1980
16. マシンガンと形容詞
17. センスレス
18. レールロード
19. ノーネーム
20. 踵で愛を打ち鳴らせ
21. バイシクルレース
[DISC:2]
01. MC
02. マーチングバンド
03. リライト
04. ループ&ループ
05. アネモネの咲く春に
06. 夜を越えて
07. 今を生きて
Single
『今を生きて』
初回限定盤: CD+DVD
[初回特典 DVD内容]
『今を生きて』Music Video
¥1,365(税込)/KSCL-2191
通常版: CD
¥1,020(税込)/KSCL-2193
<収録曲>
01. 今を生きて
02. ケモノノケモノ
【LOSTAGE】
ライブ盤
『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO』
¥2,800(税込)/DDCZ-1861
※CD2枚組紙ジャケット仕様
<収録曲>
01. BROWN SUGAR
02. 12
03. 断層
04. BARON
05. 言う
06. BLUE
07. DOWN
08. TOBACCO
09. あいつ
10. 真夜中を
11. 裸婦
12. 眩暈
13. 私
14. 僕の忘れた言葉達
15. 喉
16. 瘡蓋
17. 楽園
18. NAGISA
19. これから
20. HELL
21. カナリア
22. 夜に月
23. ペラペラ
24. 手紙
25. MINDJIVE
26. ひとり
27. NEVERLAND
【ASIAN KUNG-FU GENERATION】
7月13日(土)10:00~一般発売
Pコード:193-297
〈ファン感謝祭〉
▼9月14日(土)17:00
〈オールスター感謝祭〉
▼9月15日(日) 17:00
横浜スタジアム
(各日)アリーナスタンディング-6500円
スタンド指定席-6500円
[問]ディスクガレージ
[TEL]050-5533-0888
『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN CIRCUIT 2013』
Pコード:199-517
▼6月14日(金)18:30
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
サラ・ラドル/SPECIAL OTHERS/スカート
▼6月15日(土)18:30
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
PHONO TONES/the chef cooks me/
Turntable Films
KBSホール
(各日)オールスタンディング-4500円(整理番号付)
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
Sold Out!!
▼6月17日(月)18:30
松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール
1Fスタンディング-4500円(整理番号付)
2F指定席-4500円
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
ラディカル・ダッズ/Dr.DOWNER/ストレイテナー
[問]デューク松山
[TEL]089-947-3535
Pコード:197-558
▼6月19日(水)18:30
DRUM Be-9 V1
オールスタンディング-4500円(要1ドリンクオーダー/整理番号付。)
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
ラディカル・ダッズ/岩崎愛/NOWEARMAN
[問]BEA
[TEL]092-712-4221
Sold Out!!
▼6月24日(月)19:00
NIIGATA LOTS
スタンディング-4500円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
ラディカル・ダッズ/cero
[問]FOB新潟
[TEL]025-229-5000
Sold Out!!
▼6月26日(水)19:00
仙台Rensa
オールスタンディング-4500円(ドリンク代別途必要)
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
ラディカル・ダッズ/うみのて
[問]G・I・P
[TEL]022-222-9999
Pコード:198-839
▼6月28日(金)18:30
TOKYO DOME CITY HALL
スタンディング-4500円 指定席-4500円
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/
ラディカル・ダッズ/the chef cooks me/
シャムキャッツ
[問]ディスクガレージ
[TEL]050-5533-0888
※Pコード表記のないものはチケットぴあ取扱の前売り券完売。
【LOSTAGE】
Pコード:202-021
▼6月11日(火) 19:00
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-1800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]dandylion
[共演]LOSTAGE/AYNIW TEPO/
ANDREW KITCHEN
[問]LIVE HOUSE Pangea
[TEL]06-4708-0061
Pコード:198-906
『霖‘13 ~tsuyu-to-you~』
▼6月21日(金) 18:30
北沢タウンホール
自由席-2000円
[出演]LOSTAGE/THE BOHEMIANS
[問]明治学院大学舞台技術研究会
[TEL]080-4477-2917
Pコード:203-047
クリプトシティ/LOSTAGE
▼7月12日(金) 19:30
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-2300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]LIVE HOUSE Pangea
[TEL]06-4708-0061
7月6日(土)10:00~一般発売
Pコード:198-832
『BAYCAMP 2013』
▼9月7日(土) 14:00
川崎市東扇島東公園
前売券-6900円
U-18 TICKET-4900円(18歳未満限定/21:00まで滞在可)
[出演]Dragon Ash/eastern youth/
Hermann H.&The Pacemakers/
HUSKING BEE/The Mirraz/快速東京/
東京カランコロン/FREE THROW/
The Birthday/group_inou/LOSTAGE/
QUATTRO/髭/DJダイノジ/他
[問]チッタワークス
[TEL]044-276-8841
『REDSNEAKERS
7incリリースパーティー!』
▼6月6日(木)19:00
下北沢SHELTER
前売-2000円(ドリンク代別途必要)
[出演]REDSNEAKERS
[共演]LOSTAGE/KETTLES/下山(GEZAN)
[問・チケット予約]
redsneakersyeah@hotmail.co.jp
『KNNN 2013 vol.2』
▼6月20日(木)19:30
新代田 LIVE HOUSE FEVER
前売-3200円(ドリンク代別途必要)
[出演]LOSTAGE/eastern youth
[問]新代田 LIVE HOUSE FEVER
03-6304-7899
LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第4回はASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文さんとの対談です。奈良のレコードショップTHROAT RECORDSを訪れた後藤さんに、話を聞きました。
「とにかく人に誉められたい。“いい曲作るな”とか、
“あいつ才能あるな”とか、言われたかった(笑)」(後藤)
五味岳久
(以下、五味)
よろしくお願いします。
後藤正文
(以下、後藤)
お願いします。
五味
この対談は、自分の居場所を何となく意識したものになればと思ってます。まず、後藤さんの出身地は?
後藤
静岡県島田市。
五味
活動は横須賀?
後藤
アジカンは横浜だね。
五味
何で横浜が拠点になったんですか?
後藤
(アジカンは)大学で知り合ったメンバーでやってるバンドで。大学が横浜と横須賀のちょうど境目の三浦半島にあって、みんなその辺に住んでたっていう。
五味
じゃあ、活動を始めたのもその近くのライブハウスで。
後藤
活動し始めた頃は、CLUB 24 YOKOHAMAっていうライブハウスで。
五味
後藤さんがバンドをやり始めた時って、いわゆるAIR JAM世代の人たちがバーンと台頭し始めたぐらいですか?
後藤
もうちょっと前かもだね。前夜みたいな頃。
五味
そういうバンドからは影響を受けている?
後藤
受けてるっていうか、そうしていかないと生き残っていけない空気はあったよね。無視できない感じ。UKロックが好きで始めたけど…、盛り上がらないし、やる場所がない。
五味
じゃあ、そういう感じのバンドと一緒にライブをやったり?
後藤
メロコアイベントに呼ばれたりはしなかったよね。だからやる場所がないなって思ってた、最初。
五味
ホームになった場所はあるんですか?
後藤
ずっとやってたのはさっき言ったCLUB 24。自分たちでバンド企画とかをやってたね。
五味
東京に出てライブをやろう思ったきっかけは何だったんですか?
後藤
横浜でやっても人がいないと思ってたの。自分の音楽を聴いてくれる人が。横浜は東京に行くようにできてるんだよね、基本的に。鉄道とかを見たらわかるんだけど、横須賀から品川までは京急が通ってるし、東横線も横浜から渋谷に行く電車で。田園都市線も北の方の横浜から渋谷に向かっていくし。だから横浜でライブを観るんだったら東京に行くっていう。近すぎて。あとは単純に、自分たちみたいな音楽のバンドが横浜でライブをやってもお客さんが集まるイメージを全く持てなかった。“これは友達を呼んで終わりだな”みたいな気分になっちゃったんだよね。
五味
これではあかんなと思ったんですか。
後藤
そうそうそう。人に聴かせたいじゃない? 音楽って。だったら東京の方が音楽を聴きたいって思ってるヤツがたくさんいるって思って。
五味
じゃあ、横浜でやってる頃から、上を見てバンドをやってたんですか? もっとこうなりたいとか、これで飯食いたいとか。みんな会社員をしながら、バンドをやってたんですよね?
後藤
始めた当時はOasisみたいになりたいって思ってたけど、それってなかなか難しいことなんだとか思い始めて。
五味
実際にライブを繰り返して、現実を見ればってことですか。
後藤
見ればね。でも当時、最終的にはインディーズ・レーベルのオーナーになりたいって思ってたの。自分もそこで音楽を出してやっていけたらいいなって。
五味
じゃあ、今はちょっと…。
後藤
近づいてはいる、理想にはね。でも一方で、(自分の音楽を)人に聴かせたいっていう気持ちはずっとあるよね。誰でもいいから、どうにか聴いてほしいっていうのはあったよ。
五味
売れたいとかそういうことじゃなくて。
後藤
うん、売れて金をいっぱいもらって、遊びたいっていう気持ちはあんまりなかったね。とにかく人に誉められたいっていう気持ちの方が、純粋に…。「いい曲作るな」とか、「あいつ才能あるな」とか、言われたかった(笑)。その気持ちは今でもある。個人的には、アジカンだけが好きな人が増えても面白くないと思っていて、いろんな音楽がある中で、「ごっさんの書くメロディいいな」って言われたい。「あいつの書く詞、いいね」とか(笑)。
五味
ちょっとはしょりますけど、東京に出て、ライブを始めて、それから売れるじゃないですか、その時はどういう気持ちだったんですか? 急にですよね?
後藤
急に売れた。サラリーマンだったから、バンド活動もうまくいかなかったの。ライブも全然、できなくて。やる場所もないし。ACIDMANとか、ストレイテナーとか、the band apartとか、DOPING PANDAとか、ART-SCHOOLとか、そういうバンドが絡んだイベントには全然呼ばれず、出場代だけぼったくられるライブに呼ばれたりとか(笑)。だけど、素人イベンターがやってるようなイベントにちょっとずつ呼ばれるようになって、人が入り始めたの。20人だったのが、30人、40人になって。で、UNDER FLOWER RECORDSからリリースが決まって。ちょうど、そのぐらいで脱サラした…。いや、脱サラはインディーズ盤を出す前か。
五味
脱サラは売れる前?
後藤
売れる前。25歳になって、ここで頑張って勝負してダメだったら田舎に帰ろって思ってた。
五味
じゃあ、その時点ではまだ、バンドで何とかしたろうみたいな野心はなくなってはいなかった?
後藤
なくなってない。でも、もう潮時かもしれんと。25までやって誰にも見つけてもらえなかったら俺はもうダメなんだと。さすがに。で、脱サラ決めて、リリースも決まってと、とんとん拍子で行って。人気が出るといろいろ言われるから、それからは誉められることよりも、disられてることをどう処理していくかっていう戦いが始まって…(笑)。
五味
売れる前はdisられることは考えてなかった?
後藤
考えてなかった。それからは何かしら言われる感じで来た(笑)。
「1人の音楽ファンとして、こんなにいい音楽が聴かれないのは、
もう害悪だと。誰かがちゃんとやらなきゃいけない」(後藤)
五味
これは個人的に聞きたいことなんですけど、後藤さんは生業としてメジャーでやってる一方で、インディーでも活動してますよね。メジャーとインディーレーベル「Only in dreams」の違いって何やと思いますか?
後藤
基本的にはそんなに変わらないと思う。俺が好きなバンドは、メジャーで出そうが、インディーで出そうが、スタンスはそんなに変わらないような気がするんだよね。メジャーのいいところはお金があること。自分でさ、バンド全員連れてニューヨークでレコーディングしようと思ったら、お金のことを考えないと、やっぱり行けないよね。相当詰め詰めで行かないと。まあ、メジャーにもしがらみはあって、そういう中で交渉するエネルギーがあるかないかっていうのはでかいと思う。何も言わなかったら、既にある決まったやり方でやることになっちゃう。でも、俺たちは「おかしいでしょ」とか言ってきた。コピーコントロールでも、説明受けて。結果、自分たちのアルバムに関しては1枚もコピーコントロールはつかなかったり。俺たちは俺たちで最前線で戦って、会社に対しても「これはおかしくないですか」って言う。このままじゃ、メジャーとインディーとでどんどん二極化して、メジャーはとにかくクソだみたいになって、本当にクソになっちゃったらさ、それは全体がしぼんでしまうイメージがあって。音楽全体がしぼむというか。でも、メジャーの人たちが担保してる“音楽自体の回転”もあると思うんだよね。
五味
確かにそうですね。
後藤
AKB48が売れることで田舎のレコード屋がつぶれないのかもしれないし、何が正しくて何が不正解かっていうのはよくわからなくて。そう思うと、人のことはいいから自分のことを何とかしろよって。今いる場所で俺は何ができるかなって。アメリカだとさ、Death Cab for Cutieがメジャーだったりするじゃん。でもあのバンドをメジャーのバンドだと思っている人は少なくて。みんなUSインディーだと思ってる。日本も早くそういう感じになってほしいと思う。
五味
ちょっとなりつつある気配はしますけどね。そのために自分は、いわゆるメジャーの最前線で戦っているみたいな使命感もあるんですか?
後藤
使命感っていうか、何て言うんだろう、仕事しながらじゃないと音楽できない人もいるじゃない? でも、もう少しお金が落ちるはずだと思うんだよね。あと、「こんなにいい音楽が何で聴かれてないんだ」っていう気持ちもすごいある。それって宣伝にお金がかかってなかったり、流通の規模が小さかったりっていう、それだけの話でしょう。1人の音楽ファンとして、そういうのはフックアップしないと損害だと思うわけ。こんなにいい音楽が世に聴かれないということは、もう害悪だと。それは誰かがちゃんとやらなきゃいけない。今まではどうしようもなかったわけじゃん。インディーロックのやり方が。ちゃんと金引っ張って、いいもの作ってさ、発信していくっていうことが。このままだと悔しいもんね、やっぱさ。
五味
それを後藤さんはやってますもんね。
後藤
新人を見つけて金に換えようとか思ってなくて。Dr.DOWNERだったら、もうちょっと音源もよく録れるんじゃないかって気がして声かけて。「そんなの使ってちゃダメだから、一緒にやろうぜ」って。今度、the chef cooks meやるけど、あいつらもあいつらで、ストレートに見つけてもらえてない感じがして…。不遇って感じがする(笑)。不遇なヤツが好きなの。遅咲きだから自分も。
五味
応援したい?
後藤
応援したいというか、おかいしと思う。この人たちがこんなにも見つけてもらえず、ちょっと屈折するほど才能をこじらせているのはおかしいって。世間に対する告発でもあるんだよ。「お前ら、こいつらを見つけられなかったんだぜ」って。メジャーレコード会社とかに対しても、「俺の方がいいものを作りますよ」みたいな(笑)。彼ら(注:バンドマン)に接する時は、どうやったら真っ直ぐに、いい音楽を気持ちよく作らせてあげられるかなって考えて。ただ、俺がこういうことを言うのも、アジカンでちゃんと活躍していないと資金が回らないっていうのもあるかもしれないね。
五味
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの自分と、レーベルの自分は分けて考えている?
後藤
つながっているけど、アジカンで何かやろうと思ったら気合を入れていかないといけない。「今日はアジカンだ!」みたいな。
五味
ソロの時とは違う?
後藤
ソロの時は、そこらのおじさん(笑)。素でやってるだけ。自分が大人になったからかもしれないけどさ、アジカンは機能が大きいっていうのが分かっちゃったから。巨大ロボだから、あれに乗りに行くっていう。
五味
ああ、なるほど。巨大ロボを操縦してる。
後藤
そうそう。がんがん乗りに行くイメージはあるよ。
五味
今、すごい分かりました。ロボットに乗ってる感じ。店作って、もっと若いヤツと出会うきっかけを作りたいって、僕が思ってる「地元の奈良を盛り上げたい」っていうのが、後藤さんの場合は日本。でかい。日本がホーム。全体の音楽シーンのことを考えてる。僕が考えてるのは奈良。でも、それをそのまま拡大すると後藤さんの言ってる感じになるのかなって気がして。規模は全然違うけど、やろうとしていることは何となく似てるかもなって。
後藤
それだったらうれしいな。どんな場所でも、音楽が人の手に渡っていくところに血が通っていてほしいなって思うんだよね。温かい血がさ。そういうことで自分も生かされてきたから。BECKとか、WEEZERにしろ、音楽がなかったら今、何してたかなって思っちゃう。何か、そこを裏切りたくないっていう気持ちはあるよね。
五味
自分が救われた音楽を。
後藤
そうそうそう。当時の自分が今の自分を見て、チッとか思うようなことはやりたくないよね。そうするとやっぱさ、テレビに出ましたとか、そういうことが基準になりようがないというか。
五味
ピュアですね。
後藤
……ピュアなんだよ、意外と(笑)。
五味
言うても、アジカンは僕のおかんでも知ってる感じじゃないですか。知名度とか。後藤さんと対談とか、まずないですもん。……僕のこと、どう思います? 初めて会った時って、まだ僕らがトイズにいた頃ですかね。僕、変わりました?
後藤
変わったと思うよ。柔らかくなってるよね。最初は“何でこいつら、俺らのこと呼んだんだろ”みたいな感じで、お好み焼き屋で飯食ってたよね?
五味
(笑)、まあ、実際、めっちゃ思ってましたけどね(笑)。メジャーのレコード会社とか、業界に対する不信感みたいなものがガチガチに固まっている時だったから。“そういうところでやってるヤツらって、何考えてるか分からない”って。今はね、“あの人、こういうことやってくれてたんや”っていうのは分かりました。
後藤
人によるよね。「結局、人による」っていうのは本当に、当たり前の答えだよね。いいヤツもいれば、嫌なヤツもいるし、メジャーとかインディーとか、まとめんなって話だよね。インディーの中にもクソ野郎は絶対いるし(笑)。
五味
そうなんですけどね、「結局、人やねんな」って言ったら身もふたもないというか…(笑)。
後藤
俺はそれでいいと思うよ。「人でしょ」っていう。「そいつがどういう気持ちで何をやるかでしょ」みたいな。
五味
分かりやすい敵みたいなものがいた方がやり易いとこともあるじゃないですか。僕らみたいな場合は「メジャーはクソだ」みたいな。
後藤
そういうのが前面に出てくるのって若い時だけじゃない? 今はそれどころじゃない。自分の身の回りを整えとかないと。
五味
まあ、確かに見えない、でかい敵と戦ってる場合じゃない。自分の周りでまず処理しないといけない小さい問題もいっぱいある。
後藤
でも奈良に住んでやってるっていうのは素敵だと思う。自分は根無し草というか、最初の話に戻るけど、どこかに属している感覚がなかったから。一応横浜でやってさ、地元のバンドとかともつながりはないわけじゃないけどさ、でもやっぱり長い間どこにも属してない。
五味
今でも、そういう感覚はある?
後藤
うん、特に土地にまつわる所属感っていうのは。横浜のバンドっていうイメージはあるけど、アジカンのサウンドが横浜然としているかっていうと、そういうわけでもないし。ただ、それはそれで、どこにも属してないからこそやれることをやったらいいのかなっていう気持ちになってるけどね。
五味
あとは軽く生きる?
後藤
そうそう。自分が楽しく音楽やりたいっていうのはあるかな? アジカンに乗る時だけ気合入れるけど。
五味
巨大ロボに?(笑)。
後藤
ロボに(笑)。でも、こうやって五味くんみたいに、ここでやっていけるのは幸せなことだと思う。簡単なことじゃなかっただろうけど、確立したんだなって。
五味
一つの選択肢として「こういうやり方もある」っていう。音楽に関わることをしながらバンドもちゃんとできますっていうことを後続に伝えたいっていうのはありますね。
取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:高橋はじむ
企画・構成:岩本和子