ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第17回 My Hair is Bad椎木知仁さん



 

Profile

椎木知仁(写真左)
My Hair is Badのギター&ボーカル。2008年にMy Hair is Badを結成。メンバーは他にベースの山本大樹とドラムの山田淳。2013年2月にミニアルバム『昨日になりたくて』でデビュー。2016年5月にはシングル『時代をあつめて』を発売しEMI RECORDSよりメジャーデビューした。2019年3月から『My Hair is Bad presents ファンタスティックホームランツアー』を開催。

My Hair is Bad オフィシャルウェブサイト
http://www.myhairisbad.com/


五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。地域密着/地元発信のレーベル兼レコードショップ「THROAT RECORDS」主宰。bacho x LOSTAGE SPLIT『HOMETOWN E.P.』発売中。

LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/

THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/

Release

【My Hair is Bad】

『hadaka e.p.』(通常盤)
発売中

1,389円(税別)/UPCH-20501

<収録曲>
1.次回予告
2.惜春
3.微熱
4.天才っていいな
5.裸

『次回予告』

 

【LOSTAGE】

『HOMETOWN E.P.』
発売中

THROAT RECORDS
1944円(税込)

<収録曲>
1.No Memories / bacho
2.Sad Town / bacho
3.Foolish / LOSTAGE
4.こぼれ落ちたもの / LOSTAGE

『瞬きをする間に』(YouTube限定配信)

Live

【My Hair is Bad】

My Hair is Bad presents
ファンタスティックホームランツアー

▼3月12日(火) 19:00
松江AZTiC canova(島根県)
▼3月14日(木) 19:00
米子AZTiC laughs(鳥取県)

▼3月23日(土) 17:00・24日(日) 16:00
大阪城ホール(大阪府)
▼4月3日(水) 19:00
和歌山GATE(和歌山県)
▼4月9日(火) 19:00
富山SOUL POWER(富山県)
▼4月16日(木)・17日(水) 19:00
横浜アリーナ(神奈川県)
※以上、前売りチケット完売
▼4月21日(日) 17:00
発売中 Pコード:139-881
朱鷺メッセ(新潟県)
アリーナスタンディング-5800円 ※ブロック指定/入場整理番号付
指定席-5800円
チケット情報はこちら
[問]THE NINTH APOLLO
[TEL]03-3475-5999(10:00~18:00)

 

『04 Limited Sazabys presents
YON FES 2019』
▼4月6日(土) 11:00

モリコロパーク(愛・地球博記念公園)(愛知県)
※前売りチケット完売

『JAPAN JAM 2019』
▼5月6日(月) 10:30

千葉市蘇我スポーツ公園(千葉県)
[問]http://japanjam.jp/

 

『宮川企画 presents マイセルフ,ユアセルフ』
▼5月8日(水) 19:15

東京キネマ倶楽部(東京都)
[出]曽我部恵一/椎木知仁(My Hair is Bad)
1F全自由-3500円、2F指定席-3500円 ※ドリンク別
[問]宮川企画[Mail]info_myself_yourself@yahoo.co.jp

 

『HEY-SMITH presents Life In The Sun TOUR』
発売中 Pコード:138-787
▼5月19日(日) 18:00
Zepp Fukuoka(福岡県)
[出]HEY-SMITH/My Hair is Bad
1Fスタンディング-3800円 ※要1ドリンクオーダー/整理番号付
※2F指定は完売
[問]キョードー西日本[TEL]0570-09-2424
チケット情報はこちら

 

『SAKAI MEETING 2019』
▼5月25日(土) 11:00

堺市 海とのふれあい広場特設会場(大阪府)
入場券-6999円
駐車券付入場券-8999円
3/14(木)12:00〜18(月)23:59 最速先攻受付中
受付URL:http://w.pia.jp/t/sakaimeeting2019/
[問]https://sakaimeeting.jp/2019/

 

『あいみょん presents
AIMYON vs TOUR 2019 “ラブ・コール”』

4月6日(土)一般発売
▼5月31日(金) 19:00
Zepp Osaka Bayside(大阪府)
1Fスタンディング-5940円 ※整理番号付、ドリンク代別途要
2F指定席 -5940円 ※ドリンク代別途要
[出]あいみょん/My Hair is Bad
[問]サウンドクリエーター
[TEL]06-6357-4400
チケット情報はこちら


『森、道、市場2019』
▼5月31日(金)・6月1日(土)・2日(日)

愛知県蒲郡市ラグーナビーチ(大塚海浜緑地)&遊園地ラグナシア(愛知県)
[問] http://mori-michi-ichiba.info/

 

『POWER STOCK IN MIYAKO 2019』
▼6月9日(土)

宮古田老球場(岩手県)
[出]柳家睦 & THE RAT BONES/BiSH/雷矢/SLANG/My Hair is Bad

 

『キュウソネコカミ presents
試練のTAIMAN TOUR 2019』
▼6月11日(火) 19:00

Zepp Nagoya(愛知県)
[出]キュウソネコカミ/My Hair is Bad
※前売りチケット完売
[問]ジェイルハウス:052-936-6041

 

【LOSTAGE】

『JUSO FANDANGO + LOSTAGE presents“7“』
発売中 Pコード:140-875
▼3月25日(月)~31日(日)
十三ファンダンゴ(大阪府)
(各日)前売り-3500円 当日-4000円
▼3/25(月) 19:30 [出]LOSTAGE/ZAZEN BOYS
▼3/26(火) 19:00 [出]LOSTAGE/ASPARAGUS/the band apart/COMEBACK MY DAUGHTERS
▼3/27(水) 19:30 [出]LOSTAGE/toe
▼3/28(木) 19:00 [出]LOSTAGE/少年ナイフ/MASS OF THE FERMENTING DREGS
▼3/29(金) 19:30 [出]LOSTAGE/おとぎ話
▼3/30(土) 19:30 [出]LOSTAGE/KING BROTHERS
▼3/31(日) 19:30 [出]LOSTAGE (ONE MAN)
※7日間通し券-20000円(FANDANGO店頭/THROAT RECORDS店頭で販売)]
[問]十三ファンダンゴ[TEL]06-6308-1621
チケット情報はこちら


『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL 2019』
▼4月20日(土)

新宿歌舞伎町(東京都)
[問] http://www.connectkabukicho.tokyo/

 

『CRAFTROCK CIRCUIT’19』
▼4月21日(日)

吉祥寺(東京都)
[問] http://craftrock.jp/cir2019/

 

『BUG ME TENDER vol.15』
▼4月22日(月) 19:00

梅田クラブクアトロ(大阪府)
前売-3000円 ※オールスタンディング、整理番号付、ドリンク代別途要
[出]LOSTAGE/GEZAN/bacho
[DJ]DAWA
[問]梅田クラブクアトロ[TEL]06-6311-8111
チケット情報はこちら

 

『THE SUN ALSO RISES vol.83』
▼5月20日(月) 19:30

YOKOHAMA F.A.D.(神奈川県)
前売-3500円 
当日-4000円(共にドリンク代別600円)
[出]五味岳久/ホリエアツシ(ストレイテナー)
[問]F.A.D YOKOHAMA
[TEL]045-663-3842(14:00~23:00)
チケット情報はこちら


8otto/LOSTAGE
3月24日(日)一般発売 
Pコード:146-163
▼5月21日(火) 19:30・22日(水) 19:30

LIVE HOUSE FEVER(東京都)
オールスタンディング-3000円、通し券-5500円
[問]スマッシュ[TEL]03-3444-6751
チケット情報はこちら
※3/10(日)までオフィシャル先行受付中

LOSTAGE 五味岳久さんがインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第17回はMy Hair is Badのボーカル&ギターの椎木知仁さんです。新潟県上越市を拠点に活動している椎木さんを紐解いていくうちにMy Hair is Badの音楽が生まれた理由が見えた対談となりました。

 

「出たことがないからこそ行きたい。
いずれ戻ってくるにしても1回出たいなって」(椎木)

 

五味岳久
(以下、五味)

そしたら、始めます。よろしくお願いします。

椎木知仁
(以下、椎木)

よろしくお願いします。

五味

新潟に在住、今も上京せずにやっているのは、何か理由があるんですか?

椎木

はっきりした理由がなくて。上京するタイミングを失って。メンバー3人中2人は実家だったりして……。どのタイミングで他のバンドは出るんだろうって思いながら。……新潟は3人が出会った場所だし、ライブハウスに初めて行った場所でもあるし、今住んでいる場所でもあるんですけど、ちょっとコンプレックスというか…。…何か退屈というか。……ここにいて俺は大丈夫なんだろうかって。ないものねだりなんでしょうけど、新潟は何もない…。友達もそんなに新潟にいないし…。かといって五味さんみたいに何かを仕掛けてるというか、かっこいいなと思う大人もほとんどいなくて…。

五味

元々東京生まれ。

椎木

そうなんですよ。小6の時に初めて上越に来て。それまで東京だったんですよ。中学、高校と新潟だったので、もう東京に行っちゃえば「やべえ都会だ」というか。

五味

小さい頃のことはあんまり覚えてない?

椎木

東京の中でも結構転々としていて、小2から小5までは同じところにいて、そこは、恋しいことは恋しくて。

五味

それはどこやったん?

椎木

北区の赤羽の隣で東十条という街があって。今でも誰と会うわけでもなく一人で行っちゃったりしますね。

五味

ずっと新潟在住と思っていたので、何か新潟でやろうと思っていることでもあるのかなと思っていたんですけど、たまたまタイミングがなかった。

椎木

そうです。何で新潟でずっとバンドやってんだろうって思ってる感じです。

五味

メンバーは?

椎木

メンバーは生まれも育ちも上越市で。メンバーもどっかに行こうと言い出さなくて。2人は別にここでいいんじゃない?って。

五味

新潟って東京から近いんですか。

椎木

北陸新幹線が3年前くらいに通って、それのおかげで2時間かからないくらいで行けるんです。

五味

近いですね。じゃあ思い立ってパッと行けるか。帰ったりもできるし。上越って新潟のどこに…?

椎木

一番下ですね。ほぼ長野みたいな場所にあって。

五味

新潟は好きですか? コンプレックスがあると言っていたけど…。

椎木

新潟ですか? そういうのも1回出てみないとわからないです。ずっと一緒にいる彼女みたいな…そんな感じになってきて。街に飲みに出たりしたらやっぱり好きなんですけど、ここで終わらせるのはもったいないなと思っています。

五味

出ても、いつかは帰りたい?

椎木

ここでMy Hair is Badを始めたから、終わるにしても何にしても、最後はここに帰るんだろうなって言う感覚はあります。

五味

…なんでみんな東京に行くんかな。俺行こうと思ったことがないからわからへんねんけど、実際、“一旗上げる”じゃないけど、自分に挑戦するみたいな感じで行く人いるけど…。

椎木

何もないなっていう感じがしちゃうんですよね。

五味

作る音楽が変わったりするかな、環境が変わったら。歌詞が変わったりとか。

椎木

僕が書いてきた曲も、上越市だから書けたんだろうなと思うというか、上越市が東京の女と恋愛したからこの曲も書けたんだろうなって、そういう感覚もあるんですけど…。だからこそ、何か違うところに行って、違うことを感じて作ってみたいという気持ちが強いです。五味さんはずっと奈良なんですよね?

五味

ずっと奈良です。

椎木

地元には、いろんなことしている先輩がいたんですか?

五味

これを見た先輩がどう思うかわからないけど、こういうふうになりたいみたいな目標にできる人はいてなくて。何かを教えてもらったとか、そういうのもなかった。奈良も田舎なので、何もないなって悶々としている時期もあったんですけど、ないから自分がやるかみたいな感じで店をやり始めた感じですかね。それこそAge Factoryのメンバーと知り合ったりとか。正解不正解じゃないけど、そういう場所を作ったのは良かったなと思う時はありますね。My Hair is Badは、めちゃくちゃ大きいところもチケット売り切ってやったりもしてるけど、結構、小さいライブハウスでもやってるじゃないですか。あれは何か理由があるんですか?

椎木

レーベルの社風というか、自分たちがやってきたところだし、そこを大事にしなさいというのは昔からですね。

五味

どこから来たのかみたいな。最初はどさ回りをやってた?

椎木

どさ回りばっかりで、減ってきたのは2018年くらいですかね。それまでは年間3桁やってたし、多いときは180本くらいライブをやってたので…。

五味

めちゃライブやってるから、そんな帰る暇もないか?

椎木

そうなんですよ。

五味

普段、何してんの? バンドやってない時というか、練習したりとか、歌詞書いたりも一応バンドの活動やけど、そうではない、空いている時間。

椎木

うちの2人に比べても僕は究極に趣味がなくて。曲を作る、ライブをする、酒を飲む以外のやりたいことがほぼなくて…。

五味

たとえば映画を見るとか。

椎木

映画も「あれ絶対観た方がいいよ」って勧められたものしか見ないし、本も勧められたものを読んだり。自分で気になったものは読むんですけど、毎日、本を持ち歩いたり、開いているかといったらそうじゃないし、ゲームもしないし…。お笑いは好きで家にいたらバラエティ録画したの見たり、動画見たりするぐらいで……。海も山もある街なんですけど、釣りに行こうとか、冬になったらスノボ行こうとかもないっすね…。

五味

(……)

椎木

……すみません(笑)。

五味

全然いい(笑)。何してんのかなって思って。椎木君とは弾き語りも一緒にやったことあるじゃないですか。歌詞が結構、個性的というか、オリジナルというか。いいなと思って、何か読んだりとかしてるんやろうなと思ったんで、意外でした…(笑)。

椎木

ないんすよねぇ…。焼きもちやきだし、悔しいとか嫌だなという気持ちの時が一番曲が書けるんですよね。

五味

ああ、出てくる。

椎木

はい。今もすっごい曲が書けるし、毎日スタジオに入ってても、あれもやってみたい、これもやってみたいってなるんですけど、それって前の音源を出して、いろんな人にいろんなこと言われたのが悔しかったり、「もっとこう思ってほしかったんだけどなぁ、あれ」とか「こういうふうに思ってもらえるはずだったんだけど」っていう気持ちだけでやってるかなぁ…。

五味

何でバンドやりたいって思ったんですか? 最初に思ったときは?

椎木

友達の家でELLEGARDENのDVDを観て。当時ORANGE RANGEが流行ってて、野球も坊主にするのが嫌だから辞めて、ちょっとギターやってみようかなとか思ってるところでそのDVDを観て。じゃあバンド組もうっていう、めちゃめちゃありふれた理由です。

五味

何やってる時が気分いいですか?

椎木

歌詞…。

五味

歌詞書くの好き?

椎木

好きっすねぇ…。

五味

いつも書いてる? ノートとかに。

椎木

携帯とかiPadになっちゃったんですけど、常に歌詞を見ていたいし、いいのができたら何回でも読み返したりします。

五味

先に歌詞ができるんですか?

椎木

いえ、後なんです。歌詞がいいと言ってもらえるのが嬉しいと同時に、結構悔しくなってきちゃって。

五味

何で?

椎木

何か…歌詞だけなん?みたいな気持ちになってきて。

五味

めんどくさいやん(笑)。いいやん、歌詞がいいって。ほかもってとこ?

椎木

曲だとか、なんかもっと褒められたいのにな…って。最近はそれが原動力でいろいろできるのかもなぁって…。

五味

どういうことについて書いているんですか、最近の歌詞は。

椎木

最近ですか。こないだ人生で初めてタバコを吸うようになって。

五味

あれ? タバコ吸わへんかった?

椎木

元々吸わなかったんです。父ちゃん母ちゃんも、じいちゃん、ばあちゃん、メンバーもみんな吸ってたんですけど、なんか吸わなくて。でも酔っぱらって面白そうだから一口ちょうだいとか言ってたら吸うようになって。そしたらぽろぽろっとタバコの曲が書けたり…。で、インスタで僕がタバコを持っている写真を載せたら、お客さんに強烈に怒られるというか。あの歌詞は嘘だったんですかみたいなことが来まくって。

五味

あ、それは歌詞に出てくるん? タバコ吸わないっていうこと。

椎木

吸わないっていう1曲があって。

五味

ああ、それで。その世界観が壊されたと。

椎木

信じられないみたいな意見と、そりゃタバコぐらい吸うだろうっていう意見がわ~ってなって、なんかどっちにも腹立ってきて、じゃあ止めるっつって止めようと思ったんですけど、酒止めるよりニコチン止めるの方が全然、きつくて。気づいたら、やば、吸いたいってなっちゃって。もうタバコは吸ってませんと言えるようにアイコス吸ってたりします(笑)。

五味

早い。生きるのが早いですね。

椎木

何か言い逃れできるように…(笑)。でもそれで、上越にいたから初めて上越の歌を書いてみようかなって思ったり。それくらいの感じで書いてます。

五味

メンバーとは普段、ライブとか練習とか以外で飲みに行ったりとか、遊んだりとかは?

椎木

さすがにわざわざ誘って飲みに行ったりしないですけど、小さい町なので飲み屋街とかに行くとばったり会ったりしますね。

五味

東京やったらそういうことないですね。

椎木

そうですね、住んでる町だなって。地元だなって思います。

五味

メンバーと仲いいという話をちらっと聞いたんですけど。

椎木

仲いいですね。あんまりツンケンしてもしょうがないなって思ってきちゃって。もちろん波があったんですけど、もう別に普通っすね。

五味

(……)

椎木

(……)

 

「これが俺のやりたいことなんだっていう同世代に
上越で初めて出会った気がした」(椎木)

 

椎木

……居酒屋で酒飲みながらやればよかったっすね。

五味

酒好きやね。

椎木

酒好きですね。

五味

酒飲んだらどうなるんですか? 俺も酒好きやけど。

椎木

あー…最近はちょっとなりを潜めてますけど、強烈に酒癖が悪くて、いろんなことをやってきて。

五味

覚えてないとか?

椎木

記憶とかは、後半になると普通に飲んでても、ハッピーでも記憶なくなっちゃうスね…。

五味

人に迷惑かけることはない?

椎木

人に迷惑かけることはあります。もう、酒飲んでこういうことしいちゃいけないよねっていうことは、ほぼ全部やって…。嘔吐、放尿、脱糞。

五味

脱糞はレベル高いっすね。

椎木

ツアーの時は10本打ち上げして8本漏らしてる…。しかも機材車の中とかで、最悪な状態で。27になってようやく、上からも下からも出したい時にしか出さなくなって。あと、変な粗相をして先輩に怒られて顔面骨折したり…。いやぁ、これは後味悪いなって言うことは全部やって…。打ち上げの酒はそういうふうになっちゃってて。

五味

同世代のバンドと打ち上げに行くじゃないですか、その時はどういう話するんですか?

椎木

同世代ですか? 最近は曲作りの話をしてるかもしれないですね。普通に飲んでても音楽の話はします。俺が相談しちゃったり、人に質問するの、好きっすね。いろいろ聞くの。で、全部真に受けるんですよね。興味ない人には本当に興味なくて。普通ぐらいだったらずっと質問してるかもしれないですね。

五味

……どういう人に興味があるんですか? 今、好きな人は?

椎木

今、地元だと、年末に会って、あいつに出会えてよかったなと思っているのは、シャッター街みたいなところに急にガラス張りの古着屋が出来て、なんだこれって思ってたんです。そしたら2コ下の、元々上越から東京に出て、また上越に戻ってきた子が開いている古着屋で。そいつと出会って、何かに属したりしないでやりたいことをやっているというか、これが俺のやりたいことなんだっていう同世代に上越で初めて出会った気がして。

五味

元々の知り合いじゃなくて。

椎木

よく行く居酒屋の忘年会に呼んでもらって行ったら、おしゃれなやつがいて。あの古着屋の人だって知って。12月20日過ぎたあたりに出会ったんですけど、年末年始はほぼ毎日一緒にいたかもしれない。

五味

面白いやつが出てきた。

椎木

はい。

五味

これから増えてくるかもしれないすね。僕も自分の店を始めたのは33の時なんですけど、30代くらいになったらみんな何かを始めたりとか。

椎木

そうなったらめっちゃ面白くなるかもしれないですね。そういった話を聞いてたら、自分も何かできるかもなぁって。「My Hair is Badが上越でフェスやります」とか、「大きいとこでライブやります」とか、そういうことじゃなくて、もっと普通に面白いことを思い浮かんだり、上越でこういうことやりたいなって思ったり…。それができるんじゃないかなって思わせてくれるようなやつがいましたね。僕、五味さんのお店に直接行ったことないですけど、LOSTAGEのPVとかで奈良を見たりすると、すっごいかっこいい街だなって思います。

五味

いいところだけ撮ってるから(笑)。でもそれで、どこかから奈良に来るきっかけになったらいいなっていうのはあるんですけど…。今日は上越市ってどんなとこかなとかって想像しながらこの現場に来たんですけど、My Hair is Badが新潟出身じゃなかったらそういうふうに思うきっかけもなかったから。今でも小さいライブハウスでやるのは、自分がどこから来たか忘れないためにって言ってたじゃないですか。それと同じで、自分がどの町で育ったかとか、バンドがどうやって結成されたかとか、そういうのが見えるっていうか、それをちゃんと守っている人だからいいなぁと個人的には思いましたね。

 

「バンドを辞めたいはなかったな。辞めたくないはずっとあるけど」
(五味)

 

五味

何か補足的なことはありますか?

 

――あの、音楽を続けている理由は何ですか?

椎木

音楽続けてる理由…。

五味

難しいわな。難しいですよ、それ。1時間以上かかりますよ。

 

――すみません(笑)。

五味

ある? 何か理由というか。

椎木

音楽を続けている理由はわかんないすね。みんな進学したり、就職する町で、うちの高校も進学率、就職率100%とかの年もあるくらいで。うちのメンバーは進学したり、就職したので、何で自分がフリーターになってまで音楽をやろうと思っているのかはっきりわかんないんですけど、ライブハウスに初めて行って、すげぇ怖そうなドレッドの先輩とかいる中で、ちょっとずつその中に入って行って。高1の終わりにMy Hair is Badが2回目のライブをしたとき、「今日のライブ、高3のあいつらよりよかったな」みたいなことを言ってもらえた時のことが忘れられなくて。それで俺はこれが得意なんじゃないかなって勘違いしたまま、今も続けてるんじゃないかなって。勘違いしたまま27歳になったような…。…五味さんが音楽を続けてる理由って何ですか?

五味

難しいなぁ…でも辞め時がなかったっていうか、他にやることがないなって。僕、趣味いっぱいあって、休みがあったらやりたいことがいっぱいあんねんけど、バンド以外は別にやらんでもいいことっていうか。メンバーと集まって何かやってる時間がなくなったら、もう何も面白くない。それがあるから他のこともやってみたいって思うし、他にやりたいことがないんですよね。

椎木

嫁みたいな感じですか? 一番好きな女みたいな。

五味

うーん、港的な。僕ずっと奈良でやってるから、奈良が地元で、奈良がホームですみたいな感じで言ってるけど、最終的に奈良じゃなくてもいいし、自分がやってるバンドのメンバーがいればツアー行ってても気持ちが安定するので、そこがホームかなって思います。メンバーの一人が弟やから余計そういうのがあるのかも。家族といると、イライラもするけど。

椎木

辞めたいっていう時はなかったですか?

五味

辞めたいはなかったな。辞めたくないはずっとあるけど。ただ、メンバーの環境の変化とか、節々のタイミングで活動ペースを下げなあかんかもとか、ちょっと俺辞めなあかんかもっていう話があると、「あ、俺辞めたくないな」って結構ダメージ受けるというか。どうする? メンバーが辞めるとかなったら(笑)。

椎木

……今、完全に自分に置き換えて考えてました。

五味

20代後半、30代になったら将来のことも考えだす。音楽でちゃんと収入があれば違うかもしれないですけど、バイトしながらバンドやってる人らは節目とかあるから、そこでガッと辞める友達とかも多いと思うよ。

椎木

うちのメンバーも、二十歳の時とか何歳までに形にならなかったら辞めるとかあって、1回体がしんどくなったりして、「このままだとバンド続けられないな」って弱音吐いてるのを見た時、「やべぇ、なんとかしないと」って。

五味

続けたいという気持ちがある。一緒にやっていきたい。

椎木

そうすね、めちゃめちゃあるかもしれないです。今、その時のこと思い出したんです。My Hair is Badという絶対あると思ってたものがなくなっちゃうと思った時、辞めたくない!って思ったなぁって。でも、続けていくために新潟県上越市っていう地元はすごく強みかもしれない。

五味

いや、それはあると思いますよ。うらやましいって言われるもん、俺らも。奈良で、自分のペースでやれていいよなって。まあ、いいことばっかじゃないけど、帰る場所があるとか、応援してくれる人がいるとかっていうのは。

椎木

富山ソウルパワーっていうライブハウスがあって、そこの店長が口酸っぱくして言ってたのが「バンドには地元がないとダメ」で。地元がないバンドは必ずつぶれるって昔から言われていて。刷り込まれているのかもしれないです(笑)。

五味

それ、富山の人が言ってるというのが説得力ありますね。それはすごくわかる。俺もそう思う。地元がなくてダメとは思わないですけど。

椎木

その教えに則ってきたような気がしますね。思い出した、急に。

五味

どこから来たかっていうのは、場所だけじゃないかもしれないけど、何かあるんでしょうね。

 

――もう少し、いいですか。上越市は結構、雪降るんですか?

椎木

はい、めっちゃ降りますね。今年はちょっとびしゃびしゃのタイプの雪ですけど、積るっすね。雪が降ったら強烈にストレスですね。まず雪かきしないと車出せないっていうところでストレス。

五味

アイスランドとか、あっちの国の音楽って、すごい透明感があって。雪が降ると出られへんから家にずっといて、そういう音楽になったみたいなことをドキュメンタリー映画でやっていて。友達と集まってやったりとか、一人で宅録とかして。環境から来るものがあるでしょうね。北海道の音楽も特殊なものが多いですね。

椎木

上越は日本一晴れが少ないんです、しかも。曇りが最も多い。

五味

そういう抑圧されたとこからできた曲、イライラして(笑)。

椎木

ほんとそうかもしれない(笑)。

五味

情景が浮かぶ(笑)。曇り空の下にいる椎木君を思い浮かべたら何となく合点がいきました。

 

 


取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:高橋はじむ
企画・構成:岩本和子