2016年7月、京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』に出演し、女優として初舞台を踏んだNMB48の石塚朱莉さん。役者としての第一歩を踏み出したばかりの彼女が、さらなる高みを目指すべく、脚本家や演出家など演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします！

今回ご登場いただいたのは、女優としてはもちろん、情報番組のコメンテーターなどでも活躍されている才色兼備の宮澤エマさん。2013年に宮本亜門演出のブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング～それでも僕らは前へ進む～』で舞台デビューして以来、『天使にラブ・ソングを～シスター・アクト～』や『ラ・マンチャの男』などに出演し、注目を集めています。現在は東京公演絶賛上演中の、そして5月4日（木・祝）に大阪公演が開幕するミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』に向けて稽古に励む宮澤さん。歌への向き合い方、役作りや体調管理の方法など、一つひとつ丁寧に答えてくれました！

体調管理の方法

石塚

ミュージカルって、喉にめちゃくちゃ負担かかりますよね？　期間も長いし、昼も夜も公演があると喉のケア大変じゃないですか…？

宮澤

大変ですね（笑）。作品にもよるんですけど、公演数も多いうえに、地声で高音を歌うことが何回も続く作品だとすごくきつくて、なるべく声を使わないように、筆談したりするんですよ。家に帰っても、誰とも喋らないくらい。

石塚

一切声を出さないんですか？

宮澤

その時の作品が特別だったんですけどね（笑）。声をセーブして、加湿器で湿度60％を保って、アスリートみたいに声を守ることだけを意識していました。声が出ないと自分もストレスだし、お客さんも聴いていて気持ちよくないし。なかなか、体力勝負だなって思います。

石塚

やっぱり、喉が一番大事ですよね。ほかにもケアされていることはありますか？

宮澤

私、寝るとき口が開いちゃうんですよ（笑）。そうすると、ものすごく乾燥するから、ドラッグストアで買った口元に貼るテープを貼って、口が開かないようにして寝るんですよ。本当に誰にも見せられない面白い顔になるんですけど（笑）、それをやると朝、全然カラカラにならないからすごくオススメです！

石塚

特に冬は怖いですよね。

宮澤

インフルエンザとか、いろいろ流行りますからね。手洗い、うがいは勿論ですし、常にのど飴をなめて潤しています。あと、ミュージカルをやり始めてお肉を食べるようになりました。

石塚

お肉ですか？

宮澤

お肉は力になると皆さんおっしゃっていて、特に馬肉は声にいいらしいんですよ。実際に喉に効果があるかどうかはさておき、体力勝負なので、常にエネルギーがないと段々しんどくなってくるんですよね。そういう意味でも、みんなお肉はよく食べていると思います。

石塚

じゃあ、お肉を食べることを口実に（笑）。

宮澤

そういうことです！　“これは身体のためだから”って、焼肉に連れて行って頂いたりして（笑）。私もミュージカルをやり始めてまだ4年くらいなので、“このうがい薬がいいよ”とか、“この飴がいいよ”とか、先輩方にいろんなことを教えてもらっています。プロポリスとか、マヌカハニーも殺菌効果があっていいらしいですよ。

石塚

そうなんですね～。覚えておきます！

石塚

あと、宮澤さんってめちゃくちゃおきれいじゃないですか。肌もめっちゃきれいで。

宮澤

いやいや…、メイクさんのおかげです（笑）。

石塚

気を遣っていることはありますか？

宮澤

なんだろう…。やっぱり加湿ですかね。私、すごくずぼらなんですね。夜も“早くメイク落として寝たい！”って思うので、とりあえずメイクだけは落とすということを自分で決めて。どんなに遅く帰ってきても、メイクは落として寝るようにしています。

石塚

あ～。私、メイクしたまま寝ちゃったりします…（笑）。

宮澤

寝ちゃいますよね、分かります（笑）。でもまだ大丈夫！　ピチピチだし、気にするのは先で大丈夫ですよ。

石塚

そうですかね～。

宮澤

前に知り合いから“あれだけ時間をかけてメイクするのに、なんでメイクを落とす時間を取らないの？”って言われたんですよ。それに、“メイクをしたまま寝るのは、雑菌とかゴミが顔についたまま寝てるのと同じだから！”って（笑）。

石塚

うわ～。

宮澤

衝撃的なこの言葉がいつも頭をよぎるので、どれだけ疲れていても、メイクは落として寝るようにしています。

石塚

そうですよね。写真でアップになったりもしますしね。

宮澤

そうなんですよ～。だから、なるべく撮影の前日とかは早く寝ます。でも、気にしすぎるのもストレスかな～と思うから、あまり気にしすぎないようにもしていますね。

石塚

次に出られる『紳士のための愛と殺人の手引き』は、オーディションを受けられたとお聞きしたのですが、なぜ受けようと思われたんですか？

宮澤

たまたま、2015年くらいにブロードウェイでこの作品を観ていて、すごく面白かったんですね。そのユーモアセンスが日本人にも合うんじゃないかなと思ったのをすごく覚えていて。日本でやるなら、フィービーという役は誰が演じるんだろう～ってすごく呑気に考えていたんです（笑）。ソプラノの役で、オペラ調だったので、一緒に観ていた祖母と“大変だね～、あの役”とか言って（笑）。

石塚

すごい。たまたま、ご覧になっていたんですね。

宮澤

そんなことを言ってると、オーディションのお話が来たんです。元々、オペラのトレーニングを受けていないので、愛人役のアルトかな～と思っていたら、“愛人役は早い、あなたはフィービーを受けてください”って言われて（笑）。それで、一生懸命練習してオーディションを受けたら、役を頂けることになったんです。

石塚

どんな内容なんですか？

宮澤

“市村正親さんが8回殺される”とポスターに書いているんですけど（笑）、主役の男の子の復讐劇でもあるんですね。自分が伯爵になるために親戚を8人殺していくというストーリーで、こう説明すると怖いように聞こえますが、その死に方がとにかく面白いんです。不謹慎だとは思うんですけど、不謹慎なものって、ちょっと面白かったりもするじゃないですか。殺されていく人たちが、すごく身勝手で、一見いい人に見えるけど、自分の私利私欲のために動いていたりもするので、スカッとするんです。まさか笑うと思っていなかったシーンで笑ってしまうユーモアのセンスというのが、この作品の大きな魅力の一つかなと思うので、あまり構えず観に来て頂いて、笑って頂けたらと思います。

石塚

面白そうですね～！　どんどん殺されていくのに笑えるって…（笑）

宮澤

私もブロードウェイで観たとき、“こんな話だとは思わなかった！”って、いい意味でのギャップがありました（笑）。面白かったし、耳に残るような美しいメロディーもたくさんあって。すごく楽しい作品になると思いますので、ミュージカルファンはもちろん、観慣れていない方にもぜひ、気軽に楽しみに来て頂きたいですね。

宮澤

めちゃくちゃ真面目ですよね～。

石塚

いや～…（照）。

宮澤

私もまだまだこれからで、学ぶことがたくさんあるので。こうやって質問を受けて、“あ～、自分はどうなんだろう”って考えながら話していくと、逆に発見することも多かったです。一緒に頑張りましょう！っていう気持ちでいっぱいです。

石塚

頑張って、宮澤さんの背中を追いかけます！（笑）

宮澤

ただ、この業界は、オーディションを受けては落ち、受けては落ち…っていうことはいっぱいあるので、落ちてもめげずに、“この役は自分に合っていなかったんだな！”くらいの感覚でいるのが大事だと思います。その方がどんどん前に進んでいけるのかなと思うので、ぜひ頑張ってください！

石塚

はい。ありがとうございます！　写真で見たときは、きれいなお姉さんだな～、私とはほど遠い方だな…と思っていたんですけど、実際にお話させていただいたら、すごく気さくな方で。こんな人になれたらな～！っていう、私の将来の目標になりました。

宮澤

え～、うれしい！　お互いに、高みを目指して頑張っていきましょう！

石塚

ありがとうございました！