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土井コマキのシネマライフ


今回紹介するのは…
『the Future ザ・フューチャー』

the Future ザ・フューチャー
(C)Todd Cole 2011 (C)THE FUTURE 2011

『君とボクの虹色の世界』の
ミランダ・ジュライ監督最新作!

【あらすじ】

映画監督として活動し、著作『いちばんここに似合う人』が人気を集めるなど多方面で活躍するマルチアーティスト、ミランダ・ジュライが監督・脚本・主演を務めた斬新な人間ドラマ。恋人と同棲する35歳の女性がケガをした猫と出会ったことを機に、それまでの人生を見つめなおし新たな一歩を踏み出す過程を描く。同棲して4年目になるジェイソンと暮らすソフィーは、ケガをした猫を引き取ることになり、猫を迎えるまでの1か月間、仕事を辞めて自由に自分がやりたかったことをすべてやってみようと決める。しかし時が経ち、何も成し遂げられない空しさを感じた彼女は……。繊細な映像とファンタジックな表現に魅了される作品だ。

【Movie Data】

●2月16日(土)より、
梅田ガーデンシネマにて公開

公式サイト
http://www.the-future-film.com/

「土井コマキのシネマライフ」一覧

コマキ's レビュー

新しい自分になりたいふたりと猫
深読みしがちな“こじらせ系女子”に超おすすめです。

主人公は35歳のカップル、ジェイソンとソフィー。四捨五入したら40歳というところで、歳を重ねることが突然怖くなって焦りを感じ始めて、ケガをした猫をシェルターから引き取るまでの1ヶ月間やりたいことだけをしようと決めます。とはいえ、実はそれってなかなか苦しいこと。自分ってこんなに実力がないんだなぁと気づかされたり、他人と自分を比べて余計に落ち込んだり。言い訳は出来ないですからね。新しい自分になりたいふたりと猫。さて1ヶ月後どんな自分たちに会うんでしょう。自分探しをするには一般的には遅すぎる年齢かもしれないけど、若いときのそれとは違う迷いや不安が30代中盤にはありますよね。その辺りが描かれているんですが、さすがマルチアーティストとして様々な分野で活躍するミランダ・ジュライ監督だけあって、アーティスティックに表現されています。色々な人やモノがお告げめいた抽象的なことを言ったり、ミランダ演じるソフィーが雲を掴むみたいな不思議なことを言ったりで、いちいちヘンテコ。全部隠喩って感じで、直接的じゃないの。単純に色使いや衣装も可愛いので、それに気を取られてボンヤリ観てると、大事なメッセージをつかみ損ねるかも。深読みしがちな“こじらせ系女子”に超おすすめです。


 

コマキは見た! その①

the Future ザ・フューチャー

ジェイソンに、たくさんの気付きをくれるお爺さんが、なんともユニーク。このお爺さんはプロの俳優さんではなく、ミランダが脚本を書いているときに偶然出会った方で、彼のために役を書いたんだとか。しかも、台詞は即興とのこと。でも、ええこと言うんです、この人。ちょっと変な人だけど!

コマキは見た! その②

the Future ザ・フューチャー

コンテンポラリーな身体表現シーンが何度か出てきます。私、実はコンテンポラリーダンス経験があるので、すごく気になりました。古いTシャツを大きな風船みたいにして、その中に入り込んで踊るシーンが強烈。古い自分にくるまれて、もがいてるみたいに見える、狂おしいシーンです。

 

コマキ's select『the Future ザ・フューチャー』に捧げる“5 Songs”


映画を観て、選びに選び抜いたコマキ的
『the Future ザ・フューチャー』に捧げる5曲を発表!

①Peggy Lee「Where or When」

②Beach House「Master of None」

③一十三十一「ACROSS THE UNIVERSE」

④It's A Musical「Bring It On」

⑤Here We Go Magic「How Do I Know」

①は、映画の中で鍵となるジャズナンバー。2人の合図として出てきます。これがとてもいい歌詞なんです!
②予告でも流れているあの曲です。ちょっとメランコリックで1回聴いたら耳から離れない不思議な響きですね。
③なかなかの破壊力をもつドリーミーなカバーです。
④⑤It's A Musicalはドイツの男女2人組。Here We Go Magicはブルックリンのバンドです。この2曲に合わせてミランダのダンスが見たい!

 

次回更新は2月22日(金)予定!


(2月8日更新)


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