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土井コマキのシネマライフ


今回紹介するのは…
『コクリコ坂から』

コクリコ坂から
(C)2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

スタジオジブリが贈る
横浜を舞台にした青春物語
『コクリコ坂から』のDVDが発売中!

【あらすじ】

1980年に人気漫画雑誌『なかよし』に掲載された同名少女コミックを原作に、東京オリンピックの前年の1963年の横浜を舞台にした高校生の青春物語『コクリコ坂から』。昨年、異例の2年連続でスタジオジブリの作品が劇場公開されたことでも話題となった本作が、待望のDVD化。監督は『ゲド戦記』以来5年ぶりとなる宮崎吾朗が務め、ヒロインの海を長澤まさみ、ヒロインが思いを寄せる青年・俊を岡田准一が務めるなど、豪華な声優キャスト陣でも話題を集めた作品だ。また、宮崎吾朗監督の初監督作『ゲド戦記』の主題歌でデビューを果たした手嶌葵が、本作でもノスタルジーを誘う主題歌を披露している。海と俊というふたりの高校生の純愛物語を描きながらも、現代にも通じる、高校生の青春物語を瑞々しく綴った感動作だ。

【DVD Data】

発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
価格:DVD2枚組 4935円

「土井コマキのシネマライフ」一覧

コマキ's レビュー

手嶌葵さんの歌からインスピレショーンを膨らませて
生まれたような、大人の時間を大切にしたくなる映画です

大人の時間を大切にしたくなる映画だと感じました。大人にはひとりで過ごす静かな時間が多いですが、そこで起きることが実は大切な気がするんです。さらには、その時間を経て感じる何かが重要なことだと思う。だから、私がとても好きなシーンは、ヒロイン・海が思いを寄せる俊に冷たくされて、雨の中をひとりで歩いて帰るシーンです。鈍色の世界に赤い傘のドームが浮かび上がる。短いシーンだったけど、あの傘の中で雨音はどんなリズムを海の心に刻んだだろう。いつもとは全然違って、傘の中に世界があったはず。その時間に感じたこと考えたことが、海を大人にする。そんな周りから見たらなんでもない「無」のような時間、余白のような時間が、手嶌葵さんの歌声にはある。本当に素晴らしいです。まず歌ありき、そこからインスピレーションを膨らませて生まれた映画なんじゃないかと思うほど! あの歌声こそが、この映画の主役なのではないかと思ってしまう。最後、父を思い毎日掲げていた「U・W」旗(安全な航行を祈る)を、海上から初めて自分で眺めた時、海の心にどんな風が吹いただろう。ここから海の人生の航海が始まる。凛とした強さと美しさを持った聡明な人生に、きっとなる。そんな後味の映画でした。


 

コマキは見た! その①

最初のシーンのあの目玉焼きは絶対おいしいはず。「どこかで食べた有名なもの」、とかよりも、「誰かと食べたらいつもとは違っておいしく感じた」に惹かれがちな私です…。シチュエーションが大事なんですよね。さらにコロッケも、最高。そりゃ、ひとりごと言っちゃいます、「おいし笙。」って!

コマキは見た! その②

古くても丁寧に手入れされた清潔な建物って、やっぱりすごく魅力的。掃除される前のカルチェラタンのステンドグラスが、磨かれる時を待って眠っている、隠された色気にドキドキしました。コクリコ荘の2階の廊下も気持ちよかっただろうなぁ、ひんやりして、風もふいてて。裸足で歩きたい!

 

コマキ's select 『幸せへのキセキ』に捧げる“5 Songs”


映画を観て、選びに選び抜いたコマキ的
『コクリコ坂から』に捧げる5曲を発表!

①手嶌葵「朝ごはんの歌」

②阿部海太郎
「Recipe for Cabbage Roll」
(ホノカアボーイのサントラに収録)

③原田郁子「たのしそうかなしそう」

④スピッツ「夏が終わる」

⑤Salyu「VOYAGE CALL」

①手嶌さんの歌が本当に素敵。挿入歌「朝ごはんの歌」も朗らかでいいですよ。朝ごはん作りたくなっちゃう。
②すぐ思い出したのが映画「ホノカアボーイ」のサントラから「Recipe for Cabbage Roll」。野菜を切っている音から始まって、サンプリングされた色んな生活音がリズムを作り出す1曲。映画の中でも映像とリンクしてて素敵だったんです。
③瑞々しい初恋には、自転車のシーンにピッタリな郁子ちゃんの「たのしそうかなしそう」。
④次の季節へと移り変わるスピッツ「夏が終わる」。
⑤海辺の坂の上で父を待つだけだったけど、これからは自分の航海にでていくヒロインにはSalyu「VOYAGE CALL」を勝手に捧げます!

 

次回更新は7月13日(金)予定!


(6月29日更新)


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