父、團十郎と最初で最後の映画初共演
「父としっかり戦うことが
出来て楽しい撮影でした」(市川海老蔵)
『利休にたずねよ』
市川海老蔵と田中光敏監督が参加した会見レポート
田中光敏監督が、『火天の城』(2009)に続き山本兼一の第140回直木賞作品を映画化した『利休にたずねよ』が、12月7日(土)より梅田ブルク7ほかにて公開に。本作は、日本の偉大な芸術家として知られる千利休の切腹にまつわる真相を、重厚に且つ斬新な切り口で描き出し、全く新しい利休像を誕生させた作品。公開を前に行われた会見には、主演の市川海老蔵と田中光敏監督が参加した。
前作『火天の城』の編集作業の最中から著者の山本兼一の薦めで『利休にたずねよ』の原作小説を読み出したという田中監督。その後、すぐにこの小説に惚れ込み映画化の話に。そこで「主演の利休役は海老蔵さんしか考えられない」とふたりの意見は一致し、オファーを出したという。しかし、海老蔵はそのオファーをすぐに快諾しなかった。それについて海老蔵は「利休はとても位の高い歴史上の人物。私も、他家の方が初代團十郎を演じると聞いたら、やはり抵抗がある。なので私ごときが演じていいものかと考えた」と、断り続けた理由を語った。また、今まで三船敏郎や三國連太郎などが演じてきた利休という大役に、周りからは「まだ早いんじゃないか」という意見もあったとか。それでも根気強く「どうしても出ていただきたい」と脚本を何度も書き直したりしながら、そのラブコールはなんと1年も続き、海老蔵の気持ちを揺らすことに成功。「ここまで求められたら、応えなくてはいけない。そこから初めて原作に触れ“天才が最初から天才なわけではない”ということが描かれていることを知り、これならば出来るのではないかと思った」と当時を振り返り、一筋縄ではいかなかった出演に至る経緯を明かした。田中監督は「(海老蔵さんは)心で演じられる人。彼が涙を流す演技を見て、スタッフがもらい泣きをしてしまったり。そうかと思うとギラギラとして人間的な部分もある。日本映画界広しといえど、市川海老蔵をおいて、こんな俳優はいないと思っていましたし、撮り終えた今でもそう感じています」と絶賛した。
本作で利休の妻、宗恩を演じたのは、海老蔵と以前から茶道を通して親交があった中谷美紀。「妻役が中谷さんと聞いたときはほっとしました。演技や容姿の美しさはもちろんですが、“和”の美意識をお持ちの方ですから」と話し、中谷が共演者やスタッフの男性に、海老蔵は女性に撮影中にお茶を点てたこともあったと裏話を語った。
また本作では今年2月に他界した父、團十郎と最初で最後の映画初共演を果たしている。「歌舞伎では父に教わったこと以外のことをすることは絶対にありませんが、映画というフィールドでは、父に教わっていないこともぶつけた。それに対して不満そうな顔をしていたことを今でも覚えていますが、父としっかり戦うことが出来て楽しい撮影でした」と心境を語った。
撮影は、東映京都撮影所にて2012年11月5日から開始。スタジオセットのほか、三井寺、神護寺、彦根城といった国宝級の建造物で敢行された。「数々の国宝や文化財で撮影出来たのは、撮影所のスタッフと京都の結びつき、千利休という人の偉大さのおかげ」と田中監督。そして、海老蔵の希望により集められた本物の茶の名器たちも本作の見どころ。それらに触れるだけで衝撃だったという海老蔵は「よく漫画で、宇宙空間にいるような表現がありますが、まさにそんな感じ」と興奮した様子でコメント。「その後も骨董屋巡りをしたり、大変な思いをしている」と笑顔を見せた。
最後に海老蔵は「僕はお世辞を言うタイプではありませんが、この映画は観終わった後、腹の中に何かが染み渡るような今までにあまりない、いい映画に仕上がったと思います。どうぞよろしくおねがいします」と締めくくりPRした。
実際に撮影で使用した「待庵」セットが堺市役所21F展望ロビーに!
【期間】2014年3月31日(月)まで
【時間】9時~21時
【場所】堺市役所21F展望ロビー
〒590-0078 大阪府堺市堺区南瓦町3-1
【入場料】無料
※TOP写真は左より、市川海老蔵、田中光敏監督、竹山修身堺市長
(2013年12月 6日更新)
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