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ホーム > インタビュー&レポート > 金管楽器とパーカッション、そしてフラッグや フォーメーションなどのパフォーマンスで魅せる エンターテインメントショー「blast ブラスト!」を キャストの石川直、和田拓也、米所裕夢が語る!

金管楽器とパーカッション、そしてフラッグや
フォーメーションなどのパフォーマンスで魅せる
エンターテインメントショー「blast ブラスト!」を
キャストの石川直、和田拓也、米所裕夢が語る! (2/2)

--石川さん、2000年に入られて10年くらいは日本人キャストとしてはお一人でしたが、この10年間、どういうふうに変化していきましたか?
 
石川:10年の間にものすごい人数の方が出たり入ったりしました。5年ぐらいですでにユニフォームの番号が4桁に入っていたので。これは「blast ブラスト!」のユニフォームに袖を通した人が5年間で1000人いるっていうことですよね。なので、単純計算でいくと……、結構な人数ですね。単純計算って言っておきながら答えを言わなかったですけど(笑)。
 
--1年で200人になりますね(笑)。
 
石川:10年だと2000人以上、いろんな人がいて。一時期「blast ブラスト!」は3つのグループが、同時進行していたこともありました。僕もその中の1グループに入らせていただけたりとか、1回退団してまた戻ってきたりだとか、いろいろと変わりました。でもやっぱり、日本人が入ってきたのはすごく大きな変化でしたね、僕の中でも。というのは僕が日本人で、日本の文化を見て育ってきたからで。たとえば「ダウンタウンの浜ちゃんと松っちゃん、おもしろいね」ってドラムセットを叩いているジョーイに言っても、ジョーイは理解してくれない。それを笑えるのがこの二人なので、そういうことができるだけでも楽しさが変わってきて。日本人の面白さだとか、日本人ならではの目線、仁義だったり、侘びさび、そういった日本人特有の視線、目線から何かを捉えたときに“非常にいいよね”“あれがすごかったよね”と分かち合える。僕の中のたくさんのチャンネルを共有できる二人が来たというのが…、もう、夜に一人で泣かないで済む(笑)。
 
--寂しかったんですね(笑)。
 
石川:(笑)、そうですね“ダウンタウン”が通用するようになった。僕は中学、高校、大学とアメリカで過ごして、その延長で「blast ブラスト!」に入ったので、環境が変わった感覚はそんなになかったんですね。逆に、「blast ブラスト!」に入って3年目ぐらいでアメリカ人の彼らと一緒に日本に来ることができたことが、僕にとって大きな変化であり、うれしかった出来事の一つなんです。そこから10年経って、二人が入ってきたことで“これだけ感覚が開かれるんだな”っていうの実感して。せき止めていたものがあったんだなって思いました。ここ(頬)に涙の後がついてたことに気づかなかった……みたいな(笑)。……なんか飛ばしすぎてんな(笑)。
 
和田:めっちゃ切ないですね(笑)。
 
石川:実際はそんなことないですよ(笑)。今のは嘘です。でも楽しいという感覚がここまで封印されていたかっていうのが。何かまたポンッと解凍された感じで、面白い時間が増えたぞっていうのがありました。単純に「楽しさが倍になった」って言ったらわかりやすいかな。
 
--2012年の公演で日本人キャストが3人になりました。その時点で、お客様の意識など違ってきましたか?
 
石川:そうですね、徐々に僕の方じゃなくて和田の方を…。
 
--言い方を間違えました(笑)。お客さんの「blast ブラスト!」への親しみやすさと言いますか…。
 
石川:たとえば17歳、18歳ぐらいの高校生がいて、その人がフレンチ・ホルンを吹いているとして、「僕は日本人で『blast ブラスト!』という舞台をやっていて、同じ日本人だけども(石川さんとは)年齢がまず20歳ぐらい離れてるし、あの人がやっているのは太鼓で、自分がやっているのはフレンチ・ホルンだから、何か共通点を見つけようと思ってもわからない」と。だから、何かいいなと思っていたとしても、どこまでいいのかがよくわからない。ここに“3世代”というのか、20代前半、アラサー、アラフォーとそれぞれの年代がいて、それぞれのセクションの専門家がいてということが、おそらくお客様にリンクできるんだと思います。たどり着ける感覚が近い人が増えたことで感覚を共有するというのか、感情移入しやすい「blast ブラスト!」になったみたいな部分はあるかなって思います。若い子たちというのは、自分の姿を憧れの人に重ね合わせて、“自分が大きくなったら、何年後かには、ああいうところにいけるんじゃないか”って夢を見るというか。確かに僕もそういう感じだったので。ある大会でスネアドラムで優勝した人の映像を見て、それを目標にしていたところもあったので、日本人キャストの出現でその対象が増えたということで、(こういった世界を目指す人には)より目標となる「blast ブラスト!」になったんじゃないかなと思います。特に彼(米所)は19歳でオーディションに合格して、20歳でツアーに入ったので、高校生たちからするとほんの数年先にあり得る可能性が出てきた。もうあと1、2年経ったらあり得るんだっていう、そこがやっぱりすごく大きな変化になったんじゃないかなと思います。
 
--なるほど。では、今年も「blast ブラスト!」で全国47都道府県ツアーをされますが、2012年の全国ツアーはどうでしたか? 大変だったと思いますが。
 
米所:当時20歳だったのですが、プロモーション活動も併せると20歳で日本を2周しているんですね。それはすごくよかったなって思うんですけど、47都道府県を回った実感が沸いてきたのは全公演が終わってからでしたね。2012年のときは、ツアーの途中で体調を崩してしまって。ステージには出られる範囲だったのですが、ベストでない状態で迎えないといけない本番が1回、2回、あったんです。そんなこんなで「このペースで行けば大丈夫」って体調をコントロールできると思った頃には公演が終わっちゃったので、次はそこからスタートできるようにと思いました。
 
--「blast ブラスト!」に入って、初めてツアーで全国を回ったんですよね。
 
米所:同じことを毎日、毎日、3ヵ月半で100何公演ということは、したことなかったです。一応、構えてはいたんですが、それを上回るぐらいで…。体力づくりも必要だなって痛感しました。
 
--20歳でそのご経験はすごいですね。
 
石川:そうですよね。20歳のころって僕、トンネルとか作ってましたよ、砂場で。
 
--それもすごいですね(笑)。
 
米所:ある種(笑)。
 
石川:すみません、自分を元気付けるために、時々こういうことを言ってしまうので…(笑)。20歳のころはもう、ドラムを叩いてました!
 
--では、和田さんもご感想をお願いします。
 
和田:僕は楽しかったですね。いいことしか残ってないです (笑)。毎日運動をしていれば疲れるのは当たり前だし、怪我しないようにとか、そういうことは注意深く考えていて、そのことが自分の精神的な面にマイナスの影響を及ぼすかというと、そういう心理状況にもならなかったですね。それは自分自身、すごく意外でした。ツアー表を見た時点では“疲れはてて、朝起きるのがしんどくなるんじゃないかな”って思ってたんです。メンバーにも冗談半分で言ったりして。でも、意外とというか、精神的には健康な状態でした。それはなぜかというと、間違いなく喜びとか、楽しみとか、明るいエネルギーがあったからだと思いますし、メンバーとそういう時間やエネルギーを共有して、何よりもお客様からいただいて…。それは意外な発見でした。こんなことがあるんだなって、不思議な感覚というか。エネルギーってすごいな。
 
石川:サボろうとは思わなかった?
 
和田:そうですね(笑)、ワクワクしながら劇場に行くというか、毎回“今日はどんな本番になるんだろうな”っていう期待感がありましたし、後は単純に生きていて47都道府県を旅行するのは難しいと思うので、日本人として国内を訪れたことができて嬉しかったです。
 
--石川さんはどうでしたか?
 
石川:47都道府県を回るっていうのは、僕の中ではすごく楽しい旅行に出るような感覚が少なからずあったんですが、ふたを開けてみると、一体今、どこの何県のどのあたりにいるのかわからないというような状態があって。どこかの国道を走って、会場に着いて。駐車場でバスから降りて、そのまま会場に入ったら、「ここは○○県の何という会場で…」という話は聞くし、ツアー表を見ればその場所も分かるんですけど、騙されて違う場所にいてもおかしくない。で、楽器をセットして、準備運動して、ショーをやって、片付けて、またバスに乗る。走っている間に寝てしまって、ふと目が覚めたらホテルで。「ここは○○県の何というホテルで」と教えてもらうけど、そこでもまだ騙されているかもしれない。そういうことが何日間か続くゾーンがあって。そういうことがあったからこそ、今回のツアーは、僕にとっても濃厚なものにするというか…。47都道府県を回る中でレシーバーとしてのツアーの楽しみ方もあれば、自分がやり通す、自分から発信する、自分を奮い立たせて乗り越えようという、自分に試練を課す、タスクを越えるゾーンはここだと考えてやっていって。自分はこういう表現ができる、影響を与えることができる、こういうことをやってのけられる人間になれるんじゃないかって、理想に近づくためのステップを登ることができるだろうなという期待を感じます。
 
--では最後に、「blast ブラスト!」全国ツアーへの意気込みを、それぞれお願いします。
 
米所:僕自身のことになってしまうんですけど、最初に申しましたように今回2回目のツアー参加で、前回から2年経て成長した自分を見てほしいです。2年間で変わったことを伝えたいです。僕も楽しみですし、来てくださる方にも楽しみにしてもらえたらと思います。
 
和田:「blast ブラスト!」という舞台は、ストーリーや台詞はなく、色をテーマにショーを展開していきます。そこに想像の余地があるといいますか、10人が観たら10通りの感想が生まれる自由度がありますし、年齢も性別も、国も問わないような一面も兼ね備えています。僕たちがアメリカで生まれた舞台をアメリカ人とともにやっている時点で、言葉を越えて、音楽でつながっているということを体現できていると思いますし、そういった間口の広さが「blast ブラスト!」の魅力のひとつかなと思います。なので、そこからいろんなものを感じ取ってもらえたら嬉しいです。あと、これは僕の個人的な意気込みになりますが、今回も常にベストを狙っていきたいと思います。もう一つは、僕たちを観て、また新たな世代が育ってほしいといいますか、「blast ブラスト!」を観て憧れたり、もしかしたら自分もなれるかもしれないと思ってもらえたりすると、やっている意味があるのかなと。日本は吹奏楽人口がすごく多いので、この国で新たな世代が生まれたらいいなと思います。そういう意味でも、いろんな方に観ていただきたいと思ってます。
 
石川:何年もやっていて、「前よりももっとうまくなりたい」とか、「より完璧にこなしたい」とか、そういうふうに思っていた年もあったんですけど、何回もツアーをスタートして、クリアして、もう1回もとに戻って頭から見たら、まだまだ違うものがいっぱいあるということに気づいて。自分が見ていた「blast ブラスト!」の視線もしくは視点は、ほんの一部分で勝負をしていたところもあるんじゃないのかと。ざっくりとした言い方になってしまうのですが、考えていることや、日々の精神的なコンディションとかが関わってきたりするので、変化させることはできなくても、みんながちょっとずつ気づき合うことで理想とする方に行ける気がするんです。そういうちょっとしたところから新たな「blast ブラスト!」のエネルギーを持って関西に戻ってきます。僕たちも、今までにない「blast ブラスト!」が生まれることを期待しています!



(2014年8月 7日更新)


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写真左から和田拓也、石川直、米所裕夢
   
   
©Joan Marcus/Yow Kobayashi

「blast ブラスト!」

発売中 Pコード:434-830
▼8月28日(木) 18:30
守山市民ホール 大ホール
指定席-9500円

▼8月29日(金) 18:30
文化パルク城陽 プラムホール
指定席-9500円

▼8月30日(土) 16:30
和歌山市民会館
指定席-9500円

▼8月31日(日) 16:30
なら100年会館 大ホール
指定席-9500円

追加公演!
9月1日(月)森ノ宮ピロティホール
関西最終公演決定!!

8月10日(日)10:00~チケット発売
Pコード:439-151
▼9月1日(月) 14:00/19:00
森ノ宮ピロティホール
S席-9500円
A席-7500円
※3歳以下は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888

http://www.blast-tour.jp/special/index.php

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