インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > ミスワカナに水野真紀、玉松一郎に木村祐一を迎え 戦場で活躍した「わらわし隊」を描く8月公演 主演の水野に作品への思いをインタビュー!

ミスワカナに水野真紀、玉松一郎に木村祐一を迎え
戦場で活躍した「わらわし隊」を描く8月公演
主演の水野に作品への思いをインタビュー!

今年で創業100周年を迎えた吉本興業が、創業からの歴史を綴った芝居『吉本百年物語』をなんばグランド花月で連日、上演している。物語は月替り、7月は昭和初期の大阪を時代背景に、様々な文化が流入し、好景気に沸いた“大大阪”の様子と、女性漫才師として絶大な人気を誇ったミスワカナを主人公に据えた「笑う門には、大大阪」を繰り広げた。そして物語は、ミスワカナ・玉松一郎らによる「わらわし隊」結成までを描いて8月公演へ。
この「わらわし隊」とは、吉本興業と朝日新聞社が共同で立ち上げたプロジェクトで、日中戦争勃発後の中国で兵隊たちの慰問を目的に結成した演芸部隊のこと。8月公演では主な舞台を中国に移し、「わらわし隊」たちがいかなる思いで戦場に笑いを届けたのか、戦地へ赴いた彼らを追った物語を上演する。
そこで、ミスワカナ役を7月公演の藤林美沙から引き継いだ水野真紀に役柄についてはもちろん、『吉本百年物語』の魅力など話を聞いた。

--4月より始まっている『吉本百年物語』ですが、まず、水野さんはこのシリーズについてどのような印象をお持ちですか?

水野真紀(以下、水野):1年間、12回にわたって吉本興業の歴史をたどっていくわけですが、当然、時代時代が重なると前月の役者さんと次の月の役者さんが同じ役を演じることになりますよね。5月公演、6月公演を拝見して、改めて演じる方が変わるとその人物もがらっと変わるんだなと思いました。また、吉本興業の100年の歴史において、相当、濃い芸人さんたちが絡んできますよね。ストーリー性と人間模様、縦糸と横糸がいろんなふうに折り重なっているという、そういう面白さがあると思いましたね。

--そして8月公演では漫才師のミスワカナの役ですね。

水野:ミスワカナは破天荒な人生を送ってきた人だけど、舞台に出るとそのすべてを忘れちゃうくらいの魅力があって。その魅力にお客さんたちは彼女のことを「明るい」と捉えてくださるわけなんですが、でも誰しも明るいだけではなくて。8月公演では、彼女の影の部分とか、葛藤する部分も描かれます。ミスワカナの一面、知らない一面を見ていただけると思います。

--ミスワカナの光と影。

水野:人ってそれぞれで脚色したがるでしょう。私は、ミスワカナは悔いのない人生だったんじゃないかなと思っているんです。どの時代に生まれるかは運命でしかないけど、彼女は彼女なりに与えられた環境の中で頑張ったんじゃないのかなって。あと、日本に戻ってきて、わらわし隊でのことをネタにして玉松一郎と舞台に立っているんです。そんな姿にも芸人としてのたくましさを感じますね。すべてを肥やしにする。どんなときにも人間は笑いが必要であって、ミスワカナたちが大阪の部隊に行くと知ったら、それは盛り上がったでしょうしね。恐らく、好きこのんで兵隊になったわけではないので、そういう人の苦しみとか、そういったものを含めてワカナはすべて見てしまったのだろうなと思いますね。それらを芸に昇華させながら、現実を歯がゆく思っていたのかもしれません。

--なるほど。水野さんはお芝居の際、役柄に対してどういう距離を持たれるのでしょうか。

水野:実在の人物を描いた作品では、その方に関する情報を自分なりに仕入れて、その役に対して誠心誠意、向かい合います。そのことで自分でも何か落ち着いてきますし、その気持ちが実在の人物を演じるときには大切なのかなと思っています。架空の人物でも、その役柄の職業に実際、就いている方にお仕事の話を聞いたりして、何かしら触れるようにしてますね。何のためかというと、やっぱり自分の心を落ち着かせるためでしかないと思うんです。役になりきることとはまた違うのですが…。時々、舞台上で“あ、今、演劇の神様が降りてきてくれた?”みたいな瞬間もあって、でもそれは自分が一生懸命やってきたご褒美だと思いますね。

--“演劇の神様が降りてきた”というのは、どんな感じですか?

水野:なんだろうな~。客席が目に入らなくなるぐらい夢中になっている時かな。ふっと訪れて、すごく落ち着いてくるんです。ちょっと不思議な感じですね。でも一瞬ですね。すぐに現実に引き戻されます(笑)。

--では、8月物語の共演者の方々について、木村祐一さん、松尾貴史さん、山内圭哉さんの魅力をお聞かせください。

水野:木村さんはいろんなものを見てきて、体験されていて、達観しているというのかな、何かそういう感じがしますね。薄っぺらじゃない、何か深い知性を感じましたね。そして松尾さんは本当にもう、素晴らしいですよね! 松尾さん見ていたら、私の息子も松尾さんみたいになってくれたらいいな~と思います(笑)。親も楽しいし、息子も楽しい人生になるだろうなって。松尾さんは人生を楽しくする術をご存知だと思いますね。そして山内くんは舞台役者さんとして幅広いですよね。舞台上での遊びを熟知していて、本当に勉強になります。

--では最後に、この8月公演を通じて「笑い」というものをどのようにお考えになっているか、お聞かせください。

水野:8月公演の「わらわし隊、大陸を行く」では、戦場という笑えない状況の中で、仕事や使命として笑わさなくちゃいけないという、そういう人間たちの苦悩も描かれていきます。ただ、人間が抱く様々な煩悩の中でも、「笑う」ということはとても大切な欲だと思います。8月公演では、わらわし隊を通じて改めて、「笑う」ということの大切さが再認識されるのではないかと思います。




【7月公演千秋楽レポート!】

e004_048.jpg8月2日に無事、千秋楽を迎えた『吉本百年物語』7月公演「笑う門には、大大阪」。女興行師・吉本せいを南野陽子が、そして当時の社長、林正之助を小籔千豊が演じ、ワカナ・一郎の誕生記に「わらわし隊」結成までを描いた物語を上演した。エンディングでは、8月公演でワカナを演じる水野真紀と『吉本百年物語』テーマソング『MY HOMETOWN』を手がけた葉加瀬太郎が登場。南野、小籔に花束を贈呈した。

終演後の記者会見で水野は、「ご出演の皆さんがキラキラされていて、それぞれのキャラクターや役のよさが引き出されていて、バトンタッチすると思うと、ワクワクしたり、ちょっとドキドキしたりといろんな思いで拝見していました。戦場でのドラマが主体で、その中にある笑いや人間が描かれていますので、しっかりとご覧になっていただきたいと思います。私は5、6、7月と拝見しましたが、毎月タッチが違う作品で、通年で見ていただくといいなと改めて思いました」と話していた。

(2012年8月13日更新)


Check
水野真紀
みずのまき●1970年生まれ、東京都出身。1987年、第2回「東宝シンデレラ」審査員特別賞。NHK『凛凛と』で本格デビュー。その後、ドラマやCM、映画、バラエティなど幅広く活躍。パナソニック電工CMの初代「きれいなお姉さん」でも人気を博す。代表作は「蝉しぐれ」(NHK)、「スチュワーデス刑事」シリーズ(CX)など。司会を担当している「水野真紀の魔法のレストラン」(MBS)は2001年以来、現在も放送中。舞台「細雪」(帝国劇場、御園座)に三女・雪子役で出演。
(撮影:田原由紀子)

●公演情報

写真左より松尾貴史、水野真紀、木村祐一、山内圭哉

『吉本興業創業100周年記念公演
吉本百年物語』
8月公演「わらわし隊、大陸を行く」

発売中

Pコード:597-154

▼8月11日(土)・12日(日)・15日(水)~24日(金)・28日(火)~9月2日(日)

月~土19:00

日16:00

なんばグランド花月

1階指定席-6000円

2階指定席-5000円

[出演]水野真紀/木村祐一/山内圭哉/里見まさと/河野智宏/藤原光博(リットン調査団)/水野透(リットン調査団)/候偉(コウ イ)/尹俊(イ シュン)/佐藤正宏/逢坂じゅん/松尾貴史/他

※未就学児童は入場不可。大人・子供ともに一律料金。

[問]チケットよしもと
お問合せ専用ダイヤル
[TEL]0570-036-912

吉本百年物語公式サイト
http://www.yoshimoto.co.jp/100th/monogatari/

前売チケットは各日公演の前日まで販売
チケット情報はこちら