ホーム > インタビュー&レポート > 面白おかしく歴史が学べる人気舞台が大晦日の梅田芸術 劇場に登場! そのキーマンとなる矢崎広&村井良大、 そして大和田獏に作品の見どころや魅力を聞いた!
--こんにちは。ぴあ関西版WEBです。間もなく行われます『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~』について今日はお伺いします。まず、大阪ではカウントダウン公演も行われるということで、意気込みを聞かせていただけますか。
矢崎広(以下、矢崎)「カウントダウン公演は梅田芸術劇場で初めての試みということで。てっきり既にされていると思っていたので、僕たちが初めてということで、何と名誉なことで、何と怖いことなのだろうかと…」
村井良大(以下、村井)「それでも鍋らしいですね」
矢崎「そうですね。そういうところがとっても鍋らしいですね」
村井「僕はお正月って家にいるものというイメージがあるんですけど、舞台の上でお客さんとカウントダウンしながら、歌って踊ってみんなで楽しんで。そんな年越しができるなんて、もしかしたら今後もう、ないんじゃないかとも思いますね」
矢崎「本当に貴重な経験だと思います。しかも、『戦国鍋』という作品をお客様がとっても愛してくれて観に来てくれる。その愛があるからカウントダウン公演ができたんだとすごく思うんですね。そうやってカウントダウンまで来てくれて、一緒に盛り上がってくれることが嬉しいですね」
--本当に楽しみなところですね。よく聞くのが、盛り上がり過ぎてとっくに年が明けてたということなんですが…。
村井「うわ~、それは怖いですね(笑)」
矢崎「あんまりはしゃぎ過ぎぎちゃうとカウントダウン、過ぎちゃうよ!(笑)」
--気をつけましょう!(笑)。そして舞台についてお聞きしますが、前作の『新春戦国鍋祭』も何でもアリでしたよね。某ミュージカルを再現したかのようなシーンがあったり…。
矢崎「あれは、“あ、それっぽいな”って感じのシーンですね(笑)。というように、『大江戸鍋祭』は、頭を柔らかくして、すべてを受け入れて観ていただけるとありがたいですね。もちろん歴史に詳しい人もぜひ! 細かなところも史実に基づいていて、それを面白おかしく表現しているので」
--舞台を楽しみながら、歴史もわかるし、ほかの作品の有名なシーンのようなシーンもり、奇想天外で…。
村井「情景をしっかり決めない、背景が何にでも変わるという想像力が『鍋』にはあって。背景がちゃんと決まっていて、そこに人がいるという舞台は多いと思うんですけど、『鍋』は背景がなくても想像できたり、受け入れられたりして。それは演出力とか、役者の力なんかがうまく混ざって、出来上がっていると思うんです。その想像力の豊かさは本当に面白いですね」
――そこがこの舞台の魅力ですね。
矢崎「そうですね。第二弾も歴史がわかるということに重点を置いてます。歴史が学べることが『戦国鍋』の醍醐味だと思うので。一番大事なところですね」
村井「なので、舞台も“結局、何だったの?”と思われないように」
矢崎「なるほどと思ってもらい、しっかり笑ってもらいたいですね」
--今回は題材が『忠臣蔵』です。
矢崎「『忠臣蔵』のことを知らなかったとしても、出演者も学べるんですよね。何となく頭の中に人の名前や“あの人こんなことしてたよね”ということが入っていって、自分たちも楽しめるんです。なので、初めて観るお客様も、そういうふうに思ってくれたら嬉しいなと思います」
--お二人はほかの舞台作品にも出られていますが、『戦国鍋』らしさや、『戦国鍋』にしかないものは何だと思いますか?
村井「『鍋』っぽいのは、決めつけないというところですかね。すごく広い視野で観ているという…。『戦国鍋TV』の頃からそうなんですけど、監督もいろんなアイデア持ってきてくれるし、役者も同じようにアイデア持ってきたり、リクエストしたりして、監督がそれを
イエスかノーで決めてくれるという現場なんです。そのおかげで本当に幅広く、かつ楽しく自由に、けど真面目にしっかりとした作品を作ることができて。それが『鍋』の魅力かなと思います」
矢崎「僕が『戦国鍋』っぽいなって感じるところは、こういう言い方をして伝わるかわからないですけど、舞台を作る段階ですごく追
い込まれるんですね。求められることが多かったりとか。個人でも、チーム間でも。テレビの撮影のときでも、その場で作らなきゃいけなかったり、自分たちが持ち込んだものがうまくいかなかったりしることもあって。しかも1カットで撮っていくので、台詞の量もすごく多くて。さらに面白いことをしなくちゃいけないということですごく追い込まれるんですけど、そういう状態に追い込まれながらも、次に舞台に取り組んだとき、なんとなく“こいつ、仕掛けてくるんだろうな”ということをいろんな人たちに感じるんですよ」
村井「あります、あります」
矢崎「そういうところが『戦国鍋』っぽいなって思います。仕掛けるのは自由だったりするんですが、それを監督さんや演出家さんが尊重してくれるので、その期待に応えたいていう思いもありますし」
--その仕掛けるというところには、いわゆる“むちゃぶり”もあるんですか?
村井「それはないですね。『新春戦国鍋祭』も演出家してくださった板垣さんが今作も手掛けてくれるんですが、板垣さんは、アドリブは基本的に禁止なんです。その場で生まれたものや、ちょっとした間とかはあるんですが、新たに勝手に台詞をつけ足したり、一人で突っ走るということは確実にあり得なくて。そういう中で、板垣さんがいつもおっしゃっているのは、“全員がチームメイトで、全員がライバルだ”と。なので、正直なところ、僕たちが最も戦う場所は稽古場だったりするんです。“稽古場に面白いものを持ってきた人が偉い”と板垣さんがおっしゃっていて、稽古場からチームワークを作って、面白い人がいいんだという部分を出そうとする現場なんです。それはテレビの時からそうで、カメラテストの時から面白いことをやったり言ったりしている人を尊重する現場になっています。それは、自分がやりたいからこれをやるというわけではなく、チームワークで助け合って、引き立て合ってということも考えながら物作りをしているので、むちゃぶりだったり、完全なるアドリブはないです。いかに芝居で真面目に、面白いものを作るかという…。笑ってばかりじゃなく、しっかり引きしめなくちゃいけないところもあって。それは役者にとって一生、考えなくちゃいけないことなので、そういうことも考えながら作っています」
矢崎「僕はそういった部分がすごく楽しみですね。普段の『戦国鍋』のテレビの現場の、2日前に台本が届いて、一生懸命台詞を覚えて、みんなで一生懸命合わせて、ネタを作って発表するという一連の流れが、単純に舞台という長い期間でじっくり作られる。僕は舞台では初参加なので、みんなで足したりそいだり、また増やしたりという作業がすごく楽しいですね」
--この現場では、受身ではいられませんか?
矢崎「板垣さんは“自分でやっちゃった人が勝ちだから”というお話はされていましたね」
村井「板垣さんの演出の方法は、稽古場でいろいろ出し合って、“この武器はいいよね”というのを探していくんです。その武器を本番までにいかに熟成させるかというところがあって。逆に、つまらない武器はすぐ捨てるんです。けど、板垣さんは役者の個性を尊重してくれているので、僕たちは本当に真面目に、けど苦労しながら思いを作っていくということができるんです。それがこの舞台の良さなんじゃないかなと思います」
矢崎「あと、大和田獏さんとか、山崎樹範さんとか、ベテランの方たちも僕たちを支えてくださっているので、そういった中で僕たち若手がはっちゃけられるので、そういう部分でもすごく幸せな環境です。なので、あとは僕たちがひたすら頑張るだけですね」
--チームワークはどうですか?
矢崎「今回、いろんなところで共演している人が集まっているので、そういう連帯感は既にありますね。ただ、割と知っているから逆に大変だなという感じはあります(笑)」
村井「そうなんですよ! それをいかにまとめるか。だから今回は、僕は何もしないですよ!(笑)」
矢崎「僕もしない!(笑)」
村井「(笑)、バランスが大事なんですよね。全員が面白ければいいというわけではなく、ストーりーを進めてくれる人がいないとお客様は飽きちゃうし。脱線はいくらでもしていいんですけど、やっぱり最後には本筋に戻らないといけない。そこがとても大きいですね。これも演出家さんがおっしゃっていた言葉なんですけど」
矢崎「ということもあるんですが、僕は稽古の段階から楽しいです」
村井「ほんと、男子校みたいな感じですよ。今回、残念ながら男しかいないですからね(笑)」
矢崎「ほんとほんと(笑)」
--武器を見つけていくとか、男の子同士の世界観のようにも思えますね。
矢崎「そういうところは正直、ありますね」
村井「前回も、男しかいなかったからできた良さもあって」
矢崎「それは引き継いでいきたいですね」
村井「一致団結。やっぱり男の子って何もしなくても競い合うので、その力が大きいんだろうなと思います。みんな、“俺、目立ちたい”“俺が一番できてる”“俺が一番かっこいい”という気持ちがあると思うんです。そうでありたいですし。だから、その強さが重なって面白くなっていくんじゃないかなという気はしますね」
--なるほど。では最後に、ファンの皆さんにメッセージをいただけますか。
矢崎「1今年の大晦日をぜひ、素敵な日にしてください。そしてこの『大江戸鍋祭り』を観に来てよかったなと思っていただきたいですね。『忠臣蔵』の世界を年末にボーンと受け止めてもらって、そうしてお正月を迎えてもらいたいなと思います。ぜひ、楽しく遊びに来てください!」
村井「今回第二弾ということで、この第二弾ができたということは、ファンのみなさんの思いだと思います。だけど、浮かれずに頑張りたいと思います。今回、僕は徳川綱吉の役をやらせていただくんですが、今まで自分がやってきた役とは少しジャンルの異なるキャラクターで、すごく悪い奴だったりするんです。けど、人間味のあるところも少しずつ見せていけたらいいなと思っていて。そういう部分でも新しい自分を見せていけたらと思っています。しかも、『戦国鍋』を愛してくださっている方々ばかりで。皆さんにはお腹いっぱいだと大満足して帰っていただくことが僕たちの一番の幸せなので、ぜひ劇場に足を運んでください!」
--すみません。〆ようと思っていたのですが、矢崎さんのお役のことも聞かせてください。今回は浅野内巨頭の役ですね。
矢崎「『忠臣蔵』と言えば浅野内巨頭から始まるわけじゃないですか。松の廊下で斬りかかって。役をいただいたとき、すごい大役だなと思って、緊張はしているんですけど……。ご覧になったらお分かりかと思いますが、台本を読んで僕はびっくりしました(笑)。なので、それも含めてぜひ、観に来てください!」
村井「しまった! これを言うのを忘れてた。あの、前回より、すべてがパワーアップしています!」
矢崎「梅田芸術劇場をふんだんに使います!」
村井「さすが『鍋!』と思っていただけるよう、頑張ってます。これ以上言い過ぎちゃうとハードル上がっちゃうけど(笑)、かなりいいと思う! 本当にパワーアップしていますので!」
矢崎「2部のショーもありますので、楽しんでください!」
--なるほど。期待しています。今日はありがとうございました。続いて『大江戸鍋祭』インタビュー第2部は、前作もご出演された大和田獏さんにお伺いします!
(2011年12月28日更新)
▼12月31日(土)16:00
「第1部 芝居「最後の最後に忠臣蔵」/第2部 オンステージ 元禄夢宴~大江戸SAMBAで無ト~」
▼12月31日(土) 21:00
〈カウントダウン公演〉
「第1部 芝居「最後の最後に忠臣蔵」/第2部 オンステージ 元禄夢宴~大江戸SAMBAで無ト~」
梅田芸術劇場 メインホール
[劇作・脚本]穴吹一朗
[演出]板垣恭一
[出演]三上真史 矢崎広 村井良大/兼崎健太郎/石井智也/大和田獏/他
[問]梅田芸術劇場[TEL]06-6377-3800
※前売り券完売につき、当日券は要お問い合わせ。
大江戸鍋祭 公式サイト
http://oedo-matsuri.com/
柳沢吉保が子供の頃より傍に仕えてきた徳川綱吉が、兄の急死により突然、将軍に担ぎ出された。将軍となった綱吉は柳沢などの部下に異例の出世をさせ幕政を改革し、権力を掌握していく。しかし、当時権力を握っていた古株の幕臣たちはこの人事に不満を感じ、密かにクーデターを企てているという噂もあった。
その先手をうって出た柳沢。芝居書きの近松門左衛門を呼び出し、「ある人物を殺して欲しい」と申し出る。近松はただの芝居書きゆえ…と拒むが、その筋書きを考えるようにと柳沢は提案するのだった。
そして、東山天皇の接待が江戸城で行われることとなった。接待役には、皇族と深い繋がりのある吉良上野介を筆頭に赤穂藩主浅野内匠頭が選ばれた。天皇を楽しませるためのしきたりとして、完璧な振り付けでダンスを踊りきるという伝統がある。だが、吉良は浅野へ意地悪をし、間違ったダンスを教えていたため、浅野だけ必ず1テンポずれてしまう。皆の前で恥をかかされた浅野。遂には江戸城松の廊下にて吉良へ斬りかかるのだった。
その事件の報告を受けた柳沢は綱吉との密談の結果、浅野を即刻切腹。浅野の治めていた赤穂藩を取り潰すという決断を下す。主君を切腹させられた大石以下、赤穂藩の武士たちは一体どう出るのか!?
そして、柳沢の画策が始まる…。