ホーム > インタビュー&レポート > ただいま大阪松竹座にて大好評上演中の『七月大歌舞伎』 仁左衛門、孝太郎、愛之助が演目それぞれの見どころを語る!
関西では戦後初の上演となる『播州皿屋敷』。腰元お菊を演じる孝太郎と、浅山鉄山を演じる片岡愛之助が、お話のゆかりの地である兵庫県姫路市を訪れ、お菊神社と姫路城へ足を運びました。お菊神社では『七月大歌舞伎』成功祈願を、そして現在改修工事中の姫路城では、工事の様子や鉄山がお菊を沈めたと言われている城内の井戸などを見学しました。
孝太郎、愛之助にそれぞれ、姫路を巡ってみての感想を聞いてみたところ…。
孝太郎「お菊神社を参らせていただくのは初めてでした。お菊さんという女性は非業の死を遂げたというだけではなくて、姫路では英雄ですよね。お城を守るために働いて、最後は殺されてしまったけれども、当時21歳だったと聞いております。あの時代、あの若さで、しかも女性で藩主を守ったことにびっくりしました。そんな立派な方を演じる機会を与えていただいて、本当に感謝します。お菊さんは、ただ単に家の帳簿を預かっていた娘というだけでなく、もっと強い女性だったんじゃないかなと思って、『播州皿屋敷』ではそんな部分をどこかで出せたらいいなと思います。戦後第1回目の関西での上演ですので、お菊を立派に務められるよう、がんばりたいと思います。夏にはぴったりの怪談ですし、朝から鉄山がお菊さんを叩く、ビシバシという音で目を覚ましていただいて、涼しい思いをしていただきたいですね(笑」
愛之助「今回、浅山鉄山を演じさせていただきます。先ほどお兄さんもおっしゃいましたけど、僕も一瞬、演目を聞いたときに『番町皿屋敷』かと思ってしまいました。播州と聞いて、そういえば歌舞伎座で、(中村)橋之助兄さん、(中村)扇雀兄さんが演じられていたなと。僕は、その舞台は写真でしか拝見していませんで、『番町皿屋敷』とあんまり変わらないかなって思っていたんですけど、写真を見ると鉄山はものすごい悪い顔をしていまして、役どころが違って驚きました。今回、こうして姫路に寄せていただきまして、お菊さんはヒーローというか、英雄というか、すごい人と知って。一番悪いのは僕(浅山鉄山)で、演じても大丈夫なんだろうかなと思ったんですが(笑)、お参りさせていただいて、守っていただけるような気がいたしましたので、しっかり務めたいと思います」
また、孝太郎は、お菊神社や姫路城を訪れて、これまで抱いていた腰元お菊のイメージが少し変わったそう。
孝太郎「お菊さんという人はもう少し線の細い、儚いイメージがあったんですが、実際は男勝りなところがあるような感じで。もちろん、許婚がいるにも関わらず、他の男性がちょっかいを出したくなるような魅力的な女性だったとは思うんですが、ただ単に美しいだけでなく、芯がしっかりしている。だからこそ最後まで、亡霊になってお家が潰れるまで追い詰めるという、すごい強い思いの方だったんだろうなと思います」
そして、お話の見どころもについても聞いてみました。
孝太郎「貴重な公演だと思うので、歌舞伎ファンの方はもちろん、一般の方にもぜひ見ていただきたいですね。僕は井戸の上に吊るされる場面がありまして、亡くなった後も亡霊として出てくるんですけど、実際に吊るされるのは初めてです。お話も、すごくわかりやすくて、時間的にも短くて、見やすいお芝居だと思います。この『播州皿屋敷』をご覧になって、もう一度、お菊さんってどんな人やったんかなって思っていただきたいですね」
愛之助「鉄山はとにかく悪い人で、悪いことばっかり企んでいて、皿を盗んでおいて数えろとか言うような人。それで、なくしたからと怒って吊るして、お菊さんを棒でビシビシ叩くという、朝からこんなお芝居をしていいのかと思うくらい叩いています。『番町皿屋敷』とはまったく違うものになっていますので、ぜひお見逃しないように、今回は必見だと思います。そして、姫路の皆さんはお菊さんのことが大好きで、ヒーローなんですね。そのことを今回、姫路を訪れて初めて知りました。改めて、そういう目でお菊さんのことを好きになったり、いじめたりしてみようと思います(笑)」
(7月15日更新)
発売中 Pコード412-445
▼開催中~27日(水)
昼の部 11:00
「播州皿屋敷/素襖落/江戸唄情節」
夜の部 16:30
「菅原伝授手習鑑/伊勢音頭恋寝刃」
大阪松竹座
1等席15000円
2等席8000円
3等席4000円
【出演】片岡仁左衛門/片岡我當/片岡秀太郎/中村時蔵/坂東三津五郎/片岡孝太郎/片岡愛之助/他
※未就学児童は入場不可。
[問]大阪松竹座[TEL]06-6214-2211