ホーム > インタビュー&レポート > 京都と愛知の舞台人たちが集結して 京都舞台芸術協会初のプロデュース作品『異邦人』を上演!
京都を拠点に活動する舞台芸術家の集まりである京都舞台芸術協会。'96年の設立以来、創作環境の向上や、舞台芸術の普及・発展を目的として活動してきた。そして'11年6月、愛知県芸術文化振興財団と連携し、愛知を代表する劇団「少年王者舘」と、京都舞台芸術協会のプロデュース作品が、それぞれ京都と愛知で上演されることとなった。
その経緯は今年、愛知と地方を繋いで良質な演劇公演を紹介する「AAFリージョナル・シアター」が愛知でスタートすることから。その第一弾のテーマが「京都と愛知」ということで、このプロジェクトが始まったのだ。
京都舞台芸術協会の理事長を務めるニットキャップシアター主宰・ごまのはえは、「昨今、京都では優れた舞台作品が多く発表されていますが、その反面、新作に埋もれてしまう作品も存在します。このような状況は、作品にとって不幸であるだけではなく、創作現場にも疲弊感をもたらし、やがては現状を維持することも難しくなるのでないかと感じています。このプロジェクトは、そういった優れた作品や才能に改めて光をあてるため、立ち上げました。京都を創作の拠点とするすべての舞台人の力を集め、大きなうねりの始まりとなる作品を作り出したいです」と意気込む。なお、このプロジェクトで目指すものは「良質な現代劇」だ。
そして今回、上演されるのは、'05年にアトリエ劇研にて初演された魚灯・山岡徳貴子作の『異邦人』。インターネット上の呼びかけで集まってきた自殺志願の4人の女たちが、レンタカーで訪れた山奥で集団自殺を図るも失敗。一行は再度、自殺を図るべく、奇妙な人形が飾られた村はずれの古い納屋へとたどり着く。女たちはそこで、生きるべきか死ぬべきか迷い、焦り始めるのだった。そんな中、まるで待ち受けていたかのように女たちを歓迎する村人が現れる。彼らは、死者の魂を呼び戻すべく奇妙な人形を崇拝する者たちだった…。生と死の間を時にファンタジックに、時にリアルに描いたこの物語を、烏丸ストロークロックの柳沼昭徳が演出。そして俳優陣は、オーディションで選ばれた若手7人を起用した。
ダンスや映像、音響を駆使した幻想的かつ独創的な表現で全国的な人気を誇る少年王者舘。そして、現代演劇を常にリードしている“先進地”の京都。地域を超越、また融合することで、演劇シーンにおける新しい地平が見えるかもしれない!? 京都舞台芸術協会にとっても初のプロデュース公演となるだけに、このプロジェクト、大いに期待したい。
『異邦人』に関するインタビューはこちら!
AAFリージョナル・シアター2011-京都と愛知-
京都舞台芸術協会プロデュース公演『異邦人』
▼6月9日(木)~12日(日)
京都芸術センター・フリースペース
一般前売 2500円 一般当日 3000円
ユース 1800円(25歳以下、受付時に要証明、前売・当日共)
※日時指定、入場整理番号付自由席。
[作]山岡徳貴子(魚灯)
[演出]柳沼昭徳(烏丸ストロークロック)
[出演]市川愛里(ニットキャップシアター)/押谷裕子(上品芸術演劇団)/黒木陽子(劇団衛星)/阪本麻紀(烏丸ストロークロック)/田川徳子(劇団赤鬼)/田中浩之(Will Be SHOCK Entrance Gate)/名越未央
※この公演は終了しました。
(2011年6月 7日更新)
■柳沼昭徳
烏丸ストロークロック 主宰/劇作家・演出家・俳優
'76年、京都市生まれ。'99年に近畿大学文芸学部在学中に京都を中心に活動する「烏丸ストロークロック」を旗揚げ。劇作・演出を担当するほか、俳優や映像制作を兼ねる。'01年、第3回大阪演劇祭CAMPUS CUP 2001大賞(『ハニービージャンクション~供養道より』)、'03年、Kyoto演劇大賞(『福音書』)を受賞。'04年からは高校演劇でのワークショップ講師を各地で務める。また、同劇団では、企画ごとにオーディションで選出したメンバーと共にワークショップを重ねる製作形態をとっている。
■山岡徳貴子
魚灯 主宰/劇作家・演出家
京都市在住。劇団八時半(代表:鈴江俊郎)に入団し主に俳優として活躍した後、劇作家・演出家としても活動を始める。同劇団退団後、劇団「魚灯」旗揚げ。'99年、北海道戯曲コンクール優秀賞(戯曲『逃げてゆくもの』)、'01年、第8回OMS戯曲賞佳作(『祭りの兆し』)を受賞。『静物たちの遊泳』('08年)、『着座するコブ』('09年)が岸田國士戯曲賞最終候補に選ばれるなど、注目の作家の一人。