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「これからもずっと向き合い続け、考え続けていく。
“HEART=心”というテーマでツアーを巡る」
ニューアルバム『HEART』を携えた全国ツアー
『ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”』
11月24日(月・祝)フェニーチェ堺大ホール(大阪)での開催が迫る
ReoNa インタビュー

2025年は年頭から続々と新曲を配信、春にZeppツアー、夏はファンクラブでのアコースティックツアーと精力的に活動してきたReoNa。そして、秋には前作『HUMAN』から約2年半振りとなる3rdアルバム『HEART』が届けられた。そして、この新作を携えた全国ツアー『ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”』が11月21日からスタートする。今回ぴあ関西版WEBでは11月24日(月・祝)に迫るフェニーチェ堺大ホールでの大阪公演を前に来阪したReoNaにインタビュー。今年デビュー7周年を迎えて「今までで一番忙しかった」とのことだが、どのような思いがアルバムに結実したのか。彼女自身が作詞(ハヤシケイ(LIVE LAB.)と共作)している『ガジュマル~Heaven in the Rain~』の歌詞が生まれてきた背景、デビュー曲『SWEET HURT』がボーナストラック『SWEET HURT - Naked-』として収録されたわけなど、気になるポイントをReoNaらしい言葉で明かしてくれた。

"痛み"の『HURT』から始まった物語が
"心"の『HEART』にたどり着く、
そこに数奇的なものを感じた


――前作『HUMAN』というアルバムでは、"人間"をテーマにした大作でしたが、今回の3rdアルバムは『HEART』、"心"をテーマにボーナストラックを含めて14曲という大作になりました。各曲のリリックも音楽性も多彩で深みがある内容ですね。ReoNaさん自身、多忙なスケジュールの中でどのように制作されたのですか。

「作ってる最中は各楽曲に集中していたので、気が付いたらすごいボリュームになっていたなっていう感じです。今年デビュー7周年を迎えさせていただいて、ありがたいことにこれまでの制作の中で1番忙しくて、ほんとに目まぐるしい日々でした。今までクリエイターさんたちと歩ませていただいた時間があったからこそ、ここまで活動してきたんだなと噛み締めつつ、(クリエイターに)委ねるところは委ねつつ、ちゃんと密に会話することも惜しまず、3枚目だからこそのアルバム制作だったなと思います」

――今作のボーナストラックとして、デビュー曲『SWEET HURT』が『SWEET HURT-Naked-』としてニューバージョンで収録されていますね。

「今作の中には、初めて怒りをありったけ詰め込んでお歌にした『R.I.P.』(M-8)という楽曲があったり、自分にとって人生の中でもすごく大きな別れをお歌にした『ガジュマル~Heaven in the Rain~』(M-7)があったり、"楽しんだもん勝ち"って歌ってみた『GG』(M-5)があったり、心の内側を一言で言い表せないように、いろんな曲が詰まっています。ボーナストラックという形で今のReoNaが紡ぎ直す『SWEET HURT』をニューバージョンで入れたのは、このお歌のための席が1つ、そこにあったんじゃないかなという気がしたからです」

――なるほど。

「これまでのアルバムを振り返ったときに、1stアルバムの"何者でもない"『unknoun』というところから、2ndアルバムでは"人間"『HUMAN』、今回3枚目のアルバムで"心"『HEART』というものにたどり着きました。そんなReoNaが歩んできた道のりの最初のデビュー曲が『SWEET HURT』。"HURT"と"HEART"は、(カタカナではハートで)同じ発音だけど、スペルも意味も違っていて、"痛み"の『HURT』から始まった物語が今回、"心"の『HEART』にたどり着くという、そこに数奇的なものを感じたんです」

――そこで改めて原点は"痛み"の『HURT』だったと再確認したんですね。このギターとピアノと歌で構成されてるニューバージョンのアレンジはどのように進めたのですか。

「新しくアレンジするにあたって、山口隆志さんというギタリストに編曲してもらいました。今年の夏にアコースティックライブツアーを一緒に回った方で。実際のレコーディングも山口隆志さんとライブをずっと一緒にやってきている荒播亮平さんと、3人でせーので録りました。そのメンバーと録り直せたということも含めて、今この歌をもう一度録り直せてよかったなって思うボーナストラックになりました」

――1曲目『HEART』から曲順通りに聴いていって、ボーナストラックの『SWEET HURT -Naked-』を聴くと、この曲のアコースティック感あふれる優しさを実感します。

「ありがとうございます。曲順は本当に悩みました。アルバムの曲順ってすごく意味のあるものだなと思っていて。このアルバムを手に取った時に、最初はぜひアルバムの曲順で聴いてもらいたいという思いも込めています」

――サウンド感や曲想もそうだし、本当にいろんなタイプの曲が入ってるので、アルバム全編を聴き終えて、その後に『SWEET HURT -Naked-』を耳にするとすごくホッとさせられます。

「かなり緩急があるアルバムになったと思いますが、最後は心が軽くなって、聴いた後にあったかい気持ちで終わってくれたらいいなと思います」

――"HEART"=心というのは人間にとって、とても大事な部分ですよね。

「そうですね。今回アルバムタイトルを決めるまでもかなり悩んだし、決まってからも"HEART"というものに向き合ってみると、本当に広くて、大きくて。まさに心という意味もあれば、臓器としての心臓という意味もあるし。どういう形をしてるんだろうとか、どういうものなんだろうとか、そもそもどこにあるんだろうとか、どういう色をしてるんだろうとか、踏み込めば踏み込むほど、正解の形が1つではなくて。だからこそ、このタイトルトラックの『HEART』(M-1)にたどり着くまでも、クリエイターのハヤシケイさん含めて、本当にいろんな人が頭を悩ませ、かなりいろんなハートのかけらたち、ハートにならなかったお歌たちを経て、この『HEART』というタイトルトラックになってるんです」

――『HEART』を聴いてると、ちょっと90年代の曲を思いだすような懐かしさもあって。

「私は"懐かしい"という感情がすごく好きなので、懐かしいって思ってもらえたらすごく嬉しいなと思います。それはクリエイターのレフティーさん(Ryo'LEFTY'Miyata)と(ハヤシ)ケイさん、それぞれのルーツがふんだんに入ってるからかなと思います。レフティーさん、ケイさん、ディレクター、いろんな人のアイデアが合わさってできていった曲だなと思います」

ロンドンのアビーロード・スタジオで録音した
『HEART』(M-1)と『オルタナティブ』(M-3)

――そんな『HEART』という曲から始まって、個人的に3曲目の『オルタナティブ』がすごくカッコイイと思いました。特徴的なベース音をはじめストレンジな曲調で、まさにオルタナティブなサウンド感で。この曲も『HEART』と同じレフティーさんが編曲、さらに作詞作曲に携わってますね。

「今回、各クリエイターさんにかなり委ねた楽曲も多い中で、『オルタナティブ』はレフティーさんの作詞作曲、編曲です。最初にレフティーさんにお願いするときに、ReoNaというアーティストに楽曲を書いてもらうんだけど、あくまで提供するものにしないでほしいとお話ししました。他のクリエイターさんとの楽曲も全部そうなんですけど、ReoNaだったらこう言うだろうと思って書くのはやめてほしくて。あくまでご自身の思う絶望だったり苦しみだったり、痛みだったり、"HEART"を、心の内側をReoNaと重ねた時の楽曲が作りたいんですという話をしました」

――タイトルが『オルタナティブ』になったわけは?

「この曲の制作では、レフティさん自身の活動の中で、"オルタナティブ"がひとつの軸になっているというお話から始まりました。"オルタナティブ"は、直訳すると代替品や、代わりのものという意味の言葉。ニルヴァーナが世の中に出てきて"グランジ"という言葉が生まれたように、いわゆるそれまでの王道とは違う道のりの中で、自分にしか歩めない道があるんじゃないか、自分にしか生み出せないものを作りたいけれど、それが誰にも必要とされていなかったり、誰にも見向きもされなかったら"オルタナティブ"」にすらなり得ない。
そんなお話を聞いているうちに、"オルタナティブ"という言葉がただの音楽を表す言葉ではなく、生き方にも通じるように感じました。
私自身、かつて、学校に行けなくなった時期がありました。みんなが授業を受けている時間に、アニメを見たり音楽を聴いたり、ライブを観に行ったり、他の人が当たり前にできることをできない劣等感を埋めるように、自分にしか歩めないものを探して、足掻いてもがいていました。
それも、今振り返ると"オルタナティブ"だったんじゃないかと思うんです。そんなところから、レフティさんとReoNaの絶望が重なるお歌のタイトルとして"オルタナティブ"がふさわしいんじゃないかと思いました」

――この曲はタイトルトラックの『HEART』と共に(ロンドンの)アビーロード・スタジオでレコーディングをしたと伺いましたが、特別な一曲にになりましたね。

「そうですね。制作の過程でも、レフティーさんと普段から一緒に演奏されているバンドメンバーの皆さんも編曲とレコーディングに入っていて。このメンバーじゃないと作れないお歌になったなって思います。このお歌がライブでどう再現されるのか楽しみにしていていただきたいです」

――『ガジュマル ~Heaven in the Rain~』(M-7)はReoNaさんも作詞に参加されてますね。

「これはアニメ『シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~』のエンディングテーマになった楽曲なんですけど、その作品に寄り添うにあたって、ひとつ"大きな別れ"というのをテーマにしようと思って。私自身の"大きな別れ"ってなんだったんだろうなと思った時に、故郷、奄美大島のおじいちゃんとの死別だったんです」

――そうだったんですね。

「はい。それで、もう会うことも話すことも叶わないけど、今会えたら伝えたいことだったりをじいじに宛てて手紙を書きました。最後に会った時、私はすごくいつも通りに振る舞ってしまって...。今までありがとうとか、大好きだよとか、そういうことを全く言葉にできなかったんです。これが最後だなってわかってても、最後だなって振る舞うと、本当に最後になっちゃうような気がして。勤めて普段通りに振る舞ってしまって。その時はそれでよかったんですけど、そのあと、本当にいなくなって初めて、伝えておけばよかったなって後悔したので。もし今会えたら、こんなことを伝えたい...というのがすごく浮かんできて。それを手紙にしたものをハヤシケイさんに渡して、作品とも寄り添えるような歌詞にしました」

――なるほど。ReoNaさんにとって、掛け替えのない大切な人を失った体験を元に書かかれた歌詞なんですね。

「そうですね、なのでいつか故郷でも歌えたらいいなと思います。デビューした直後に祖父が亡くなってしまったので。ライブを見せられもしなかったですし、もうちょっと待っててほしかったな...、そんな後悔もすごくあって。今回のツアーではこのお歌も持って、改めて地元九州にも帰れますし、良かったなと思います」

――本当に簡単には語り尽くせないほど、いろんな思いが凝縮されたアルバムだと思います。制作過程ではReoNaさんもご自身の心と対話しながら作られたんじゃないかなと思います。

「心について考えた時に、すごく難しいなと思って。心って、どうしても埋まらないものだったりとか、欠けてきたものだったりとか、失ってしまったものだったりとか、温かいものというより守ってあげなきゃいけない脆いものみたいな印象がすごくあって。ほんとにままならないものだなっていうのをすごく再確認しましたし、その上で、いまだ正解は見つからないですし、結論が出たわけじゃないけど、それでいいのかなって...。きっとこれからもこの"HEART=心"というテーマを持ってツアーを巡って、またこの心から、その次のアルバムだったり、これから歩んでいくお歌たちに繋がっていく。きっとこれからもずっと向き合い続けて、考え続けていくものなんだなと思います」

――"HEART=心"とは何なのか、そんなに簡単に答えは出ないと?

「出ないですね。一生かかって出るのかも怪しいぐらい。でも今までのお歌を改めて振り返った時に、この2年半だけじゃなく、デビュー当初からほんとにいろんな楽曲で、心というものにいろんな言葉で向き合ってきたなっていうのをすごく再確認して。そんな今までの道のりがあったから、今この『HEART』にたどり着けたのかなとも思いますし、これから活動してく中で、もしまた何か見つけるものがあったら、きっとまた全然違う形でその時の私がお歌にしていくんじゃないかなと思います」

――聴く方もすごく大切に聴きたい1曲1曲が詰まっているアルバムだと思いました。

「各楽曲でしっかりと向き合って作った1枚になっています。もしまだアルバムを受け取ってない、これから聴くよっていう方がいたら、まず1回は本当に曲順通りに受け取ってもらえたら嬉しいなと思います。アルバム『HEART』を楽しんでいただけたら嬉しいです」

近年お届けしてきたツアーとはまた違う、
『HEART』というアルバムが軸になったツアー

――そしてワンマンツアーが11月21日からスタートします

「はい、全国6都市を回るツアーです。毎回、どうして自分の曲を全部できないんだろう...なんて言いながら、すごく悩みながらセットリストを考えています。今回はニューアルバム『HEART』を余すことなくお届けするツアーです。会場で一対一で受け取っていただけますように」

――アルバム『HEART』の楽曲がライブでどんなふうに体感できるのか、とても楽しみです。ありがとうございました。


Text by エイミー野中




(2025年11月19日更新)


Check

HEART

ReoNa 2年半ぶりとなる、3rd Album
2025年10月8日発売
3,300円
VVCL-2760

《収録曲》
01. HEART
02. 命という病
03. オルタナティブ
04. 芥
05. GG アニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII』オープニングテーマ
06. Debris ゲーム『SYNDUALITY Echo of Ada』テーマソング
07. ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜 TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』エンディングテーマ
08. R.I.P. TVアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』エンディングテーマ
09. かたっぽの靴下
10. オムライス
11. End of Days TVアニメ『アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】』オープニングテーマ
12. 生命換装 TVアニメ『アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】』最終話エンディングテーマ
13. コ・コ・ロ
Bonus Track. SWEET HURT -Naked-

Profile

れおな… 絶望系アニソンシンガー。
2018年4月にアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』劇中歌アーティスト、神崎エルザの歌唱役にてプレデビュー。
同年8月にReoNa名義のアニメ『ハッピーシュガーライフ』EDテーマ「SWEET HURT」でソロデビュー。
以降『ソードアート・オンライン』シリーズ、『月姫 -A piece of blue glass moon-』、『シャドーハウス』、『シャングリラ・フロンティア』などアニメ、ゲームソングをリリース。
2023年3月には自身初の日本武道館ワンマンライブ「ReoNa ONE-MAN Concert 2023 “ピルグリム” at日本武道館~3.6 day 逃げて逢おうね~」をSOLD OUT。
2024年に5周年ツアー「ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “ハロー、アンハッピー” 」を全国9都市11公演、アジア3都市4公演を、同年10月には東京ガーデンシアター2Days公演を開催。
2025年7月放送のアニメ『アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】』のOPテーマ「End of Days」を8月6日リリース、同アニメ最終話エンディングテーマ「生命換装」を9月5日に配信。同年10月8日に3rdアルバム「HEART」をリリース。11月よりアルバムツアー「ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”」を開催。

オフィシャルサイト
https://www.reona-reona.com/


Live

ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”

11月21日(金) 戸田市文化会館(埼玉)

Pick Up!!

《大阪公演》

▼11月24日(月・祝) 18:00
堺市民芸術文化ホール(フェニーチェ堺) 大ホール
全席指定 8400円
※未就学児童は入場不可。6歳以上は有料。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。公演中止・延期の場合を除き、お客様のご事情による払い戻しはできません。
[問]夢番地■06-6341-3525

12月5日(金) 福岡国際会議場(福岡)
12月20日(土) サッポロファクトリーホール(北海道)
12月22日(月) 昭和女子大学人見記念講堂(東京)
12月27日(土) 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知)

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