ホーム > インタビュー&レポート > ハンブレッダーズ、FANTASTICS、ねぐせ。、 imase、SHISHAMO、若手ホープが全員で繋いだ音楽の未来 『OSAKA MUSIC LOVER -young hopeful- supported by 紀陽銀行 WITH REQUESTAGE』レポート
『REQUESTAGE(以下、リクステ)』は、大阪のラジオ局FM802が「番組にリクエストされるアーティストのステージをリスナーに生で観てもらいたい」という想いで2002年からスタート。今年で22回目の開催となる。最大の特徴は、FM802のリスナーが事前にリクエストした楽曲を元に、アーティストがセットリストを決定するという点。それゆえ、普段のライブでなかなか聴けないレア曲が演奏されたり、リスナーの想いが重なってより特別な体験をもたらしたりする。
開演の少し前、FM802 DJの高樹リサがアナウンスで場内をあたためる。会場のビジョンにはハイセンスなムービーと音楽が流れ、じわじわと熱が上昇するのを肌で感じた。そして10秒前のカウントから、いよいよ『OSAKA MUSIC LOVER -young hopeful-supported by 紀陽銀行 WITH REQUESTAGE』が幕を開けた。
ステージにはMCをつとめるFM802 DJの大抜卓人と落合健太郎が「ようこそお越しくださいました!」と現れ、イベントの趣旨を説明。それぞれ白のセットアップ(胸元には大阪・関西万博のピンバッジも!)とスーツでバチッとキメた2人が、気合いを入れるように拳を合わせる姿もエモーショナルだ。落合は「『REQUESTAGE』は本当に歴史が長いイベント。FM802でたくさんオンエアしている音楽を、生で体感していこう! 思い切り最後まで楽しんでいただきたいと思います」、大抜は「5日間特別なライブが繰り広げられますが、今日はこれからの音楽を牽引していくアーティストが出てくる-young hopeful-。いつものラジオで好きになった音楽。今日のライブでさらにそのアーティストを好きになる。それが『REQUESTAGE』の醍醐味のひとつ」と述べて、トッパーのアーティストへとバトンを渡した。
【SHISHAMO】
トップバッターはSHISHAMO。FM802との関わりが深い彼女たちだが、なんとリクステは初登場。落合に「2010年、高校の軽音楽部で結成。今では高校生たちから憧れるあのバンドの存在に。まさしくヤングジェネレーションのホープが詰まったこのバンド!」と紹介されると、SEに乗せて松岡彩(b)、宮崎朝子(vo&g)が笑顔で登場。宮崎が「リクステッ! 初めまして、SHISHAMOと申します。今日はよろしくお願いします!」と挨拶すると、サポートドラムのyuccoのビートが響き渡り『君と夏フェス』から明るくライブをスタート! 早速投下されたライブで欠かせないアンセムに、オーディエンスは大喜びで手を上げる。続く『君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!』で、恋する人の感情や状況の動きを、歌声とサウンドでジェットコースターのように表現してヒリつかせ、客席を圧倒する。
宮崎は「リ!」「クステ!」という独特なコール&レスポンスを生み出し、久々の大阪城ホールでのライブを喜ぶ。セットリストを決めるにあたり、リスナーからのメッセージとリクエストを見た宮崎は「何となく"こんな感じだろうな"って予想してたランキングとは全然違って、"何これ?"みたいな。リクエストの下の方だと無視できるじゃん。でも無視できない位置にあるやつもあって」と、2位にランクインした2017年リリースの6thシングル『BYE BYE』を数年ぶりに披露。松岡の骨太なベースリフに宮崎の鋭いギターが絡みつくロックナンバーで、オーディエンスも大興奮。演奏が終わると宮崎と松岡は「緊張しちゃった」とホッとしたように笑っていた。
後半戦はクールに加速して『最高速度』、恋に落ちる手前の気持ちを代弁した『夏恋注意報』と続けて、日常を懸命に生きる人の背中を押す『明日も』で締め括った。伸びやかな歌声と最高のアンサンブルを存分に響かせたSHISHAMOだった。
【imase】
2番手は、同じくリクステ初出演のimase。「彗星のごとく現れた彼も今やグローバルな存在に。唯一無二のファルセット。そんな彼の言葉は今の時代を映す鏡。ときめき、きらめきの夜を彼と共に!」という大抜の言葉で会場の熱がまたひとつ引き上がる。バンドメンバーの林あぐり(b)、モリシー(g)、松本潤(key)、篠原佑太(ds)が音を放つと、淡いモスグリーンの衣装を纏ったimaseが軽やかに登場。1曲目の『Nagisa』から舞うようなステップで花道へと進み、早速ジャンプで会場を巻き込んでいく。『ユートピア』では反対側の花道へ。美しい高音ボイスとクラップで一体感を増すと、「最高の時間にしましょう!」と笑顔で導いていった。
MCではSHISHAMOを真似て「リ?」「クステー!」のコール&レスポンスで心を掴む。大阪城ホールでのライブも初という彼は、活動初期の2023年8月になんばHatchで行われた『HIGH!HIGH!HIGH!』でねぐせ。との共演を振り返り、ドラムのなおとと「お互い音楽を続けていて、城ホールでライブできるのが感慨深いね」と話したと明かす。そんな繋がりが目に見えるのもファンにとっては嬉しいことだ。
さらに、4月にリリースされたばかりの2曲の新曲『惑星ロマンス』と水10ドラマ『Dr.アシュラ』の主題歌の『名前のない日々』を演奏。『名前のない日々』はこの日がライブ初披露とあって、imaseは「皆のリクエストのおかげでいち早く演奏できて嬉しい」と語っていた。
ラストスパートはアクセル全開で、盟友・なとりとのコラボ曲『メトロシティ』、グローバルヒットを巻き起こした『NIGHT DANCER』、とびきり明るい『Happy Order?』とアンセムのオンパレード。どんどん磨かれていく彼のポップスターぶりは本当に頼もしくて素敵だ。大抜と落合にも「大阪城ホールでワンマンをする日も遠くないなと思いましたよね」と言われていた。7月には初の日本武道館公演を控える彼の快進撃がこれからも楽しみだ。
【ねぐせ。】
名古屋発のねぐせ。もリクステ初登場で、大阪城ホールに立つのも初めて。りょたちは少しの緊張を湛えたような顔で「初めましての大阪城ホール。この場所を宇宙で一番あったかい場所にしにきました!」と叫び、『愛してみてよ減るもんじゃないし』を力一杯弾き出す。続く『アタシのドレス』では「今日は色とりどりのタオルがありますね。自分の推しと共に音楽を楽しもうぜ!(りょたち)」との言葉で、一気にタオルの花を咲かせる。
城ホールに立てた喜びと興奮からか、なおと(ds)は「大阪城ホール元気かー!」とハイテンションで煽り、満足そうに笑顔を見せる。りょたちは「SHISHAMOさんが革命的なコール&レスポンスをして、それにimaseくんが乗っかってやってたから、逆に俺やらんとこかな」と言うも「1回やってみーや」とメンバーに促され「リ!」とだけ言うと、オーディエンスはすぐさまレスポンス。思わず爆笑したメンバーの空気が少し緩み、4月にリリースされた最新曲『キスがしたい』を超絶ストレートかつロックに投下した。
恋人との別れを描いたバラード『日常革命』を情緒豊かに歌い上げ、幅広い表現力で魅了した後は、しょうと(b)となおや(g)のパワフルな応酬が印象的なメンバーのソロプレイから、一度聴けば覚えてしまうほどキャッチーな『グッドな音楽を』でひとつに。サビではTikTokでバズったダンスを踊る観客の姿も。あっという間に楽しい空気に包みこむと、ライブハウス出身の彼ららしく『あの娘の胸に飛び込んで!』をパンキッシュに叩きつけた。
今年のFM802 × 三井ショッピングパーク ららぽーと ACCESS! キャンペーンソング『赤春花』にボーカルで参加したりょたちは、改めて802への感謝と想いを述べ、ラストは「ここ大阪で生まれた曲」と『ずっと好きだから』をあたたかい空気の中で歌い上げた。ライブ前の落合の「一度観たら好きになる」という言葉通り、4人一丸となって臨んだライブは確実にオーディエンスの心を動かした。その証拠に、ステージを降りた4人には鳴り止まぬ拍手が贈られていた。
【FANTASTICS】
昨年に続き、2年連続でリクステに出演したのはFANTASTICS。割れんばかりの歓声の中、パワフルに投下された『TOP OF THE GAME』ではキレキレで躍動するダンスパフォーマンスに目を奪われる。中島颯太の低音ラップと八木勇征の美しく伸びるハイトーンも魅力たっぷり。1曲目を終えると「いきなりボルテージMAXでいけますか!(中島)」「Make some noise!(八木)」と畳み掛けるように煽り『SPLASH』へ。曲中ではパフォーマーの世界、佐藤大樹、澤本夏輝、瀬口黎弥、堀夏喜、木村慧人のソロパートをがっつりお見舞い。個性際立つエネルギッシュなダンスに熱狂した客席は、たまらずプチョヘンザ!
『仮面ライダーガヴ』の主題歌『Got Boost?』のサビでは、他のアーティストのタオルを持った観客も一緒に「ガヴガヴダンス」でひとつに。『Yellow Yellow』ではメンバーが花道へと繰り出し、リラックスした雰囲気で客席とコミュニケーションを取る。
LDHの理念は"Love,Dream,Happiness"。中島は「夢・愛・幸せを通して皆さんとひとつになっていきたいので、今日初めて観る方も感じて帰ってほしいと思います。今日限りのセットリスト持ってきました。楽しむ準備できてますか!」と述べて「あれ、しとかないと」と、「リ?」「クステー!」 「ファンタスティック?」「スー!」とやはりコール&レスポンスを引き継ぐ。盛り上がりはすさまじく、『FUNKTACTIC!』では激しいダンスで世界のパンツが破れるハプニングも(実は木村のシャツの脇も破けていたそう)。中島はすかさず「それぐらい皆さんのパワーがすごいからはちきれました!」とカバーしていた。
中島は大阪・住之江出身で、現在FM802で『DESIGN YOUR FANTASTIC FUTURE(毎週金曜20:00~21:00)』を担当中。次なる曲はリクエスト1位に輝いた、『DYFF』のための書き下ろしソング『Easy come,easy go』。最高にポジティブな空気で満たすと、先輩であるEXILEの時代を超えて愛されるナンバー『Choo Choo TRAIN』でフィニッシュした。脈々と受け継がれるLDHのポップネスと魂に、大抜と落合も感嘆の声を漏らしていた。
転換中は高樹リサの客席突撃インタビューがあったり、ラジオ用のジングルを録ったり、オリジナルスピーカーが当たる企画の当選者を発表したりと盛りだくさん。FM802は6月1日に開局36周年を迎えたばかりだが、大抜は「これからの音楽シーンに欠かせないアーティストとともに、802も素敵な音楽を届けていきます。どうぞ皆さん、"大好きな音楽とともに未来へ"。よろしくお願いします!」と意気込んでいた。
【ハンブレッダーズ】
トリを飾ったのは、大阪発のロックバンド・ハンブレッダーズ。落合は彼らの音楽を「つまずきそうな日々や、うつむいてしまいそうな日々を応援してくれる、純度の高い音楽」と形容し、「言葉にならない感情を歌に、ライブハウスからスタジアムへ! あなたのヘッドホンからこの音楽が未来を示す!」と咆哮した。
ムツムロ アキラ(vo&g)はいつものように「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました!」と述べて、『BGMになるなよ』『ギター』と爽快なロックチューンを飛ばしていく。さらに間髪入れず木島(ds)のパワフルなビートから『⚡(ビリビリ)』へ。ムツムロが生み出すポップでグッドなメロディーラインと伸びやかな歌声、でらし(b&cho)の躍動するベース、ukicaster(g)のわななくギターソロ、安定感抜群の木島のビート、そして湧き上がる歓声とクラップ。会場全体を巻き込んで重なり合うアンサンブルが全身を貫き、共に生で音楽を楽しむ心地良さに胸が躍る。
MCでムツムロは「今日は出てる人の系統がみんな違うじゃないですか。だからひとつの教室みたいな日だったんじゃないかなと思ってます。最後、教室の端っこでずっと1人で音楽を聴いてた5軍の僕たちが締めて帰ろうと思います!」と『ワールドイズマイン』をドロップ。さらに「各々の好きなダンスをしてください」と言葉が添えられた『DANCING IN THE ROOM』をグルーヴィに飛ばしていった。
「特別リクエストが多かった」という『ライブハウスで会おうぜ』は、コロナ禍に作られた曲。ビジョンには、北から南、小さなハコからZeppまで、彼らがこれまで回ったライブハウスの写真がポップなサウンドに乗せてテンポ良く映されていく。その数の多さに彼らの歴史とライブハウスとの絆を感じ、それを城ホールで見ることの意味の大きさには、思わず目頭が熱くなった。
ハンブレッダーズは10月に初の主催フェスを城ホールで行う。ムツムロは「僕たちの世代で新しいものを作っていきたいという気持ちがあります。昔に聴いてた音楽や尊敬してた人たちからもらってきた分、ちゃんと自分たちがカッコ良くあらないといけないと思ってやるフェスです。ぜひ一緒に作ってください」と想いを口にして、大切そうに『グー』をプレイ。観客と拳を突き上げて気持ちを通わせた。そして「わざわざ好きな音楽を聴きにこんなところまで遊びに来る、偏屈な皆さんに愛を込めて」と『DAY DREAM BEAT』を熱く全力でプレイした。4人の鳴らす真っ直ぐな音楽は、自分を主人公にしてくれる。ハンブレッダーズが示す未来に勇気をもらえる、素晴らしいライブ。最後にでらしは「忘れてた。リ!」「クエステージ!」のコール&レスポンスを行い、笑顔でステージを去った。SHISHAMOから始まったキッカケが繋がり続け、素敵なエンディングで幕を閉じた今年の『REQUESTAGE』だった。
場内にはマイ・ケミカル・ロマンスの『Welcome To The Black Parade』に乗せて、ビジョンに出演アーティストと裏方スタッフのクレジットが流れていく。これだけ多くの人たちが関わって、私たちは音楽に触れることができている。そう思うと、改めて音楽がもたらす奇跡と尊さに感謝の念がわいてきた。そして、"young hopeful"なアーティストたちがこれから繋いでいく未来はどんなものなのか、楽しみで仕方ない。
この日の熱狂を再び味わえる特別番組は、7月21日(月・祝)18:00~20:00の2時間。大抜卓人のDJで生放送される予定だ。ぜひそちらもチェックしてほしい。
Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生、キョートタナカ
(2025年6月24日更新)
●SHISHAMO
1.君と夏フェス
2.君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!
3.BYE BYE
4.最高速度
5.夏恋注意報
6.明日も
●imase
1.Nagisa
2.ユートピア
3.惑星ロマンス
4.名前のない日々
5.メトロシティ
6.NIGHT DANCER
7.Happy Order?
●ねぐせ。
1.愛してみてよ減るもんじゃないし
2.アタシのドレス
3.キスがしたい
4.日常革命
5.グッドな音楽を
6.あの娘の胸に飛び込んで!
7.ずっと好きだから
●FANTASTICS
1.TOP OF THE GAME
2.SPLASH
3.Got Boost?
4.Yellow Yellow
5.PANORAMA JET
6.SUPER DUPER DISCO
7.FUNKTACTIC!
8.Easy come,easy go
9.Choo Choo TRAIN
●ハンブレッダーズ
1.BGMになるなよ
2.ギター
3.⚡(ビリビリ)
4.ワールドイズマイン
5.DANCING IN THE ROOM
6.ライブハウスで会おうぜ
7.グー
8.DAY DREAM BEAT
日時:7月21日(月・祝)18:00~20:00
※生放送
DJ:大抜卓人
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