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“音楽で表現したいことは何か”に真摯に向き合い
2025年は“大人の踊れる夜”をテーマに突き進む
I Don't Like Mondays.の2023→2025インタビュー

ぴあ関西版WEBのインタビューに約2年ぶりの登場となるのが、4人組ロックバンド・I Don't Like Mondays.のボーカル・YUとドラム・SHUKIだ。前回のインタビュー以降日本のみならず海外へ積極的に活動の幅を広げ、楽曲も自分たちのルーツとなってきた音楽をより深く掘り下げつつ、“自分たちが今やりたい音楽”に驚くべき熱量と真面目さを持って向き合ってきた。音楽のみならず、アートワークやファッションをはじめとするビジュアルイメージまでも自ら舵をとっている彼らが、前回のインタビュー以降どのような日々を過ごしてきたのか。振り返って話を聞くと、2025年に彼らが進んでいく道がよりくっきりと見えてきた。

原点回帰することを決めた2023年、
音楽を通して何を表現したいかを突き詰めた


――ぴあ関西版WEBでのインタビューは約2年ぶりです。久々なのでこの2年をざっくり振り返っていただくところから始めたいと思います。前回のインタビューの後の2023年は、5枚目のフルアルバム『RUNWAY』のリリースや台北での海外初ワンマンなどがあった年でした。

YU「コロナがあけた後に『Black Humor』というアルバムを作ったのですが、その時は自分たちから遠い世界観を持つ楽曲を限界まで作る挑戦をしました。それをやりきった後に、一度原点に帰ろうと掲げて走り出したのが2023年です。そういう意識を持って作ったのが『RUNWAY』だったので、自分らしさとは何かを見つめ直す年だったなぁと思います」

SHUKI「『RUNWAY』に収録した「Umbrella」という曲ができた時点で、僕らにはこういう方向性が合うかもと改めて思っていたんです。その後の2024年に出したEP 『FOCUS』も「Umbrella」の音楽性を軸にもっと研ぎ澄ませてやってみようと作った気がしていて。そういう意味で言うと『RUNWAY』をきっかけに曲作りやライブの作り方も新たな展開を迎えた印象はありますね」

YU「確かに2023年に作った曲たちがかなり今の僕らの中心にあると思います。フェスなど、僕らを初めて見る人が多い場所でやっているのが2023年に作った「Summer Ghost」や「Beautiful Chaos」なので、今の僕らを象徴する曲が生まれたのが2023年です」

――「Umbrella」にこれだ! と感じた理由というと...?

YU「「Umbrella」にこれだ! ってSHUKIはよく言ってるよね。僕は「Summer Ghost」だとも思ってるけど」

SHUKI「言語化は難しいんだけど...例えばライブを想像して、舞台の照明や演出までイメージした時に、この曲は絶対こういう感じだ! と言える曲もあれば全く想像できない曲もあって。『RUNWAY』を作っていた頃の僕らはわかりやすさも重視したかったので、曲からたくさんの明確なイメージが強く湧いたのが「Umbrella」だったと思います。『RUNWAY』以前はとにかくいろいろな曲をやっていたので、ライブを通しての照明のテーマを考えるにしても世界観がバラバラだったんですよ。だけどそのあたりの世界観も統一する方向で進もうと思えたのは、「Umbrella」だったのかもと思うんです。ライブもソリッドな方向に持っていこうと具体的なイメージが描けました」

YU「...今思い出しましたけど、僕らはシンセサイザーやエレクトリックな音を融合するバンドとして活動してきました。でも今まではシンセや打ち込みを使う時は極端にどちらかに振り切った表現を大事にしていたんです。でも「Umbrella」はエレクトリックな音と生音の混ざり具合がすごく面白くて、僕らはこういうのがやりたいんだ! という発見をした曲でもあるんです。だからバンド内での新発明みたいな感動もありました」

SHUKI「デビュー当時の方が生音思考だったんですけど、そこから自分たちも試行錯誤したり音楽の世界でもゲーム音楽の流行があってミックスが面白いと思っていたんです。ただ、今になるとバンドのよさはやっぱりきちんとあった方がいいよねということで、生音になるべく軸を置いていこうと。原点回帰というのがそれで、デビュー当時やっていたことをもう1回やってみようよということになりました」

YU「その頃は僕らが音楽で表現したいことはずっとこのままのフェーズでいたらダメなのかもしれないという意識もあって、なんでバンドをやろうと思ってたんだっけ? みたいなことをメンバー内で話す機会もすごく増えていたんです。僕らはライブを一番大事にしていることを再認識し、ライブを意識した曲を密に話し合って生まれた曲が増えたという経緯もありました」

――なるほど。そういう意識を持って作った『RUNWAY』は、どのように受け止められたと感じられているのでしょうか。

SHUKI「今までの作品の中で一番世間の声を気にしなかった作品ですね。まずは僕ら自身を見つめていたというか。僕ら自身が何を表現したいかを問いながら作った作品という意識が一番強いかもしれないです」

YU「そういう意識を持ったうえでみなさんの意見を見ていたら、"これぞアイドラ!"って言ってくれている人はたくさんいたなぁと思います」

SHUKI「その前に出した作品がちょっとひねった『Black Humor』というアルバムだったし(笑)」

YU「そう。僕らにも『RUNWAY』はこれぞアイドラだと思って作ったから、間違っていなかったなと思いました」

――そして2023年は、今にもつながる海外でのライブもどんどん顕著になっていくきっかけの年でもありましたね。

YU「そうですね。フェスにお呼ばれして台北に行っていた縁もあって、初ワンマンが台北になりました。待っていてくださる方がたくさんいて、そこから中国大陸にも行かせてもらって。元々僕らは日本だけではない活動をしたいと思っていたこともあってか、別に海外だからどうとか鼻息が荒くなるとかもなく日本の活動の延長線上にあることという意識です。ただ確実に文化は違うので、そこはどうなるかな? と思いつつパフォーマンスしてみたら、自分たちがやってきたことは間違っていなかったと証明できてうれしかったです」

――そういった2023年を経て、活動10周年だった2024年はバンドとしてどういう方向で走っていこうということの共有はされていたのでしょうか。

SHUKI「バンドサウンドでいくことは、23年末から24年はすごく考えていましたね」

――10周年記念EPの『FOCUS』の制作も進んでいた頃ですよね。

SHUKI「進んでいました。せっかくEPという形なのでいろいろな曲を集めた感じではなく世界観をより濃くしたいというか、このEPひとつで世界観を作ってそれに付随するツアーもお客さんにその世界観を伝えられるようにしたいと思っていました。だから新しい試みとして同じような曲調のデモを3、4曲作ってみていた頃です」

――それ、あまり聞いたことがありません!

SHUKI「ですよね(笑)。ある意味、わかりやすさを求めて世界観をせばめて作ると先に決めたからこそ、狭い中でちょっとだけ違う曲を作ってみるのは初めての試みでした」

――ちなみに世界観をせばめて作るというと、最初にテーマやEPタイトルが決まっているというような感じですか?

YU「タイトルを先に決めました。僕らの中でもすごく珍しいことなんですけど、EPだと曲数も絞れるから世界観が作りやすいところはあります。ただ今振り返ると、すごく真面目に今までの音楽人生というか...バンド人生では音楽に最も真面目に向き合ったという感覚があります。鼻息荒く真剣にやって、真面目なEPだなとも思います。真面目に音楽に向き合った結果、これができましたというか」

――アイドラのみなさんが真面目というのは今に始まった話ではなくて...。これまでのインタビューでも、メンバー同士での話し合いやスタッフとの方向性の共有をすごくされているバンドだという印象があります。EPのタイトルもどのように決まったのでしょうか。

YU「今まではマネージャー陣やレコード会社のスタッフチームも含めて全員が会議室に集まって話をすることが何年もあったんですけど、『RUNWAY』では原点回帰を掲げるということもあってじゃあ僕らは何をやりたいのかということをメンバー4人だけで話そうねと。で、4人で書店が併設されたカフェに行って1時間くらい本を見つつ1時間後に集合しようと」

――アイドラの4人がカフェで会議ってめちゃくちゃ目立ちそうです...!

YU「4人だけで顔を合わせて"あなたは音楽を通じて何を表現したい? 何を伝えたい?"みたいなことをそれぞれインタビューして、そういう話の中から生まれたのが『FOCUS』です」

――かなりの突き詰め系の会議ですね...!

YU「そう。ストイックでしょ?」

――ストイック過ぎます! というか、アイドラはスタッフさんも含めてめちゃくちゃストイックなチームなんですよ。そもそも取材前にこんな資料(pdfで22ページもある!)が手元に届くなんてないことです。これにはアイドラのプロフィールやら数字的な分析やら、昨年のリリース・活動、そして今年1年の動きはもちろん、バンドとしての理念みたいなことも含まれていて。まるで企業案内を見ているようでもあります。これだけのものが作られるまでにめちゃくちゃ話し合いを重ねているのだろうということは、簡単に想像がつきます。

YU「そのストイックさありきで『FOCUS』という作品が完成しました(笑)」



アイドラらしい遊び心を大切に
2025年は"大人の踊れる夜"を作っていく


――メンバー・スタッフのストイックさが結実したEP『FOCUS』には、活動10周年記念というフックもありました。この10年の活動を象徴であり、自分たちの大きなフラッグともなる楽曲をこの作品から挙げるとすると、どの曲になりますかね...?

YU「「Change」...かなぁ?」

SHUKI「「Change」じゃない?」

――その理由は言葉にできますか?

SHUKI「さっきYUが言ったみたいに『FOCUS』は今までの僕らも踏まえ、そして僕らの人格も踏まえると、ちょっと真面目すぎるところもあるんですよ。その中で「Change」が一番素に近い曲だからかなぁ?」

YU「そうそう、そういう感じ。真面目なところからちょっと肩の力が抜けているというか。...ちなみに2025年はそういうのがテーマなんですけど、本来の僕らはもうちょっとこういう感じだよねっていうムードがちゃんと出た曲だなと思います」

――真面目だけれど、ちょっと遊び心が出せた曲というか。この曲がきっかけで2025年のテーマも生まれたのでしょうか。

YU「いやそういうわけでもないんですけど、『FOCUS』を作りきって結構スッキリしたんですよ。自分たちが突き詰めたものをやりたいやりたいと思ってやって、できあがったものが世に出て。こういうことが自分たちが本当に表現したかったことだと大きな声で言った時に肩の力抜けたじゃないですけど、遊び心とかスパイシーな夜、刺激的なみたいな新しいキーワードが浮かんできて。みんなの性格もそうだけどメンバーもみんな30代半ばになって、"アイドラのライブ、ちょっとイケナイ夜みたいな感じでいいよね"みたいなそんな夜を作ることが、本来の僕ららしさなのかなというところに話し合いで辿り着いたんです。僕らじゃないとやれないことがやりたいというフェーズにきている感じでもあります」

――そういう遊び心を演出したいというお話ならば自分たちにも心と体の余裕が必要なのかなとも推測するんですけど、実際のスケジュールは...(2025年12月までのアイドラのスケジュール資料を見つつ)ビッチリですよね。フェスに出てツアーして、ここでこれやってあれやってと年末まで。肩の力を抜きつつ、遊び心を持って進みたいというアイドラの2025年はどのように始まっていますか?

YU「ライブしていない時間がない...感じですねぇ。でもそっちの方がいいなと思っています。個人的にはライブをライフワークにしたいと思っていたので。今年は正月から怒涛のライブ続きで、規模も割と大きくなってきたんです。中国でも大体1000キャパ以上くらいになってきて、2回目でもあったので"また帰ってきたぜ"みたいな感じですごく楽しめましたね」

――怒涛のライブスケジュールの間には、もちろん制作もされていると思います。今年も資料上はリリースがたくさん予定されていますし。今制作している楽曲のヒントをいただくことは可能ですか?

YU「かなり自分たちらしいというか、あんまり日本のバンドシーンやロックシーンにはないサウンドができているかなと思っています」

――もうちょい、ヒントいただけますか!

YU「もう本当にダンサンブルな、"この曲で夜に騒ぎたいね"っていう感じです」

――それがこの秋に開催されるツアーにつながっているのでしょうか。今年秋のバンドとして最大規模のZeppツアー、「大人の踊れる夜」をテーマに遊べる夜を演出するライブ「TOXIC TOUR 2025」を行うと伺いました。

YU「そうですね、イメージは"危ない夜"みたいな感じです」

SHUKI「僕としてはライブハウスでのライブと聞いて、想像するのとはちょっと違うものを作りたいなと思っています。それが僕らの"らしさ"になるのかなとも思いますけどね」

――それはそうと、今までアイドラがこういったテーマでライブをしていなかったというのも不思議です。

YU「いやもう、確かにそうなんですよね。今まで楽しくやってきたけど、活動歴が10年を超えてきて次どういうことをやろうか迷わないようにするために何かテーマを作った方がいいねというのはありました」

――選曲はどのようになりそうでしょうか。

SHUKI「最終的にどんなライブだったっけ? とはならないように(笑)。ライブは流れによって全然違うものになるので、意外とこの曲もやるのはありとかになるんですけど、今年作る曲と出す曲に関しては自分たちで掲げたテーマを軸にやっていくつもりです」

――今年は"大人の踊れる夜"を念頭に走っていく、と。

SHUKI「それが僕たちらしさ、僕らの強みかなと思います」

――いやー、それにしても毎度のことですがアイドラは年間計画のマスコミへの打ち出しがほんっとーに早いです。秋のライブのお話を春に聞いているんですから!

SHUKI「そうしないと僕ら自身がブレやすいということもあるかもしれないですね」

YU「すぐよそ見しちゃいますし」

――いやいや、よそ見できるスケジュールでもないじゃないですか! お忙しいとは思いますが、その合間で2025年個人的にやりたいこと、行きたい場所など最後に伺えますか。

SHUKI「あー、去年の年末にたまたまインド行きの航空券の値段を調べたら意外と安くて、行きたい気持ちが湧いてきているんです。でもインドって呼ばれないと行く気になれないでしょ?」

YU「それ、今呼ばれてるんだよ!」

SHUKI「行きたいけど全然行けるスケジュールはないよね」

YU「ちなみに、何しに行くの?」

SHUKI「そりゃ自分探しでしょ!」

――いいですねぇ! そういう経験も今後のアイドラの楽曲にもつながるでしょうし、なんとかスケジュールをこじ開けていただいて。YUさんは?

YU「んーーーーーーーーーー、思いつかないほど自分は仕事脳だなぁと思いますよね。実は僕、去年から歌い方を変え始めたんですけどまだまだ調整中というか成長の真っ只中なんです。僕のスケジュール的には、年内で自分の歌い方を完成させたいと思っていて」

――どこまでもストイック...!

YU「(笑)。でも大体筋道はできているので。でも全ての物事はそうだと思うんですけど、一夜には叶わないので。年末ぐらいまでじっくりと取り組んでいこうかと思っています。...あとはそうだなぁなんだろうなぁ。(長い時間の後に)...あ、旅行! パリに行けたらすごくうれしいですね」

取材・文/桃井麻依子




(2025年4月30日更新)


Check

Release

2025年 第一弾配信シングル
「jealous」4月30日配信

デビュー10周年記念EP『FOCUS』
配信中

《収録曲》
1. Someday
2. Shadow
3. Change
4. Flower in the rain
5. Sunset Girl
6. Lonely Dancers
7. New York, New York

Profile

アイ ドント ライク マンデイズ.…YU(Vo)、CHOJI(Gt)、KENJI(Ba)、SHUKI(Dr)からなる4人組ロックバンド・通称アイドラ。80'sサウンドをルーツに持ちながら、こだわり抜いた音作りとグルーヴで邦楽と洋楽の垣根を越えていく。アニメ主題歌をきっかけに海外への扉を開き、アジア・ヨーロッパ・南米などのファンからも熱狂的な支持を集める。彼らの"踊れる"ライブは海外でもファンが増え続けている。

オフィシャルサイト
https://idlms.com

オフィシャルX
https://x.com/IDLMs_OFFICIAL

オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/idlms.official/

オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCPFQ7ao1TbzJUuITXsG0oww


Live

I Don't Like Mondays. 2025 Zepp TOUR「TOXIC TOUR 2025」

【北海道公演】
▼10月5日(日) Zepp Sapporo

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:287-562
▼10月11日(土) 18:00
Zepp Osaka Bayside
全席指定-7800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上は有料、未就学児は入場不可
[問] キョードーインフォメーション■0570-200-888

【福岡公演】
▼10月13日(月・祝) Zepp Fukuoka
【愛知公演】
▼10月18日(土) Zepp Nagoya
【東京公演】
▼10月26日(日) Zepp DiverCity(TOKYO)

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