ホーム > インタビュー&レポート > 開催目前!『梅田界隈 THE CIRCUIT ’25』に出演する スーパー登山部(いしはまゆう、梶祥太郎)、 QOOPIE(渡辺成祐、加藤一貴)インタビュー
――ということで「名古屋界隈」の2組にお集まりいただきました。
いしはまゆう:あははは。確かに。
――スーパー登山部とQOOPIEは元々交流はあるのですか?
渡辺成祐:元々いしはまくんがKADOMACHIをやっていることもあって、スーパー登山部自体と交わるようになったのは最近ですけど、それより前から交流はあります。
――『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』に名古屋からスーパー登山部とQOOPIEの2バンドが出演とのことですが、それぞれバンドの結成の経緯も伺えたらなと。
梶祥太郎:スーパー登山部は僕とキーボードの小田くん(小田智之)が、とある年の初詣に行った時に「一緒にバンドやりたいね」って話から発生して。それから小田くんがメンバーを招集して進んでいきました。バンドを組んだタイミングで1年後にホールでライブすることが決まっていて、そこに向けて曲を作っていく流れで始まりました。最初は単純に良い音楽をやるために集まったんですけど、小田くんが山岳会に入っていたことから、どんどん山に登る方向になっていきました。
―― 山に登る方向になっていくという意味がまだちょっと分かりませんが、結成時からホールでのライブが決まっていたということですか?
いしはまゆう:元々小田くんが「長久手市文化の家」という文化施設で契約アーティストとして活動していて。そこを卒業するタイミングで何かイベントをやりたいということで、ホールでライブする為にバンドを組んだんです。
梶祥太郎:バンドを続けるかどうかはそのライブが終わってから考えようって。
梶祥太郎
――なるほど。ある意味、企画ものとして始まったのですね。ではスーパー登山部がバンドとして続いていくかどうかは結成時はあまり考えていなかった?
いしはまゆう:そうですね。スーパー登山部という名前になったこともあって、小田くん以外登山経験はなかったのですが、音楽活動だけじゃなく実際にメンバーと山に登ることになっていくという(笑)。
――QOOPIEはどのように始まったのでしょう。
渡辺成祐:元々僕と加藤くんが大学の同期で。同じ軽音楽部に所属していたんですよ。そんな中で名古屋にSuspended 4thやdoosという路上ライブをするバンドがいまして。そういった先人たちのライブを観て「俺たちも路上ライブやりたいね」っていうところから、加藤くんと2人でメンバーを集めてQOOPIEを始めました。
――名古屋の路上といえば、SPYAIR、24-two four-、そしてSuspended 4thと、その時代その時代を象徴するバンドがカルチャーを生み出してきたと思うのですが、QOOPIEは名古屋の路上カルチャーをどう捉えていますか?
渡辺成祐:自由だよね。
加藤一貴:そうですね。それこそ僕らが凄く影響を受けたのって、Suspended 4thやdoosのような路上でやっているようなインストバンドで。歌なくても良い音楽をやっていれば人が集まるんですよ。そういう音楽の自由な部分に凄く憧れていました。
――スーパー登山部とQOOPIEはお互いをどのように見ていますか?
梶祥太郎:QOOPIEはパッションが凄くて、なんというか、歌がないのに歌心があるんですよね。
いしはまゆう:凄くドラマティックなバンドだなって印象があります。
渡辺成祐:嬉しい。スーパー登山部はどうですかね、なんか山登りしているなって。
いしはまゆう:その通りです(笑)。
渡辺成祐:第一印象がね(笑)。でも勿論それだけじゃなくて、先日初めてライブを観たのですが、音楽も凄く力強くて、且つ優しくて、登山をやってない人の背中も押してくれるような音楽で、凄く感動しました。
――「登山をやってない人の背中を押す」って良いですね。大体の人がやっていないっていう(笑)。
いしはまゆう:あははは。
いしはまゆう
――楽曲にも登山は反映されるのですか?
いしはまゆう:特に登山をテーマにしようといったルールはないのですが、何しろ主に作曲を手掛けている小田くんが山を登っているし、アレンジをしている僕らメンバーも山を登っているので、勝手にインプットされた山の要素が入っているのかもしれません。
――例えば「頂き」では「頂きと思って近付くと道まだ続くと気付いて嫌になる」「それぞれのペースでいいんだ」と登山を連想させますが、それは山という物理的なものじゃなく、人生という山を登っていることにもリンクするなと。
いしはまゆう:今の言葉を見出しに使ってください(笑)。
――見出しが僕の言葉でいいのですか(笑)。対してQOOPIEは楽曲制作でイメージすることはありますか?
渡辺成祐:やっぱり言葉じゃない部分で人に届けることって凄く難しくて。歌うことって、音程を取ったり、何処で息継ぎを入れるかとか、何処で力を入れて何処で抜くかとか、無意識的にやっている部分が大きいと思うのですが、ギターでそれを再現することを意識していて。「たらら」と弾くのか「た!ら!ら!」と弾くのかで同じフレーズでも聴こえ方って全然違うじゃないですか。それをまるで歌っているかのように、言葉を使わずに表現することは意識して曲を作っています。
―― それが先ほど梶さんが仰っていた「歌心」なんでしょうね。加藤さんは如何でしょうか?
加藤一貴:スーパー登山部の音楽に登山が反映されているかって話がさっきありましたけど、僕は明確にイメージした風景を元に音楽を作っていて。「武道館でやりたい」とか「フジロックに出たい」とかよく言っているんですけど、曲を作るときも武道館でやることやフジロックに出ていることを想像しながら作ることが凄く多くて。
――歌詞がない分、受け取り方は受け手の数だけあると思うのですが、演奏している場面が浮かぶということはそのイメージの先にはオーディエンスもいるわけですよね。
加藤一貴:そうですね。それこそ「ライブありき」じゃないですけど、「この場所でこの曲をやったら、ここでお客さんがこうなって欲しい」みたいな映像は思い浮かべながら作ることが多いです。
加藤一貴
――スーパー登山部とQOOPIEは音楽性や打ち出し方は異なっていると思うのですが、共通点も感じたりします。お互い何かシンパシーを感じる部分はあったりしますか?
いしはまゆう:QOOPIEの楽曲を聴くと情景が浮かぶと思うのですが、それは僕がスーパー登山部でギターを弾くときに1番大事にしてる部分でもあって。だから僕らとQOOPIEってキャッチして欲しい入口の部分が近いのかなと思います。なんとなくフィーリングから入って欲しいみたいな。そこが凄く共通している気がしますね。
渡辺成祐:僕は山を登らないんですけど、さっきの話じゃないですけど、人生の山を登っているという意味で僕らもバンドという山を登っているのですが、そうやって階段を登っていくことがテーマとしてスーパー登山部の音楽にはあると思うし、僕らの曲もお客さんにとって景色と共にあると思っていて。QOOPIEの曲で自動車のVANから取った「VAN」という曲があるのですが、「この曲に乗って何処までも行こう」という意図で作ったんですけど、最近凄く思うのは、お客さんが少しずつ増えていく中で「VAN」を演奏していると、そのときそのとき積み重ねてきた景色が浮かぶんですよね。あの時の「VAN」はどうだった、この時の「VAN」はこうだったみたいな。それが僕の中での「情景が浮かぶ」ということなんですけど、そこはスーパー登山部とQOOPIEの大きな共通点だと思います。
――音楽ってバンドやオーディエンスと一緒に成長していきますよね。見たもの、聴いたもの、感じたことがどんどん加わって、また見える景色が変わっていく。1合目と2合目じゃ見える風景も違うように、そのときそのときの景色をこれから一緒に見ていく関係性を持ったバンドが名古屋にまた新しいシーンを作ってくれる気がしました。
渡辺成祐:名古屋の音楽シーンって、04 Limited Sazabysを中心としたロックバンドのシーンがあったり、Suspended 4thが作った路上のシーンがあったり、他にもいろんなシーンがあると思うのですが、スーパー登山部とQOOPIEはその何処にも属していない気がしていて。その中で今回の『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』のように同じイベントに揃って呼んで貰えたことで、少し近未来的な名古屋を感じてもらえるというか、新しいシーンが僕らで作っていけるような気はしていて。
いしはまゆう:ネオ感を感じてもらえるシーンを作れたら良いですよね。
渡辺成祐:何処かに属するのではなくて、僕たちが新しいシーンを作っていくパイオニア的なバンドにこの2バンドがなっていけたらなとは思っていますね。
渡辺成祐
――2バンドが揃って出演する『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』から新しいシーンが生まれそうですよね。
渡辺成祐:良い面々が揃っていますもんね。
いしはまゆう:ここに僕らも呼んでいただけたことに凄くワクワクしています。
渡辺成祐:都会的でスタイリッシュな部分を持ちながら泥臭さのあるバンドが揃っていて、そこに自分たちも混ぜて貰えることが凄く嬉しいです。
梶祥太郎:そこでどれだけ山を感じさせるライブができるかっていう。楽しみですね。
いしはまゆう:スーパー登山部もQOOPIEも新しい場所というよりは、今まであった名古屋のいろんなシーンが重なって、その上に新しく在る感じがするので、そこをスーパー登山部を通して『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』で見せることができたらなと思っています。
加藤一貴:『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』でQOOPIEを初めて観る人も多いと思うので、その人たちを僕たちのファンクでめちゃくちゃ躍らせたいですね。
渡辺成祐:僕は1本1本のライブに対する気持ちは同じなので、僕らのワンマンも『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』も持っているものを全て丸裸でさらけ出して勝負したいです。ある意味ではいつも通り、ある意味ではこれが最後のライブになるぐらいの気持ちで挑みたいです。
――決して突然変異ではなく、名古屋のライブハウスシーンの歴史があって、そこにスーパー登山部とQOOPIEが新しい色を塗ることでまた新しい名古屋シーンが生まれる気がするので、「梅田界隈 THE CIRCUIT '25」を起爆剤に、逆輸入的に名古屋が盛り上がる気がしますね。
渡辺成祐:ありがとうございます。名古屋だけじゃなく、もう本当にシンプルに日本を代表するインストバンドになる覚悟をもって活動しているので、その道の途中で失敗することもあるとは思いますけど、その瞬間ですら鳴っている音がかっこいいと思って貰えるように頑張っていきたいです。
加藤一貴:全く同じです。
梶祥太郎:スーパー登山部って山で繋がっているけれど、音楽性はみんなバラバラなんですよ。でもそれが結果的に豊かな音楽性に繋がっている気がしていて。その雰囲気を『梅田界隈 THE CIRCUIT '25』で感じ取って貰えたら嬉しいですね。
いしはまゆう:多様性の時代だって言いますけど、いろんな人が居ていい時代になってきていると思うので、その時代に合ったバンドとして発信していけたらと思います。
――別々の人生を歩んできた人間が集まって「せーの!」で音を鳴らしたときのミラクルに僕らリスナーはいつだってドキドキしているので、そういう意味ではスーパー登山部とQOOPIEの登場に胸の鼓動が速くなっている気がします。名古屋界隈、始まりましたね。
渡辺成祐:ありがとうございます。まずは梅田でぶつけてきます。
取材・文:柴山順次(2YOU MAGAZINE)
写真:タカギユウスケ
(2025年3月10日更新)
チケット発売中 Pコード:287-596
▼3月29日(土) 14:00
梅田BananaHall/梅田Zeela/梅田BANGBOO
全自由-5000円(ドリンク代別途要)
U-20(全自由)-3500円(20歳以下対象、ドリンク代別途要)
[出演]BESPER/Black petrol/どんぐりず/Doona/韻シスト/Jairo(YAMORI+John-T)/jean/リベラル a.k.a 岩間俊樹(SANABAGUN.)/QOOPIE/Redhair Rosy/S.A.R./Shu/スーパー登山部/Testa/登山部experiment/TRIPPYHOUSING
※小学生以下は保護者同伴に限り入場無料(保護者様1名につき1名まで)。Zeelaにあるリストバンド交換所にお越しください(13:30~交換開始予定)。開場・開演時間は変更となる可能性がございます。アーティストのキャンセルや変更等による料金の払戻しはございません。
[問]夢番地■06-6341-3525
Black petrol、Redhair Rosy、Shu(ego apartment)が語る、ライブサーキット『梅田界隈 THE CIRCUIT ’25』への期待
https://kansai.pia.co.jp/interview/music/2025-03/umedakaiwai-osaka.html