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ガガガSP・コザック前田、山田亮一、
PK shampoo・ヤマトパンクス座談会
『PSYCHIC FES 2024』に向けて、
関西出身バンドマンが音楽愛を語る

8月4日(日)、大阪心斎橋エリア一帯のライブハウスにて、PK shampooのヤマトパンクス(vo.gt)がプロデュースのサーキットイベント『PSYCHIC FES 2024』が開催される。昨年11月に新宿で行われた初回に続き、PK shampooの地元・大阪での開催ということで、今回ぴあ関西版WEBでは、当日出演するガガガSPのコザック前田(vo)、山田亮一(vo.gt/山田亮一とアフターソウル、Funk Discussion Brothers 、バズマザーズ、サニアラズ、ex.ハヌマーン)、ヤマトパンクスの座談会を敢行。『PSYCHIC FES 2024』への意気込みや想いはもちろん、お互いへの愛とリスペクトが溢れた先輩後輩対談をお楽しみください!

音楽の原体験をくれたふたり



ーー本日はよろしくお願いします。まずはお三方の関係性をお聞きしようと思います。

ヤマトパンクス「元々僕は、お二方の音楽のファンで。僕、中学も高校も帰宅部だったんですけど、高3の時に友達からもう使ってないipodをもらって、その時初めて自発的に音楽を聴いたんです。そのipodに入っていたのが、ガガガSPやHi-STANDARDをはじめとしたパンクサウンドが基調のバンドたちだったんです。そこから大学生になって、落語家の立川談志に憧れてたこともあって落研に入ろうと思ってたんですけど、そこの人たちから何やら陰鬱な空気を感じてなんか違うなぁと思いながらぼーっと歩いてたら軽音サークルに勧誘されて、そのままそこに入ってベースを弾いてたんです。そこで先輩たちに教えてもらったのが、それこそハヌマーンやナンバーガールをはじめとした日本のオルタナティブロックで、ベーシストとしてハヌマーンのコピーなんかもやったりしながら色んな音楽を知っていきました。そういう意味でお二方は僕の音楽の原体験に近いというか、お二方がいなかったら僕は自分でバンドを組んでなかっただろうし、僕だけじゃなくて全国のミュージシャンに途方もない影響力を持ってるお二方だと思っています。今回、恐る恐るアホなフリして誘ってみたら、どちらも快諾いただいて(笑)。すごく嬉しく思ってます」

ーー前田さんと山田さんは、PK shampoo、もしくはヤマトパンクスさんとの出会いはいつでしたか?

前田「会ったのは今年なんですよね。3月にうちのツアー(『やはり俺たちの青春パンクは間違っていない。』3月10日@渋谷Star Lounge)に出てもらったんですよ。でも彼のことは前からSNSで見てて、"ちょっと危ないやつおるな"と思ってすごい興味持って。周りの人からも"面白いで"という話を聞いてて、曲も聴いたりしてました」

ーー初めて会った時の印象はどうでした?

前田「いや、良かったですけどね(笑)」

ヤマトパンクス「僕、実は大学3回生の時に組んだパンクバンドで、The サードと十三ファンダンゴで1回対バンさせてもらったんですよ。うちのベースのにしけん(ニシオカケンタロウ)も、ガガガSPで楽器を始めたって公言してるぐらいのファンなので、2人でめっちゃ緊張してました」

ーー3月の渋谷での対バンはどうでした?

ヤマトパンクス「僕は基本的にお酒がないとうまく喋れないんですけど、そのうえで前田さんがお酒をやめてらっしゃるのは聞いてたから、あの時は"どうしよう......"という心境でした。でも優しく"出てくれてありがとう!"と言ってくださって嬉しかったですし、開演前に前説をやって頂いたんですが、そこで"PK shampooを皆に紹介してくれてる!"と思って感動しました(笑)」

前田「(笑)」

ーー山田さんは?

山田「対面は初(しょ)です。いま初めて会いました」

ヤマトパンクス「(笑)」

ーーヤマトさんはどんな印象ですか?

山田「もうほんまに、イメージそのまんまって感じです」

ヤマトパンクス「恐縮です(笑)」

山田「僕も前田さんと一緒で、最近すごい勢いのあるバンドさんなんやなというので、名前を知ってたんです。で、僕が配信してた時に、僕のフォロワーさんから"『PSYCHIC FES』に出てください"みたいなコメントがあって、"出してもらえるんやったら、もちろん出たいです"と素直に言ったんです。そしたらヤマトくんからすぐに連絡もらって、2つ返事で受けさせてもらいました。多分前田さんも思ってはると思うんですけど、こんなに若くて行動力ある奴いるんだって。前田さんも若いうちから勢いがある存在だったと思うんですけど、僕は若い頃今より全然有名じゃなくて、今思い返せば"こいつがやってる行動を、若い時の自分は取れてたかな"って。オファーをもらった時は、僕も"復帰します"とは言ってたけど、周りに"こいつは呼んでいいのかどうなんか"みたいな空気があった中で、彼だけが僕を呼んでくれたんです。だからどうしても出たいと思ったし、恥ずかしながらその後決まってるメンツでTHE BACK HORNとかを見て、"そのクラスのイベントやったんや"みたいな感じでした。そして今コザック前田さんに会えて、めっちゃ嬉しい!(笑)。僕も10代の頃はパンクロックしか聴かない奴やったんで、『SET YOU FREE』とかもよく行ってました」

ーー愛が溢れてますね。

前田「(笑)」

ーーヤマトさんは、山田さんの配信のお話を聞いて、すぐに連絡をされたんですか?

ヤマトパンクス「そうですね。僕はその噂をマネージャーから聞いて。 "言うだけタダ"じゃないですけど、アホなフリして言うたろと思ってDMを送らせていただいたら結構すぐに快諾のお返信をいただけて。それをスクショしてチームのLINEに貼ったらスタッフ一同含めてみんな"やったー!"ってなってました。僕普段から寝坊とか締め切りの延長ばっかり繰り返しててその頃かなりチーム内での信頼を失ってたんで、そこでちょっと回復しました(笑)」

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多様な人間が集まる大阪アメリカ村での開催



ーーでは改めて『PSYCHIC FES 2024』についてですが、昨年11月に新宿のライブハウス4か所で『PSYCHIC FES 2023』が行われ、PK shampooを含む28組が出演。今回は8月4日(日)に大阪・心斎橋エリアで、現在発表されているのがPK shampooを含む43組です。規模がどんどん拡大しているように見えますが、そもそもどうして『PSYCHIC FES』を開催しようと思われたんですか?

ヤマトパンクス「第一回を開催しようと思った頃は、いろんな理由があってしばらくワンマンライブばかりやってた時期だったのもあって、なんていうか広がりがなくて面白くないなと思ってたところがまずあって。かといって地道にツーマンやらスリーマンをやってくのもめんどくせえなと思って、一気に皆呼ぼうと思ったら30組ぐらいになったのが発端です」

ーー一緒にやりたいバンドを呼んだんですか?

ヤマトパンクス「そうです。チケットぴあの新井さんと飲んでる時に"なんかイベントやらせてくださいよ~"って朝までしつこく言ってたら本当に開催してもらえることになって、"じゃあ俺が面白いバンドとか好き放題呼んでいいっすか"ということで、思いついた人にとにかくLINEなりメールをしたんです。最初はみんなに"渋谷でやった方がサーキットには楽だよ"と言われたんですけど、渋谷にある"俺たちイケてます"、みたいな空気ってちょっとめんどくさいじゃないですか」

山田「間違いない」

前田「(笑)」

ヤマトパンクス「多様なアーティストに出ていただくサーキットをやるなら、あのイケの圧がかかってる空気はちょっと違うなと。新宿ってもっと雑多に存在できる街じゃないですか。ビジネスマンもいれば、学生もいるし、ホストも家出してきた若者も同性愛者もみんながそこにいる。そういう場所の方がサーキットの"ノンジャンル、世代も何も関係なし"みたいな趣旨にも合っていいかなと思ったんですよね。で、第一回を終えた時に、よく考えたら大阪もそういう街やったなと思って。たとえば今回の心斎橋だって、ラッパーもスケーターも外国人もいるし、ちょっと上に歩くだけで本町みたいなビジネス街があったり、南に行くと日本橋っていう秋葉原チックな電気街があったり、そのまま歩いていくと新世界や西成があったりして、街やそこにある文化が物理的にも精神的にもシームレスに繋がってる感覚があるので、大阪という土地も『PSYCHIC FES』にぴったりだなと思って。それで関西に所縁があったり、在住のアーティストを中心にオファーさせていただきました」

ーー先ほど少しお話しいただきましたが、オファーされてみてのお気持ちは?

山田「僕はほんまに嬉しかったですね」

前田「もう喜んで出たいなと思って。それこそTHE BACK HORNはタメですし、他のメンツもそうですけど、雑多な人が集まる場所に、ほんまにリアルなちゃんと浮き沈みのある人たちが揃ってるなと、メンツを見て思いますね」

ーーちなみにTHE BACK HORNを呼ばれた理由は?

ヤマトパンクス「THE BACK HORNも、高校大学で周りにコピーバンドがいっぱいいましたし、うちのギターの福島カイトも、THE BACK HORNでギターを始めてるんですよ。僕は確か大学1年か2年の時、サークルの友達に誘われて9mm Parabellum Bulletとのツーマンを見に行ったんです。能動的な音楽リスナーとしての原初的体験になったガガガSPがいて、楽器演奏の体験にハヌマーンがあるとしたら、ライブハウス、モッシュピット、シンガロング、みたいな生の現場の体験の切っ掛けになったバンドのひとつに間違いなくTHE BACK HORNがあったんです。雑誌『音楽と人』の金光(裕史)さんが将司さんを紹介してくれて、一緒に飲んでたら、明け方に店からレモンサワーがなくなったりして(笑)。お店閉まってカラオケで飲みなおしてたら、将司さんがTHE BLUE HEARTSの『青空』を歌ってくれたりして」

山田「え、マジで!」

ヤマトパンクス「めちゃめちゃ優しい人です」

山田「前田さんは、"この先輩に可愛がってもらった"みたいなバンドマンの先輩はどんな方ですか?」

前田「ちょっと上の世代の人ですかね。真心ブラザーズとか」

ヤマトパンクス「羨ましいなー!(笑)」

前田「フラワーカンパニーズ、怒髪天、あと一緒に音楽作ってた泉谷しげるさんは20代に結構お世話になりましたね」

山田「最高っす!」

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イベント主催者ゆえの苦労と喜び



ーーガガガSPは長年『長田大行進曲』を主催されていますが、イベントをやる大変さや楽しさはありますか?

前田「ずっとライブハウスで『長田行進曲』をやってて、初めて『長田大行進曲』と名前をつけて、六甲山のスキー場を借りて野外でやったのが2010年。2日間やって、もうぐっちゃぐちゃにしようと思って、フラカン、The ピーズ、銀杏BOYZ、泉谷しげる、マキシマム ザ ホルモン、サンボマスター、もう呼べる奴全部呼んだら、1年目はギャラも含めて、何とかトントンにやれたんです。で、次の年も調子乗ってやったら、大赤字になって長いことできなかったんですけど、やっぱり経理の計算も準備もいりますし。サーキットは僕は経験ないですけど、出てもらおうと思ったらすごい前からオファーしとかなあかん人もおるでしょうし、それ考えたら大変なことですよね」

ヤマトパンクス「僕、すごい行き当たりばったりな人間なんで、それこそ第1回もぴあの会議室を借りて、"誰を呼びたい?と他人にヒアリングしてもらうところから始まりました。でもとにかくメンツを偏りたくなかったので、商業、非商業と色んなフェスがある中で"今僕がやるのであれば"という点で考えたら、自分が好きな人を集めて、先輩も後輩もジャンルも何も関係ないものにしようと。前回も、神聖かまってちゃんの後にENTHが出てくる、みたいなタイムテーブルが個人的にすごく面白かったので、そういうのをやってみたいなというのは第一にあって」

前田「もうタイムテーブルは決めていってるの?」

ヤマトパンクス「決めていってはいますけど、皆目見当がつかないというか(笑)。スタッフの人たちと意見を交換しながら、徐々にやってます。大変さもありますけど、この世にないものを作ってる感じは楽しいですね。僕からしたら、ありえない人たちにありえない形で出てもらってるので。これ失礼なんじゃないかな、ぐらいのギリギリが面白い感じです」

ーー前田さんは主催側として、どんなことが1番楽しいと思われますか?

前田「タイムテーブルは全部僕が作って、皆に見せて"ここは違うんちゃう"と言われたところだけ変えたんですよ。自分のフェスだから、自分がトリを取るのだけは決まってるんですけど、それまでの前半の盛り上がり、後半の盛り上がりを考えながら"こことここを合わせてみようかな"と考えて、タイムテーブルを作るのは楽しかったですね」

山田「僕もお二方ほど大きい規模ではないんですけど、好きな友達とバンドを集めてイベントを主催したことがあって。多分お二方はわかってくれると思うんですけど、自分たちで主催をやった時の、主催者割り増しの盛り上がりがあるじゃないですか。何バンドも出て、最後に自分たちが出た時に、いつもより盛り上がってくれる。あれは本当に嬉しいです。主催は大変ですけど、あれを1回味わっちゃうと、何だかんだ楽しいなと思えるのが利点かもしれないです」

ヤマトパンクス「僕も感じましたね。前回Zepp Shinjukuでトリをやらせてもらったんですけど、1番後ろの奴がダイブしてるやんみたいな」

前田山田「(笑)」

ヤマトパンクス「あと日本お茶割り協会という友達がやってるキッチンカーで、ちゃんとした茶葉からちゃんと淹れたお茶割りを1日中飲み放題みたいな企画をやってて、1000だか2000杯は出たと言ってたから、終盤になるほど凄い変な空気になっていってて、あの妙な一体感は良かったですね」

山田「ワンマンライブのアンコールの瞬間にしかないお客さんの熱と、1バンド目からめちゃくちゃ最高のライブをしてくれて、皆の力を借りるみたいな空気感。あの気持ちは確かにめちゃくちゃある。僕もまた味わいたいなって、お二方の話を聞いて今思いました」



3人の音楽に共通する、歌詞の共感性



ーー前田さんはPK shampooのライブを観られた印象はいかがでしたか?

前田「ライブ感というか、ドキュメンタリー感があるんですよね。ライブとショーは別ものかなと思う時もあるんですけど、PK shampooは"ライブ"をしてるバンドだなと思いましたね」

ーーPK shampooは歌詞の世界観が文学的、哲学的というところで、山田さんの音楽の雰囲気に通じる部分があったり、今前田さんがおっしゃったように、ガガガSPの熱量やライブ感の部分で共通点があると感じますね。

山田「僕は同じ人がPK shampooやハヌマーン、バズマザーズを好きになる感覚はわかるかな。共通点は感じますね」

ヤマトパンクス「3月にガガガSPと対バンさせてもらった時、『忘れられない日々』をカバーさせてもらったんですけど、ほとんど新たに覚えたりする必要なしにつるんと自分の中から歌詞が出てきたんですよね。高校生の時に聴いてたのもあるでしょうけど、聴いてた他の曲のにも歌詞を覚えてない曲が沢山あることを考えると、フックのある歌詞だ、とか言うと偉そうですけど、そういう部分があるなと。もちろんハヌマーンもそうなんですけど、一緒に歌える、一緒にその場に存在できるというか。ただ揺れるだけ踊るだけライブするだけじゃなくて、一緒に叫べる歌詞性や思想性があるバンドだなぁというか。"前田さん、俺もその気持ちわかる、わかるぞ!"みたいな気分に、実際にそんな経験をしたことがなくてもなれてしまう。それが前田さんや山田さんのボーカル力なのかなとも」

前田「(笑)」



最高のバンドメンバーと始動する、山田亮一の新バンド



ーー山田さんの新バンドについても聞かせてください。バンドメンバーを募集されて決定して、初ライブが『PSYCHIC FES 2024』ということですが、一体どんなバンドでしょうか?

山田「まずは今、僕たちはハヌマーンのコピーバンドをやってます(笑)」

ヤマトパンクス「主軸はそっちなんですね。楽しみです」

山田「そこからオリジナル曲を作ってるんですけど、最高のメンバーが見つかってめっちゃ今幸せです」

ーー編成はボーカル、ギター、ベース、ドラムの4ピースになるんですよね。

山田「そうです。4人組です」

ーーメンバーさんはどんな方ですか?

山田「ほんまにすごくて。ギターの奴が、多分来年ギターヒーローになってると思います。でも変な奴なんですよ。バッキングが全然できなくて。ただソロを弾き出したら、もう空気が止まるというか。僕も3ピースでずっとギターボーカルをやっていたので、リズムの部分はカバーしてやれるかなとも思ったし、足りない部分をめちゃくちゃ補われてる感じで、最高のツインギターだと思います」

ーーリズム隊はどうですか?

山田「良いですね。ベースがめちゃくちゃ上手くて、プラスめっちゃ周りをまとめてくれるんです。練習が終わって皆とご飯に行きたいけど、いつも行く店がサラリーマンでいっぱいになる呑み屋なんですよ。入れなかったらベースの子がすぐ別の店をパッと探して"もう取りました、行きましょう"みたいな感じで、マネージャーみたいなこともやってくれて」

前田「全てにおいてそんな感じ?」

山田「ほんまにそうなんですよ。プレイにもそういうのが出てる」

ーーバンド名は?

山田「ハヌマーンの曲もやるので、"〇〇ズ"みたいなことにはしたくなかったんですよね。だから山田亮一として活動していこうと思ってて、"山田亮一とアフターソウル"というバンド名にしようと思ってます」

ーー"アフターソウル"に込めた気持ちは?

山田「良い意味で、印象に残らない感じにしたかったんですよね。"アフターソウル"って、直訳しようがなくないですか。"魂の行方"とも"終わった男の魂"とも取れるし、ソウルミュージックのアフターソウルやから、ネオソウルみたいな意味にも取れなくはない。当日全然違うバンド名の可能性もありますけど」

ーーどんな初ライブになりそうですか?

山田「初ライブなので計算してやるのではなく、できることを一生懸命、愚直にやろうと思っています」

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変わらない良さと変わり続ける良さ。ガガガSPが今見せたいものとは



ーー前田さんは、ガガガSPとして『PSYCHIC FES 2024』でどういうライブをしようと思われますか?

前田「どういうライブというのは、まだちょっとわからないですよね。場所にも、前後のバンドさんにもよりますし、どっちに向けてやるかというのがありますよね。"ガガガSP見るの久しぶりやな"という人が結構おるかもしれんから、そういう人たちに向けてやるのか、それとも"今現在ちゃんと活動してる、更新してるバンドだよ"というのを見せるかは、まだちょっと迷ってます」

山田「そうやと思うんですよ。最近追いかけてたわけじゃないけど"ガガガいるんやったら行きたい"というファンの方と、今も進行形で新しいことを発信してるガガガを好きなファンの方がいると思うんですよね。そこに向けて変わらない良さを表現することと、変わり続けていくことのカッコ良さのバランスって大事ですよね。例えばレッチリとかも、"そうそう、それ聴きたいねん!"って曲、絶対外さないじゃないですか。多分前田さんもその気持ちは絶対あると思うんですよ。でも、ほんま失礼なこと言いたくないんですけど、"ガガガ結局変わってないやん"となるのは、前田さんは嫌やと思うんですよね。俺も今新しくバンドを始めて、一生懸命新曲を作ってて、路線は違うけど、バンドマンの先輩として、コザック前田も自分たちの"今"を表現してることを知ってほしいという気持ちと苦悩をずっと持つんだなという気持ちで、自分の中でひとつ解を得たような気がします。僕も久しぶりのガガガ、楽しみにしてます(嬉)」

ーータイムテーブルとハコが決まってからセットリストは組まれるんですか?

前田「セットリストを考えるのも僕なんですけど、メンバーに言うのはいつもライブの1週間前ですね。その1週間の間に練習に入るのが最近のルーティーンです」

ーーちなみに山田さんが聴きたいガガガSPの曲はありますか?

山田「うーん、『京子ちゃん』が聴きたいですかね。でもやっぱり『線香花火』とか『卒業』聴きたいですね」

前田「(笑)」

ーーヤマトさんはいかがですか?

ヤマトパンクス「本当に原体験に近い場所にあるバンドなので、聴きたい曲と言ったら1個ずつ言っていかなあかん(笑)。例えば高校の時、冬に聴いてた曲は冬になると聴きたくなるし、落ち込んでる時に聴いてた曲は落ち込んでる時に聴きたくなりますよね。音楽って自分の人生の四季折々の記憶やタイミングに染みついてるものなんで。まぁ『PSYCHIC FES 2024』は夏なので、じゃあ『線香花火』なのかな、という話になってくるバンドだなと。ベタ誉めしちゃってますけど(笑)」

前田「お恥ずかしい(笑)」

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前田&山田が贈る、ヤマトパンクスへのエール



ーー2020年にヤマトさんにインタビューした時(PK shampooインタビュー)、"自分はライブへのテンションややる気が低めで、意気込みもあまりないタイプ"とおっしゃっていましたが、今はライブに対してどんな気持ちですか?

ヤマトパンクス「僕、中学生の頃に自分でお小遣い貯めてギターを買って、みたいな、いわゆるロックスターに憧れて始めたタイプではないんですよね。多分インタビューを受けた4年前は、僕まだ学生やったんちゃうかな。3回留年して7年生までいったので。メンバーも全員同じ文学部のサークルで組んだバンドなので、ずっと学生生活が続いてる感覚で、"今さら意気込みって言われてもなー"みたいな気持ちだったんです。そんなこんな逃げ続けてたらもう今年30歳になるんで、今は自分で言うのも違うけど、成長してきたというか。スタッフの人たちも頑張って走り回ってくれてるのを見て、遅ればせながらちゃんとせなあかんなと思い始めた、という感じですね(笑)」

山田「でも、それが魅力なんじゃない?」

前田「魅力ですよ」

山田「僕もそう思います。こういうアホ、まだおってくれてるんやって」

ヤマトパンクス「許されてない部分もいっぱいありますけど」

山田「でも足し引きでプラスやから。あなたがそれだけ魅力的だから、人がついてくると思うんですけど」

前田「うん、本当に」

ヤマトパンクス「だったらありがたいですけどね。そういう意味では未来形で意気込んでるというよりは、現在完了形で感謝してる感じです。過去を振り返って毎日感謝してますね。許してもらう為に頑張る、くらいの感じです」

ーー『PSYCHIC FES』は今後、どのようにやっていきたいですか?

ヤマトパンクス「もちろん続けたいですし、第3回の時は第2回より儲かるようにしようとか、第25回の時は24回よりというように、少しずつ採算をとりながら大きくしていければいいなとは思いますけど、それぐらいのことですね。できることをできる範囲でやるしかないと思ってます」

ーー最後に前田さん、山田さん、『PSYCHIC FES 2024』への意気込みと、よろしければヤマトさんへのエールをいただけますでしょうか。

前田「ある程度ずっと尖っててほしい気はするんですね。だってまだ30歳で、下の世代が出てくるでしょ。元気な何組かは知ってるけど、仲良い悪いじゃなくて、元々はやっぱりあなたが基準にあるんだよというのを見せながらやってほしいなと思いますね。音楽性はバラバラでも、スタンスは見せつけたと思うし、それはすごいことだなと思うんですよ。おっさんがそこに入っていくとかじゃないですけど、その中でも引けをとらないようなライブを『PSYCHIC FES 2024』でできたらいいなと思います」

ヤマトパンクス「ありがとうございます」

山田「僕も同意見で、ほんとにずっと尖っててほしいし、ヤマトパンクスのイズムを持ち続けてほしいと、勝手ながらおっさん2人は思ってる(笑)」

前田「(笑)」

山田「僕も次が復帰ライブで、バンドとしては5年ぶりに近いライブになるんです。ほんまに最高の場を与えてもらって、ありがたい気持ちでいっぱいです。もちろん勝負しに行くけど、自分は一生懸命花を添えられたらなと思ってます」

ヤマトパンクス「ありがとうございます(笑)」

Text by ERI KUBOTA
Photo by sato mizuki




(2024年7月 8日更新)


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「PSYCHIC FES 2024」

【大阪公演】

▼8月4日(日) 13:00
BIGCAT/他
スタンディング-6800円(ドリンク代別途必要)

[出演]梅田サイファー/Order From Minor./ガガガSP/SuiseiNoboAz/the dadadadys/トップシークレットマン/ネクライトーキー/THE BACK HORN/PK shampoo/PURIKURA MIND/山田亮一/浪漫革命/アルカラ/かずき山盛り/加速するラブズ/小林私/TENDOUJI/ドミコ/the bercedes menz/夜の本気ダンス/LOSTAGE/KALMA/多次元制御機構よだか/TEMPLE/No Fun/Mega Shinnosuke/目やに!/RAZORS EDGE/愛はズボーン/クリトリック・リス/ジ・エンプティ/時速36km/そこに鳴る/超☆社会的サンダル/東京少年倶楽部/バックドロップシンデレラ/オレンジスパイニクラブ/キュウソネコカミ/古墳シスターズ/さよならポエジー/ザ・シスターズハイ/Hue’s/Black petrol
[問]GREENS■06-6882-1224

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●PK shampoo

「Major 2nd EP『輝くもの天より堕ち』Release One Man Tour "A Day to Remember"」

PICK UP!!

【大阪公演】

▼9月13日(金) 19:00
梅田クラブクアトロ
スタンディング-4500円(ドリンク代別途必要)
[問]GREENS■06-6882-1224

【福岡公演】
▼9月21日(土) LIVE HOUSE CB
【名古屋公演】
▼9月23日(月・祝) RAD HALL
【札幌公演】
▼9月28日(土) BESSIE HALL
【東京公演】
▼10月3日(木) LIQUIDROOM

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