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2024年4月6日、大阪は桜満開・超見頃!
YOUR SONG IS GOOD、ストレイテナー、Keishi Tanaka
ありそうでなかった3組の共演が実現した春の1日
『NEW KICKS GREENSPIA 2024』ライブレポート

Keishi Tanakaの呼びかけで関西のコンサートプロモーター・GREENS、プレイガイド・ぴあとの共同開催として、2023年に第1回が開催された音楽イベント『NEW KICKS GREENSPIA』。今年もやるよ! とアナウンスされ、“春の訪れを告げる野外ライブ『NEW KICKS GREENSPIA 2024』に出演する3組の代表者によるスペシャル対談が実現!”とぴあ関西版WEBに記事を掲載したのが1カ月ほど前のこと (記事はこちら)。あれよという間にコートを脱ぎ捨てる季節はやってきて、開催当日大阪の桜は見事に満開。Keishi Tanaka曰くこれまでありそうでなかった、YOUR SONG IS GOOD、ストレイテナー、Keishi Tanaka3組の共演が実現のものとなった、程よくユルくてハッピーな空気が流れた春の1日の模様をお届けしたい。

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会場内にはKeishi Tanakaがオーガナイズしたクラフトビールの店『CRAFTROCK BREWING』や焚き火台やサウナグッズを販売する『Tokyo Camp』、雑誌『ランドネ』のブースが並び、中でも開場してすぐ『CRAFTROCK BREWING』にはワラワラと人が集まってビールを飲みながら楽しそうにしている姿が目に入る(「桜のやつ、美味しい!」とワイワイしていたお姉さんたちが実に美味しそう&楽しそうだった)。この日はYOUR SONNG IS GOOD、ストレイテナーはもちろん出店ショップに至るまで、Keishi Tanakaとの関係性が濃い人たちが顔を揃える。制作する音楽にも、ライブやイベントの企画、グッズの制作などありとあらゆることの背景にストーリーがあることを大切にするKeishi Tanakaならではのイベントだなと思わずにはいられない。さぁ、定刻。ライブが始まる。



●YOUR SONG IS GOOD

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パフォーマンスのトップを飾ったのはYOUR SONG IS GOOD。パステルグリーンが春らしいお揃いのアロハシャツで現れた7人(サポートドラマーの光永渉のみアロハの色がネイビーなことにステージ前方にいたファンがザワッ。この日の衣装のカラーはグリーン(シャツ)とブラウン(パンツ)という話をメールでしていたが、光永が当日持ってきたアロハはまさかのネイビー。本人曰く「アロハにプリントされたヤシの木がグリーンじゃないですか」ということだったらしい。写真でイメージを共有しなかったのが行き違いの原因ですとのことだった)。彼らのステージは「Palm Tree」でスタート。程よくユルい雰囲気をまとったロックステディチューンが、春の午後にピタリとハマる。そんなゆるやかな曲から、トロピカルムードで季節が一気に夏へ飛んだ「Goodbye」へと続く。芝生エリアにいた小さな女の子がリズムに合わせて踊っていて、こういう雰囲気もたまらなくいい。お母さん、ユアソンで踊り続ける才能の娘さん、有望ですね!

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「ありがとうございます、YOUR SONG IS GOODです〜! よろしくお願いします!」というサイトウ"JxJx"ジュン(Key&Vo)の発声で、バンド結成初期からの人気曲「Splash」、そしてリズムは途切れることなく「Re-search」へと進んでいく。曲を重ねるごとに、ステージ目前で音楽を楽しんでいる人たちのテンションが上がっていく様も、見ていて本当に楽しくなる。その雰囲気を感じ取ったメンバーの演奏も、心地よく走っていくのがわかって会場中から手拍子が湧き始めた頃、曲が「The Cosmos」へと変わった。圧倒的な演奏力とどんどん作られていくグルーヴ、見るものをどんどん巻き込んでいくようなステージング。そんな怒涛のパフォーマンスが続くこと、この曲だけで約16分! 息継ぎもそこそこにキラキラゆらゆらスペーシーな音も効果的に響く「Motion」が奏でられると、ゆったりふわ〜り、チルな雰囲気に。ここまで6曲、ほとんどMCもなくインストバンドなので歌詞があるわけでもなく、曲ごとにカラフルとしか言いようがない多彩なアレンジで魅せてくれる。これが、ユアソンがユアソンたるゆえんだ。

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「めちゃくちゃ気持ちいね! 春のせいですかね? 最高です。今日は一番手をさせてもらっています。Keishiありがとう! ストレイテナーとも15年ぶりぐらいに一緒のステージに立てて、めちゃくちゃうれしいです」とようやくサイトウ"JxJx"ジュンの言葉が聞けた。「そうですね、ここからは大阪凱旋パーカッショニスト(サポートパーカッションの松井泉/ex bonobos)と、衣装の解釈がおかしかったドラマーの2人によるリズム中心の曲をやります!」と放つと、ダンサブルなパーカションの音色が響き始め会場中から力強い手拍子が起こる。特に大阪が地元である松井のパフォーマンスには、歓声も。パーカッションとドラムが中心のセッションをじっくりと堪能していたら、曲はいつの間にか「On」へと移り変わっていく。スペーシーな雰囲気もまとったアディスコナンバーでラストって。演奏しているメンバーも楽しそうだし、JxJxは演奏しながらスマホで撮影まで始めてめちゃめちゃ自由な雰囲気だし、お客さんはお酒片手に踊ってるし。特に「On」のラストはそこにいたみんなを巻き込むような曲展開だったこともあって、なんだこのライブ構成! めちゃくちゃ面白い音楽体験! と目の前がキラキラするようないい時間だった。

●ストレイテナー

630ena-.jpgオーガナイザーであるKeishi Tanakaが、「楽曲のよさがより出ると思う」と自ら依頼したアコースティックセットでのストレイテナーの出演。ステージに登場した4人にもリラックスムードが漂う。「俺たちストレイテナーっていいます、よろしく」というホリエアツシ(VoGt&Piano)の言葉と共にライブの定番曲でもあるミドルテンポのナンバー「彩雲」でライブは幕開け。ゆったりとしたメロディーに合わせて一緒に歌う人、ゆらゆらと体を揺らす人がいたかと思えば、曲が「You and I」「Blue Sinks In Green」と進むにつれて会場の誰もが"曲をじっくりと聞く"モードに切り替わっていく。春らしいギターアレンジで、まるで目の前が開けていくようなサウンドスケープが描き出されていくことに驚きを隠せない。これがストレイテナーアコースティックセットのよさなのか、と。

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Keishi Tanakaに誘ってもらってやってまいりました。誘ってもらわなかったらなかなか日帰りで来ないでしょ?」とホリエ。この会場には、実は音量制限があることをこの日のリハで知ったというメンバーの4人。アコースティックセットの時のみ披露するホリエのデスシャウトも、この日は残念ながら封印だと笑う。「今ぐらいのテンションでね? お客さんもグルーヴいいです。ありがとうございます」とホリエのピアノの音から始まったのは「SIX DAY WONDER」だ。オリジナルも素晴らしいが、アレンジがソリッドになり歌詞の世界観がよりストレートに心に届く。そして曲はゆるやかに「Starless Coaster」へ。ホリエがギターを置きピアノを奏でることで曲にグッと柔らかさと丸みがもたらされ、ここまでの4曲とは空気感が変わる。実は約1年半ぶりのアコースティックセットでのライブになるというストレイテナー。「需要ないのかなと思っていたけど、Keishiのおかげですね。緊張も含めて気持ちいいです。今日はアコースティックならではの選曲でお送りしていくので、カバーもやります」とホリエ。ここから披露されたのはColdplayの「Yellow」とスピッツの「渚」。洋/邦の超名曲で会場を一体化&会場に満ちた多幸感は素晴らしいの一言。そしてその雰囲気をガラリと変えたのは、その後に演奏された「シーグラス」。この日ストレイテナーを目当てに集まった人たちの"待ってました"感を強く感じられる盛り上がりで、アコースティックなのに、しっかりとバンドサウンドも感じる疾走感が効いたアレンジだ。

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MCでは「演奏中に音量計の"警告"って表示が見えちゃって!」とナカヤマシンペイ(Dr)が言うと、「前3人は警告が出ることなんて忘れてたわー。大阪来ると声出ちゃうよね」というホリエの言葉に会場からも笑いが起こる。この後に続いた「FREE ROAD」と「EVERGREEN」は、この季節に演奏してくれてありがとうとでも言いたいいいエモさと、エバーグリーンサウンドが気持ちよさを加速させる。ああ、もうちょっと聞いていたいと思ったタイミングでやってきてしまったラストソングは、「MAGIC WORDS」。特に曲の後半、フロントで演奏するホリエ、日向秀和(Ba)、大山純(Gt)3人のギターとベースがうねるようなグルーヴを生み出していく様は、ただただ圧巻。アコースティックアレンジながら、ラストソングで強い余韻を残す、インパクトの大きなパフォーマンスだった。

●Keishi Tanaka

630Keishi.jpgそしてラストを飾ったのは、イベントの立役者・Keishi Tanaka。この日のステージは、見るチャンスがあるならばぜひ体感したほうがいいと言い切りたい、トランペットとサックスのホーン隊を含めた希少な7ピースセットだ。Keishiは「ハロー、大阪!」と手を挙げてステージに現れる。まずは軽やかなステップを想像させるリズムが心地よいダンスチューン「Let Me Feel It」から。ステージ前のお客さんがゆらゆらとメロディーに合わせて揺れているのが見える。そんなラフな始まりから、スウィングするビートに心も踊る「Just a Side of Love」へ一気にギアチェンジ。会場全体から"この曲を聞きに来た"という雰囲気がビシビシ伝わってくる盛り上がりだ。「もう最高の日になってると思うけど、もう少しいけるでしょ?」と、昨年"Summer Vibes Remix"のリリースも話題となった「One Love」へとつなげる。居場所をテーマにした、数あるKeishi Tanakaの曲の中でも特に歌の力を感じることができる1曲が空へと解き放たれる。歌っているKeishi本人も何か解き放たれた感じがあったのか勢いに乗ってステージを飛び降り、客席へ乗り込んで歌い(お客さんのビールを一口拝借までしていた)、盛り上げる。...なんて自由なステージなんだろう!

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「楽しんでますか? 今日は来てくれてありがとうございます! YOUR SONG IS GOODとストレイテナー、言うまでもなく素晴らしいバンドに出演OKしてもらっただけでもうれしいけど、今日は本当に素晴らしいライブでした。そして、今年もいい景色を見させてもらっているけどこれができているのは去年があったおかげなわけで。その去年を一緒に作ってくれた最高の男がいまして。その親友が作ってくれた曲をやります」と演奏されたのは、「青のサーカス」だ。親友とは、昨年の『NEW KICKS GREENSPIA 2023』に出演した村松拓(Nothing's Carved In StoneABSTRACT MASH、とまとくらぶ)のこと。Keishiが村松に楽曲提供をしたり、Keishi自身これまで自ら書いてきた歌詞を初めて他人に委ねられたのが松村であったことなど、ふたりの信頼関係は厚い。アコースティックギターをゆったりと奏でながら、思いを巡らせるような表情で歌い上げる。そして心をテーマにした最新EPKOKORO EP』から「心たち」、個人的には"自分を解放する効果がある"と信じてやまない「Breath」、再び最新EPから「See Your Heart」を披露。この3曲にKeishi Tanakaの今のモードが反映されているようで目が離せなくなる。

Keishi-Band2.jpg「少し暗くなってきたけどまだまだ終わりたくないよね。もう少し踊って帰りましょうか。Are you ready?」と演奏された「This Feelin' Only Knows」では、ホーン隊を含めた7ピースセットならではの音の厚みを持ちながら軽やかなグルーヴを作り上げていく。Keishi Tanaka、やはり7ピースセットは見ておくべきだなぁと思っていたら、ラストソングだという。え、もう? 「本当に去年も言ったけどこんな最高なイベントをできて幸せに思います。こんな日を想像して3年前に作った曲で最後です」。それは、「I'm With You」。コロナ禍において活動が不自由になる中で感じた思いや、未来への願いが込められたこの曲。以前のインタビューでも「いつかみんなで歌える曲を」とできた曲なのだと語っていたKeishi。またふつうの生活が戻ってきて、コロナ禍では夢のようだったことが現実になった今日。本人はもちろん、この会場にいたあなたは、何を感じただろう。この日のKeishi Tanakaがギターを手にしたのは、9曲中「青のサーカス」と「心たち」の2曲だけ。6人のバンドメンバーに演奏を託し、ボーカリストとしてガンガン盛り上げるパートあり、歌を聞かせるパートあり、思いを乗せるパートあり...とセットリストで素晴らしいグラデーションを見せるステージを届けてくれた。

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そしてすっかり夜の帷が降りた頃、アンコールで再びステージに登場したKeishiバンドの7人。「今日は本当にありがとうございます! あと1曲だけ! 今日は本当にありがとうございました、最高!」と『NEW KICKS GREENSPIA 2024』の締めくくりに披露されたのは、「Hello,New Kicks」。Keishi Tanakaの自主企画イベントのタイトルとしてもお馴染み、彼のテーマでもあるNEW KICKS=新しい刺激。昨年は歌わなかったこの曲を今年歌った意味があるかはわらかないけれど、自由になった世の中で貪欲に新しい刺激を求めてもいい時が来たんだなぁと思わせてくれる、未来を想像することが楽しみになるようなエンディング。帰りの御堂筋線の中で、いい春の日だったとしみじみできる2024年の『NEW KICKS GREENSPIA』だった。Keishiさん、ぜひ来年もよろしくお願いします!

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Text by 桃井麻衣子
Photo by ピー山/Takafumi Yamashita




(2024年4月17日更新)


Check

Set List

●YOUR SONG IS GOOD
01. Palm Tree
02. Goodbye
03. Splash
04. Re-search
05. The Cosmos
06. Motion
07. On

●ストレイテナー
01. 彩雲
02. You and I
03. Blue Sinks In Green
04. SIX DAY WONDER
05. Starless Coaster
06. Yellow/Coldplay
07. 渚/スピッツ
08. シーグラス
09. FREE ROAD
10. EVERGREEN
11. MAGIC WORDS

●Keishi Tanaka
01. Let Me Feel It
02. Just A Side Of Love
03. One Love
04. 青のサーカス
05. 心たち
06. Breath
07. See Your Heart
08. This Feelin’ Only Knows
09. I’m With You
En. Hello,New Kicks

Live

●YOUR SONG IS GOOD

『ARIFUJI WEEKENDERS 2024』

Pコード:261-590
▼5月18日(土) 10:00
有馬富士公園
入場券-8800円(整理番号付)
学割入場券-7300円(整理番号付、開催日時点で中学生以上の学生、学生証要提示)

[出演]RIP SLYME/水曜日のカンパネラ/神聖かまってちゃん/梅田サイファー/OKAMOTO’S/YOUR SONG IS GOOD/chelmico/荒谷翔大/GRAPEVINE/マハラージャン/YONLAPA/他

※雨天決行・荒天中止。小学生以下無料(保護者同伴のみ入場可能)。開場・開演時間は変更になる可能性がございます。【学割入場券】は、開催日時点で中学生以上の学生。当日リストバンド引換時要学生証提示。提示がない場合、一般料金との差額をお支払い頂きます。出演者のキャンセル・変更に対してのチケットの払戻しは一切行いません。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがございます。ご来場前に必ず公式サイト(https://arifuji.com/)の注意事項をご確認ください。
[問]株式会社ONE■info@onemusiccamp.com

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●Keishi Tanaka

『GO ON THE MOVE NIGHT』

Pコード:267-832
▼5月5日(日・祝) 17:00
Shangri-La
ソロ-3900円(整理番号付、ドリンク代別途要)
ペア-3600円(2枚単位(合計7200円)での販売、整理番号付、ドリンク代別途要)
トリプル-3300円(3枚単位(合計9900円)での販売、整理番号付、ドリンク代別途要)
フォース-3000円(4枚単位(合計12000円)での販売、整理番号付、ドリンク代別途要)
ゴーオン-2700円(5枚単位(合計13500円)での販売、整理番号付、ドリンク代別途要)

[出演]BOYLEKUWAI/LEGO BIG MORL/Keishi Tanaka(Band Set)

※小学生以下は保護者同伴に限り入場無料。
[問]GREENS■06-6882-1224

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YOUR SONG IS GOOD HP
https://yoursongisgood.com/

ストレイテナー HP
https://www.straightener.net/

Keishi Tanaka
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