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クジラ夜の街・ドラムの秦愛翔が語る
メジャー1stアルバム『月で読む絵本』と、
胸に秘めた強い想い

高校の軽音楽部の選抜メンバーで結成された宮崎一晴(vo.gt)、山本薫(gt)、佐伯隼也(ba)、秦愛翔(ds)からなる、“ファンタジーを創るバンド”こと、クジラ夜の街が12月6日にメジャー1stアルバム『月を読む絵本』をリリースした。前回は4人で登場してくれたぴあ関西版WEBに、今回はドラムの秦愛翔がソロで登場。バンドと個人の2023年を振り返ってもらいつつ、ドラマー視点で新作アルバムの聴きどころなどを聞いた。来年1月20日(土)からは全国15都市を廻る、バンド最大規模のワンマンツアー『輝夜を捜して』がスタート。大阪は2月18日(日)の梅田CLUB QUATTROで行われる。ライブに対する秦の並並ならぬ想いを本記事で受け取ると共に、メジャーデビューから進化し続けるクジラ夜の街の姿をぜひ目撃してほしい。

バンドとドラムを広めるために、できることを全力で

ーーメジャーデビューでバンドの第3章が始まり半年経ちましたが、近況はいかがでしょう。

「ありがたいことに本当に忙しくなったのと、色んなお仕事をいただける機会が増えました。関わる人も増えたし、最近はドラマにも出演させていただいたり。自分たちの音楽を伝えるために色んなお仕事をさせていただいて、まず感謝というのと、すごく楽しいです」

ーー秦さんは元々ドラム以外のこともやりたいとおっしゃっていましたが、それは叶っている感じですか?

「そうですね。僕はゆくゆくは有名になって、ドラムという楽器をもっと広めたいなと思っていて。エンタメ性と職人性を両立できる人間になりたいんです」

ーーフジテレビの『逃走中』にも出たいんでしたっけ。

「出たいですね。『逃走中』はやっぱり夢で、そこでどれだけ面白いことをできるか常々考えてることではあります。普通に出れたら嬉しいですけど、その中でも高みを目指して優勝したいですね」

ーー今年1番印象に残ったお仕事は何ですか?

AWAさんの企画で『裏終電・敵前逃亡同盟』のMVWEGOさんとコラボさせていただいたことです。僕は中学の時、本当にWEGOさんばかり行ってて、服も全部そこで揃えていて。僕は今ファッションが大好きなんですけど、それもWEGOさんで服の楽しさを知れたから。音楽を続ける上で、自分が影響を受けた方々と一緒にお仕事できるのは光栄なことだなと思いました」

ーー人脈の輪は広がりました?

2023年は本当に友達が増えた1年でした。あと積極的に色んな場所に足を運ぼうと意識してて。それこそバンドマンが集まる居酒屋やバーに1人で行ったり。もっと知名度を上げていくためにも、人生をより楽しくするためにも、色んな人と関わろうと思って」

ーー社交的ですもんね。

「人と関わるのが好きだし、自分で言うのもあれですけど、コミュニケーション能力は割と長けてるのかなと。バンドでも外交的な窓口を担ったり。僕は人に愛される人間になりたいし、クジラを人に愛されるバンドにしたい。それはファンの方だけじゃなくて、お仕事関連の方もそう。そのためにこの嬉しい才能を使っていきたいですね」

どれだけ売れても、絶対に忘れたくない気持ち

ーーバンド的にはどんな半年間でした?

「着実に前に進めたと思います。ファンの方の数も増えたし、自分たちが届けられる音楽の幅も広がったし、バンドとしてかなり大きく成長できた半年だったなと、振り返って思います」

ーーどういう部分で成長したと思いますか?

「単純にライブが良くなったのがデカいですね。僕たちライブが武器なんですけど、今年はライブの本数も多くて、ライブごとに反省会をして。メンバー皆それぞれ上手くなったし、僕は半年前の自分のドラムとかもう聞いてられないぐらい、成長できた自信はありますね」

ーーおお。

「ライブって、僕にとってもお客さんにとっても最後かもしれないじゃないですか。僕が次の日に事故で亡くなるかもしれないし、お客さんも同じ可能性がある。そんなに重い話じゃなくても、お客さんにとっては僕たちのライブを見るのが最後の機会になるかもしれない。しかも僕たちのライブを生き甲斐に来てくれる人がいたりする。明確にそう思うようになったキッカケは、僕が1番好きなユレニワというバンドが解散した時。解散までライブも全部行ったんですけど、やっぱりどうしても悲しくて。その時に、もし自分がバンドを辞めたりいなくなったら、悲しむ人もいるんだなと思って。だから毎ライブ、絶対に"今日が最後だ"と思って、出し惜しみせず、妥協せずにやってます」

ーーライブ1本に対する気合いが強い。

「気合いなら誰にも負けないんじゃないかな。僕ライブだと結構アレンジするし、手数もめちゃくちゃ多いので、ライブが終わるともう息切れ状態なんですよ。でも幸せな息切れというか。これでライブが最後かもしれないし、僕のドラムを聞きに来てくれてる人も絶対にいると思うので、その方が"ドラムカッコ良いな"と思って帰ってくれるよう、本当に死んでもいいぐらい全力でやるようにしてます」

ーー秦さんがライブで1番大事にしてることは何ですか?

「まずは丁寧にやる。あとは目の前の人に届ける意識を絶対に忘れない。楽器をやってると、どうしても自分の楽器に目がいきがちというか、"うまくやらないと"と思っちゃう。でも楽器は手段でしかないんですよ。1番意識するべきは、目の前の人に届けるという目的。僕はプレイヤーとしてそう思ってますし、人の命を救う仕事をしているという気持ちで、誇りを持ってやってます。お客さんを大切にして、常に演奏のベクトルがお客さんに向くように、というのは常に心がけてます」

ーー具体的に工夫していることはありますか?

「とにかく前を見て、片っ端から目を合わせることですね。あとライブ中に立ったり、スティックを回したり、パフォーマンスでも盛り上げる。目の前の人に伝えるために自分ができることは全部やってます」

ーー物販にも立たれるそうですね。

「そうです、これは僕のポリシーで。僕、物販で見た景色を絶対に忘れたくないんですよね。お客さんがいるから僕たちの仕事は成り立っているので、そこであぐらをかいたら絶対にダメだなと思って。音楽で届けるのもそうですけど、物販で直接コミュニケーションを取ることで、お客さんの忘れられない思い出になったらいいなと。こういうことはきっと今しかできないので。できるライブがあるうちは全部立って、1人ひとりの目を見て"ありがとうございました"と言うようにしてますね」

ーーお客さんは嬉しいですね。

「物販に立ってると、結構泣きそうになるんですよね。"ありがとうございます"とこちらが言う側なのに、すごく感謝してもらうから。自分の好きなことが誰かの人生の一部になれているんだなと。それはかけがえのないことだから、忘れたくない。どれだけ売れてもこの気持ちは変わらずにいたいです」


より多角的になったファンタジー。現時点の最高傑作が完成

ーーそしてメジャー1stアルバム『月で読む絵本』がリリースされましたね。

「僕たちのキャリア史上最高傑作だと思いますね」

ーー濃厚な1枚ですよね。2023年の夏はフェスにはあまり出ず、制作をされていたとか。

「そうですね。TAGO STUDIO TAKASAKIというスタジオで、23日で録ったんです。皆で朝から晩までレコーディングして、夜から朝まで遊んでみたいな。良い合宿になりました」

ーー作りながら、ちゃんと遊びも。

「『海馬を泳いで(M-12)』という曲は、合宿の最終日に突然できた曲なんです。皆2日酔いで死にそうな時に、"インストで前奏曲を作りたいね"みたいな話が出て、"限界だよ"と思ってたんですけど、限界の中でふと下りてきて、しかもめちゃめちゃ良い曲になって」

ーー最後の2曲に向かう手前の、高まるインタールドですね。1回のセッションでできたんですか?

「皆でセッションしまくって、同じところを何回も繰り返してパートを考えていきました。皆限界だからこそ、頭が柔らかくなってた。多分あれは東京のスタジオで体力ある時に作ってもできなかった曲かなと思います」

ーー今回は"月盤"ですね。どのように制作されましたか?

「これまでのキャリアを超える作品にしたかったのと、誰に見せても自慢できる盤を作りたいという気持ちがありました。作曲者じゃない側の人間として、この盤について思うのは、ファンタジーがより多角的になったというか。例えば『華金勇者(M-3)』は、働く人のリアルを"勇者"というファンタジーのワードに落とし込んで昇華させたり、『裏終電・敵前逃亡同盟(M-5)』はファンタジーな世界観だけど、結構ダークで現実を攻めたことを言ったり。要するにファンタジーが1個の表現の手段になった。だからこのアルバムは一皮むけた作品になったと思います」

ーー資料に"ライブで培ってきた経験を軸に完成"とありますが、ライブでの経験が活きている部分は多いんですか?

「僕たちはライブで何回も何回も曲をやっていくうちに回答を探すみたいなことが多くて、ライブをやると曲が良くなる実感があります。特に『ロマン天動説(M-7)』や『裏終電・敵前逃亡同盟』は、ずっとライブでやってきたからこそ完成したアレンジですね」

ーーそう。いつもなら先に新曲をライブで披露しているところが、『輝夜姫(M-2)』に関しては全く情報を出していなかった。それはなぜですか?

「今までそういうことをしてこなかったので、逆に神秘性というか。僕がファンなら完全な新曲が楽しみになるし、1個の新しい試みとしてやってみました」

日本最古のファンタジーを、芸術的な楽曲として昇華

ーー1曲目の『欠落 (Prelude)』から和の空気が感じられて、物語に誘われますね。

「『欠落 (Prelude)』はオートチューンを使って。和風だけど、薫(山本/gt)くんのギターの機械音を入れたり、和と近代的な要素の融合が面白い曲になりました。1曲目にふさわしい曲だと思います」

ーーそこからの『輝夜姫』は、クオリティの高さに驚きました。

「輝夜姫は日本最古のファンタジーなので、ファンタジーを創るバンドとしては良い題材。うまくバンドに落とし込めたと思います」

ーーテーマが輝夜姫に決まったのはいつ頃ですか?

「一晴くんが、"輝夜姫の曲を作った"と持ってきて。そこから月盤になったのかな。『MemoryM-13)』には宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の世界観が少し投入されてて。ジャケットで月をバックに銀河鉄道が走ってるイメージにしたのは、やっぱり『Memory』や『輝夜姫』が根幹にありますね」

ーー『輝夜姫』はどのように作っていかれたんですか?

「この曲は一晴くんのイメージを元に、スタジオでセクションごとに何回も合わせて、僕たちが楽器を考えていきました。これまでクジラが1番してきた王道の作り方ですね」

ーー後半、宮崎さんの歌だけになって、また盛り上がる展開が印象的でした。

「そう、ドラムが途中消えるんですよ。元々はドラムが入ってたんですけど、"もっと面白いことできるよね"って皆で模索したんです。色々やったけど、ドラムを消してボーカルだけになったら、荘厳な感じが出て面白いんじゃないかという結論に辿り着きました」

ーー歌詞で気に入ってる部分はありますか?

「直接は触れてないけど、実はこの曲は""について書いてる物語なんですよね。そういう作品は今まで僕たちの曲になかったし、敬遠されがちな内容というか。だけどクジラ夜の街で、しかもファンタジーという、あまり直球を投げないような題材でちゃんと死について扱うのは面白いなと。また1つ彼の歌詞が進化したのかなと思います」


『華金勇者』はバンドの間口を広げてくれる、共感性の高い曲

ーー今作で秦さん的ドラムのオススメ曲はありますか?

「『華金勇者』ですかね。すごく可愛い曲で、仕事の帰り道に聴いてほしいパーティーチューンなんですよ。ドラムも可愛い感じで叩いたんですけど、僕は新しいことや面白いことをしたいという想いが根幹にあるので、"コピーさせないぞ"という気持ちでドラムパートを組みました。可愛いけど、実は意外と難しい」

ーー例えば、どんなところが?

「バスドラのペダルはシングルペダルと言って、僕は片足で踏んでるんですけど、ツインで両足で踏む人もいるんですよ。両足で踏まないとできないフレーズも結構あるんですけど、それを僕は片足でやってて。右足がめちゃくちゃ速い自信があるので」

ーー2本分を1本の足で打つんですか?

「そういうことです。1発で2個音を出せるんですよ」

ーーすごい。

「邦楽ロックの可愛い曲調にえげつない技術を落とし込むという、面白いことができたと思います」

ーーどこに使われていますか?

「いっぱいあるんですけど、<もっとロックな音で!>のスネアとタムの絡みでも使ってますね。ドラムは全曲こだわりを持ってフレーズを作ってるので、ぜひ1回ドラムに着目して聴いてみてほしいです」

ーー『華金勇者』を初めて聴いた時の印象はどうでした?

「さっき言った、多角的なファンタジーの話にちょっと繋がってて。ファンタジーって手の届かない幻想や空想の物語となりがちなんですけど、この曲はメロディもキャッチーだし、働く人の曲なのですごく共感性が高いなと思って。『華金勇者』はクジラ夜の街の間口を広げてくれる曲になるんじゃないかと信じてます。逆に『輝夜姫』は芸術性の高い曲。その幅広さはクジラ夜の街の良さでもあるし、ファンタジーという題材の良さでもあると思いますね」


"6連符"の芸術性

ーー個人的に『RUNAWAYM-9)』は賑やかで好きな曲です。<自由を飲み干した>の後のギターソロ後のドラムの彩りはすごいですね。

「僕、6連符が大好きで。6連符は、4分音符1個分に6個の音を敷き詰めるリズムで、結構速いんです。それでいてすごく芸術的。この曲にはそんな速い連符を組み込んでて、そこは自分っぽいし、聴いてて気持ち良いなと思います」

ーーどういうところが芸術的でしょうか?

「自分の感覚の話なんですけど、3連符って失速があるんですよ。何でかというと、奇数なんですよ。で、3連符の2倍が6連符なんですけど、6になった瞬間偶数になって、いきなり加速感が出るんですよね。そこがすごく面白い。8分音符は2倍にしても16音符で、普通に2倍速って感じなんですけど、3連符は2倍にすると途端に印象が変わる。"何て芸術性の高い連符なんだ"と思って」

ーーなるほど。

「あと僕はアイリッシュ音楽が大好きなんですけど、メロディーでよく6連符が使われていて、そこがリズミカルさを演出してるのかなと。僕はやっぱり6連符に惹かれますね。6連符フェチというか」

ーー『RUNAWAY』はドラマーが聴くとより面白いんですね。

「絶対に面白いと思います」

ーーでもその感覚は、人によって違うんですか?

「違うと思いますね。けど、ドラムのオタクは皆6連符好きだと思います。僕は大好きです」

初めてのドラマ出演は、一生残る思い出に

ーー『Memory』が主題歌のTOKYO MXTreatment」ドラマ『うしろ姿でもわかる』に俳優として初出演されたということで、いかがでしたか?

「本当に走馬灯に出てくるんじゃないかってぐらい、一生に残る思い出になりましたね。元々は一晴くんが1人で主役で出る予定だったんです。監督さんと打ち合わせをした時、ライブがあったのでメンバー全員で挨拶して。そこではそんなに深く話したわけじゃないんですけど、撮影が始まる2週間前に、いきなり監督さんが"秦くんも使いたいです"って。すごく嬉しいんですけど、"演技できないぜ"という感じで。女優の友達にカラオケでみっちり教えてもらったりして。撮影前日も全然寝れなかったし、俺のせいで降板になったり、足を引っ張ったらどうしようと思ってたんですけど、始まった瞬間、共演者の方や監督さん、スタッフさんが優しすぎて。多分一生関わるんだろうなという友達もできて、本当に楽しかったです。撮影地が大阪だったので、大阪の方が多くて。最終日はオフで、共演者の方と昼に古着屋に行ってオムライス食べて、夜に飲みに行って。ハロウィンだったから、顔に動物のシールをありったけ貼られて"心斎橋に行こう"と連れて行かれて、それをファンに見られたんですよ(笑)」

ーー(笑)。

「でも良い思い出になりました。そこで確信したのは、僕はやっぱり人に恵まれているなと。ずっと明るい現場だったので、僕も自分から明るい雰囲気を発信できる人間になりたいなという想いが固まりましたね」

ーー撮影期間は何日間だったんですか?

10日くらいです。スケジュールがギチギチで、毎日深夜2時まで撮影してました」

ーー監督さんにはどんな指示をされましたか?

"君は面白いから素でいてくれ"と言われました。だから僕はもう本当に""です。マジで演技しなきゃと思ったんですけど、蓋を開けてみたら、いつも通り笑って、いつも通り楽しんで、純粋にそこにいただけです」

ーーちなみに宮崎さんの演技はいかがでした?

「彼は子役をやってたので、演技はできるんだなと思って。僕は台本クソ棒読みなので、やめてくれと思いましたけどね(笑)」

ーーまたやりたいですか?

「僕は自分ができる仕事は何でもやりたいんです。楽しかったし、もし機会があるならまたやりたいです。これを見てる関係者の方、ぜひ僕を使ってください!!」

2024年は"飛躍"の年に

ーー『Memory』はドラマありきで作られたんですか?

「いや、この曲に対して監督さんがドラマを書き下ろしてくれたんですよ。逆輸入です」

ーー良いですね。しかも『Memory』と『Time Over (Postlude)M-14)』でアルバムの最後を締め括る2曲が使われている。

「ありがたいですね。メンバーを2人使っていただいたり。何か豪華だな。いいのかな。嬉しいですね」

ーー『Memory』は宮崎さんの実体験を元にした曲ということですね。

「彼は対人関係でもあまり自分の気持ちを表に出さないというか、素直な気持ちを言わない人間なんです。だからその彼が書くにしては、すごく本音の歌詞。そういうのは初めてじゃないかな。自分の本音をファンタジーと結びつけたのはすごいですね」

ーー歌詞について、宮崎さんは何かおっしゃっていましたか?

"初めて自分の気持ちを正直に書いた"と言ってて。"そうなんだー。さみしいんだなー"と思って」

ーードラムに関してはどうですか?

「一晴くんが真っ直ぐな想いを出したので、ドラムにおいてそこを極力邪魔したくはなかった。ただ普通のエイトビートを叩けばいいのかというとそうではなくて。例えばファンクバンドだったら、同じリズムパターンを繰り返すのは1つの美学だし、カッコ良いと思うんですよ。でもそれをクジラでやっちゃうと、非常にファンタジーと合わない。世界観がぶっ壊れちゃう。ファンタジーは幻想的で、形が定まってないもの。だからこそ、真っ直ぐなドラムではありつつも、ちゃんと世界観を演出できるように、シンバルもすごく考えて選んだし、1サビ後の間奏のライドシンバルのカップの"カンカン"という音が迫ってくる感じや、その後のフロアタムと裏拍のタンバリンは、宇宙感を意識して作りましたね」

ーー後半のシューゲイズ的な展開も印象的ですね。

「あれすごいですよね、音がデカすぎてビックリですよ。かなり真っ直ぐな曲ではあるんですけど、クジラ夜の街らしさは絶対忘れたくなくて。いきなり音がバカデカくなるバンドとかあんまないと思うんですよ。"あんまない"というのは、僕たちが大切にしてることなので、面白くできたかなと思います」

ーーチョーキューメイの麗(vo.gt.vn)さんのコーラスも優しくて素敵です。

「彼女の歌声は本当に素晴らしいので。この曲にも、輝夜姫や月というテーマにも、すごく合ってるなと思いますね」

ーー最後は『Time Over (Postlude)』で締まりますが、ラストの没入感もまた良いですね。

「この曲は"ザ・尖り曲"というか。人をビックリさせるための曲ではあるんですね。イメージで言うならミュージカルのラスト、壮大なエンディングみたいな感じ。その後に映写機の音が流れるんですけど、何の意味があるかはお楽しみに。いずれわかると思います」

ーー年明けからは最大規模の全国ワンマンツアー『輝夜を捜して』が始まりますが、意気込みをお願いします。

「クジラ夜の街はライブが1番良いので、見ていただけたら絶対わかると思います。最初の話に繋がるんですけど、ツアーで自分たちから会いに行けるのって素敵なことだと思うんですよ。クジラを見たかったけど遠方で見れずに終わったという人もたくさんいると思うし。正直いつが最後になるかわからないので、来ていただいたら"最後でも悔いがない"というぐらいのパフォーマンスをします!」

ーー2024年も年明けから突っ走っていくと。

「今年は本当に成長できた1年だったので、2024年は"飛躍"でいきたいなと思います!」

Text by ERI KUBOTA




(2024年1月 9日更新)


Check

Release

メジャーデビュー1stアルバム
『月で読む絵本』
発売中

初回限定盤(CD+DVD)
4500円(税込)
CRCP-40671

通常盤(CD)
3000円(税込)
CRCP-40672

《CD収録曲》
01. 欠落 (Prelude)
02. 輝夜姫
03. 華金勇者
04. BOOGIE MAN RADIO
05. 裏終電・敵前逃亡同盟
06. マスカレードパレード
07. ロマン天動説
08. 分岐 (Interlude)
09. RUNAWAY
10. 踊ろう命ある限り
11. ショコラ
12. 海馬を泳いで
13. Memory
14. Time Over (Postlude)

《DVD収録内容》
01. 風のもくてきち
02. 夜間飛行
03. 夜間飛行少年
04. 詠唱
05. ラフマジック
06. あばよ大泥棒
07. BOOGIE MAN RADIO
08. インカーネーション
09. 奔走
10. 幽霊船1361
11. 裏終電・敵前逃亡同盟
12. ロマン天動説
13. 浮遊
14. ハナガサクラゲ
15. 平成
16. 時間旅行
17. 時間旅行少女
18. 再会の街
19. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
20. 序曲
21. オロカモノ美学
22. マスカレードパレード
23. 0話革命
24. 踊ろう命ある限り

Profile

クジラ夜の街は、音楽を愛するすべての方に"未知の体験"を提供します。煌めくバンドサウンドやふしぎな詞世界、ひとさじの熱が誘なう先は宇宙の果て。絵本の中。まぼろしの街。日常を飛び越えた神秘の空間へと連れていきます。夢を求めるあなたへ。とびきりの幻想音楽を。2017年6月21日東京にて高校の同期生4人で結成。短期間のうちに多数の楽曲を制作し、都内ライブハウスで活動開始。音楽コンテスト「Tokyo Music Rise 2019 Spring」や高校軽音楽部の全国大会で優勝したあと、ロッキング・オン主催「RO JACK」オーディションで優勝し「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」に出演。直後に「出れんの!?サマソニ!? 2019」オーディションから「SUMMER SONIC 2019」にも出演。2020年から全国各地のイベントへ出演を開始。2022年「夜景大捜査”夢を叶えるワンマンツアー”」を開催し、12月19日渋谷WWW Xでのツアーファイナルでメジャーデビュー決定を発表。2023年5月10日リリースのEP「春めく私小説」でメジャーデビュー。12月6日にはメジャー1stアルバム「月で読む絵本」をリリースした。年明け1月20日からは、バンド最大規模の全国ワンマンツアー「輝夜を捜して」を開催。独特のセンスが聴き手を捉えるメロディと歌詞、そして観客を引き込もうとする熱量が圧倒的なライブパフォーマンス、必見・必聴のバンド。


Live

クジラ夜の街 全国ワンマンツアー2024『輝夜を捜して』

【千葉公演】
▼1月20日(土) 千葉LOOK
【神奈川公演】
▼1月21日(日) Serbian Night
【栃木公演】
▼2月3日(土) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
【埼玉公演】
▼2月4日(日) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
【茨城公演】
▼2月11日(日・祝)水戸ライトハウス
【愛知公演】
▼2月16日(金) ボトムライン

PICK UP!!

【大阪公演】

▼2月18日(日) 18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
[問]清水音泉■06-6357-3666

【宮城公演】
▼2月23日(金・祝) 仙台MACANA
【北海道公演】
▼2月25日(日) mole
【新潟公演】
▼3月9日(土) GOLDEN PIGS RED STAGE
【石川公演】
▼3月10日(日) 金沢vanvanV4
【香川公演】
▼3月17日(日) DIME
【広島公演】
▼3月22日(金) Reed
【福岡公演】
▼3月23日(土) Fukuoka BEAT STATION
【東京公演】
▼4月7日(日) Zepp Shinjuku(TOKYO)

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