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“皆の走る人生の先頭を、Bigfumiが走っていけたら”
味園ユニバースを包んだ愛と感謝
『Bigfumi ワンマンライブ「それでも生きていくんだ」』
ファイナル公演ライブレポート

12月10日(日)大阪・味園ユニバースにて、Bigfumiの東名阪ワンマンツアー『Bigfumi ワンマンライブ「それでも生きていくんだ」』のファイナル公演が行われた。「西日本で一番体が大きいシンガーソングライター」として大阪を拠点に活動する彼は、阪神タイガースの梅野隆太郎選手をはじめ、複数のプロ野球選手が登場曲に楽曲を使用していることから、野球、ラグビー、サッカーなどのスポーツ界からもじわじわと人気を広げている。11月10日には待望の1stフルアルバム『Bigfumi 1』をリリースし、本格的に歌を届けていこうというタイミング。自身最大キャパながら早々にソールドアウトとなった本公演は、Bigfumiの懐の大きさと想いの強さが存分にあふれた空間であり、バンドメンバー、オーディエンス、スタッフがファミリーのように思えるほど、あたたかで一体感のある素敵な時間だった。そんなライブの模様をレポートしよう。

開演前の味園ユニバースには、熱気が立ち込めていた。様々な球団のユニフォームを着た人たちや家族連れ、スポーツ経験者とおぼしき体格の人たち。会場に集った人々は皆笑顔で、ドリンク片手にワイワイと開演までの時間を過ごす。ロビーには関係者からの花がずらり。中には有志のファンから送られたBigfumiの写真とバンドメンバーの名前入りバルーンスタンド花もあり、彼がいかに愛されているか、この公演が楽しみに待たれていたか、ということがよく伝わってきた。スポーツファンが多いことも手伝ってか、"皆で一丸となって盛り上げるぞ"という団結力と高揚感が漂っていた。

開演5分前になり、Bigfumi本人による影アナが入る。「いよいよBigfumiのライブが始まります! 心の準備ができてる人は拍手を!」との言葉に応えてオーディエンスが拍手すると「まだ足りない!」と煽り、一層大きな拍手を引き出した。そこから自然にクラップに移行。しばらくするとSEが流れ、真っ青に染まったステージに、バンドメンバーの山本晃平(gt)、森田カズヤ(key)、中村優太(ba)、清家トモキ(dr)、関真哉(sax)、Satsukicho)が登場。やがてオレンジ色のジャケットに身を包んだBigfumiが現れる。待ってましたの大歓迎ムードで迎えられた彼がお立ち台に上がると「おおー!」と歓声が! まずは伸びやかな声で『Trust』をワンコーラス響かせ、満面の笑顔を見せる。会場全体に広がる柔らかなアンサンブルと大らかな歌声、耳を潤すグッドメロディ。Bigfumiもバンドメンバーも本当に楽しそうで、仲の良さがこちらまで伝わってくる。Bigfumiが「拳見せてください!」と煽ると一斉にフロアの拳が上がり、その様子を後ろまで見渡したBigfumiは、満足そうににっこりと微笑んだ。

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続いては、イントロで関のサックスが鳴り響いた『Don' t Stop Music』をジャジーに歌い上げる。サビでは手が左右に振られ、一体感が増していく。ステージには中央、上手、下手の3カ所にお立ち台が設置され、バンドメンバーの足元も一段高く底上げされていたようで、会場の後方からでもしっかりと全員の顔が見えるようになっていた。これは「少しでも楽しんでほしい」というBigfumiの気遣いだろう

2曲を終えて「改めましてBigfumiでーす! 味園ユニバース満員でーす!」と叫ぶと「フー!」と大歓声が上がる。「すごいよ、ここから見た景色は」と嬉しそうに客席を見回し、「まだまだ楽しめる人大きな拍手を!」とクラップを誘導。続いては華やかなムードで『太っててもいいですか』へ。Satsukiと関のコーラスや、全員で踏むステップが楽しい空気を作り出す。サビでは見事にタオルが回り、そのまま拳を突き上げるオーディエンス。さすが、楽しみ方を心得ている。続けて披露された『手を上げて』では言わずもがな手が上がり、体を少し傾ける振付もバッチリ揃う。誰もが純粋にライブを楽しもうとしている、そんなハピネス空間が心地良い。

MCではフロアを端から端までじっくり見渡し、「ありがとうございます、見えております」と言いながら、オーディエンスの反応をひとつひとつ拾い上げ、時には突っ込み、テンポの良い軽快なトークで笑わせる。端々から滲み出る優しさからは、彼の人柄が感じられる。そして「野球でBigfumiを知った人」との問いに多くの手が挙がったように、梅野選手やオリックスの山崎福也選手、岡田監督といった選手のタオルやグッズを身につけて来場している人々の姿に、改めて国民的スポーツの影響力の高さを実感する。「実は今日梅野選手が......来ていないんですよ(笑)」との言葉で残念がるファンを見て「残念がらんでくれんかなあ、俺のライブやから」と嬉しそうに笑い、「何番手でもいいです、皆が好きでいてくれたら!」とあたたかなオーラで包み込む。さらに「オリックスも阪神タイガースも、リーグ優勝おめでとうございます!」と述べ、「Bigfumi2023年シーズン、味園ユニバースソールドアウト、優勝でもいいですか!」と叫ぶと、フロアからは最大の拍手が贈られた。
そして千葉ロッテマリーンズの山口航輝選手の登場曲『後悔なき航海』を堂々とプレイ。力強い歌詞と壮大なメロディーはシンプルに元気を与えてくれる。続けてジャジー&ダイナミックに『pop noon』を響かせた。

2度目のMCでも「全員(の顔が)見たいよね!」と客電をつけて、ひたすらオーディエンスとコミュニケーションを取る。「応援歌で知ってくれた人も多いと思うんですけど、Bigfumi、バラードの方が強いんです」と『雨の日のバラード』をしっとり披露。さらに「ラグビーの歌を作ってほしい」との言葉から生まれた応援ソング『繋いでいけ』を、語りかけるように丁寧に紡いでいく。心地良いバンドアンサンブルが演奏を支え、Satsukiの美しいコーラスが楽曲に彩りを添える。

ここで再びギアを上げる。バンドメンバーを紹介しながら順番にソロをつなぎ、それぞれの見せ場をバッチリ作る。そのままシームレスに、スウィングするリズムとサックスが気持ち良い『パーティを抜け出して』を投下。元キャバレーの味園ユニバースによく似合うダンサブルな楽曲だ。ステージ背面をカラフルに照らす照明が会場のテンションを引き上げる。「引き続き、so bigな演奏をお楽しみください!」と一旦Bigfumiがステージをけると、バンドだけでインスト曲を披露。作詞作曲を手がけた森田がトークボックスを使って歌うパートもあり、ソウルフルでグルーヴィな展開にオーディエンスは体を揺らし、クラップで盛り上げる。

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黒のスーツに衣装チェンジしてステージにカムバックしたBigfumiが聴かせたのは、清水エスパルスの乾貴士選手との交流の中で生まれた『Giant Killing』。高く掲げた手の平に呼応して、すかさず手を挙げるオーディエンス。この日のライブには、ステージとフロアの心が通じ合う瞬間が何度もあった。

余程嬉しいのか、何度もソールドアウトを喜ぶBigfumi。「いつまで言うてるのって感じやけどね、ライブも残り数曲ですよ。始まったら終わっちゃうからね。後ろの方もちゃんと聴いてます?見えてますよ!」と、全てのMCの時間をオーディエンスとの交流に費やす。バンドメンバーも巻き込んだ楽しいトークを挟み、122日に誕生日を迎えたばかりという息子に向けて書いた『サンキューバースデー』を父の顔で思い切り歌い上げた。

MCではこれまでの活動を回顧。「20191214日に挑戦をしたライブが途中までずっとうまくいかんで、アンコールでやっと自分を取り戻せて。先輩が"チャンスはホームランか大きい三振で終われ"と言ってました。俺は何もできず、豪快な三振もできず、ヒットも打てず。2019年は全然うまくいかなかった」と悔しさを語る。「でも人生最大の人数を集めてその日を終えて、3年半ぶりにそれ以上の人数が今日ここに集まって。ホームラン打ってやろうと思ってここに立ってます」と、時折涙を拭いながら想いを吐露するBigfumiに、これまでで一番大きな拍手が贈られた。2018年に大阪に移住し、活動にエンジンをかけようと思った矢先のコロナ。インタビューでは、"これまでの音楽人生を模索し続けてきた"と語ってくれた彼だが、味園ユニバースを満員にしたのは紛れもない事実。確実に前に進んでいるし、道は拓けている。「歌ってること、やってること、言ってることは変わってないけど、色んな人が力を貸してくれて、色んな人のお世話になりながら、こんな景色を見せてもらうことができております。本当にありがとうございます」と感謝を口にした。

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続けて「コロナだろうが何だろうが、人生めっちゃ大変で。苦しくて、生きるためには税金や家賃を払わないかんくてさ。それでも変わらずチケットを買って、ここまでの電車賃や駐車代をかけて来てくれて。あなたが買ってくれたチケット1枚がこの景色を生んでくれたし、これからのBigfumiの糧になると信じてます」とのオーディエンスに寄り添う言葉には、思わず胸が熱くなる。

伝えたい想いは止まらない。「間違わんでほしいのが、俺全然すげえ奴じゃないから。多分この中で一番ネガティブやから! 皆さんのおかげで、ある程度自信はつけさせてもらいました。でも変わらずめっちゃネガティブやし、弱いし、自分勝手やし。皆と向き合って歌を届けているなんて、おこがましくも言ってるけど、皆と一緒に戦ってるんですよ。どん底の日々に打ち勝とうと生み出したものが、音楽になってます。皆と変わらん人生を歩んで、同じように苦しんで、その中でもがいて出した答え」と力強く拳を前に突き出す。「それを皆のために歌っております。皆の走っていく先頭をBigfumiが走っていけたらと思ってます。皆の大好きな人も、皆の支えたい人も報われますように」と述べて、"誰かを応援する人に向けての応援歌"である『太陽のような人でありたい』を大切に歌い上げる。Bigfumiの熱量高いMCと歌詞が心を動かし、涙する人が続出。この曲に込められた想いの深さは本当にすごいと思う。間奏では「人生は苦しいことの方が多い、報われないことの方が多いけど、それでも生きたいと願って、心に音楽をはめ込んで、今日ここを選んでくれたあなたが、どうか報われますように。心を込めてメッセージ!」と叫び、汗だくで目をぎゅっと瞑り、力一杯歌声を響かせる。その真っ直ぐな想いと言葉は、ここにいた全員にしっかりと届いていた。

本編ラストは、公演タイトルにもなっている『それでも生きていくんだ』。「1.2.3!」のカウントからバンド全員でコーラスすると、オーディエンスも一緒にシンガロング! どんどん大きくなる歌声に嬉しそうなBigfumiとバンドメンバー。多幸感あふれるサウンドとグッドメロディーが優しく背中を押す。最後は関の最高のサックスソロでフィニッシュ! 素晴らしい時間はあっという間に過ぎていった。

すぐさま起こったアンコールに応え、まずBigfumi1人でカムバック。2月にサンケイホールブリーゼで追加公演が決定したという嬉しいアナウンスに、フロアは歓喜で湧き上がる。Bigfumiは「2019年の自分を超えられた気がします。本当にありがとう! 人生はずっと挑戦です。日々戦う皆も挑戦なんです。俺はそれを知ってるんですよね。だから皆のことも応援したい。曲を聴いてくれたあなた向かせて、Bigfumiがあなたの心の支えになりますように。うまくいかん時はここに来たらいいよ。もっとうまくいかんで悩んでる奴がおるから」と寄り添い、「でも、うまくいったね味園ユニバース。まぎれもなく皆のおかげです。これから僕はサンケイホールブリーゼに向けて戦っていくので、また会えたらいいなと思います」と晴れ晴れとした表情で語り、その決意を表明するかのように『Soar』を力強く歌い上げた。

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続いて、全ての人を肯定する応援ソング『その人生は素晴らしい』をストレートに響かせ、最後は阪神タイガース梅野選手、日本ハムファイターズ山崎選手の登場曲『Life』を披露。歌いながら「明日が輝きますように!」「まだまだ人生頑張れるって人は大きな拍手を!」と汗だくで叫ぶBigfumiの姿には気迫が宿り、バンドメンバーも後押しするようにクライマックスへ向けて熱量を高めていく。最後はBigfumiがお立ち台からジャンプ! 人生の喜びと道筋を指し示すかのような全17曲を全力で披露して、1時間50分のライブは大団円で幕を閉じた。最初から最後までオーディエンスを気にかけ、愛と感謝を伝え続けたハートフルな時間だった。

Bigfumiはここから、225日(日)にサンケイホールブリーゼで行われる『Bigfumi ワンマンライブ2024〜それでも生きていくんだ 追加公演〜』に向けて着実に歩みを進めながら、より多くの人々に音を届けてゆく。彼の歌に救われ、癒される人が増えることが楽しみでならない。

Text by ERI KUBOTA




(2023年12月21日更新)


Check

Set List

1.Trust
2.Don' t Stop Music
3.太っててもいいですか
4.手を上げて
5.後悔なき航海
6.pop noon
7.雨の日のバラード
8.繋いでいけ
9.パーティを抜け出して
10.INST曲(バンド)
11.Giant Killing
12.サンキューバースデー
13.太陽のような人でありたい
14.それでも生きていくんだ
EN1.Soar
EN2.その人生は素晴らしい
EN3.Life


Live

Bigfumi Oneman Live 2024
~それでも生きていくんだ~

追加公演開催‼

【大阪公演】

▼2024年2月25日(日) 17:30
サンケイホールブリーゼ
指定席-5000円(ドリンク代別途要)
※4歳以下は膝上鑑賞に限り無料。但し、お席が必要な場合は有料。
[問]夢番地■06-6341-3525

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