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「思い残すことなく全部ここに置いていこうぜ!」
Wienners VS 最強のラスボス・呂布カルマ!
群雄割拠の『BATTLE AND UNITY TOUR 2023』ファイナル
3/9大阪・梅田クラブクアトロ、ライブレポート

 TETORA、KANA-BOON、tricot、バックドロップシンデレラ、THE BAWDIES、水曜日のカンパネラ…2月20日の京都・KYOTO MUSEを皮切りに繰り広げられた、Wiennersとライブ猛者とのツーマンツアー『BATTLE AND UNITY TOUR 2023』。そのファイナルとなった3月9日、大阪・梅田クラブクアトロでは、玉屋2060%(vo&g)が敬愛し、今やお茶の間でも時に論客として存在感を示す、ツアーのラスボスにふさわしいラッパー・呂布カルマをゲストに招聘。異種格闘技とでも言うべき予測不可能なライブバトルを展開した、白熱の最終戦をレポートします!

wiennersreport2_ryoffkarmasmoke.jpg 開演時間ジャストに会場が青い光に包まれ、いつの間にかステージにシルエットが浮かび上がったのはこの日の先陣、呂布カルマ。初っぱなの『SAMSAVANNA』から、見る者の心臓に言葉の一つ一つをじっくり突き刺していく。

 『BATTLE AND UNITY TOUR 2023』、ラスト。初めまして、呂布カルマです。はるか名古屋の果てからやってきました。長丁場ですがよろしくお願いします」とあいさつした後も、じわじわ体温を上げていくノイジーなトラックに乗せ、『NEW VALUE』をズシリと聴かせたかと思えば、「俺がこうやって、じっとりライブをすればするほど、Wiennersが輝きますから。いつもは俺も跳ね回って、『クラッシュ・バンディクー』みたいなライブをするんだけど(笑)」と場を沸かせる。首根っこを捕まれ息をのむような状況から途端に解放されたオーディエンスは、続く『天竺』ではゆらゆらとフロウに身を委ねる。

wiennersreport2_ryoffkarma.jpg 「リリックが邪魔してるとは思うんですけど、一応ダンスミュージックなんで」と、その解放感に拍車をかけた呂布カルマは、「勝って勝って勝ち続けないと、負け犬には発言権はないですから」といざなった『図星』、TAKASHI TSUZUKI(トラックメイカー/プロデューサー)、ライブDJも務める鷹の目(エンジニア/プロデューサー)とのユニット・nueの楽曲『馬の骨』と、立て続けに圧倒。短いセンテンスにタフなメッセージを巧みに織り交ぜ、観客をナビゲートしていくのはさすがだ。

 そして、「俺は今、間違えてテレビにひっぱりだこで(笑)、訳が分からないんですけど、そうやって注目されてるうちに、こういう汚ねぇヒップホップのままめっちゃ売れてやろうと思ってるんで。"応援してね"とは言わないけど、"見ていてください"」と何ともクールな宣言と共に届けたのは、『Karmic Overdose』。盟友であるトラックメイカー・DJ Whitesmithとフィーチャリングした、魂を突き動かす一曲には心底シビれた。

wiennersreport2_ryoffkarmamiage.jpg その後も、「偉そうなことばっかり言ってますけど、皆さんと対等なんで。ラッパーってそういう生き物ですから」と、その生きざまを描いた『Against the World』では、切れ味抜群のスクラッチ×リリックで魅了。「"あんなラッパーに発言権を与えちゃダメだ"と思われてからが本物」と流れ込んだ『THE KENJA』では、男性諸君を身も心も奮い立たせ、「この内容は憧れで、本当は白目をむいたことはないです(笑)」とユーモアも忘れない。

 「これは発表されたのが一年ぐらい前なんですけど、今さらライブで初めてやります」と、満を持して卸した『Salamander』も、DJ Whitesmithとのコラボ曲。さらには、"好きな事を好きな時に好きな場所で好きな人と好きなだけする幸せ"というリフレインが胸を突き動かす、ユニットnueの『tanabota』も披露するなど、多岐にわたるセットリストで縦横無尽に魅せていく。

wiennersreport2_ryoffkarmadj.jpg クライマックスは、「今日も小さい奇跡がいっぱい起こってるから見逃すな」と告げた『Lucky Boy, Lucky Girl』から、キャリア初期曲にして代表曲『夜行性の夢』、「これでWiennersにつなぐわ!」と『オーライオーライ』で畳み掛ける! 最後まで独自のスタンスと美学を貫き通した呂布カルマ。『BATTLE AND UNITY TOUR 2023』、最強のラスボスの称号に偽りなし!

wiennersreport2_front.jpg そして、いよいよ対バンツアーを締めくくるWiennersは、「今日はファイナルだからその体をいきなりほぐして、デカい声を聴かせてもらっちゃっていいですか?」(玉屋)とブチ上げた『UNITY』から、Wiennersのライブには助走という概念がないかのように瞬時にピークへ! 極彩色の照明にまみれた『GOD SAVE THE MUSIC』も、エッジィなギターと高速ビートでハイボルテージ不可避。相変わらずのライブ無双ぶりを序盤から見せつける。

「ついに来ましたファイナルです。真剣勝負ってヒリヒリするよね。今回は俺が一緒にライブをやりたい・見たい、そういうリスペクトしてる人たちに声をかけて、呂布さんにもちゃんとDMを送って(笑)。各地でいろんな相手と対戦してきて、俺らもバッツバチに強くなってきてるんで。大阪、今日はどんなビートで踊る!?」(玉屋)

wiennersreport2_back.jpg クラップが沸き立つ『恋のバングラビート』では、脳みそもこねくり回される夢幻のグルーヴにいざなわれ、壮絶なドラミングで幕を開けた『ジュリアナ ディスコ ゾンビーズ』へとつなげる強烈セットリスト。燃え尽きるしか術がないハイパワー×ハイカロリーな楽曲群で、『YA! YA! YA!』では地上10階に位置する梅田クラブクアトロを無邪気に揺らしにかかるすさまじさ。

wiennersreport2_fukan.jpg「おかげさまで最高のツアーを回ってきて、ファイナルにふさわしい大阪で楽しんでます! 呂布さんヤバかったでしょ? 今日は同じ空間でWiennersと呂布カルマをみんなが共有できてるのがうれしいし、素晴らしいよね」(玉屋)

「それもYouTubeとかじゃなくて現場でね。今日のツーマン、いったいどうなるんだろうと思ってた人も多かったと思うんだよ。俺もビビってた節もあるよ?(笑) ライブが始まったときはすごい空気だったけど、50分ちょい経って感じたのは、呂布さんはめちゃくちゃ素敵な人じゃない? そこにシビれまくった。一回刺されて、そこから全身に違う電流が走るような」(∴560∵・b)

「本当にリスペクトです。さっき呂布さんも言ってたけど、輝く場所を作ってくれてありがとうございます(笑)。お返しと言っちゃ何ですが、俺らは俺らなりにドープな曲を、久々にやらせてもらいます!」(玉屋、以下同)

wiennersreport2_kozo.jpg 念仏さえもダンスナンバーにしてしまうダークでポップな『南無阿弥陀仏のリズムに乗って』に、呂布カルマの『イッテラッシャイ』の一節を取り込んだスペシャルバージョン『南無阿弥陀仏のリズムに乗ってイッテラッシャイ』、Wienners流ライオンキングとでも言わんばかりのイントロから始まった(笑)『ANIMALS』では、再び会場の空気を沸点へと引き上げる! 過剰な音像を浴びる快感は続く『おおるないとじゃっぷせっしょん』でも引き継がれ、Wiennersのライブでしか味わえないめくるめくエクスタシーが迫りくる。『ASTRO BOY (Black Hole ver.)』では、玉屋とアサミサエ(vo&key,sampler)の2MCで超重量級のヘヴィネスをお見舞い。ぐちゃぐちゃで幸福なカオスをクアトロに生み出していく。

wiennersreport2_asami.jpg「大阪はほっといてもうるさいから、あおらなくても大丈夫なんだよな(笑)。最高です、ありがとうございます! このツアーを回って、俺は音楽が好きなんだと再確認したし、そういう音楽がずっとそばに、手に届く距離にあるのはハンパなく幸せだなと、改めて今日も実感してます。世は生き急ぐ時代になって、いろんなものに追われて、そこから目を背けるように下を向いてたら、今というものが何も見えなくなって...。俺はどこにいるんだろう? 何をしてるんだろう? そんなときにふと顔を見上げたら、風が吹いている、雲が動いている、星が生きている。俺はずっと、今という瞬間を見失っていたんだなと思った。この今という風を、逃さないうちに俺たちがぶっ放すんで!」

wiennersreport2_hiki.jpg 後半戦はそんな言霊を込めた『真理の風』で幕を開け、「もっと天高く踊り狂え!」と脳天直撃キラーチューン『蒼天ディライト』を放てば、会場の隅々までが手を振る光景に玉屋も思わず「超超超絶景だぜ~!」と絶叫。その熱狂のままに「誰も一人にしないからこのまま踊ろうぜ!」と『FAR EAST DISCO』をフロアにブチ込んでいく。

「我々の愛する大阪で、呂布カルマとファイナルを迎えることができて、超光栄に思ってます。でも、俺は知ってるんだよ。大阪はこんなもんじゃないって。ラストスパート、思い残すことなく全部ここに置いていこうぜ!」

wiennersreport2_nekkyo.jpg クライマックスは、またも地鳴りするほどクアトロを揺らした『SHINOBI TOP SECRET』、「また次に会うまでの約束として、ピーカンの太陽のように溶けるまで踊って帰ろうぜ!」と促した『SOLAR KIDS』で、しっちゃかめっちゃかに盛り上がる! 最後は「大阪ありがとう! でも、このままで終われねぇよな? このツアーで一番大きな声で歌ってくれ!」と、約30秒の完全燃焼ソング『よろこびのうた』で駆け抜けた。

wiennersreport2_560.jpg アンコールではメンバー4人でツアーを振り返り、各バンド一夜限りの共演だったため、「初めてのバンドも多かったし、朝が来るまでに仲良くならないと、またしばらく一緒にやる機会がないから...」と、必死にコミュニケーションを取っていたと玉屋。ここで唐突に、"ハッピー・バースデー・トゥー・ユー♪"と誰彼ともなく歌い出し、あれよあれよと大合唱。バックヤードからケーキを持ったKOZO (ds)が現れ、この日が誕生日という∴560∵が火を吹き消し、お祝いのクラッカーまみれになるシーンも。

wiennersreport2_colabo.jpg 気を取り直して、「やっぱり最後はこの曲で終わりたいんだけど!」(玉屋)とギアを入れたおかわり『UNITY』では、間奏で「スペシャルゲスト、JET CITY PEOPLE・呂布カルマ!」と呼び込み、キレキレのフリースタイルラップで応える呂布カルマ。公演終了のアナウンスの中、正真正銘のダブルアンコールが予期せず巻き起こり、ラストは怒濤の『Cult pop suicide』で、曲者ぞろいの対バンツアーのフィナーレを飾ったWiennersだった。

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by かい

wiennersreport2_gakuya.jpg




(2023年4月20日更新)


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Set List

Wienners VS 呂布カルマ
カバーにコラボにガチンコで激突!

 
『BATTLE AND UNITY TOUR 2023』
3月9日(木) at 梅田クラブクアトロ

呂布カルマ
01. SAMSAVANNA
02. NEW VALUE
03. 天竺
04. 図星
05. 馬の骨
06. Karmic Overdose
07. Against the World
08. THE KENJA
09. Salamander
10. tanabota
11. Lucky Boy, Lucky Girl
12. 夜行性の夢
13. オーライオーライ

Wienners
01. UNITY
02. GOD SAVE THE MUSIC
03. 恋のバングラビート
04. ジュリアナ ディスコ ゾンビーズ
05. YA! YA! YA!
06. 南無阿弥陀仏のリズムに乗って
  イッテラッシャイ
07. ANIMALS
08. おおるないとじゃっぷせっしょん
09. ASTRO BOY (Black Hole ver.)
10. 真理の風
11. 蒼天ディライト
12. FAR EAST DISCO
13. SHINOBI TOP SECRET
14. SOLAR KIDS
15. よろこびのうた
ENCORE
16. UNITY with 呂布カルマ
17. Cult pop suicide

Link

Wienners オフィシャルサイト
https://wienners.net/
 

Live

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通常チケット4000円
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