ホーム > インタビュー&レポート > 「抑えるぐらいじゃないと、あげぽよ過ぎて止まらない(笑)」 無軌道にポップ⇔パンクを往復する東京初期衝動の さまよえる現在進行形『らぶ・あげいん』携えツアーもついに終盤へ しーなちゃん(vo&g)×あさか(b)インタビュー!
最近は朗らかで。そっちの方が気持ちが楽だし
バンドを長くできると思ったから。延命治療です(笑)
――'22年はコロナ禍もちょっと落ち着いてきて、2ndフルアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』に今回のミニアルバム『らぶ・あげいん』も出せて、ツアーもやれて...振り返ってどんな1年でした?
しーなちゃん(vo&g)「コロナがひどかった時期から、徐々に徐々に取り戻せてる感覚はありました。自分の聴く曲も変わってきましたし、何よりライブに遊びに来た人が堂々としてますよね」
あさか(b)「私がバンドに入ったのは2年前のコロナ直撃中だったので、お客さんもみんな間隔を空けて立ってるし、マスクで無表情に見えちゃうじゃないですか? そういうのもあって最初はビビッてたんですけど、最近はみんながすごく楽しそうな顔をして、目だけでも伝わるぐらい盛り上がっていて、こっちも楽しいですね」
しーなちゃん「まだコロナじゃなかった頃は、MCもせず一方的にライブする、みたいな感じだったんですけど、エンターテインメントな要素がなきゃダメだなと思ってきて。一方的じゃなくて、お客さんと一緒に作り上げる。お客さんも楽しめる形を考えられるようになったかなと思います。それは多分、性格的に尖らなくなってきたから(笑)。そういうことも自分から自然にできるようになりましたね」
――別にへりくだるわけでもなく、みんなが楽しい方がいいじゃないかと。
あさか「大阪から上京して1年目は、とにかく東京に慣れなきゃという感じだったんですけど、2年目にもなってくるとメンバーとも仲良くなってきて、ちょっとずつバンド全体を見られるようになった。そこで、"自分には何ができるだろう?"と考えるようになってからは、よりバンドが楽しくなりましたし、最近は自分の立ち位置も分かってきたので、ちょっと頑張ってみようかなって」
――具体的に言うと、バンドにおける何役みたいなポジションだと思いました?
あさか「ライブでは、しーなちゃんだけじゃなくて私もお客さんと向き合えるポジションでいたいし、自分の中ではベース=盛り上げ役だと思っていて。なので、みんなを揺れさせたり踊らせることを意識しています。あと、メンバーは協調性もあるけど意見も言い合うので、私は柔らかく、明るく、その場を盛り上げられたらいいなと」
――しーなちゃんはここ2年のバンド内での役割だったり、みんなが変わっていくのを感じます?
しーなちゃん「全然気付かなかったです。私はバンド内で孤立してるのかもしれない(笑)」
――逆にメンバーから見て、しーなちゃんの変化を感じます?
あさか「めっちゃ感じます! 『マァルイツキ』('22)という曲では踊ったり、今までの東京初期衝動では考えられないライブの仕方になってるし、(しーなちゃんに)"MCをしたらどう?"と聞いても、"いや、私はしない"みたいなスタンスだったのが、最近は一人でペラペラしゃべるようになって...何かかわいい(笑)。すごくいいなと思います」
――それはしーなちゃんが大人になったからなのか、バンドとしていろんな経験をして、こだわるべきところとそうじゃないところが分かってきたからなのか。
しーなちゃん「昔はちょっとピリついた感じでやってましたけど、最近は朗らかで。そっちの方が気持ちが楽だし、バンドを長くできると思ったから。延命治療です(笑)」
――さすが現役看護師でもあるしーなちゃん(笑)。2~3年で燃え尽きるバンドの刹那的なカッコよさもあるけど、それより今は長く音楽を続けたいというね。
『エンドロール』は映画館で見たときの心地良さを意識して作った
――最新作『らぶ・あげいん』は、映画『グリーンバレット』('22)の主題歌『エンドロール』(M-6)のタイアップの話が、まずはスタート地点という感じですかね。
しーなちゃん「知り合いのスタイリストの入山(浩章)さんから、いきなり"今、映画の仕事をやってるんだけど、監督が東京初期衝動にお願いしたいと言っていて"と連絡が来て。"え? いいんですか!?"という形で話が進んで」
――映画好きのしーなちゃんからしたら、かなりうれしい話じゃないですか?
しーなちゃん「阪元裕吾監督の映画は『ぱん。』('17)とかインディーズ時代から見ていたから、"えぇ〜!? ちょっと信じられない..."みたいな。1週間ぐらいふわふわしてましたね」
――ただ、制作は苦労したらしいですね。
しーなちゃん「『エンドロール』は"このシーンでお願いします"という指定があったので、じゃあ尺はちょっと長めで、頭はゆっくりスタートした方が映えるとか、映画館で見たときの心地良さを意識して作ったんですけど、恋愛映画ならまだ経験があるから分かるじゃないですか? でも、『グリーンバレット』は殺し屋の映画なので。さすがに殺しまではやったことがないから(笑)、脚本を読み込むこと自体も大変で、曲を作るよりそこに一番時間がかかった気がしますね。そもそも登場人物が普通の小説とかより圧倒的に多くて、主人公だけで6人くらいいたよね?」
あさか「女の子がめっちゃいて、先生みたいな役も3~4人ぐらい名前が出てきたからもう」
しーなちゃん「ただ、お題がないとどこまでも自由にできちゃうから、決まった枠組があった方がブレないというか、目標地点に向かって作れるなとは思いました」
あさか「しーなちゃんだけが頭で思い描いてる曲だと、"この曲はどこに行くんだろう?"みたいな感じなんですけど、みんなで一緒に脚本を読めると想像できるじゃないですか? 解釈が一致して作りやすいなと思って」
――エンドロールで流れる曲を書くのは、映画好きなミュージシャンにしたら一つの夢で。東京初期衝動がちょっとずつやってきたことが広がっているというか、認知されてきた感じもありますね。
しーなちゃん「本当にちょっとずつ...。クレジットに合わせてバーッと曲が流れたときはすごくうれしかったし、そのためにちょっと長めの曲にしたので、そういうのも"贅沢〜!"と思って」
私たちが"こういう曲にしたいね"と思っても、ならないんですよ
理想に追いつけないから(笑)
――ただ、『エンドロール』に2~3曲足してEPで出すのは物足りない、みたいな話になったと。
しーなちゃん「何かそういうことを好きだったバンドがやったとき...(ファンとして)残念な思いがしたから、どうせ出すならもうちょっと新曲を作りたいなと思って」
――タイアップが決まったらそれを出すだけじゃなくて、期待以上のボリュームでも応えたいと。その辺は誠実だなと思ったし、相変わらずストイックだなとも。
しーなちゃん「でも、最近は怠けてきましたけど(笑)。ちょっと休憩、みたいな」
――しーなちゃんが自分を許すことを覚え始めてる。大人になってる(笑)。でも、それが長く続ける処世術かもしれないですね。プライドが許す範囲内でうまくやるというか。
しーなちゃん「だから最近は、手元を動かしてポチポチ更新するコラムとか...労力を使わなくても発信はしようと」
――それも小ざかしいっちゃ小ざかしいけど(笑)、1stフルアルバム『SWEET 17 MONSTERS』('19)の頃なんかは、生き急いでる感がすごかったですもんね。
しーなちゃん「荒れ狂ってましたよね?(笑) たまに自分のツイートとかを見返すと、"えっ!? この子、大丈夫?"って、心配しちゃいました」
――じゃあ今はリラックスした状態ですね。ただ、東京初期衝動のあのピリピリ感が好きだった人からすると、ちょっと物足りなさも感じるかもしれないけど。
しーなちゃん「でも、曲によってはピリつかせてますよ。『梅毒』(M-3)とか(笑)『コマンドバトル!』(M-5)とか」
――『コマンドバトル!』は映画『グリーンバレット』の挿入歌で、銃撃シーンを想定して書いたと。
しーなちゃん「渋いミッシェル(=THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)みたいにしたいなと思ったら、こんな感じになって。私たちが"こういう曲にしたいね"と思っても、ならないんですよ。理想に追いつけないから(笑)」
――元ネタがミッシェルだと言われても、もう離れ過ぎていて分からない(笑)。
しーなちゃん「そうそう!(笑) でも、そこがいいんだよなと思いながら」
"今、『俺流サニーデイ・サービス』っていう曲を作ってるんで!"って
本人に伝えたらビックリしてました(笑)
――それで言うと、『俺流サニーデイ・サービス』(M-2)=サニーデイっぽい曲を作ろうということじゃないですか。でも、当の本人が参加する"ぽい曲"は前代未聞です(笑)。
しーなちゃん「この曲を作った後に、下北沢で曽我部(恵一・vo&g)さんに偶然会って。"今、『俺流サニーデイ・サービス』っていう曲を作ってるんで!"って本人に伝えたらビックリしてました(笑)。"よかったら歌ってくださ〜い"って。最初から頼む想定で作りましたね」
――こんな混じりっ気なしのタイトルは他にないし、曽我部さんの度量がデカいですね。
しーなちゃん「マジで器のデカい男です!」
――サニーデイはそもそも希(g)ちゃんがフェイバリットに挙げるバンドでしたけど、最初の接点は?
しーなちゃん「あさかが入ったときに出たイベント『BAYCAMP2020』が、初めて曽我部さんに会った日で。曽我部さんのギターソロを聴いて涙をポロポロ流している希ちゃんの姿にも感動したし、何かもう曽我部さんが...声とか佇まいとか雰囲気込みで素晴らしいなと思って。だから、曽我部さんがケータリングに並んでいるときに後ろに並んだり、トイレに行くときについて行ったり...」
――ネットストーカー1級を自負するしーなちゃんが(笑)。
しーなちゃん「どうにか話しかけてもらえないかなと思って(笑)。だけど向こうも知らない女の子とは別に話さないじゃないですか? 結局、その日はあいさつができなくて」
――その2年後、曽我部さんは2ndアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』収録の『銀河 with 曽我部恵一』に参加したということは、その制作時には頼めるぐらいの関係性にはなっていたと?
しーなちゃん「そうだ! きっかけはWEBの対談企画だったんですよ。曽我部さんの娘さんも東京初期衝動が好きらしくて...それもまたどこから見つけてきたのか(笑)。そのときに岡崎京子さんの漫画だったり下北沢だったり、レコードや喫茶店の話をして、その後に曽我部さんのラジオに出たりとか」
――ストーキングが実ったんですね(笑)。今回の制作もまた刺激的でしたか?
しーなちゃん「めちゃ刺激的でした。曽我部さんがレコーディングにいろんな楽器を持ってきてくれたんですけど、そのケースがビンテージのおもちゃ箱で。それに憧れて私も似たような家具とかおもちゃ箱を買いましたから」
――今や希ちゃんを飛び越えてハマってる。
しーなちゃん「でも、それってすごくないですか? 曽我部さんはこんな20代のギャルにも影響を与えてしまうんですよ? また、ファッションもステキなんですよね」
――じゃあもうセンスの塊なんや。
しーなちゃん「そうなんですよ。同じイベントに出るときは、絶対に私服チェックします。勝手に(笑)」
自分でも分かってはいるんですけど、"歌ガチャ"があり過ぎて
――『ボーイフレンド』(M-1)は過去曲の『流星』('19)っぽい曲を作りたいという意図があったみたいですけど、自分たちの曲をリファレンスにする人ってあまりいないような気がしたんですけど。
しーなちゃん「え~私だけ? 自分の曲が一番好き...(笑)」
――以前も、いい曲だとパート2を作りたくなると言ってましたもんね。この曲は山本幹宗(sunsite/Benlou/好芻/ex.The Cigavettes)さんにプロデュースしてもらって。彼とは元々知り合いだったと。
しーなちゃん「幹宗さんはモッズ・ファッションが好きで。その服の話をしたり、せいろ蒸し器とか...」
――モッズとせいろ蒸し器...? 一瞬、聞き流そうと思ったけど(笑)。
しーなちゃん「健康な食事とかを教えてもらう共通点があって、仲良くなりました(笑)。あと、幹宗さんはおしゃれな旧車に乗っていて、バンドマンの人とはそういう洋服とか車とかバイクの話でつながることが多いです」
――今やエレファントカシマシやくるり、そして銀杏BOYZなど一線のバンドのサポートもしている方ですけど、一緒にお仕事をしてどうでした?
しーなちゃん「カッコよ過ぎて直視できなかった(笑)。ギターも"ヤバッ! こんなの見たことない"ということが目の前で行われるから、レコーディング中に"キャ〜!"って声を出しちゃって、"やめてください"って言われて(笑)」
――プレイヤーでもあるプロデューサーは同パートに厳しかったりもしますけど、希ちゃんは大丈夫でした?
しーなちゃん「幹宗さんは優しいから、ジェントルにアプローチしてくれて、すごく平和な感じで」
――このバンドをどう転がせばいいのか分かってる。
しーなちゃん「そう、私たちに怒っても無駄だということが(笑)。厳しいことを言わなきゃいけないときも、LINEとか電話じゃなくて直接会って、顔が見える状況で伝えてくれて」
――あさかちゃんは制作時には幹宗さんとあんまり絡まなかったらしいですね。
あさか「私は幹宗さんとはそこまで関わりがなくて、しーなちゃんのお誕生日会で初めてちゃんとお話できました。そのときは"楽しいねー"って話をしました(笑)。幹宗さんはめっちゃカッコよい方です」
――あと、新作を聴くたびに、しーなちゃんはいろんな声色が出せるんだなと思うけど=しーなちゃんの歌声のメインのラインがまだ決まってないとも言える。幹宗さんが、"しーなちゃんはいろんな声が出てるから、この曲にはこの声というのが見つかればいいね"みたいなことを指摘してくれたのは、なるほどなアドバイスだなと。
しーなちゃん「自分でも分かってはいるんですけど、"歌ガチャ"があり過ぎて。"ここからこう声を出したらこの声が出る"とちゃんと分かるようになれば...でも、歌入れのときにまだそこまではなかなかたどり着けないんですよね。例えば『マァルイツキ』とかも、何回か歌ってたら"あ、ここから声を出せばいいんだ"と分かってきて、急に歌えるようになったり。ただ、『ロックン・ロール』('19)とか『再生ボタン』('19)のガナり声が好きな人もいれば、『マァルイツキ』みたいなポップな曲の声が好きな人もいる。今のところは、両方作って探っていくのが一番かなって」
――自分の声のおいしいところをもうちょっと見極めると。『ボーイフレンド』はキャッチーだし歌詞もロマンチックで、ガールズバンドのひな形みたいな曲ですけど、こういうド直級の曲をやってみたい思惑があったんですか?
しーなちゃん「この頃は、私がド直球のガールズバンドっぽい曲を作りたくて。めっちゃキャッチーですよね。この曲ならちゃんと人に、家族にも聴かせられる(笑)」
――でも、このミニアルバムを家族に渡すと自動的に『梅毒』も聴かせることになるけど(笑)。
やっぱり東京初期衝動=パンクなんだろうなと
――『梅毒』は東京初期衝動がシーンに現れた当時のファーストインパクトを知っている人にはうれしい、これぞハードコアパンクな一曲で。ただ、このおバカな歌詞に一番時間が掛かったと。
しーなちゃん「そうなんですよ〜。こだわりも一番あって」
――さっき話した、自由だからこその難しさですよね。しーなちゃんは、人生経験もバンドマンとしての経験も積んでいくことで、それこそ初期衝動を失ってしまいそうな怖さはまだないんですか?
しーなちゃん「ないですね。それはいつでも新鮮な気持ちでいられるから。"はぁ〜またこれか"みたいなことはあんまり思わない。もういつでも"あげぽよ〜!"みたいな感じ(笑)」
――昔はあんなに無茶ができたのに...じゃなくて、スイッチを入れたらすぐに"あげぽよ"になれるよと(笑)。ヒリヒリがなくなったのではなく、ある意味、その量をコントロールしている感じ?
しーなちゃん「そうです。抑えるぐらいじゃないと、あげぽよ過ぎて止まらない(笑)。今までにいろんな曲をやってきて思ったのが、『マァルイツキ』も『ボーイフレンド』も『流星』もポップで大好きですけど、やっぱり東京初期衝動=パンクなんだろうなと。コロナもまだ完全に明けてはないけど、ようやくライブも変わってきたじゃないですか? 私の聴く曲も元に戻ってきて、"マジでパンクって最強じゃん!"って改めて思ったんですよね」
――そして、パンクこそメロディが良くないといけないとも。
しーなちゃん「そう、メロディはやっぱりきれいじゃないと、聴く気がなくなっちゃいますからね」
ステージに立つなら、楽器を構えたときにある程度美しくなきゃ
――残すは『ボーイズ・デイ・ドリーム~ドッカーンver~』(M-4)の再録で。元々は弾き語りだった曲を、いつかバンドで録り直したかったという、しーなちゃんのお気に入りで。その名の通り、最後のドッカーンが効いてますね。
しーなちゃん「~ドッカーンver~は適当ですけど(笑)、録り直してみたらすごくよかったから、ほらねと思って」
――しーなちゃんはもうスランプはないの? レコーディングがないと曲が書けないとかつては言ってましたけど。
しーなちゃん「え? いっつもスランプですけど?(笑) 1カ月に1曲は作らなきゃと思ってるけど時間がない。みんなそんなに作ってますかね? 作ってないですよね?」
――とあるバンドにインタビューで聞いたら、10日に1回バンド内でプレゼンがあるから、メンバー4人×月3回で、1カ月に12曲は書くと言ってましたよ。
しーなちゃん「そんなの絶対にストレスがたまる(笑)」
――他にレコーディングを振り返って印象的な出来事はありました?
しーなちゃん「実は『ボーイフレンド』は、全部が気に入らなくて録り直しました。ギターも歌もしっくりこなくて、"これを世に出すのかぁ〜"と思って幹宗さんに聴かせたら、"え、これを世に出すの?"って言われて、"ですよね!"って(笑)。幹宗さんにはプロデュースをお願いしてたんですけど、これはもう丸々任せた方がいいなと思って、レコーディングスタジオで細かく指示をしてもらったという」
あさか「私は『エンドロール』が一番苦労したかもしれないです。まず、"映画で流れるの!?"みたいなパニック状態だったし、ベースで何をすればいいかが分からなくて...ずっと家で悩んで作った記憶がありますね」
しーなちゃん「あと、幹宗さんの言葉ですごく印象に残ったのが、"奥田民生さんとか銀杏BOYZとか、みんな同じ売り場で同じ値段でCDを売ってるんだから、そこであなたたちだけはヘタだけど許されるとか、そういうことはないんだよ"って言われて...確かに、みたいな」
――それはプロの意見ですね。知り合いのレコード会社の新人開発の方も言ってましたけど、"例えばあなたたちがテレビの音楽番組に出たら、ジャニーズとかEXILEとかとも並列に見られる。その隣にいてもカッコいいと思わせないといけないから、バンドマンだから見た目は関係ないということはない"みたいな。
あさか「え〜すごい。今の響きました」
しーなちゃん「そうですよね。楽器が弾ければ見た目なんてどうでもいいと言うバンドの人もいるけど、ステージに立つなら、楽器を構えたときにある程度美しくなきゃというか、さまにならないといけないと思うんですよね」
――そういう意味でも、今回は偉大なる先輩方にいろんな教えを乞えた制作でしたね。
"らぶあげ"って略したらめっちゃかわいいなと思って
"あげぽよ"みたいなもんです(笑)
――ちなみに、『らぶ・あげいん』というタイトルはどこから?
しーなちゃん「今回も映画で、『ラブ・アゲイン』('11)から取りました。でも、別にその映画が好きとかじゃなくて、"らぶあげ"って略したらめっちゃかわいいなと思って。"あげぽよ"みたいなもんです(笑)」
――『東京初期衝動ツアー2022-2023「東京初期衝動御一行様全国忘年会新年会会場はこちら」』も終盤ですが、ツアーについてはどうでしょう?
あさか「私的にライブ=みんなと遊んでるイメージなんですよね。最近はみんなが元気過ぎて追いつけないから、体力をつけなきゃ本気でヤバい。遊べない!」
しーなちゃん「今回のツアーに限らずなんですけど、持ち曲を所々で変えてできるだけやりたいなとは思ってます」
――それって結構大変じゃないですか? 昔の曲を覚えるのとか。
しーなちゃん「どうせ歌詞はいつも間違えてるから、そんなに気にならない(笑)」
あさか「最近、カラオケに行って『春』('21)を歌ったんですけど、ライブのときと全く歌詞が違って、"こんな歌詞やったんか!"って思いました(笑)」
しーなちゃん「この間、銀杏BOYZのライブで『金輪際』('14)を聴いたとき、"え! この曲をやってくれるんだ"と思って、すごくうれしかったんですよね。だから自分も、そういうところでファンサービスしなきゃって。ただ、希ちゃんが"この曲はやりたくない"とか"この曲はイヤだ"とかよく言うんですよ、感情的な問題で」
――当時のテイクが気に入っていないとか?
しーなちゃん「作ったときにイヤな思い出があるとか、辛かったのを思い出すから、みたいな。希ちゃんのそういう意見をいつも優先してたけど、今回は無視しようかな?(笑) 作り手側より聴く側の気持ちが大事だなと思うから」
――最後に、『らぶ・あげいん』を聴いてくれたリスナー、関西のファンやツアーに来てくれるお客さんに向けて、それぞれに言葉もらって終わろうかなと!
しーなちゃん「'23年の東京初期衝動は"激パンク"でいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!」
あさか「Shangri-Laで待ってるんで、来てください!」
Text by 奥"ボウイ"昌史
(2023年2月10日更新)
Mini Album
『らぶ・あげいん』
【初回限定盤DVD付】
発売中 3850円
チェリーヴァージン・レコード
CVR-0010
<収録曲>
01. ボーイフレンド
02. 俺流サニーデイ・サービス
03. 梅毒
04. ボーイズ・デイ・ドリーム
~ドッカーンver~
05. コマンドバトル!
06. エンドロール
<DVD収録内容>
『殺露那が出たら即解散!?
東京初期衝動、渋谷夏の陣』
(2022.8.19 渋谷チェルシーホテル)
とうきょうしょきしょうどう…写真左上より時計回りに、希(g)、しーなちゃん(vo&g)、あさか(b)、なお(ds)。’18年4月、しーなちゃんを中心に銀杏BOYZ好きが集まってバンドを結成。しーなちゃんの度重なるTwitter凍結などSNSで話題となる中、’19年4月に自主レーベル、チェリーヴァージン・レコードを立ち上げ、1st EP『ヴァージン・スーサイズ』をリリース。発売記念ライブとなった同日の東京・SHELTERでの初企画はソールドアウトに。9月には、野外フェスデビューとなる『BAYCAMP2019』に初出演を果たす。11月には初の全国流通盤として1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』を、’20年4月には2nd EP『LOVE&POP』をリリース。同夏にはコロナ禍の中、初の全国ツアー『東京初期衝動の全国逆ナンツアー』を開催。8月に行われたファイナルの東京・LIQUIDROOMを含む全公演がソールドアウトに。また、同ツアーをもって前ベーシストが脱退。一般公募により選ばれたあさかが、11月に開催された『BAYCAMP2020』より正式加入。’21年5月には新体制初音源となる3rd EP『Second Kill Virgin』を、’22年2月には2ndアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』をリリース。同アルバムは2月度タワレコメンに選出。8月には、阪元裕吾監督の映画『グリーンバレット』の書き下ろし主題歌/挿入歌『エンドロール/コマンドバトル!』を配信。同2曲を含む最新作となる1stミニアルバム『らぶ・あげいん』を11月23日にリリースした。
東京初期衝動 オフィシャルサイト
https://東京初期衝動.com
『東京初期衝動ツアー2022-2023
「東京初期衝動御一行様
全国忘年会新年会会場はこちら」』
【千葉公演】
▼12月2日(金)千葉LOOK
【神奈川公演】
▼12月4日(日)F.A.D YOKOHAMA
【兵庫公演】
▼12月16日(金)神戸 太陽と虎
【東京公演】
▼12月19日(月)SHELTER
【北海道公演】
▼1月21日(土)BESSIE HALL
【福岡公演】
▼1月22日(日)LIVE HOUSE OP's
【宮城公演】
▼1月28日(土)LIVE HOUSE enn 3rd
【愛知公演】
▼2月5日(日)池下CLUB UPSET
【香川公演】
チケット発売中
※チケットは、インターネットでのみ販売。
店頭での受付はなし。
▼2月11日(土・祝)17:30
TOONICE
スタンディング3500円
エイティーフィールド■03(5712)5227
※未就学児童は入場不可。
チケット発売中
※販売期間中は、インターネット
(PC・スマートフォン)のみで販売。
▼2月12日(日)17:30
Shangri-La
オールスタンディング3500円
GREENS■06(6882)1224
(https://www.greens-corp.co.jp/)
※未就学児童は入場不可。
【東京公演】
チケット発売中
※チケットは、インターネットでのみ販売。
店頭での受付はなし。
発券は2月19日(日)10:00となります。
▼2月26日(日)17:45
東京キネマ倶楽部
スタンディング3500円
エイティーフィールド■03(5712)5227
※未就学児童は入場不可。
「自分にとっては’21年以来、ちょいと久々となったインタビューでしたが、何せ初対面の’19年の頃が原石過ぎて、会うたびに音楽も受け答えもぐんぐん進化していく東京初期衝動に、毎回驚いたもんです。そんな彼女たちも今はまさに過渡期というか、自らのスタンスを見定めている真っただ中という様相で、これはこれで貴重なタイミングで再会できたなと。しかし、相変わらず面白いな~次に会うときに彼女たちの言うことがまるで変わっていても、俺は驚かない(笑)。そんなキャラクターというか、憎めなさというか、人がやっぱり魅力的だと再確認。そこがある限り、期待しちゃうんだよなトキョショキには。ツアーを回って、セミファイナルの大阪・Shangri-Laにたどり着いた頃にはどんな感じに仕上がっているのか? 期待大!」