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「僕らはずっと自分たちの進むべき道が分かってない(笑)」
さまよえるおいしくるメロンパンの次の一手はポップ全解放!
変わらぬ狂気と届ける覚悟、最も開いた問題作にして意欲作
『cubism』を手に現在ツアー中の3人が語る全員インタビュー

 前作『theory』(’21)が、おいしくるメロンパンにとってのアートを極め切った最高到達点だとしたら、次の一手として約1年4カ月ぶりにリリースした『cubism』は一転、自身のメロディセンスを信じてポップに振り切った意欲作だ。「今までは分かりやすさとかポップさを制御していた」と語ったバンドが、なぜここで禁断のギアを入れたのか? 自らへのカウンターとなる問題作へと挑んだ理由、失われない“らしさ”、正体不明のルーツ、そして、歌声の力と進むべき道…新作を手に全国ツアー中の今も探し続ける現在進行形の思いを、3人が語るインタビュー。さまよえるおいしくるメロンパンは、ポップミュージックに狂気と覚悟を忍ばせ、いったいどこへ向かうのか――。

 
 
今までは分かりやすさとかポップさを制御してた
 
 
――『cubism』は今までで一番開かれた作品だからこそ、このバンドにとっては問題作だなと(笑)。
 
ナカシマ(vo&g)「アハハ(笑)。正直、不安はすごいありました。“私の好きなおいしくるメロンパンじゃなくなっちゃった…”、みたいにとらえられちゃうかなと思ったんですけど、逆に“こういう感じも待ってた!”ぐらいの反応で」
 
峯岸(b)「僕らが思っていたほど、聴き手側から“今回はめっちゃポップだよね”という声を聞かなくて。でも、音楽業界の方からはめっちゃそう言われるので驚いてますね」
 
原(ds)「今回は今までの作品よりポップなので、“『色水』('16)だけは知ってるよ”というような人たちにも届くんじゃないかという期待はありましたね」
 
――今作ではなぜポップな方向性を選んだのかを聞きたいなと。
 
ナカシマ「おいしくるメロンパンは前作の反動で作品を作ることが多くて、『theory』でやりたいことを突き詰めた結果、“おいしくるメロンパンはこうでなきゃいけない”みたいな考えに、いつの間にか縛られてたなと思ったんですよね。それで作曲が滞っちゃって、このマインドのままだといつまで経っても曲ができない。なので、自分で自分に課した制約を1回取り払って、フラットに音楽と向き合ったことでこの作品が生まれた気はしてますね」
 
――『theory』で刀を研ぎ澄ませ極めたが故に、同じ方向性で『theory』を超えられる気がしなかった。ただ、苦肉の策とも言えるけど、この変化によって間違いなくバンドに新展開が訪れるとも言える。その辺の意識は、デモの段階からメンバーも感じたらしいですね。
 
峯岸「『トロイメライ』(M-2)のデモが上がってきたとき、“え、これで大丈夫?”と思うぐらいサッパリしてたんですよ。それで今回はこういうモードなんだなと悟って、他の4曲もそういうテンションになった感じですね」
 
「例えば『Utopia』(M-1)の歌詞もそうですけど、今までより言いたいことが分かる歌詞になってるというか。“分かりやすい”ともまた違うんですけど、これはこれでめっちゃいいなと」
 


――今作においては『トロイメライ』が最もキャッチーというか、確かにこの曲を最初にもらったら、今回は明らかにモードが違うのは一目瞭然ですね。とは言え、こういうテイストもナカシマさんのルーツには確かにあると?
 
ナカシマ「そうです。“縛りプレイ”じゃないけど、今まではそういう分かりやすさやポップさを制御していたので」
 
――それには何か意図があったんですか?
 
ナカシマ「表現の純度が落ちるからです。ちょっとヘンな言い方になっちゃいますけど、ポップにやろうと思えばいくらでもできるんですけど、そうなると、そもそも表現したい世界観との整合性が取れなくなってくる。なので今までは、表現したい世界観を優先してたんですけど、今回はポップな方を立ててみた感じですね」
 
――できること=したいこと、ではないですもんね。“今までは聴く人を選び過ぎてたのかなと思った”という発言を見て、“何だ、自分でも分かってたのか”と思ってしまいました(笑)。
 
 
どこへでも行ける感覚が今はある

 
――1曲目の『Utopia』から即効性の高いサビ始まりで、“ハイファイな海に飛ばす紙飛行機”という一節を見て、ベタなラブソングがごとく紙飛行機を飛ばすのか…と一瞬不安に思いましたけど、それに続くのが“正確な角度で焼却炉へ”で、とっても安心しました(笑)。
 
峯岸「それ、だいぶおいしくるメロンパンが好きな人の感想!(笑)」
 


――MVも絶妙だなと思いましたけど、一見、自由でも、ちょっと引いて見たら誰かに作られた狭い世界にいるような…ポップで開いてるのにどこか閉塞感があって、近年のコロナ禍も含めたモヤモヤにも通じるようで。
 
ナカシマ「それはありましたね。明確に表現したいメッセージが『Utopia』にはあって。でも、曲としてのデザイン性というか美しさは絶対に必要だと思ったんで、うまい具合に抽象化するバランスが今回はすごく難しかったです。ただ、レコーディングの難易度自体は今までで一番低かったかも。あえてあっさりやろうというコンセプトだったんで、『灰羽』(M-4)以外は結構簡単でしたね」
 
――これぞおいしくるメロンパンなアート方面に進むと、やっぱり演奏の難易度は高くなるんですね。
 
「『灰羽』は大変でしたね。全編通してフレーズも難しいし、テンポも速いし、繰り返しも全然なくて」
 
――今まではこういう曲調をむしろメインにやってきたと思うと、そらカロリー高いわ(笑)。でも、メンバー的にも、“この曲をもらったときに一番テンション上がった”とか、“他の曲で抑えてるからこの曲でストレスを発散した”とか言っていて…“だったらもっとこっち方面の曲をやったら?”って、ちょっと思いましたけど(笑)。
 
峯岸「まぁそこはいいあんばいで(笑)。これだけポップな曲が多い中に『灰羽』が入ってると、バランスが良く見えるんですよ。あと、何をやってもおいしくるメロンパンになる確信があったし、結局そうなってると思いますしね」
 
「一応、ポップに振ってはいるんですけど、元々僕らにあった部分をたまたま見せてなかっただけ、みたいな感覚でもあって。こっちもアリなんだという気付きがあったので、これからは昔の一面も見せつつ、いいバランスを探しながら進んでいける気がします」
 
ナカシマ「開いた場所に1回出てきたことで、どこへでも行ける感覚が今はあるので。自由になったので単純に楽しみですね。もっといろんな曲を作っていきたいです」
 
――今回の制作で、自分で自分にきっかけを与えられたと。
 
ナカシマ「このままじゃもう無理だと思ってたんで、思い切って考え方を変えるしかないということで。それだけ『theory』で“これだ!”という作品ができたのもあるんで、またああいう感じもやってみたいなと思いますけどね。そのときの気分でまた曲調も変わっていくと思います」
 
 
中堅なのか? いや、中堅とは? みたいな(笑)
 
 
――『水びたしの国』(M-3)もカントリー調の不思議な雰囲気の曲ですけど、生々しくもこういうファンタジックな部分も、確かにバンドの持ち味ですよね。
 
峯岸「僕はバンドの初期から、ナカシマの中にある音楽性に『水びたしの国』みたいなイメージってあるよなと思ってたんで、逆に“そういや今まで作ってなかったな”ぐらいの感じでしたね」
 
――ナカシマさんの曲は基本ルーツが見えづらいというか謎で。何と何を掛け合わせるとこうなるんだろうと。
 
峯岸「そうなんですよね、すごく分かります」

ナカシマ「小っちゃい頃からピアノを弾いてたので、本当のルーツで言ったらクラシックですね。それからジャズも好きになって、ポップスを聴くようになり…」
 
――日本のポップスで当時、好きで聴いてたものはあったんですか?
 
ナカシマ「何だろう? レミオロメンとかかな」
 
――それぐらいの世代か…でも、それを聞いたからって納得するわけでもない。むしろ謎が深まったぞ(笑)。
 
ナカシマ「アハハ!(笑) でもその後、ゲーム音楽が好きになったり、ケルトとかアイリッシュ音楽も聴き始めて。あとはエレクトロニカも好きで、結構いろいろ聴きますね」
 
――そのミクスチャー具合だと、そもそも日本語詞のロックを作ろうと思った時点で、ちょっといびつなものができるのは必然だったかもしれないですね。ここ2年はコロナ禍もありましたけど、シーンにおける自分たちの立ち位置とか独自性を、何か感じたりします?
 
「もう新人というわけでもなく、中堅なのか? いや、中堅とは? みたいな(笑)。どんどん分からなくなって」
 
ナカシマ「そう言われると、その辺はあんまり意識してこなかったかもしれないですね…」
 
峯岸「意識してたら『theory』なんかできてないよ(笑)。例えば、コロナ前によくライブを一緒にやってたバンドはマカロニえんぴつだったりするんですけど、彼らと歩んでいく道も一緒なのか…僕らはずっと自分たちの進むべき道が分かってないんですよね(笑)。ちょっとカッコいい言い方になっちゃいますけど、コロナ禍を経ておいしくるメロンパンの一匹狼みたいなイメージがさらに深くなったというか、やっぱりそうなのかと思った。だけど『cubism』では、ちょっとそうじゃない方向に歩み寄ってみた、みたいなニュアンスではありますね」
 
――あと、今作のようにポップな楽曲を歌ったとき、改めてボーカルの中毒性みたいなものを再確認した気がします。さっき“何をやってもおいしくるメロンパンになる”という話もありましたけど、この声なら熱く歌ってもくどくないし、冷たく歌っても温もりがある。
 
峯岸「語弊を恐れずに言うと、面白い声をしてますよね。バンドのボーカルの声=ナカシマが基準になってるから新しい感覚ではなかなか聴けないんですけど、このバンドを組んだ最初に僕はそれを感じたんで、そう言っていただけると、やっぱりそうだよなと今、改めて思いましたね」
 
――制作を振り返って、何か印象的なエピソードとか意外だったことはありますか?
 
峯岸「とにかくナカシマが曲を上げるスピードが速かった。『theory』のときは、ワンコーラス作ってもそこから先に進まないから結局、時間が掛かる、みたいな感じだったんですけど、今回の『cubism』はいきなりフルでデモが上がってきたことも結構あったんで、作り方のモードが完全に変わってますよね」
 
――そういう意味では、曲を書く楽しさを改めて感じた制作でもあったんですか?
 
ナカシマ「どうなんだろう? 今回はちょっと割り切って作ったというか、自分のアートな精神を切り離してたんで、“やっぱりあっちの楽しさもあったな”と再認識したのはありましたね。その方が楽しいかもしれない(笑)」
 
――俺はもう完全に、おいしくるメロンパンのアート方面支持なので大賛成ですけど(笑)。
 
ナカシマ「ま、10年後とかにはまたゴリゴリにやってると思いますけどね(笑)」
 
 
“届ける”という意識でライブも作っていきたい
 
 
――リリースツアーは6~7月に『サンセット・フィルムショー』、9~11月に『トワイライト・フィルムショー』と2段階で行われます。ツアーファイナルの11月23日(水・祝)東京・Spotify O-EASTはスペシャルセットで、大型LED等も駆使したライブになるとのことで。
 
「去年、映像を使ったライブが好評だったので、ちょっとその線で探ってみようかなと。絶賛考え中です」
 
――去年は初期作品の再現ツアーもやってましたけど、コロナ禍の制限下を経て何か心持ちは変わりました?
 
峯岸「またライブができるようになって楽しいのはもちろんありますし、フロアの状態は変わってるんですけど、僕らステージ上は何も変わってないですね」
 
「元々モッシュとかも全然ないし(笑)、僕らからあおったりすることもない。コロナ前からじっくりしっとり聴くお客さんが多かったので。最近また人数が増えてきたなぁ、うれしいなぁっていう感覚ですね」
 
――チケットが早々に売り切れてる箇所も結構ありますもんね。
 
峯岸「ありがたいことに、そうなんですよ」
 
「ワンマンだと、“この曲とこの曲が続いた方がいいな”とか見せ方にたっぷりこだわれるので、『cubism』の5曲がセトリの中でどう聴こえるか楽しみにしていただけたら!」
 
ナカシマ「『cubism』という開いたアルバムができたからこそ、“届ける”という意識でライブも作っていきたい。今までとはちょっと変わった印象のライブになるんじゃないかな?」
 
――ナカシマさんから“届けるんだ”という意気込みを聞くのは新鮮ですね。
 
ナカシマ「僕が一番新鮮ですよ(笑)。自分でも“こんなこと言うんだ”って。やっぱり自分の中に潜り続けるのに飽きちゃったのかもしれない。ちょっと違うこともやってみたくなったというか」
 
――ツアーで実際に“届いた”のを見たとき、ナカシマさんの心がどう動くのか? それがまた新しいおいしくるメロンパンを作りそうですね。本日はありがとうございました!
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2022年7月15日更新)


Check

Release

より広く、より遠くまで
ポップに振り切った6thミニアルバム

Mini Album
『cubism』
【初回生産限定盤DVD付】
発売中 4000円
RO JAPAN RECORDS
XNRJ-10022/B

【通常盤】
発売中 1650円
RO JAPAN RECORDS
XNRJ-10023

<収録曲>
01. Utopia
02. トロイメライ
03. 水びたしの国
04. 灰羽
05. 蒲公英

<DVD収録内容>
『おいしくるメロンパン
 Chronicle Tour 2021
~リフレイン・ブルー~
@2021.12.7 東京・池袋harevutai』
01. 色水
02. シュガーサーフ
03. 5月の呪い
04. 砂と少女
05. 紫陽花
06. 桜の木の下には
07. look at the sea
08. caramel city
09. 泡と魔女
10. あの秋とスクールデイズ
11. 水葬
12. 命日
13. dry flower
14. 蜂蜜
15. nazca
ENCORE
16. epilogue
17. 斜陽
18. トロイメライ

特典映像
(色水VJ/ツアーオフムービー)

Profile

おいしくるメロンパン…写真左より、原駿太郎(ds)、峯岸翔雪(b)、ナカシマ(vo&g)。’15年9月、峯岸が大学の同級生であるナカシマと、高校の同級生だった原を誘い結成。活動開始から1年も経たないうちに『RO69JACK 2016 for ROCK IN JAPAN FESTIVAL』で優勝し、『thirsty』(’16)『indoor』(’17)『hameln』(’18)『flask』(’19)『theory』('21)と5枚のミニアルバムをリリース。’22年2月には配信シングル『Utopia』を、5月4日には6thミニアルバム『cubism』をリリース。その後は、ワンマンツアー『cubism tour -サンセット・フィルムショー-』を全国6カ所、『cubism tour -トワイライト・フィルムショー-』を全国14カ所で開催。

おいしくるメロンパン オフィシャルサイト
http://oisiclemelonpan.com/

Live

6~7月の前半、9~11月の後半の
2段階で全国ツアー開催中!

 
『おいしくるメロンパン
 cubism tour
-サンセット・フィルムショー-』

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月9日(木)LIQUID ROOM
【福岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月18日(土)DRUM LOGOS
【宮城公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月26日(日)仙台 darwin
【北海道公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月3日(日)cube garden

【愛知公演】
▼7月17日(日)名古屋クラブクアトロ
【大阪公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月23日(土)梅田クラブクアトロ


『おいしくるメロンパン
 cubism tour
-トワイライト・フィルムショー-』

【千葉公演】
▼9月17日(土)千葉LOOK
【栃木公演】
▼9月19日(月・祝)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
【石川公演】
▼9月23日(金・祝)金沢AZ
【新潟公演】
▼9月25日(日)GOLDEN PIGS RED STAGE
 

Pick Up!!

【京都公演】

一般発売8月6日(土)
Pコード219-457
▼10月1日(土)18:00
KYOTO MUSE
全自由4000円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※未就学児童は入場不可。入場時の手指の消毒、検温にご協力お願いします。体温が37.5℃以上の方、咳症状の方はご入場をお断りします。場内ではマスクの着用が必須となります。大声での声援、モッシュ、ダイブ、リフトは禁止とさせていただきます。ご来場前にオフィシャルHP記載の注意事項を必ずご確認お願いいたします。

チケット情報はこちら


【岩手公演】
▼10月8日(土)the five morioka
【埼玉公演】
▼10月16日(日)HEAVEN'S ROCK
さいたま新都心 VJ-3
【静岡公演】
▼10月29日(土)静岡UMBER
【岐阜公演】
▼10月30日(日)yanagase ants
【岡山公演】
▼11月5日(土)YEBISU YA PRO
【香川公演】
▼11月6日(日)高松MONSTER
【熊本公演】
▼11月12日(土)熊本B9 V2
【鹿児島公演】
▼11月13日(日)鹿児島SRホール
【東京公演】
▼11月23日(水・祝)Spotify O-EAST


Column1

「アートとして音楽を作ってる
 ところが今回は強く出たなと」
孤独を引き金にしたデイドリーミン
でマッドなポップミュージック
おいしくるメロンパンが送る
圧倒的5分間と’21年への展望を語る
『架空船』全員インタビュー('21)

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手さぐりで突き進んだミニアルバム
には秀逸な謎解きが…
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リミッター解除! “全部やった”
ミニアルバム『hameln』
全員インタビュー('18)

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんのオススメコメントはコチラ!

「前回インタビューしたのが『架空船』('20)のリリースタイミングで、個人的にはあの年の邦楽ベストソングじゃないかと思えるぐらい素晴らしい楽曲で。そうまで思ったからこそ、『cubism』の方向性には少々不安があったというか、彼らにはノイズの多いメインストリームよりむしろ、持っている刀を研ぎ澄ませ前人未踏の地を目指してほしいと個人的には思っていました。ただ、今回インタビューしてみて、『theory』でバンドのある種の極み、ひな型ができたからこその判断だったと納得もしたし、前作がそれほど壮絶な政策だったんだなとも想像。“純度を上げない”というエピソードも出ましたが、普通はキャリアを重ねていくにつれ純度を失い苦しんでるバンドが多いのに、あえてそこを抑えにいくなんて聞いたことがないですよ(笑)。その辺はやっぱりぶっ飛んでるよなぁ。『cubism』を例えて思うのは、今作はおいしくるメロンパンの音楽をメンバー自ら翻訳してるイメージというか、本質は変わらないけど、それをみんなが分かる言語にする。そして、その訳も外部の誰かじゃなく当事者がやるから誤差がない、みたいな。“届ける”という思いが芽生えたおいしくるメロンパンが、今度はどんなカウンターを打つのか? とっても興味深いです」