――リリース前には、今や恒例となったクラウドファンディングのリターンとして、星空の下で焚き火を囲んで行うライブ『“PALACE” Live Produce Team presents The CAMPFIRE』も開催されて。
「当日の天気はあいにく強めの雨だったんですけど、お客さんはライブを欲しているのが分かったし、全身全霊で吸収しに来てるから、本当にいい空間になって。『The CAMPFIRE』=焚き火があるから何とか暖も取れたしね(笑)。小さい『FUJI ROCK FESTIVAL』みたいな感じでしたよ。現場を作り上げたみんなもすごく必死で、逆境の中よく頑張ったなって、ちょっと感動しました」
――『Voice(s)』(M-1)、『極彩 | I G L (S)』(M-2)、『dEsTroY』(M-3)の冒頭の流れは特にだなと思ったけど、今までのロットは静かなる闘志や情熱を胸に秘める感じがあったのが、今回はそれをちゃんと表してくれてるというか。過去最高に力強いオープニングだと思ったけど、その辺の自覚はある?
――『B U R N H O U S E』(M-7)とか『Voice(s)』は、岩手県・盛岡の学校で宮沢賢治とか『遠野物語』(柳田國男)をモチーフとした演劇とコラボできないかとイメージしながら作った曲だと。クラウドファンディングでプロデュース権を購入してくれた方のアイデアで、アルバムの1曲目が『Voice(s)』になったという話もすごく面白いなと。
「本当に。でも、そこと向き合わなきゃいけないし、僕はこうやってインタビューで話せるからまだいいけど、中原にはそういう場が今のところないから、あんまり僕が饒舌に語り過ぎるのも、彼の目線がないからちょっとフェアじゃないし。ただ、お互いにちゃんと冷静に話し合って、すごく長い時間をかけて決めた大切な話なので。しかも、12月の東京・めぐろパーシモン 大ホールは一緒にやろうぜって、お互いポジティブに話せたのもすごくよかったなと思ったし。今回の作品もそうでしたけど、中原のいないライブは毎回…寂しいっちゃ寂しいし、まぁプレッシャーはありますよね。でも、これからロットが少しずつ新しくなっていく様をファンの人たちが支えてくれて、この間もJ-Waveの『TOKIO HOT 100』で『極彩 | I G L (S)』が6位になったりして。いろんな人が喜んでくれてるのを見て自分が励まされてるというか…新しい希望とかロットの未来が少しずつ見えてきてるから、そのきっかけをちゃんと逃さず磨いていくことに集中すればいいんだなと、今は思ってますね」
<収録曲> 01. Voice(s) 02. 極彩 | I G L (S) 03. dEsTroY 04. ひかりの螺旋 05. K i n g 06. 000Big Bird000 07. B U R N H O U S E 08. ヨVE 09. NEVER FORGET 10. CHEEZY MAN
Profile
ロット・バルト・バロン…三船雅也(vo&g)を中心に、東京を拠点に活動するフォークロックバンド。『ROTH BART BARON』(‘10)、『化け物山と合唱団』(‘12)という2作のEPを経て、’14 年にはアメリカ・フィラデルフィアにて制作した1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』を、’15年にはカナダ・モントリオールで現地ミュージシャンとセッションを重ねレコーディングした2ndアルバム『ATOM』をリリース。’17年にはイギリス・ロンドンの現地プロダクションからのオファーをきっかけに制作したEP盤『dying for』を、’18年には3年ぶりとなる3rdアルバム『HEX』をリリースし、バンドとリスナーがつながる新たなコミュニティ“P A L A C E ”を立ち上げ、共にプラネタリウムでライブを開催するなど独自のバンドマネージメントを展開。’19年11月には4thアルバム『けものたちの名前』をリリース、多くの音楽メディアにて賞賛を得る。’20年7月には中原鉄也(ds)が脱退。10月28日には5thアルバム『極彩色の祝祭』をリリース。それに伴う全国ツアーに加え、12月26日(土)・27日(日)には自身最大規模となる東京・めぐろパーシモン大ホールにて、15人が舞台に集う特別公演を開催する。『SUMMER SONIC』『FUJI ROCK FESTIVAL』など大型フェスにも出演しつつ二度のアメリカツアーや中国ツアーを行うなど、日本のみならず世界にその活動範囲を広げており、独創的な活動内容とフォークロックをルーツにした音楽性で、世代を超えた多くの音楽ファンを魅了している。