「もう、かなり。僕らにしかできないっていうのが…あ! 最近、自分が変わったきっかけを思い出しました(笑)。僕はTHE BLUE HEARTSから音楽にのめり込んだんですけど、フェスとかでもザ・クロマニヨンズと被ったことがないんです。それに、バックヤードとかで会っちゃうのも何か好きじゃないんですよね。だから、(甲本)ヒロト(vo)と会うのは…他の先輩方はもちろん“さん”付けで呼ぶんですけど、ヒロトはヒロトだからヒロトなんです(笑)。“甲本さん”って呼んだらおしまいだっていう考えが自分の中にあって。好きだからこそ会いたくないと思ってたら、J-WAVEにちょっとしたキャンペーンで行ったときに、奥の扉が開いた瞬間に“あれ!?”と思って。ぼやっとマーシー(=真島昌利・g)が見えた途端に固まっちゃって、“もうダメだ、絶対にあそこにいるわ!”って」
――うわ~それはヤバい!
「局に来るのもすごく珍しいみたいで、マネージャーもすごい好きなのでお互いに、“行け行け!”、“いや、絶対無理っすわ!”みたいな(笑)。結果、勇気を出して会いに行って…もう何て言ったかはハッキリ覚えてないんですけど、“THE BLUE HEARTSを聴いてバンドを始めました。それで今バンドをやれてます。ありがとうございます!”的なことを言って。そしたら向こうから手を出してくれて…僕はもう目がまともに見られなくて、震えて手を握らせてもらったとき、何かうまく言えないですけど、全部が変わりましたね。自分のこの先も見えたし、絶対にこうなりたいと思った。13~14歳のときに思ってた気持ちにビンタされた感じというか…もういちいちカッコよかったんですよ! 着てる服のボタンまで全部カッコよかったです(笑)。今思い出してもちょっと泣きそうになるんですけど、本当に何も変わってねぇわと思った。子供の頃からの憧れに憧れ続けられることってほとんどないし、音楽シーンには失望とか絶望しかないのに(笑)、再度憧れてしまって」
ベンサム…写真左より、辻怜次(b)、小関⻯矢(vo&g)、鈴木敬(ds)、須田原生(g)。’11年結成。’14年春のKEYTALKツアーのゲストアクトに抜擢され注目を集め、同年10月に『Public EP』でデビュー。以降インディーズで3枚のEPリリースを経て、’17年4月にシングル『激しい雨/ファンファーレ』でメジャーデビュー。同年7月には1stアルバム『Re:Wonder』をリリース、17ヵ所に及ぶ全国ツアーを敢行。ツアーファイナルの赤坂BLITZワンマンも大成功に収める。’18年4月リリースのEP『Bulbous Bow』収録の『FATEMOTION』が、CBCテレビドラマ『こんなところに運命の人』主題歌・TBSテレビ『王様のブランチ』4月度エンディングテーマに、『memento』が映画『お前ら全員めんどくさい!』主題歌に決定。同月に初の海外公演となる台湾の大型フェス『Spring Scream 2018』にも出演。’19年2月には2ndアルバム『MYNE』をリリース、過去最大の25ヵ所に及ぶ全国ツアー『GOLD RUSH TOUR 2019』を開催。11月13日には初のベストアルバム『Re: Public <2014-2019>』をリリース。今後も大いなる飛躍が期待されるハイブリッドロックバンド。
「話していて思ったのは、とにかく覚悟が決まった感というか、このままでは終われない/終わるつもりもないというある種の必死さと、それを遂行できるだけの経験値。どちらかだけでは決して回らないバンド活動で、その感情と実力が揃ったBenthamの現状には、むしろ期待しかありません。そして、今回の初ベスト『Re: Public <2014-2019>』を聴いて、前半の徹底的にたたみかけるBentham節から一転、『memento』『cymbidium』(M-11)の流れはミドルの名曲2連発だし、その後の『アイマイミーマイン』『YUMEMONOGATARI』(M-13)には音楽的挑戦心も感じるし…と、戦うための武器は作ってきたよなぁと改めて。あと、何より小関くんの、ていうか小関家のヒーローである(笑)ヒロト&マーシーに偶然出会った話は、聞いていてホント鳥肌モノだったな。かつて彼がそう言ったように、いつか“Benthamを聴いてバンドを始めました。それで今バンドをやれてます。ありがとうございます!”という声が聞ける未来が来たら、どんなに嬉しいことでしょう」