「音楽も、生き方も、自分の中に大切なものがあればブレない」 
 “ワンマン、事故、休止期間、復活、メジャーデビュー、リリース、怒涛でした。何年分もぎゅっとしたみたいに、いっぱい泣いたし怒ったし笑って、5人がバンドがもっと好きになったし大切なものが何かを知った”と
語る 、濃厚なデビューイヤーを駆け抜けた嘘とカメレオンが’19年に満を持して贈る、1stミニアルバム『ポストヒューマンNo.5』がついにリリースされた。インディーズ時代からの新旧オールタイムベスト的なデビューアルバム『ヲトシアナ』から約8ヵ月、今一度バンドの旨味や初期衝動にフォーカスし、よりエッジィに、よりクレイジーに、より過剰に、より大胆に己の信念と音を磨き上げ、妥協も嘘も形だけの言葉もない純度120%の嘘とカメレオンをブチ込んだ、強烈ロックアルバム『ポストヒューマンNo.5』!! 6月12日(水)北海道・札幌SPiCEよりスタートする初の全国ワンマンツアーを前に、チャム(.△)(vo)と渋江アサヒ(b)の2人が、同作にたどりつくまでの心の動きから制作時の思わぬ裏話までを語るインタビュー。感情も、感覚も、誇りも、美学も、目に見えなくとも確かにあるものが、このバンドをまた一歩前に進めようとしている――。
	 
	 
	小細工とかシチュエーションに頼らず、佇まいだけで絵になるような 
	 
	 
	――昨年はデビューイヤーというのもありましたけど、嘘とカメレオンにとっては本当に濃密な1年を過ごして。この春ぐらいまではまだ、昨年不慮の交通事故でキャンセルしたライブのリベンジみたいな要素もありましたけど。 
	 
	チャム(.△)(vo) 
	 
	――2年目にして何その大人の意見(笑)。 
	 
	チャム(.△) 「アハハハハ!(笑) 去年は3〜4ヵ月ライブができない時期があったんで、出演させていただくこと自体がリベンジだったり、久々だったりもして、ガツンと盛り上げるのは雰囲気を作る上で必要だったとは思うんですけど…本来の自分たちはどっちかと言うと、“バーン!”と振り切ったライブをするタイプで」
	 
	――盛り上げるというよりは圧倒するじゃないけど、演奏自体の迫力とか曲の世界観で引き込む、みたいな。 
	 
	チャム(.△) 「そうですそうです! その感じを今回の新しいアーティスト写真でも表現したくて。小細工とかシチュエーションに頼らず、佇まいだけで絵になるような。元々はライブでも一音で突き刺せるような迫力を表現していきたかったのに、最近まではちょっと無理をしていたというか」
	 
	――ブランクを取り戻さなきゃとか、ライブに呼んでもらった感謝も義理もあるから応えなきゃみたいなところで、一番ニュートラルな嘘カメというよりは、ちょっとギアを入れて頑張ってるところもあっただろうし。 
	 
	渋江(b) 
	 
	――だいたいそういうときって、ちょっと無理して“フェス特化”なモードで頑張ってはみたものの、結局そこまでうまくできなくて元に戻ることが多いけど、嘘カメは何となくうまくできちゃったというか(笑)。実際そうやって知ってもらえたことも多かっただろうしね。 
	 
	渋江 「そうですね。だから、やってきたことは無駄ではなかったんですけど、そろそろね」
	 
	チャム(.△) 「それを経て、今の雰囲気の自分たちになれたことで、不思議と前よりも手も声も上がったりするようになったので、やっぱりこっちが正解だったんだなって」
	 
	――その気付きには、何か具体的なきっかけはあったの? 
	 
	渋江 「多分、同時期にみんながふわっと同じことを思い始めてて(笑)。じゃあ1回戻してみるか、みたいな話に」
	 
	チャム(.△) 「さっき話した新しいアー写を撮るときも、メンバー5人の感性が近いので、“背景に何も情報がない状態でカッコいい写真が撮りたいね”ってスッと決まったり。それが今回のミニアルバムの曲にも出てると思うんですよね。基本的にはそうさん(=渡辺壮亮・g)が全パート作ってくるんですけど、彼がバンド内の雰囲気を何となく捉えて音にしてるので、自然とそうなったという」
	 
	渋江 「ただ、『パラダイム4210』(M-5)と『societal sanity』(M-7)に関してだけはちょっとライブを意識して、“こういう曲が欲しい”ってお願いした部分が若干反映されてるかなと」
	 
	 
	変わりたい気持ちは常にあるけど今回は次元が違うというか 
	全然別モノになりたかった 
	 
	 
	――制作中のSNSでの発言だったり、新作の音や歌詞からも、変化への渇望を感じましたね。 
	 
	チャム(.△) 「嬉しいです。変わりたい気持ちは常にあるけど今回は次元が違うというか、全然別モノになりたかったのが大きな転機で。私はプライベートでの価値観が一番音楽に反映されるタイプだと思うんですけど、例えば本を読んですごく影響を受けた後は、やっぱり表現も変えていきたくなりますね」
	 
	渋江 「正直、ライブのやり方も含めて若干飽きがきてたのかなって、バンドの空気としても感じましたね」
	 
	――このモードでやることはやった、みたいなね。ただ、デビューから1年経っての変化への渇望って、フェスで先輩バンドのすごいライブを観てこんなもんじゃダメだと思ったり、レーベルからいろんなことを求められるしメジャーでもちゃんと戦えるように変わりたいとかが多いですけど、嘘カメのそれはまたちょっと違う感じがしますね。 
	 
	チャム(.△) 「そうですよね。私個人の意見としては、他のバンドはあんまり関係ないというか、それぞれ違う人が違うバンドをやってるんだからという気持ちが強くて。それよりも常に過去の自分に勝ちたいというか、そういう自分と戦いたい。見てる対象が他のバンドとは違うから、変わっていきたい方向も自ずと違うと思うんですよね」
	 
	――シーンを見てるというよりは、対嘘カメ、対自分。そうは言っても、“チャム(.△)さん、今揺れてるな~”みたいに感じることもありますけど(笑)。 
	 
	チャム(.△) 「はい(笑)」
	 
	(一同笑) 
	 
	――“自分の気持ちにストレートなときの方がやっぱり表現もいい”って確かめるようにTwitter でつぶやいてることも多いし、それなりに挑戦はして、やっぱり違うなと思って…ちゃんと1つ1つ確かめて何を選んでいくかという。  
	 
	チャム(.△) 「試すことが無駄だとは全然思わないし、試さなきゃ自分も納得できないですから。試してダメなら気持ちよく次へっていう感じで、どんどん変わっていってるバンドなのかなって。そんな中で、年明けぐらいから曲が形になり始めたんですけど、最初にできたのがタイアップ用に書き下ろした『ルイユの螺旋』(M-2)で、次がリード曲の『パプリカはポストヒューマンの夢を見るか』(M-1)で。歌をちゃんと聴かせて伝える2曲ができたことで、残りの5曲はある意味好きなように作って、こういうミニアルバムになったのかなと」
	 
	 
	何%自分たちを出すのか、何%寄り添うのか 
	 
	 
	――『ルイユの螺旋』はドラマ『絶対正義』ありきで作った、初の書き下ろし曲ということで。 
	
		 
	
		VIDEO 
	
		チャム(.△) 「最初はそういう枠があることをどう感じるんだろうと思ってたんですけど、例えば、普段が画用紙とクレヨンを渡されて“好きなように絵を描いて”という感じだとしたら、『ルイユの螺旋』は“寒色だけで表現して”と言われてる感じというか。その中で何%自分たちを出すのか、何%ドラマに寄り添うのか。ドラマを消すほど自分たちを出してもダメだし、自分たちを殺すのも違う。だったら誰でもいいってことになっちゃうんで、自分たちらしい表現で、寄り添っていかなきゃいけない。この曲では“正義”について、(マウリッツ・)エッシャーのだまし絵とか螺旋階段になぞらえて書いてみたんですけど、自分にはない発想=台本から書くわけじゃないですか? それが刺激となって、“自分だったらまずこうは言わないな”という言葉とか言い回しも出てきて、すごく面白かったですね」
	
		 
	
		渋江 「『ルイユの螺旋』に限らず、今回のミニアルバムではある種ストレートな表現が増えたなって。今までの歌詞は捉え方によっては難し過ぎて、何を意味してるか分からない人もいたと思うんですけど、『ルイユの螺旋』以降に関しては誰でも共通の認識ができるというか、分かりやすくスッと入ってくる歌詞が増えたなと」
	
		 
	
		――『パラダイム4210』にはバンドの現状というか、今の嘘カメの燃えたぎる想いも感じるし、『Upius』(M-6)なんかはある種の素直さも出てる。そういう意味では、今まではどこの世界の物語かがあえて明確ではなかったファンタジー、今回は5人に芽生えた何かしらの感情が落とし込まれてるのを感じるリアリティというか。 
	
		 
	
		チャム(.△) 「あぁ〜嬉しいです。例えば『Upius』なんかは、『ヲトシアナ』(’18)で言うところの『うみねこの鳴く街で』や『キンイロノ』だったり、どっちかと言うと幻想的なイメージの、フィクションに近い曲だったんです。久々にこういう方向性の曲ができて、今の自分だったらどういう歌詞を書くのかが自分でも気になってたんですけど、昔だったらもっと誰がどう捉えてもそれぞれの風景があるように書いたと思うんです。でも、今の自分が書いたこの歌詞は、主人公がちゃんと意志を持ってこの曲の中に立ってる。自分の自然な変化をすごく感じましたね」
	
		 
	
		――あまりにファンタジック過ぎると自分に置き換えることがなかなか難しかったりもするけど、この曲にはすごく温度を感じるというか。ただ、『Upius』って何?(笑) 
	
		 
	
		チャム(.△) 「『予想は嘘よ』(’17)に収録されてる『Lapis』とかもそうで、私は子供の頃、自分の宝物に1つ1つ勝手に名前を付けてたんですよ(笑)。言わば、自分の理想とする風景に浮かんだのが『Upius』で、完全に造語ですね」
	
		 
	
		――冒頭から凄まじい迫力で楽器が切り刻んでいく中で、後半にこういう曲があると、ちょっとグッときますね。 
	
		 
	
		チャム(.△) 「あと、今回は音にも結構こだわって変えてみたんです。ちゃんと5人がステージに立ってる感じというか、ライブハウスの前2列ぐらいが感じるようなバンドの絶対的なカッコよさがサウンドにも出たらいいなって。だから、それぞれの楽器の音が耳の近くでハッキリ聴こえつつ、歌もしっかり出るような音作りをして」
	
		 
	
		――確かに1曲目から、ベースラインの指のタッチまで聴こえるような生々しさで。ちゃんと左右にギターも分けられてて、聴いててコピーしやすいなって思いましたもん(笑)。 
	
		 
	
		チャム(.△) 「前は“コピーできない”ってよく言われてたもんね(笑)。あと、今までは1人1人順番に録ってたのが、初めてドラムとベースを同時に録ったり」
	
		 
	
		渋江 「今回は“生感”を大事にしたかったんでそもそもミックスが根本的に違うし、リズム隊に関してはアイコンタクトが取れる距離感で”せーの”で一緒に演奏したんですよ。だからクリックに正確じゃない部分もあると思うんですけど、そのヨレ感が生々しさにもつながってるのかなって」
	
		 
	
		 
	
		人間の限界だけじゃなくて 
	
		自分たちがやってきたこともどんどん超えていこうって 
	
		 
	
		 
	
		――タイトル曲とも言える『パプリカはポストヒューマンの夢を見るか』は、映画『ブレードランナー』(’82)の元ネタであるSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(’68)から来てるとは思いますけど、それにしても何でパプリカとポストヒューマンやねんっていう(笑)。 
	
		 
	
		(一同笑) 
		
			 
		
			VIDEO 
		
			チャム(.△) 「ポストヒューマンからまずは来てるんですけど、ポストって“次の”とか“脱却していく”っていう意味があるじゃないですか? それとヒューマンを合わせることによって、人間の限界だけじゃなくて、自分たちがやってきたこともどんどん超えていこうっていう気持ちを込めてるんです。それが『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と自分の中で結び付いて。ポストヒューマンは人間が進化したものなのか、はたまたアンドロイドなのか、みたいな。あとは『パプリカ』(’06)というアニメーション映画も、ちょっとニュアンスが似ていて。映画『インセプション』(’10)みたいな世界観なんですけど、女の人が他人の夢の中に入って潜在意識を操作して、その行動を変えて人を救っていく。その2つがリンクして」
		
			 
		
			――今の変わりたい気持ちに、今まで摂取してきたエンタメが。 
		
			 
		
			チャム(.△) 「結び付いてこういう形に。後々考えたらこの曲が伏線になってたなと思うことも多いんですけど、『パプリカはポストヒューマンの夢を見るか』の歌詞は『されど奇術師は賽を振る』(’17)のアンサーソングみたいな気持ちで書いたんですよ。だからちょっと似たフレーズを入れてみたりして。あと、ポストヒューマンと対極にあるようなミイラ=『ミイラ・コード』(M-3)だったり、『パラダイム4210』という近未来な曲名もあったりで、この7曲を包括するならこのワードということで、ミニアルバムのタイトルも『ポストヒューマンNo.5』になりました」
		
			 
		
			――No.5はメンバーの人数もあると思うけど、5という数字自体に反逆、革命とか、アンチヒーロー的な意味が込められていると。Twitter でつぶいやいてた仮タイトル『キョンシー』っていう曲が=『ミイラ・コード』?  
		
			 
		
			チャム(.△) 「『キョンシー』は=『パプリカはポストヒューマンの夢を見るか』ですね。最初のタタンタララララン~♪っていうフレーズが…今ちゃんと歌えなかったけど(笑)、キョンシーっぽい、みたいな話になって」
		
			 
		
			渋江 「あと、中東、チベット仏教っぽいっていう話も」
		
			 
		
			チャム(.△) 「でも、『チベット仏教』っていう仮タイトルだったら思想が強過ぎると思われるから(笑)」
		
			 
		
			――チャム(.△)さんが、“一番遊んだ、これまでにない感じの曲”とつぶやいてた のは?  
		
			 
		
			チャム(.△) 「『とある男の記録』(M-4)ですね。他の曲は結構“せーの”で録ってるんですけど、この曲はちゃんと整えて機械的に聴こえるようにして、サビ前まではロボットっぽい感じで、そこからいきなり“ドカーン!”と開けて。言わばこの曲は=“マリオ”なんですけど(笑)、“捕らわれて石にされたピーチ姫が、サビでバーンと出てきて呪いが解けたような解放感が欲しいです”ってイメージを伝えて」
		
			 
		
			――どんな伝え方(笑)。それで意思疎通できるのは嘘カメならではでしょうね。 
		
			 
		
			渋江 「あとはそうちゃんが、“プレステで『クラッシュ・バンディクー』をやってるときにBGMからインスパイアされた”って言ってました(笑)。ああいう感じと、俺らが子供の頃に見てた『天才てれびくん』の曲(笑)」
		
			 
		
			――どこからの影響を音楽に吸い上げてくるんだっていう(笑)。 
		
			 
		
			渋江 「作曲でずっと缶詰めだったんで、息抜きがゲームしなかったんだと思う(笑)」
		
			 
		
			――それこそ『societal sanity』も、ゲームの『メタルギア』シリーズのS3計画(=Serection for Societal Sanity…社会の思想的健全化のため淘汰)からじゃねぇかと(笑)。この曲はもう怒り爆発というかBPMも凄まじい速さで、尺もたったの1分10秒しかないという。 
		
			 
		
			渋江 「ライブのアンコールとかで“バババッ!”とやって帰れるような曲が欲しくて作ってもらったんですけど、この曲に関してはリズム隊だけじゃなくてオケは全員“せーの”で録って、クリックすら聴いてないんですよ。だから、デモよりさらに速くなってる(笑)。その代わり熱量が一番入ったなって。この曲はそうちゃんがほぼ歌ってるんですけど、作業が深夜までかかって疲弊し切った後に歌を録ることになって、半ば声が枯れてる状態でシャウトしてるんですけど、それが逆にめちゃくちゃカッコいいっていう。エンジニアさんとワイワイしながら深夜のテンションで録ってましたね。本人も楽しかったのか、何パターンもがなってましたし(笑)」
		
			 
		
			チャム(.△) 「毎回思うんですけど私とかそうさんは特に、趣味の範囲がかなり狭くてすごく深いタイプなんで、今回のミニアルバムではその極端な部分がいい化学変化を起こしてるなって感じましたね」
		
			 
		
			 
		
			このミニアルバムが完成してようやく 
		
			また次の一歩を踏み出す時期になったのかなって 
		
			 
		
			 
		
			――ちなみに、めちゃくちゃ家っぽい場所で歌録りしてる写真を見たけどあれはどこ? 
		
			 
		
			チャム(.△) 「エンジニアさんの自宅にスタジオがあって、“気分が上がるならいろんなものを置いてもいいよ”みたいに言われたので、私の自宅みたいに蝶々を貼ったり(笑)」
		
			 
		
			――“こんなファンシーなボーカルブースある?”っていう雰囲気だったもんね(笑)。チャム(.△)さんは歌うときに他人に見られても大丈夫なタイプ? 
		
			 
		
			チャム(.△) 「私は身ぶり手ぶりライブみたいな感じで歌うので、あんまり人がいない方がいいかな?(笑) あと、褒められるとどんどん伸びていく人間なので、“できれば褒めて”っていう気持ちでいつも歌ってます(笑)」
		
			 
		
			――レコーディング中に印象的なエピソードはありました? 
		
			 
		
			チャム(.△) 「どの曲も思い出深いんですけど、『パラダイム4210』はマネージャーとメンバーがユニゾンの部分を歌ったんですよ。みんなの熱量が声として入って、ちょうどこのミニアルバムで表現したかった“バンドの絶対的なカッコよさ”とか“生感”につながったなって。同時に、みんなで歌うこういう曲って男性ボーカルのバンドが多いイメージだったんですけど、私が歌うことによって、そういうバンドの無骨な部分と女性ボーカルのよさが出たなって」
		
			 
		
			渋江 「最初のデモの段階では、意見が一番分かれた曲かもしれないですね。無骨過ぎるんじゃないか派と、こういうことをしないとこの曲のカッコよさが出ない派と。意見を交換し合って、最終的にはいいバランスになったなと」
		
			 
		
			――チャム(.△)さんが、“初めて何かが降臨した瞬間を感じた! 過去最短時間でこれしかない!と思う歌詞を一気に書き上げました”って言ってた 曲は?  
		
			 
		
			チャム(.△) 「それがまさに『パラダイム4210』です! 最近はずっと期限に追われ続けてるのもあって、物理的に書く時間が少なくても自分の中の言葉を降ろしていくのがどんどんうまくなってきて。この曲なんてデモを聴いてから30分ぐらいでイメージが浮かんで、そのまま30分ぐらいで歌詞が全部できましたから。自分が元来持ってる“既成概念なんてクソ食らえ”、“当たり前って、普通って何?”みたいな思想が一番出てるのがこの曲ですね。『モームはアトリエにて』(’18)とニュアンスが通じることを言ってるのもあって、本当にスラスラ出てきましたね」
		
			 
		
			――デビューイヤーは本当にいろいろなことがあったけど、今作はそこからようやく離れて、純粋に作品を問われ、応えられたタイミングでしたね。 
		
			 
		
			チャム(.△) 「活動を再開したときに解放されると思ってたんですけど、やっぱりリベンジしてる間も囚われてるじゃないですか? だから、このミニアルバムが完成してようやく、また次の一歩を踏み出す時期になったのかなって」
		
			 
		
			 
		
			誰かの背中を押したり、慰めたり… 
		
			 
		
			 
		
			――6月12日(水)札幌SPiCEよりツアーがスタートしますが、ワンマンツアーが初めてというのも意外な感じが。 
		
			 
		
			渋江 「そもそも東京以外でワンマンをするのも初めてなんですよね」
		
			 
		
			チャム(.△) 「名阪は去年やる予定だったんですけど、それこそ事故でできなくなっちゃって。だから、新曲の雰囲気が新たに入ってくることも含めてすごい楽しみですね。それと並行していつもの『当て振りインストアライブツアー2019』もあるんで、それ用のレコーディングも先日やったんですけど」
		
			 
		
			――インストアのためにレコーディングするバンドなんて聞いたことねぇよと(笑)。そういう嘘カメのスタンスを、お客さんも面白がってくれてる感じがしますね。 
		
			 
		
			チャム(.△) 「ちゃんと私たちのやることを受け止めてくれるというか…何だかみんな私のおばあちゃんみたい(笑)」
		
			 
		
			(一同爆笑) 
		
			 
		
			渋江 「ニュアンス次第では初めて炎上するかもしれない(笑)」
		
			 
		
			――嘘カメはお客さんが増えていっても薄くならないというか、思い入れが濃いお客さんが多い印象ですね。 
		
			 
		
			チャム(.△) 「自分たちで言うのもなんですけど、嘘とカメレオンのお客さんって一番好きなバンドとして私たちを見てくれてる人も多くて。それには曲だけじゃない要素もあるのかなと思うので、何だか嬉しいよね」
		
			 
		
			渋江 「そうだね、ちゃんと人も見てくれてるというか」
		
			 
		
			チャム(.△) 「分母がいくら大きくなっても、みんなちゃんとマナーも守ってくれて、危ないことも誰もしないし、本当にいい人たちばかりですね」
		
			 
		
			――夏には『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』への出演も決まって。それこそ渡辺くんが多大な影響を受けたthe band apartに出会ったフェスだし、夢があるなぁと。最後にそれぞれ今作を作り上げた今の心境と、ワンマンツアーに向けて思うところを聞きたいなと! 
		
			 
		
			渋江 「今までの嘘カメと、今の嘘カメの違いを感じてもらえるミニアルバムだと思うので、そこをみんなには楽しんでもらいたいのと、ライブで化ける曲が結構あると思ってるので、それをライブでやるのも、お客さんの反応を見るのもすごい楽しみですね。ぜひ聴きに来てほしいです!」
		
			 
		
			チャム(.△) 「今回、自分たちが表現したかったのは、“バンドってこんなにカッコいいんだぞ”っていうことなんですよ。それを1つ形にしたくて、『ポストヒューマンNo.5』という近未来的なタイトルでありながら音は生々しいというか、ちゃんと血が通ってるミニアルバムになった。絶対にグッとくるポイントがあるはずなので、そういう言葉にならない部分を感じてもらえたら嬉しいなと」
		
			 
		
			――目に見えないもの、形のないものの尊さというか、確かさというか。今は超現実主義な世の中だからこそ、そうじゃないものを感じられる音楽とか人との関係性は、すごく大事で。 
		
			 
		
			チャム(.△) 「昔から“目に見えないものの確かさ”が好きなんですけど、形がないから、目に見えないからどこにでもあるというか、“自分が持とうと思ったらいつでも持てる確かさ”が、自分の1つの芯としてあって。自分の中に大切なものがちゃんとあれば、どんなときでもブレない。音楽もそうだし、生き方としてもそうだし。誰かの背中を押したり、慰めたり…そういう言葉にならないきっかけになれたらいいなと思ってます!」
		
			 
		
			 
		
	 
 
(2019年6月 3日更新)
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      うそとカメレオン…写真左より、渋江アサヒ(b)、渡辺壮亮(g)、チャム(.△)(vo)、菅野悠太(g)、青山拓心(ds)。’14年4月1日(エイプリルフール)結成。バンド名の由来は、“カメレオンのように自在に姿を変えながら、女性ボーカルバンドの既成概念を裏切るバンドでありたい”という想いからチャム(.△)により命名。’16年12月にYouTubeにて公開された初のMV『されど奇術師は賽を振る』がネットやSNSでバズり、’19年5月現在で500万再生を突破。’18年9月には1stフルアルバム『ヲトシアナ』でメジャーデビュー。収録曲『モームはアトリエにて』はアニメ『SNSポリス』のオープニングテーマ、『JOHN DOE』はドラマ『極道めし』の主題歌、『フェイトンに告ぐ』はTBS系『CDTV』のエンディングテーマに抜擢。数多くのフェスやサーキットライブを入場規制にし、同年末には『COUNTDOWN JAPAN 18/19』にも出演を果たした。’19年には、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『絶対正義』の主題歌『ルイユの螺旋』を書き下ろし、同曲を含むミニアルバム『ポストヒューマンNo.5』を5月29日にリリース。6月より初の全国ワンマンツアーをスタート、ツアーファイナルを7月5日(金)東京・恵比寿LIQUIDROOMにて開催する。紅一点ボーカル・チャム(.△)の“腕組みヘドバン”や、“動けるデブ”と称される渡辺の激しいパフォーマンス、メンバーの多種多様なバックボーンから生み出される中毒性の高い楽曲の虜になるファン=“嘘チル”が急増中。音楽の破壊力だけでなく、視覚的にもインパクトを残す唯一無二のロックバンドとして注目されている。嘘とカメレオン オフィシャルサイト http://usokame.com/ 
         
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
        Live 
          
      
        
        
        
        
        
        
        
          初のワンマンツアーがいよいよ開幕! 
          
        
        
        
           【北海道公演】 【宮城公演】 【広島公演】 【福岡公演】 【愛知公演】 
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
        
           
      
      
      
        
          
          
          
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            【大阪公演】 
            
          
          
          
            チケット発売中 Pコード147-245
            
           
        
      
      
        
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
      
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
            
        
        
         【東京公演】 ▼7月5日(金)LIQUIDROOM
        
          
 
      
      
      
        
          
      
      
        
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
      
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
          【大阪公演】 
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
            
        
        
        
        
           
      
      
      
        
          
      
      
        
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
      
        
        
        
        
        
        
        
        
        
        
          【大阪公演】 
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
            
        
        
         
        
           
      
      
      
        
          
          
          
            
Column 
            
          
          
          
            「自分たちがカッコいいと思うもの 
            
          
          
          
          
        
      
      
        
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
      
      
      
      
        
          
          
          
            Reommend!! 
            
          
          
          
            ライター奥“ボウイ”昌史さんの 
            
          
          
          
            「僕の記念すべき令和初取材が(笑)、嘘とカメレオンでございました。新作の『ポストヒューマンNo.5』、めちゃくちゃ気持ちいいです。爆音で聴いてほしいです。あらゆる感情に火を点け加速させるような、エナジードリンクならぬエナジーアルバムですよこれ。ここが海だったら叫んでますよ(笑)。音だけでここまで持っていくのすげーわ。そんな音エゲつないけど人柄ほっこり集団の嘘カメであろうと(笑)、デビュー年であった昨年はやっぱり新人ではあるから、それなりに翻弄されていて。そういう心の取捨選択を経て、歌詞やパッケージの至るところにまでトラップが仕掛けられたこだわりも含め、きっちりアップグレードしてきたのが今作で。ちなみに、『とある男の記録』のアウトロでブツブツ言ってるあそこは、チャム(.△)さん曰く、“ピーチ姫には別に恋人がいるし、クッパも何で彼女をさらったか分かってないし、マリオもなぜか助けに行ってるという登場人物全員が惰性の状態で、さらにあのゲームってウラ面に続くじゃないですか? だからあそこは、ウラ面=マリオが鬱になって言ってるセリフなんです。そのマリオの気持ちを想像して聴いてもらえたらグッとくると思います”とのこと(笑)。この種明かしには取材現場にいた一堂、大いに盛り上がりましたね。あと、個人的には“中指はいつも美しく立てないと”とチャム(.△)さんがTwitter でつぶやいてたのは最高にクールで信頼できるなと思いました。アンチイズムを持ちながら気高き信念を忘れない嘘カメの’19年には、期待しかありません!」