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「みんなでもっと遠くまで行きたい」
ポップスの希望も葛藤も抱えて進む、未完成な僕らの輝ける序章
『DRAMA STORE』引っ提げツアーもいよいよクライマックスへ!
ドラマストア インタビュー&動画コメント

 昨年リリースしたミニアルバム『swallowtail』にてついに覚醒した、“関西発・正統派ポップバンド”の看板に偽りなしの珠玉のポップソング群を聴かせたドラマストアが、キャリア初となるフルアルバム、その名も『DRAMA STORE』をリリースした。新曲はもちろん、秀逸なMVでも話題を呼んだ切なき名曲『秘密』(’18)の3人の主人公にフォーカスした、スピンオフ的会場限定シングル三部作『ガールズルール』『Stand by You』『Lostman』、さらには『エンドロール』『グッバイ・ヒーロー』と過去曲の再録バージョンも収録。今作も映像との親和性の高さは言わずもがな、セルフタイトルを掲げる覚悟と明確なビジョンのもと4人が全精力を注いだ、まさに名刺代わりの勝負作に仕上がっている。現在は、各地でソールドアウト続出のリリースツアー『ドラマチック・ミュージックショー』の真っ只中、「このツアーは絶対に序章なので」と言い切った長谷川海(vo&g)、鳥山昂(g&key)、髙橋悠真(b)の3人が、ドラマストアの輝ける旅の始まりを語る――!

 
 
もう自分1人の人生じゃない
 
 
――前回インタビューした『swallowtail』('18)は、ポップスに舵を切った会心の作品でしたが、リリース後に…。
 
長谷川(vo&g)「僕と(松本)和也(ds)くんが立て続けに入院して(苦笑)。悠真(=髙橋)(b)が加入したと思ったら僕がいないみたいな状態で、その1ヵ月入院してる間にバンドはもちろん、人生とどう向き合っていこうか考えたんです。そこで、“自分は何ヵ月後には仕事を辞めて、こういう感じでバンドをやっていこう”みたいにイメージできる時間にもなったので、個人的にはそれが非常によかったんですよね」
 
――ある意味、仕事も本気だったからこそ、やっぱり身体に負荷もかかるしね。
 
長谷川「そうなんですよ。あと、そういうドラマストアを待っててくれたお客さんがいたことで、退院後の僕がうまく波に乗れたのはありますね。具体的に自分がどう変わったか自覚はないんですけど、強くはなれたのかなって」
 
髙橋「チーム全体を通して、去年の下半期が一番変わったタイミングだと思ってて。やっぱり入院を経て帰ってきた海くん(=長谷川)の雰囲気は変わったなと」
 
鳥山(g&key)「楽そうになったと思いますね。何かこう肩の荷が降りたというか」
 
長谷川「まさにそうで、仕事を辞めたことを公にしたことも含めて、すごく楽になりました。アーティストになろうというよりは、普通に夢を追いかけてる長谷川海になろうぐらいの感覚になったので、今はすごく楽ですね」
 
――そういう環境の中でのアルバム制作なら、視野も明確な感じがしますね。
 
長谷川「今まで以上にやりたいことがしっかり見えたし、全くケンカすることもなく、全員がちゃんと向き合えてると感じた制作期間でしたね。フルアルバムの制作って、もうちょっとしんどいイメージでしたもん。特に話すことがないかもしれないぐらい(笑)、今回は円滑に進みました」
 
――セルフタイトルを付けるぐらいだから意気込みはあったと思いますけど、具体的なビジョンはあったんですか?
 


長谷川「“自分たちの覚悟がタイトルからも伝わるアルバムにする”というイメージが最初から和也くんにはあって、さらにMVのうち1本は『世界はまだ僕を知らない』(M-2)みたいなドラマストアらしい曲で、かつ全員の演奏シーンがあるというところまで決まってたのでやりやすかったですね。どういう曲が欲しいのかハッキリしてたし、デモをさかのぼっても“あの曲は使える、その曲は違うな、この曲は今でしょ”みたいな采配もあったので」
 
――みんなが完全に同じ景色を共有できてますね。あと、曲を作るときに、ホワイトボードに曲の傾向のグラフを書き出してミーティングするってなかなかロジカルで、他のバンドでは聞かない話です。
 
長谷川「十字のグラフ書いて、例えば、“速い”が少ないからこういう曲が欲しいな、こういう“明るい”方面の曲もファンに見せたいなとか、相変わらずスタジオで楽器を触らず話してました(笑)。でも、曲を作る側としても、“それに合わせるのはしんどいな”みたいな感覚じゃなくて、やりたいことをちゃんとやらせてもらった1枚になったので、本当にみんなで1つの船を漕いでいった感覚はありますね」
 
――MVのイメージ先行で曲を作っていくのもなかなか珍しい作り方で。
 
長谷川「着地点出発ってなかなかないですよね。というのも、悠真が加入してから、しっかり4人の演奏シーンがあるMVがなかったんですよ。さかのぼると『スイミー』('16)以来、もう2年半〜3年ぶりぐらいじゃないですかね」
 
鳥山「僕もその頃にはまだいないしね(笑)」
 
長谷川「なので、フルアルバムのこのタイミングで満を持して今の4人で、みたいなところまで和也くんは考えてたと思うので。そうやって今回の制作は始まりましたね」
 
――海くんは『世界はまだ僕を知らない』について、“ドラマストアあるあるみたいな曲”とも言ってたけど、何をもってドラマストアあるあるだと思う?
 
長谷川「和也くんからオーダーされたときに僕がパッと思い浮かんだのは、歌詞の物語に起承転結がしっかりあって、かつ主人公のうつむいた顔が次第に上を向くような展開が望ましいんだろうなと思ったんですよね」
 
――それ、ホワイトボードの前でやってそう(笑)。
 
(一同笑)
 
長谷川「まずは歌詞で現状に満足ができない状態の人に焦点を当ててみたんですよ。ツイキャスとかで配信してても、“自分が嫌いです”っていう話をよく聞くんですけど、僕はそう思ったことが本当になくて(笑)。だからこそ、“もし自分が自分を嫌いならどうするんだろう?”って俯瞰で見るきっかけにもなったので。あと、僕が自分を好きになったきっかけの1つが就活だったんです。自分自身と向き合って、“自分はこんなことができます”ってアピールして、それが認められる=内定ですよね。そういうことをしてるうちにだんだん強くなれた自覚があったので、それをテーマに書けばいいんじゃないかと思って。“自分にもやれることがあったんだ”って気付くきっかけになればいいなと思って曲にしたら、和也先生から“そういうことです”って言ってもらえました(笑)」
 
――ずっと“僕”だった主語が、最終的には“僕ら”に展開していくところもいいよね。
 
長谷川「それこそ入院して、もう自分1人の人生じゃないなって強く感じたので。そういうところも少し自分と重ねてしまう部分はありながら書きましたね」
 
 
僕らがやりたいポップスの方向性にちゃんと移ってきた
 
 
――昨年リリースした会場限定シングル三部作『ガールズルール』(M-4)『Stand by You』(M-10)『Lostman』(M-6)を経て、アルバム用に書き下ろした出発点はどの曲?
 
鳥山「『冒険譚』(M-3)かな? 『冒険譚』と『ガールズルール』は僕が最初にデモを出したので、他の曲とのバランスを考えずに作れたので楽でしたね」
 
――『冒険譚』はアルバムのスパイスになるような曲ですね。
 
長谷川「めっちゃ作るのも早かったです。もう2〜3時間ぐらいで形になって。それを後から改めていじるんですけど、和也先生はドラマストアの砦でありセオリーの人やから、新曲に関してはバチバチになることも多いんですよ」
 
――ドラマストアの世界観を改革していく新曲と、ドラマストアのイメージを守る王道の曲と。
 
長谷川「でも、今回はトリ(=鳥山)の作ってきたフレーズを1回受け入れてみようと思ったらしいんですよ。“俺やったらこんなふうにはしないのにな”と思いながら叩いてみたところ、“あれ? 結構当てはまるな”となって、彼としてもトリに一段ステップアップさせてもらったと。結果、ほとんどいじらずにこういう形に着地したんですよね」
 
――頭ごなしに“ドラマストアはそんなんじゃないから”じゃなくて、1回取り入れてみたら新しい自分の血になり。
 
鳥山「デモを渡す段階で、“自由に変えてもらっていいですよ”とは思ってるので、ちょっと意外でしたけど」
 
長谷川「だから、和也くんもしっかり前に進んでるなぁと思ったんですよね」
 
――『ガールズルール』もそうですけど、ちょくちょく女性目線の曲があるのもちゃんとハマッてて。
 
長谷川「僕は半分ぐらい女性脳なので(笑)。やっぱり歌詞が女性にウケるのはこういう曲で、トリッキーな間奏があったり耳を引く部分が多い曲調もそうですけど、うまくトリの曲に乗っかった歌詞が書けたのかなぁと。この2曲はいいシナジーで作れたんちゃうかな」
 
――今回は『エンドロール』(M-1)と『グッバイ・ヒーロー』(M-9)が再録ですけど、過去曲で幕を開けるのは感慨深いのと同時に、度胸がいるとも言える。
 
長谷川「いやもう、今日は何で和也くんおらんのやろ!?(笑) これも和也くんのアイデアなんですよ」
 
――『エンドロール』の、“描きなよ 好きな未来を/血と汗を絵の具にして”って…当時はむちゃくちゃ熱いことを言ってたんやなぁとも思ったけど(笑)。
 
長谷川「思いました思いました!(笑) 自分でも」
 
――でも、それで然るべきアルバムの幕開けにふさわしい曲で。初期の曲に改めて気付かされることはありました?
 
長谷川「どの曲を再録するかも、それこそホワイトボードに全曲書き出してアンケートを採ったんですよ。結果、この2曲になって、僕と和也くんはもちろん思い入れがあるけど、じゃあトリと悠真はどうなの?って」
 
髙橋「加入後に一番気になってたのは、ドラマストアとしての自分をお客さんはどう受け入れてくれてるのかなということで。それも踏まえて過去の曲と向き合って、メンバーと話して、自分の気持ちも確かめて…そういうふうに取り組めたから、心の整理ができたというか。これから先のことを思っても、ホンマにいい機会だったと思ってます」
 
長谷川「トリなんかは上モノ担当なので、どこまで原曲を引っ張って、どこまで自分らしさを出すのかがすごく難しかったと思うんですよ。めっちゃ考えてたもんな?」
 
鳥山「特に『グッバイ・ヒーロー』はギターリフだったのをピアノリフにして、それをさらにオーケストラ編成にして、使う楽器自体を変えちゃったので、どこまでやっていいのかをずっと考えてました。やっぱりこの2曲に関しては、“聴いてもらった人に受け入れられるのか?”っていう気持ちが強いですね」
 
長谷川「聴き比べたら分かるんですけど、再録前のバージョンはめちゃめちゃバンドサウンドなんですよね。でも今回は、同期の足し方だったりも含めて、今、僕らがやりたいポップスの方向性にちゃんと移ってきたんですよ! 僕と和也くんはそれに結構感動したんですよね」
 
 
僕らの曲作りの基本は、ベタをしつつ、ベタを疑いつつ、なんですよ
 
 
――『グッバイ・ヒーロー』のMVはドラマ仕立てで、今回もとてもいいですね。
 


長谷川「ありがとうございます! ただ、これも脚本が完成する2日前に僕がMVの方向性を変えたんですよ」
 
――前回もそうだったけど、だんだんMVに口出すようになってきてるよね?
 
(一同爆笑)
 
長谷川「近年のドラマとか映画を観てて、“人を死なせて泣かせる話はもういいでしょ”と思ってたので(笑)。だったら、前回『秘密』(’18)でやったみたいな、分かる人には分かって、気付いた人がもしかして…って思う感じこそが僕がオイシイと思うところなので、『秘密』がラブストーリーなら『グッバイ・ヒーロー』はヒューマンドラマにできないかなと。普通に感動する人からしたら、“倒れたおばあちゃんが生きてた、生きてるうちに大事にしなきゃ”で泣ける。でも、気付いた人は、“もしかして…私のことを忘れてる?”って。おばあちゃんの中の私は死んでる=グッバイしてしまってるけど、あなたに育ててもらった記憶は私の中で生きてるから、今度はそれを伝えに行くねっていう覚悟の伝播というか。“あなたから受け取ったもの”に気づいてもらえたら、まさにこの曲の核心に迫るところやなと思ったので、今回も狙いにいかせてもらいました。って僕、めっちゃめちゃ口出してますね!(笑)」
 
(一同笑)
 
――思い出のシーンでは画角がTVサイズになったり、記憶が歪むと画面も歪んだり、ドラマストアの楽曲の映像との親和性の高さを、このMVでは改めて感じましたね。あと、個人的には『Lostman』が一番好きな曲でした。
 
長谷川「うわぁ〜!(拍手) いや、ありがたいです。僕らとしても今回の最大の挑戦だったと思います。音を足すことはいくらでもできますけど、まだライブハウスで主にやってる以上、お客さんに生でどう伝わるのかを考えると、引く作業がやっぱり怖くて。『Lostman』と『きえないまぼろし』(M-7)の2曲は、どこまで狙い通りに音を引けるのかという挑戦だったんです。僕らの曲作りの基本は、ベタをしつつ、ベタを疑いつつ、なんですよ。ベタをやる中で何かフックを仕掛けよう、このフックが自己満足なのか本当に面白いのかを協議しよう、みたいな作り方なんです。『Lostman』って曲を通して特にフックがないように聴こえるんですけど、実は全くコード進行を変えずに、楽器のパワーバランスだけでクレッシェンドを付けて感動ができるのか挑戦してて。ライブでやったときも、お客さんの目がちゃんと違うんですよ。僕らの背中を押してくれた曲だと思いますね」
 
髙橋「部屋を真っ暗にして録ったのが『Lostman』よね? 最初に和也くんが曲に入り込みたいからってレコーディングスタジオの電気を消して。僕は向かいのブースだったので、じゃあ僕も真っ暗にしようかなと同じように電気を消して、お互い目を見合わせながら録ったんですけど、いやホンマにもう…全部出ました(笑)」
 
――視覚を遮られたことで、他の感覚が際立って。
 
鳥山「この曲が一番ダイナミクスがハッキリしてますけど、バランスは考えましたね。一応、エレキギターも入ってるんですけど、フレーズじゃなくてスクラッチから入って、必要なだけ歪ませて。フレーズに聴こえちゃったらそれが耳を引っ張ってしまうから」
 
長谷川「『Lostman』は1年以上前からデモがあったんですけど、このタイミングで“『秘密』三部作”というのを考えて。『ガールズルール』は『秘密』で彼に告白する前の女の子、『Stand by You』はその子とくっついた彼の将来の話、『Lostman』はもう1人の男の子が適わぬ恋をしてしまったその最中の話、っていう時系列で、『秘密』の3人の主人公のそれぞれにフォーカスして書いたんです。あと、和也くんから“最後はできるだけ絶望的な感じがいい”と言われて、ドラマストアっぽい三部作がバッドエンドって面白いなと思って『Lostman』を書いたんですよね。最後の最後に『秘密』を逆再生して終わるという三部作の回収もあって」
 
――いや~もう家内制手工業みたいにドラマストア内で何でも作れる(笑)。
 
(一同爆笑)
 
長谷川「それも入院中に和也くんから、“3作で何か面白いこと考えて”ぐらいの感覚でざっくり振られたんですよ。めちゃめちゃでしょ?(笑) そこで、“ドラマストアで3って何かな?”って考えたとき、『秘密』の主人公は3人いるしそのMVも人気だったから、ドラマのスピンオフみたいな感じで3曲書けないかなと思ったのが発端で」
 
――『Lostman』には“未完成なままの僕でいいなら/どれほどさらけ出せただろう”とあって、『冒険譚』では“さあ行こう この先へ 未完成な僕らの旅へ”と、同じ“未完成の僕”でも肯定的/否定的な捉え方があるのも面白いなと。
 
長谷川「同じように、『イミテーション・ミュージックショー』(M-8)では“楽しければ良くて 楽な道探して 辿り着くユートピア?”って歌ってるのに、『ディストピア』(M-5)っていう曲があったりするところも、ファンの方たちは面白がってくれてましたね」
 
――ドラマストアの曲って1曲1曲が独立してるというよりは、同じ世界観の中に点在してるような感じがするね。
 
長谷川「まさにそれがやりたいんですよね。同じ曲でも人によって全然違う捉え方があって然るべきだと思いますし、実際そういうファンレターとかもいただくので、本当にありがたいですよね」
 
 
今が一番楽しいこの感じが伝われば
 
 
――『きえないまぼろし』もすごく新しい世界観というかね。
 
長谷川「この曲は悠真が苦労してました。弾き過ぎても弾かなくてもダメだし、めっちゃ和也くんに怒られて(笑)」
 
髙橋「この曲はめちゃくちゃ難しかったです。一番葛藤した曲かな。最終的に和也くんが“ブチッ!(怒)”って(笑)」
 
鳥山「アハハハハ!(笑) その代わりと言うか、僕には“ソロええやん”みたいな(笑)」
 
――確かに、この曲の取材メモには“オシャギター”って書いてる(笑)。
 
(一同笑)
 
鳥山「でも、オシャレなのはやっぱりメロディがキャッチーというか、歌謡曲ぐらいの馴染み深さがあるからこそ、いろいろできたのもありますね」
 
長谷川「確かに歌謡曲が好きな人はこの曲がいいって言われる。ライブハウスに初めて来ましたとかいう方は完全にこれですね。あと、昔のファンの方たちにというか、もう会えなくなってしまった、ライブには来なくなってしまったけど、“僕らはずっと君たちのことを思って歌い続けてるよ。だからいつかまた聴いてくれたらいいな”っていう曲を書きたいなと思ってたんですよね。実際には会えてないかもしれないけど、Twitter上では会えたりするみたいなころで、消えないけど幻で、幻だけど消えないみたいな感じのタイトルに落とし込めたらいいなって。全部ひらがなでちょっとやわらかさも出しつつ」

――歌詞で言うと、さっき話に出た三部作の『Stand by You』もすごくいいなと。“正しいことばかり 選べなくなってきた”っていう始まりも、ポップスとして売れていくための葛藤にも通じるし。
 
長谷川「そうなんですよ!!(笑)」
 
――嬉しいことにバンドの規模が大きくなっていくにつれて、マスを狙っていく中で誰もがぶつかる壁というか。
 
長谷川「それこそスピンオフの作品だったので、僕は物語の中で彼を動かしてるつもりだったんですけど、3人のこの曲に対する思い入れが強くて」
 
鳥山「ライブでやるとね、やっぱりすごい感情が入っちゃう」
 
髙橋「何か今までやってきたバンド生活をひっくるめて背負ってるみたいな(笑)」
 
鳥山「しかも(先行リリースされた)シングル三部作のうちの1曲だし、他の曲ではこの路線を避ける必要もあったので、アルバムの中で『Stand by You』が占めるポジションがすごい大きかったんですよ。この曲があったから他の曲で振れ切れたところもあります」

長谷川「一番近いメンバーがそこまで入り込んでくれる曲を書けたのは嬉しいことですよね。サウンド的にも初期の『アポロ』('14)を彷彿とさせると思ってるので、このアルバムに入れられてよかったなって」
 
――“正しさの理由が "らしさ" であるのなら/僕はきっと あってる”というくだりは、すごくいい言葉だなと。聴いたみんなに勇気を与えるというか。
 
長谷川「そういう意味でも、この曲でアルバムが終わった方がいいんじゃないか、みたいな話にもなりましたけど、もう一発最後にドラマストアらしくポップに、今が一番楽しいこの感じが伝わればいいなと思ったんですよね。そのわちゃわちゃの中にも、ちょっと切なかったり、背中を押されたりする部分が見え隠れするような曲を『三月のマーチ』(M-11)では目指しました。一見、華やかでハイスピードな曲に聴こえるけど、三月という季節の出会いと別れみたいなことをテーマにしながら、言ってることは結構女々しかったりするんですよ。僕らがステージの上からみんなを楽しませてるんじゃなくて、ライブハウスにいるみんなの方が僕らより頑張って生きてるかもしれないし、すごい夢があるかもしれない。そんなみんなに僕らも着いていけるように頑張るから、そばにいさせてくれへんかなっていうような寄り添い方を意識してみたんですよね」
 
 
どの場所でもちゃんと届けられるように、1日1日を大事にしたい
 
 
――本当に濃厚な作品になりましたけど、セルフタイトルって作り終えた後に名刺代わりの作品だと感じて名付けることが多いけど、先にセルフタイトルを付けてそこに向かっていくことはあんまりないかも。
 
長谷川「他にもタイトルの候補はあったんですけど、最終的にやっぱりここに着地した理由は、全員が納得して作れたのが一番デカかったですね」
 
――他のインタビューで“ロックは思想でポップスは共有”とも言ってたけど、共有を目指すからこそ失ってしまいがちな“らしさ”もあるから、今後もやりがいのあるチャレンジだなと。
 
長谷川「いや、本当に。これからもそこはちゃんと突き詰めていきたいですね。入退院のときにみんなが支えてくれたのもあって、ドラマストアが本当に大事な場所になったので」
 
――ツアーに関しては、ありがたいことに各地で売り切れてて。ドラマストア、ちょっと売れてきてますやん(笑)。
 
長谷川「いやいやいや、皆さまのおかげでございます(笑)」
 
――和也くんが“このアルバムが売れなかったら辞める”と言ってたけど、とりあえず辞めなくてよさそうね(笑)。
 
(一同爆笑)
 
長谷川「でも、ついに僕らも機材をガチで揃え始めて、機材車も一新して、“急にどうしたん? お前ら全然楽器に興味なかったやん”っていうところから一気に強化された状態なので(笑)、スタジオで音を鳴らしてても気持ちいいんですよ! それをツアー中にどこまでレベルアップできるかは、ホンマに僕らの頑張り次第ですけど、気持ちはいつも最高の状態で挑めると思ってるので。それを楽しみに…って僕らが楽しみですね(笑)」
 
髙橋「ワンマンをはじめ各地でソールドアウトしてる現状が嬉しいし、それだけ今ドラマストアを観たいと思ってくれてる人がいることを踏まえて、どの場所でもちゃんと届けられるように、1日1日を大事にしたいと思ってます」
 
鳥山「素晴らしいアルバムができたので、それをちゃんと伝えるツアーにしたいし、最近は何せバンドが楽しくて…今はすごいエネルギーがあるので、そこにいろんな人を巻き込みたいですね」
 
長谷川「今までは、“各地でちゃんとドラマを作りたいです”みたいなことを言ってきたんですけど、今日改めて向き合って、もうこれ以上ないぐらい話させてもらって(笑)、いいツアーなるのは間違いないと思いました。僕らが楽しませる、エンタテインメントするけど、僕らの曲はみんなが主役でもあるので、みんなからも楽しませてもらいたいと思うんですよ。そういう意味でも、対バンを含めてお互いがお互いのことをしっかり楽しませられる1日1日にしたいですね。でも、このツアーは絶対に序章なので。ちゃんとシーンにも一石を投じられるアルバムを作れたと思うし、この波を逃さず、みんなでもっと遠くまで行きたいなと思ってます!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2019年6月18日更新)


Check

Movie

メンバーはホントは4人です(笑)
ドラマストアからの動画コメント!

Release

シングル三部作に過去の代表曲も再録
これぞドラマストアな初アルバム!

Album
『DRAMA STORE』
発売中 3000円
Ladder Records
LADR-022

<収録曲>
01. エンドロール
02. 世界はまだ僕を知らない
03. 冒険譚
04. ガールズルール
05. ディストピア
06. Lostman
07. きえないまぼろし
08. イミテーション・ミュージックショー
09. グッバイ・ヒーロー
10. Stand by You
11. 三月のマーチ

Profile

ドラマストア…写真左より、髙橋悠真(b)、長谷川海(vo&g)、松本和也(ds)、鳥山昂(g&key)。'14年9月に大阪で結成、12月に会場限定EP『APOLLO』をリリースし本格始動。精力的なライブ活動を展開し、全国の名だたるライブサーキットイベントにも多数出演。’15年9月、ミニアルバム『午前0時の太陽』をリリース(現在は廃盤)。'16年3月にはタワーレコード内の新レーベル、myh records第一弾アーティストとして、ミニアルバム『Daylight』をリリース(タワーレコード限定発売)。同12月、自身初となるワンマンライブを地元大阪2nd LINEにて開催しソールドアウトに。この日をもって初期メンバーのギタリストが脱退。'17年1月には会場限定EP『UNCYCLE』を、4月にはミニアルバム『白紙台本』をリリース。リード曲『至上の空論』が話題となり('19年6月現在、MV再生回数170万回突破)、全国16ヵ所17公演のツアーを敢行。5月に開催した主催フェス『DRAMA FESTA 2017 in TOKYO』より鳥山が正式加入、翌6月には初期メンバーのベーシストが脱退。9月には初のアコースティックワンマンライブを東名阪にて行い、各会場即日ソールドアウト。10月には1stシングル『ラストダイアリー』をリリースし、レコ発ツアーも全国12ヵ所にて敢行。’18年5月には、ミニアルバム『swallowtail』をリリース。リード曲の『秘密』がUSENインディーズチャートにて2週連続1位獲得やラジオ各局のパワープレイなどで全国での認知度が徐々に高まる。同作に伴う『僕しか知らない秘密のネタバラシツアー』を過去最大規模の全国17ヵ所にて敢行。初日には髙橋が正式加入し、初の東京ワンマンとなったツアーファイナルのTSUTAYA O-Crestは先行発売のみでソールドアウト。ツアーも過去最大の動員となった。9月より3ヵ月連続で会場限定シングル『ガールズルール』『Stand by You』『Lostman』をリリースし、瞬く間に売り切る。12月には、結成4周年のアニバーサリーツアーを東名広はアコースティック編成で、大阪はバンド編成で、現メンバーでの初ワンマンとして、ゆかりの地であるLIVE SQUARE 2nd LINEにて開催。全公演がソールドアウトに。’19年4月20日には初のフルアルバム『DRAMA STORE』をリリース。現在はレコ発ツアー『ドラマチック・ミュージックショー』を全国14ヵ所にて開催中。“君を主人公にする音楽”をコンセプトとした、関西発・正統派ポップバンド。

ドラマストア オフィシャルサイト
http://dramastoreonline.com/

Live

いよいよツアーも終盤へ!
その後も関西で続々イベント出演

 
『ドラマストア 1st Full Album
「DRAMA STORE」リリースツアー
「ドラマチック・ミュージックショー」』

【新潟公演】
▼4月27日(土)新潟CLUB RIVERST
[ゲスト]the quiet room/ The Floor
【兵庫公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月28日(日)神戸 太陽と虎
[ゲスト]alcott
【岡山公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月6日(月・祝)CRAZYMAMA 2nd Room
[ゲスト]CRAZY VOCKA TONIC
【宮城公演】
▼5月12日(日)仙台MACANA
[ゲスト]the quiet room / MINT mate box
【埼玉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月17日(金)LIVE HOUSE Hearts
[ゲスト]リアクション ザ ブッタ
【神奈川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月18日(土)BAYSIS
[ゲスト]藍坊主
【北海道公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月26日(日)COLONY
[ゲスト]Mr.Nuts
【香川公演】
▼6月1日(土)DIME
[ゲスト]LOCAL CONNECT/ アイビーカラー
【広島公演】
▼6月9日(日)セカンド・クラッチ
[ゲスト]Brian the Sun

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼6月21日(金)19:30
心斎橋JANUS
オールスタンディング3300円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
 未就学児童は入場不可。

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月23日(日)アポロベイス
【福岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月27日(木)福岡Queblick
[ゲスト]アンテナ/Half time Old
【山口公演】
▼6月28日(金)周南LIVE rise
[ゲスト]アンテナ/Half time Old
【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月7日(日)Shibuya WWW


【大阪公演】
『LIVE DREAM vol.2』
チケット発売中 Pコード154-221
▼7月29日(月)18:00
YES THEATER
自由席2500円
[出演]ドラマストア/Brian the Sun/
ヤングオオハラ
[オープニングアクト]あり
LIVE SQUARE 2nd LINE■06(6453)1985
※未就学児童は無料。公演当日、学生の方は学生証を提示で1000円返金。

チケット情報はこちら


【大阪公演】
『KANSAI LOVERS 2019』
一般発売7月28日(日)
Pコード155-139
▼9月21日(土)・22日(日)11:30
大阪城音楽堂
前売り2000円
[出演]UNCHAIN/WOMCADOLE/超能力戦士ドリアン/ドラマストア/FIVE NEW OLD/LEGO BIG MORL/Saucy Dog/SHE'S/ハンブレッダーズ/ラックライフ/他
HEADLINE■06(6886)1390
※日割りは後日発表。
※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料、未就学児童は保護者同伴に限り無料。未就学児童のみでの入場不可。

チケット情報はこちら

 

Column

「紆余曲折あったこと
 挫折したことが
 このバンドをより強くした」
シーンに消費される音楽ではなく
流行りに迎合する歌でもなく
ドラマストアが目指す
“僕らのポップス”とは――?
『swallowtail』を語る('18)

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「(長谷川)海くん曰く、“彼は全キャンペーンの中でも今日をすごく楽しみにしてたのに…僕の後ろに(松本)和也くんの魂を感じてください(笑)”というリーダー不在の状態で行われた今回の取材(※理由は動画コメントをチェック!)。そう思ってくれることをとても嬉しく感じつつ、この日は3人が彼の分もしっかりカバー。前回『swallowtail』で僕を本気にさせた素晴らしいソングライティングは今回の『DRAMA STORE』でも冴えわたり、もはやその打率には安心感すら漂います。リード曲の『グッバイ・ヒーロー』のMVがまたよくて、海くんの多岐にわたるアイデアにも改めて感心しましたね。とは言え、トリ(=鳥山)くんがTwitterで嘆いてたりと(笑)、いろいろ大変なこともあった模様。そのときも彼にリプライを送りましたが、“全員に好かれることは絶対にないので、嫌いなヤツに好かれようとするより、ありのままに限りなく近い自分を理解してくれる人と出会うことに、自分の時間と才能を使った方がいいよ”と。それでも大きな渦を生み出す可能性が、今のドラマストアにはあります。彼らは度重なるメンバーの脱退や離脱を経験しているのもあり、“離れたお客さんに戻ってきてほしい”みたいなことをよく言いますが、それを上回るスピードで多くの人々がドラマストアの魅力に気づき始めています。もう時間の問題かもしれません。今のうちにぜひチェックしておいてください!」