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「ロックにしかない熱に取り憑かれちゃったのかもしれない」
INORANが自らを果敢に再構築したセルフカバーベスト
『INTENSE / MELLOW』座談会 with 空中ループ、uchuu,!
LUNA SEAからソロ20周年までを語るインタビュー&動画コメント

 LUNA SEAのメンバーとして、いちアーティストとして、多くのミュージシャンに影響を与えてきたINORANが、今年ソロ活動20周年を迎えた。そこで、この節目に、LUNA SEA、そしてINORANに多大なる影響を受けたという京都発の音響ギターポップバンド、空中ループの松井省悟(vo&g)と和田直樹(g)、大阪を拠点に活動するダンスロックバンドuchuu,からK(vo&g&prog)と関西きってのフォロワーを招聘。憧れの人の顔をあまり見られないほどロックキッズに戻った3人とともに(笑)、ソロ20周年やセルフカバー・ベストアルバム『INTENSE / MELLOW』について語り合う、ここだけのスペシャル座談会を実施! 対談の最後には、アーティストとしてのお悩み相談も飛び出した!?

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“SUGIZOのところに行って”って言ってます(笑)
 
 
――今回は通常のインタビューとは趣向を変えて、LUNA SEA、そしてINORANさんが大好きだという空中ループの松井さんと和田さん、uchuu,のKさんに来ていただきました。空中ループのお2人とのそもそもの接点は?
 
松井「FM802でRYUICHI(vo・LUNA SEA)さんの番組に出させてもらって、そのつながりから…」
 
和田「INORANさんがソロを始められた’97年は中学生やったんですけど、そのときから僕らはずっと一緒にバンドをやっていて。2人で1stアルバムの『想』(‘97)を買いに行って、20年後の今日、取材前に2人で『INTENSE / MELLOW』を買いに行って、本人にお会いできるなんて…」
 
K「僕は初めましてなんですけど、中学のときに初めてINORANさんの音楽に出会ってから、もうずっと大好きで」
 
――INORANさんは、実際こういうふうに“憧れてバンドを始めました”みたいに言われることは多いと思いますが。
 
INORAN「ありがたいことに多いですし、ジャンル関係なく言われますね。でも、言われて嬉しいですけど、恥ずかしいというか…“ギタリスト会”とかでもそう言われることはあるんですけど、そのときはいつも、“SUGIZO(g・LUNA SEA)のところに行って”って言ってます(笑)。そっちの方がためになる話をいっぱいしてくれると思うので。僕って、ギタリストでも特殊じゃないですか? ソロも弾かないし、感覚でやってるのもあるし、特に言ってあげられることがないんですよ。機材の話をするのもあまり好きじゃなくて。教えたくないとかじゃないんだけど、感覚で使ってるから、ちゃんと説明ができない(笑)。だから、“SUGIZOのところに行って”っていう(笑)」
 
――なるほど(笑)。皆さんから見た、INORANさんの魅力ってどこに感じられています?
 
K「人柄がギターに出ているのが僕はすごい好きで」
 
和田「コード一発の説得力があるというか…プレイに無駄がなくて、そのコード一発で全部伝わってくる。そこにすごく感動しました」
 
松井「フレーズも最小限で最大限の効果を引き出していて、そういうところにすごく影響を受けました」
 
――実際に空中ループの音には反映されていたりするんですか?
 
松井「めっちゃ。大丈夫かなっていうくらい(笑)」
 
INORAN「過大評価し過ぎ!(笑) まぁでも、LUNA SEAっていうバンドは自分がやってるからというわけじゃなくて、すごくいいバンドだから、そう言ってくれるのは嬉しいですね」

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僕も浮き沈みはしたし、カッコ悪い言い方ですけど、落ちることも経験した
それでも何にこだわるかっていうことですよね
 
 
――このように下の世代のミュージシャンにも影響を与えてきてたINORANさんですが、今年ソロ活動20周年を迎えられました。この20年はどういうものでした?
 
INORAN「本当にあっという間でしたね。自分としてはソロもそうだし、FAKE?、Tourbillon、Muddy Apesとか違うプロジェクトもいっぱいやってきて入り組んでいるので、どこが節目っていうのはないんです。気が付いたら、ソロでもオリジナルアルバムを11枚出していたし、っていう感じで」
 
――激動の音楽シーンでソロでも20年続けられていますが、何か秘訣みたいなものはありますか?
 
INORAN「ただ純粋に“音楽が好きか嫌いか”なだけですよ。僕も浮き沈みはしたし、カッコ悪い言い方ですけど、落ちることも経験した。それでも何にこだわるかっていうことですよね。ソロとは言いながらも、いろいろやってますし、音楽が好きだから作ってるだけで。今となっては責任感はありますけどね。メンバー、スタッフ、それにファンの人がいて、プロジェクトによってレーベルも違うしね。それもひっくるめて、それぞれのファミリーじゃないですか。それがあるのに、“やーめた!”っていうことはできないんですよ。ただ、好き嫌いで嫌いが上回ったら辞めますけどね。嘘はつきたくないから」
 
――音楽をずっと好きでいることと、いろいろとプロジェクトがある中で表現が尽きないのがすごいと思います。
 
INORAN「それは最近よく言われます。全然尽きないですね」
 
松井「多忙な中で、どんなふうに曲作りをしてはるのか、すごい気になります」
 
INORAN「多忙って言ってもそうでもないですよ、夜は必ず呑んでますから(笑)。スタッフの方が大変だと思います。スケジュールも分単位とかじゃないのでまだまだいけますよ、曲作りも、遊びも、仕事も。あとは、ソロとかLUNA SEAとか、全部のバンドで出しているアルバムを数えたら23枚以上とかあったんですよ。それを1つのバンドでやってたら無理かもしれない。いろいろとやってるデメリットもあるかもしれないけど、メリットだけしか見てないし、刺激もあって、他のバンドでやったことを別のプロジェクトに活かせるのが僕の強みかも。それが、アイディアが枯れない理由かもしれない」
 
松井「アイディアが出てきた後に、これは自分の作品かな、LUNA SEAの作品かなとか、色分けてるんですか?」
 
INORAN「何となくはあるけど、テレコにしちゃったりする場合もありますね」
 
松井「“このバンドのために”っていうふうに、曲は作られないんですか?」
 
INORAN「そういうときもあるけど、ほぼ自分の好きなようにやってるつもりです。さっきのギタープレイの話もそうなんですけど、あまり計算してやってるタイプではないので」
 
K「自分はアコースティックギターで曲を書くんですけど、曲はギターから作られるんですか?」
 
INORAN「最近は、歌詞以外は全部頭の中でできちゃうんですよ。メロディが浮かんだらギターがもう鳴っていて、ベースもドラムもあるんですよ。だから頭にUSBがあったらすごい楽なんですけどね(笑)。でも、それをデモテープにする間に変わっていくのがまたいいんですよね。最初から打ち込むと変わらないけど、ちょっとした脳の記憶の曖昧さで変化していくみたいな。あとは、だいたい曲のムードから決めちゃいますね」

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いっそのこと思い切りブッ壊した方が
別の曲になるくらいやった方がいいんじゃねーの?って
 
 
――『INTENSE / MELLOW』の話も聞かせてください。今作はベストではありますが、セルフカバーにしたのは?
 
INORAN「アニバーサリーイヤーなので、まずはやっぱりライブがやりたいなって。そこで、“昔のアレンジのままじゃなくて、今のバンドサウンドでやったらどうなるんだろう?”って思ったのが始まりですね。どの曲をやるかスタッフに聞いたり、アンケートを取ったりしていった結果、各アルバムにつき1曲にしたら、“このアルバムの曲が入ってない”っていうことがないし、各アルバムに感謝できるし、っていうことでセレクトしたのが今回の収録曲ですね。ニューアレンジにしたのは、リマスタリングとかボーカルリテイクとか中途半端なことをすると、原曲を好きでいてくれる人に失礼かなと思って。だったら、いっそのこと思い切りブッ壊した方が、別の曲になるくらい徹底的にやった方がいいんじゃねーの?って」
 
――新しいアレンジには、本当に驚かされました。
 
INORAN「でしょ? すっげー楽しかったもん(笑)」
 
――皆さんもそうだと思いますが、一番驚いた曲はありました?
 
松井&和田「『Spirit』(DISC1:M-2)です」
 
松井「すごく好きな曲だったのでビックリしました。今のバンドメンバーでできることってこういうことか!って」
 
K「僕は『千年花』(DISC1:M-3)が好きで、もう聴かない月はないくらいずっと聴いてきた曲なので、今の空気感というか、今のINORANさんのサウンドで聴けたのがすごく嬉しかったですね」
 
和田「全体的にアレンジがめっちゃ変わっていて、すごくカッコいいなって思いました。僕はNO NAME?(ファンクラブ)にも入って、めちゃくちゃファンなんですけど、いろんな時代のアルバムの曲が入ってるので、当時の私生活を思い出したり、自分の人生を振り返りましたね」
 
松井「僕は『人魚』(DISC2:M-6)に思い入れがあって。高校の修学旅行のときにずっと部屋で聴いてたんで」
 
INORAN「暗っ!(笑)」
 
松井「『人魚』にすごく救われた思い出があったんですよ。今回はINORANさんが歌ってはるじゃないですか?(※当時はRi-aという女性ボーカルが歌唱) それで歌詞が改めて違う響き方をしていたというか、グッと入ってきて。高校の頃はムードとか、全体的な雰囲気に浸って自我の中にこもっていく、みたいなふうに聴いてたんですけど、今聴くと勇気付けられる歌詞だったことを、改めて発見できました」
 
INORAN「歌って時代によって変わるから素敵ですよね。'97年はまだインターネットがそんなに普及してなかったし、時代によってまた全然違う彩りになるというか」
 
松井「歌詞にある“電子の海彷徨い”とか、もう最近書かれたみたいで」
 
INORAN「今の時代はみんな電子の海をさまよってるもんね(笑)」
 
――特にDISC1の『INTENSE』の曲たちは、原曲と真逆と言ってもいいくらいのアレンジになりましたよね。
 
INORAN「そうですね。今、皆さんが言ってくださったような想いがあるから、やっぱり中途半端なアレンジをするとよくないなって。DISC2の『MELLOW』はライブでやってる曲が多いんです。特にアコースティック・バージョンはファンクラブ・イベントではよくやってたので。あと、『INTENSE』はちゃんとデモテープを作ったんですけど、『MELLOW』は録りながら作ったので、スタッフの方も最終的にどうなるのかさっぱり分からなかったと思います。“マラカス買ってきて”とか、“カホーン貸して”とか、そのとき思い立った感じでやったので(笑)」

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ファンだったり支えてくれる人のためにも、前に進まなきゃ
 
 
――今回のアルバムをきっかけに原曲を聴き直すと、新しい発見があるかもしれませんね。
 
和田「僕はエンジニアの比留間整さんをすごく尊敬しているんですけど、その比留間さんがこれまでに録ってきたINORANさんの音とも、今回は全然違うんだなって。すごくいい音だなって思いました。マニアックですけど」
 
――エンジニアでもある和田さんならではですね。ちなみに、Kさんもエンジニアリングまで手掛けていると。
 
K「僕も自分でレコーディングとミックスもしてるんですよ。INORANさんの音って惹き込まれるサウンドだなってずっと思ってたんですけど、元々のすごくウェットなイメージからドライになったというか、明るくオープンになったというか。だから、背中を押されるような、勇気付けられるような、そういう印象を新たに感じましたね」
 
松井「ホンマに。それはすごく感じました」
 
INORAN「そうなったのは、ファンだったり支えてくれる人が増えたっていうことですよね。そういう人たちのためにも、前に進まなきゃっていう気持ちが強くはなったよね」
 
――INORANさん自身は昔の曲を聴いて何か思うことはあります?
 
INORAN「よくこんなことを思い付いたなって。歌詞の言い回しにしても、アレンジにしても、“何でこんなこと思い付いたんだろ? すげーな”って思うときがある(笑)。あと、昔よく言われたのが『想』とか『Fragment』(‘01)は運転してるときに聴いたら寝ちゃうからダメだよって(笑)。でも、最近のアルバムでも、自分で聴いてて寝ちゃうんだよ(笑)。何かそういう成分が出てるのかもしれない(笑)」

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やっぱり熱が欲しいので。それはライブでしか得られない
 
 
――今作には新曲『Ride the Rhythm』(DISC1:M-1)、『Shine for me tonight』(DISC2:M-1)も入っていて。
 
INORAN「今回は過去と未来をつないだ作品なので、未来の要素の1つがニューソングっていう。ただ、あまり遠い未来を見ていても変わっちゃうし、この世界も何があるか分からないから、目の前のものを見ないとね。今は強く思うこと、生きることがすごく大事。それに足りないものを足していくっていう感じかな、ミュージシャンとしても」
 
――今、具体的にプラスしたいものはありますか?
 
INORAN「ライブの本数を増やしたい(笑)。物理的には無理ですけど(笑)」
 
――ライブをこれだけずっとやってきても、やっぱり飽きないものなんですね。
 
INORAN「やっぱり熱が欲しいので。それはライブでしか得られない。人が1つになることっていっぱいあると思うんですよ。スポーツだったり、エンタテインメントもそうだし。その中でもライブというか、ロックにしかない熱があるので、それに取り憑かれちゃったのかもしれないですね。あと、これは悲観的とかネガティブな話じゃないですけど、例えば、LUNA SEAのドームツアーをやっていたとき、真矢(ds・LUNA SEA)のドラムソロを当たり前のようにステージ袖で見ているわけですよ。でも、これって当たり前のことじゃないんですよ。不吉なことを言っちゃうと、メンバーの誰かがいなくなっちゃったらこれは成立しない。それは明日かもしれないし、今日かもしれない。だから、この一瞬に生きていかなきゃいけない。やりたいことは今やっておかなきゃいけない。今を逃しちゃいけないんですよ。これは僕が年齢を重ねてきたのもあるかもしれないですね」

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基本的には“この人と音楽をやりたいな”っていうところから始まってる
 
 
――皆さんからINORANさんに何か他に質問はありますか?
 
和田「INORANさんは男でも惚れるくらいカッコいい方なんですけど…」
 
INORAN「SUGIZOのところに行って(笑)」
 
和田「(笑)。その若さやスタンスを維持する秘訣はなんですか?」
 
INORAN「ちょっと浮き足立ってもいいから言っちゃうんですよ。“楽しいよー”とか。言霊だから。あとは、言ったら責任を取らなきゃいけないから。言っちゃうことで自分を追い詰めるのもあるし。まぁ僕も普段からずっとこんな感じじゃなくて、ネガティブなときはめっちゃネガティブだけど。そうやって、自分に刺激を与えることかな」
 
K「音楽をたくさん聴かれるのは僕も一緒なんですけど、音楽以外のことから刺激を受けて、それを音楽にしようっていうことはあるんですか?」
 
INORAN「音楽以外だと、人と話したりとか呑んだり、ご飯を食べたりとかすることかな」
 
K「そこから“こういう曲を書きたい”っていうイメージが沸くんですか?」
 
INORAN「直にはいかないけどね。何だろう…? 音楽に癒されたり、気持ちを上げてもらうよりも、人とうまくいかなかったときや、もしくはうまくいったときの、気持ちの落ち方とか上がり方ってすごいじゃないですか? それを曲を作るときも持っていたいなって。そこはすごく大事にしてる。あと、細かいところはどうでもよくはないんだけど、細かいことだけに固執しちゃダメというか。音は本当に楽しむものだと思ってるから」
 
松井「自分は今年アルゼンチンでライブをして。英語と日本語半々くらいで歌ったんですけど、現地の人にもっと伝わる曲を作りたいなと思って、帰ってから英語の歌詞に挑戦し始めてるんですけど、INORANさんは英詞と日本詞をどうやって使い分けてるんですか?」
 
INORAN「メロディがどっちに合うか、合わないかです。ただ、英語の方が合うメロディが多いというか…それはKEN LLOYDとFAKE?をやっていたときに自分が感じたことなので。その間をいってるのが、MAESON(Muddy Apes / 8otto)で。日本語と英語のどっちも合うっていうミラクルな男です。だから、MAESONとの出会いで、僕のその考え方は違うかもしれないなって思っちゃったけど(笑)」
 
――INORANさんはそれこそMuddy Apesだったり、FAKE?だったり、Tourbillonだったり、どのプロジェクトにもフィットして自分の色を作れるのが特殊だなと。
 
INORAN「何でしょうね…? みんなと戦うこともできるし、信頼もしてるから合わせてるところもあるかもしれないけど、基本的には“この人と音楽をやりたいな”っていうところから始まってるので、楽しいんでしょうね。ごめんね、エフェクターの話じゃなくて(笑)」
 
和田「以前、LUNA SEAのテックの方に、“あの時代のあの音は…”みたいにめちゃくちゃ聞いちゃいました(笑)」
 
INORAN「すごいなぁ(笑)。僕は“この曲、カッコいいですね”とは言えるけど、恐れ多くて音のことは聞けないな。例えば、ツールとかテクニックよりも、カート・コバーンやボブ・マーリーとか、スピリットのあるミュージシャンを1回追いかけてみると変わると思うよ。最後は“愛”にいくから。あとは…SUGIZOに聞いてください。3回言っちゃった(笑)。これ、あと1回は使えるな(笑)」
 
(一同爆笑)

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売れるか、売れないかじゃなくて、待っている人たちに届けなきゃ
 
 
――今回は座談会形式のインタビューでしたが、いかがでした?
 
INORAN「同じフィールドにいるので、一緒に音を出せる機会があったらぜひ。それを楽しみにしていたいしね。僕もそうだけど、皆さん作る人じゃないですか。本気でやらないと…っていうか、やりましょう。作る方が本気でやらないからCDが売れないだけで。それはミュージシャンだけじゃないけどね。売れないんじゃなくて、売る気がないんだって…って、何かクソ生意気ですけど(笑)」
 
松井&和田&K「いや、響きました!」
 
INORAN「本気以上じゃないと本気の人には勝てないから。ミュージシャンとして、いい人生だったなって思えるようにしたいじゃないですか? 1人でも多くの人に笑ってもらって、幸せになってもらえるように、真摯に作ろうと思うだけでも曲が変わると思うし」
 
――作ると言えば、空中ループは現在久々のアルバムを制作中なんですよね?
 
松井「はい。正直に言うと…自分たちのライブイベントで新曲を出したりはしてるんですけど、僕らは’12年からCDをリリースしてなくて。CDが売れなくなってきてるっていうのもあるんですけど、自分たちですごい悩んでドツボにハマってしまって…。だから、“ミュージシャンの方が本気で売ろうとしてないだけ”ってINORANさんが今おっしゃったことが、すごい響きました。僕らもこの5年間は実際そうでしたし、薄々勘付き始めたタイミングで、四の五の言わずに進めようとしていたところなので」
 
INORAN「うーん、“売れる”って…って何かお悩み相談室みたいになってきたけど(笑)。CDが売れるか、売れないかじゃなくて、待っている人たちに届けなきゃ。それが先だよ、やっぱり。例えファンが1人でも待ってくれてるならね。だからすぐに出して!」
 
松井「ハイ! すぐに出します!」
 
K「僕もマインドは受け取れた気がします。さっき“いつ人がいなくなるか”っていう話がありましたけど、自分も最近先輩が他界したり、大好きなアーティストが亡くなったりしたんです。その人たちがきっとやりたかったこと、やろうとしたことを受け取って、ポジティブな形で自分たちが受け継いでいきたいなと思って、新譜の『KEEP ON』を作ったので。自分の中ですごく納得できました」
 
INORAN「ミュージシャンとして、人間としても、いろいろあって生かされてるんだから、そういう人たちのためにも生きないとね。こうやって言って、自分を奮い立たせて逃げられないようにしてるから、イヤな大人ですよ(笑)」
 
――話は尽きませんが、これにて座談会は終了と。本日はありがとうございました!
 
全員「ありがとうございました!」
 
 
Text by 金子裕希
Photo by 宮家秀明(フレイム36)

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(2017年9月13日更新)


Check

Movie Comment

アルバム解説&ライブへ意気込む!
INORANからの動画コメントはコチラ

Release

20周年に現在の解釈で代表曲を再録
2枚組セルフカバーベストアルバム

Self-Cover Best Album
『INTENSE / MELLOW』
【初回限定盤】
発売中 9074円(税別)
キングレコード
KICS-93516/7
※2CD+DVD+52P写真集
 スペシャルパッケージ仕様 

<DISC1:INTENSE SIDE 収録曲>
01. Ride the Rhythm(新曲)
02. Spirit
03. 千年花
04. Daylight
05. Determine
06. raize

<DISC2:MELLOW SIDE 収録曲>
01. Shine for me tonight(新曲)
02. Your Light Is Blinding
03. no options
04. Sakura
05. Beautiful Now
06. 人魚
07. Thank you

<DVD収録内容>
『Ride the Rhythm』
『Shine for me tonight』
Music Video収録

【通常盤】
発売中 3241円(税別)
キングレコード
KICS-3516/7

<収録曲>
同上

Profile

イノラン…’92年にLUNA SEAのギタリストとしてメジャーデビュー。LUNA SEAでの活動のほか、ソロ、FAKE?(‘05年に脱退)やMuddy Apes、Tourbillonなど、様々な音楽活動を精力的に展開している。その中で’97年にリリースした1stアルバム『想』よりスタートさせたソロ活動が、今年20周年を迎えた。これを記念して8月23日には、これまでのアルバム群から自身がセレクトした11曲に新曲2曲を加えたセルフカバー・ベストアルバム『INTENSE / MELLOW』をリリース。現在は、同作に伴う全国ツアー『SOLO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2017 - INTENSE / MELLOW-』を開催中。

INORAN オフィシャルサイト
http://inoran.org/

くうちゅうループ…写真左より、森勇太(b)、松井省悟(vo&g)、さとうかおり(ds)、和田直樹(g)。京都発信、音響ギターポップバンド。のびやかで心地よいメロディ、独自の浮遊感と躍動するリズム、儚くも確かに心を灯す詞が絶妙に重なり合う唯一無二の音世界を展開。’12年には、24分を超える長編大作『その光-for a long time-』と、同タイトルの映画作品を発表。ハンブルグ映画祭で上映される等、話題を呼ぶ。’13年、配信限定シングル『BIRTHDAY』をリリース。’14年より、海辺のクラシックホール、プラネタリウム、老舗キャバレー跡、石炭倉庫跡、能楽堂など、特別な空間で行われるコンサートシリーズ『LOOP ECHO』を主催。“世界中の空気を一変させる音楽”を作り出すべく、日々を邁進中。男性メンバー3人がLUNA SEAの熱狂的なSLAVEであり、関西の街中ロックフェス『見放題』の打ち上げにて披露したLUNA SEAの完コピライブは、日中の自身の出演以上に盛り上がるという逸話を持つ。

空中ループ オフィシャルサイト
http://www.kuuchuuloop.net/

ウチュウ…写真左より、Hiroshi(Sequence& perc)、Airi(ds)、K(vo&g&prog)、Sujin(b)。大阪を拠点に活動し、ダイナミズム&エモーションを備えたロックミュージックをベースに、ダンスミュージックの本質を解き、身体揺さぶるグルーヴ感溢れるサウンドで注目を集める。『Weltraum;Gate』(‘13)『HAPPY』(‘14)『HELLO,HELLO,HELLO,』(‘15)と3枚のミニアルバムをリリース後、『overflow』(‘15)『Yellow』(‘16)『SI(G)N SEKAI』(‘16)のデジタルシングル三部作を発表。CG合成一切なしの3Dホログラムを使用したMVが話題に。’16年6月にはレコーディングからミックスまでをKとSujinが手掛けた1stフルアルバム『+1』を、今年9月6日には最新作となる1st E.P.『KEEP ON』をリリースした。バンド名の由来は、u=YOU=君、chu=Onomatopoeic of Kiss=キス、u=YOU=君、,=Punctuation mark=まだ続く、永久調和の一瞬、を組み合わせた造語。君が君にキスをする=自尊心の表れと、自分を大切にして欲しいという意味。満ち足りた世界で何を生き甲斐に生きていくのか、現代を生きる全ての人への投げかけ、自分自身への永久的な問い、という想いが込められている。KはLUNA SEAから多大なる影響を受けたと公言する関西きってのフォロワーの1人。

uchuu, オフィシャルサイト
http://uchuu-sound.com/


Live

リリースツアーも中盤戦!
いよいよ関西シリーズで京都&大阪へ

 
『SOLO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2017
-INTENSE / MELLOW-』

【長野公演】
▼9月1日(金)長野CLUB JUNK BOX
【新潟公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月2日(土)GOLDEN PIGS RED STAGE
【広島公演】
▼9月7日(木)セカンド・クラッチ
【福岡公演】
▼9月8日(金)DRUM Be-1
【熊本公演】
▼9月10日(日)熊本B.9 V1
【香川公演】
▼9月12日(火)DIME

Pick Up!!

【京都/大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼9月14日(木)19:00
磔磔
チケット発売中 Pコード336-992
▼9月16日(土)18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング5800円
ソーゴー大阪■06(6344)3326
※3歳以上は有料。公演当日、学生の方は学生証提示で1000円返金。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【愛知公演】
▼9月18日(月・祝)
エレクトリック・レディ・ランド
【北海道公演】
▼9月21日(木)cube garden
【岩手公演】
▼9月23日(土・祝)club change WAVE
【宮城公演】
▼9月24日(日)仙台 darwin
【東京公演】
▼9月29日(金)STUDIO COAST

Column1

LUNA SEAの25周年を経て
たどり着いたINORANの
消えない情熱と素晴らしき今
=『BEAUTIFUL NOW』!
恩人hideの『ピンク スパイダー』
カバーも収録した熱き新作を語る

Column2

盟友FEEDERのTAKA(b)を迎えた
10年ぶりのシングル
『Hide and Seek』も絶好調!
LUNA SEAとして、ソロとして
活躍を続けるINORANが語った
'11年の撮り下ろしインタビュー

Comment!!

ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!

「プロモーターさんとのやりとり中でふいに出たアイディアがついに実現。INORANさんを囲んだ座談会形式でのインタビューとなった今回ですが、30代のアーティストは特になんですけど、面白い音楽やってるな~って思ったら、LUNA SEAの影響下にいるアーティストが結構多いんですよね。しかもアウトプット=音楽性はバラバラ。そこにLUNA SEAの奥深さというか、全方位のルーツと成り得る偉大さを感じます。空中ループの男性陣とuchuu,のKくんはまさにSLAVE(笑)。彼らがやってる音楽はまんまではないんですが、インタビュー中の発言にもあるように、そのDNAはフレーズや音色に潜んでいます。そして、今でも憧れ続けられるミュージシャンであり大人の男であるINORANさん。今回もカッコよかったな~。そら男でも惚れるわ(笑)。3人は笑えるぐらいあからさまに緊張してました。INORANさんの載っている過去の音楽雑誌とかCDもめっちゃ持ってきてたのに出せずじまいですから(笑)。30代の男どもをそんなキッズに戻らせるINORANさんの音楽と、金言連発のお言葉に、またもシビれまくった座談会でした」


Music Video

『INTENSE / MELLOW』各サイドの
 静と動の新曲MVもチェック!

 
Ride the Rhythm


Shine for me tonight