常識で捉えられない物事に出会ったとき、“想像の斜め上を行く”的な表現をよく見聞きするけれど、モーモールルギャバンの場合、斜め上どころか全人類もれなく誰の想像も及ばない天上までぶっ飛んでいる。プログレッシブロックもニューウェーヴも、湊かなえ(インタビュー本文参照)も、吸収したもの全てを美メロと繊細な歌詞表現に変換してしまうゲイリー・ビッチェ(ds&vo)のスキルが、新作『ヤンキーとKISS』では容赦なく炸裂。中でも、“大人になると人は弱くなる”などのキラーフレーズを散りばめ、“十代なんて不自由さ 二十代なんて不安だらけさ”と歌い、“三十代の今が全てさ”と言い切る『ガラスの三十代』は、さまよえる大人たちに捧げる屈指のレベルソングだ。また、真っ向勝負なタイトルを冠した『ロックミュージック』では“My Life 難航中”と繰り返しながらも、“素晴らしき俺たちは阿保みたいに不細工に転んでも立つ”と悩める全人類の先を行く力強い背中を見せ、最後にひと言、“悲しみの荒野を進めますように”と気弱な素顔を瞬間的に見せてしまうところが、何ともチャーミング。泣いて、笑って、踊るしかないアルバム発売記念ツアーのファイナルは7月23日(日)、彼らの結成の地である京都にて。ゲイリー・ビッチェ、ユコ=カティ(key&vo)、T-マルガリータ(b)のメンバー全員による、涙で前が見えない抱腹絶倒のインタビュー!
<DVD収録内容> ・さらば人類/Dr.PANTY/ガラスの三十代 Music Video ・特典映像『ガラスの三十代』 Music Video Making
【通常盤】 発売中 2800円(税別) キングレコード KICS-3492
<収録曲> 同上
Profile
モーモールルギャバン…写真左より、T-マルガリータ(b)、ゲイリー・ビッチェ(ds&vo)、ユコ=カティ(key&vo)。’05年にゲイリーが半ば強引に友人を説得して活動開始。ギターを含む5人編成だったが(当時ゲイリーはvo&g)、ドラムとギターの脱退を受けゲイリーがvo&dsに転向し、現在の3人で活動を継続。’09年にFM802主催『MUSIC CHALLENGE 2008』でグランプリを獲得し、同年11月に1stアルバム『野口、久津川で爆死』をリリース。その後メジャーへ移籍しシングル、アルバム、DVDのリリースや精力的なライブ活動を行うも、’14年元旦に“結成当初より突っ走ってきたバンド活動を見つめ直し、より高度に己を表現するための試行錯誤の時間を確保するため”という大英断のもと、ライブ活動休止を宣言。同年5月よりライブ活動休止に入る。その間もミニアルバム『モーモールル・℃・ギャバーノ』をリリースし、アルバムリード曲の『ハイヒールブルース』のメインビジュアルおよびミュージックビデオに女優の橋本愛を起用し話題を呼ぶ。’15年3月、10ヵ月の沈黙を破り京都を皮切りに行った復活ツアーは全公演ソールドアウト。同年6月に3年ぶりのアルバム『シャンゼリゼ』を発売。翌’16年に発売したミニアルバム『PIRATES of Dr.PANTY』ではアニメーターのすしおとコラボレート。今年5月31日に発売された約2年ぶりのフルアルバム『ヤンキーとKISS』でも、引き続きすしおとコラボレートした、アクロバティックかつロマンに溢れたアートワークも注目を集めている。