「楽しいだけの音楽なんて興味がない
グッとくる音楽がやっぱり好きなんですよ」
復活モーモールルギャバンの全国ツアーが遂に開幕!
『シャンゼリゼ』全員インタビュー&動画コメント
モーモールルギャバンの最新アルバム『シャンゼリゼ』は、昨年5月から今年3月までライブ活動を休止したことで、明らかにバンドがリフレッシュされた内容だった。とにかく楽しませ暴れさせ騒がせることも確かに彼らの凄みではあったが、何よりも元々楽曲が、メロディが素晴らしい。その素晴らしさが、このアルバムでは存分に発揮されていた。そして歌詞でも、自分の弱さや女々しさや残念さをさらけ出しており、ラストナンバーの『バイララ』の誠実さには泣かされる…。インタビューでは「音楽ではなくスポーツを、フェスに来るようなキッズには求められていた」という独白も出たが、今、彼らは、その地点をちゃんと乗り越えようとしている。先日の『OTODAMA’15~音泉魂~』でも大いにオーディエンスを沸かせた彼らのリリースツアーもいよいよスタート。素敵なメロディ、素敵な言葉は、絶対にキッズにも伝わるはずだ。
高瀬川のほとりで寝るまで呑んだり、赤羽で呑んだりしていたら
何か自由になれたんですよ
他のバンドにも活動休止をめっちゃ薦めてますよ(笑)
――去年5月からライブ活動休止をして、今年3月に動き出されましたが、その流れを教えてもらえますか?
ゲイリー・ビッチェ(ds、以下ゲイリー)「結構みんな疲れていて、ダラダラ続けても意味がないなと思ったんです。だから、他のバンドにも活動休止をめっちゃ薦めてますよ(笑)。同じく活動休止をしていたWiennersの玉屋2060%くんも“活動休止はいいよ~”って言ってました(笑)。まぁ、やみくもにライブをやってきたので勢いで突っ走るところが多くて、“歌い方とかこれでいいのか?”とか思って。全力でドラムを叩いて、全力で歌って、そういう風にテンションを下げなかったら、みんな喜んでくれる。でも、それだと音楽なのかスポーツなのか分からなくなるので」
ユコ=カティ(key、以下ユコ)「エネルギーだけでねじ伏せる感じになっちゃいますから。休止をしないと次にステップにいけなかったよね? 前向きな考えだったし、ここで断捨離をして、リフレッシュした脳みそでまた会いましょうという感じでしたね」
ゲイリー「リフレッシュし過ぎましたけどね(笑)。自分を追い込むために、借金してまで遊んでましたから(笑)」
T-マルガリータ(b、以下マル)「やり過ぎたね(笑)。引きこもってゲームばっかしてました。ゲームし過ぎで落ち込んで、何てダメなんだろうと(笑)」
ゲイリー「ダメじゃない人間なんていないよ。そう開き直れたから、自由になれた。メジャーアーティストみたいな肩書が付くと世のため人のためも考えるようになるんですけど、高瀬川のほとりで寝るまで呑んだり、赤羽で呑んだりしていたら、何か自由になれたんですよ」
――いつくらいから、再始動を考えられましたか?
ゲイリー「ちょうど1年くらい前の去年の9月に1回ミーティングをして」
ユコ「“もうやるの?”って思いましたけど(笑)」
――東京に引っ越されたのも大きかったですよね。
ゲイリー「引っ越したのは去年の10月なんですけど、事務所の人に提案してもらったんです。やっぱり京都はいい街で我々の青春なんですけど、流れている時間がゆったりし過ぎているんで、どこかで京都に逃げてしまうところがあったので。いまだに恋しいですよ…東京は殺伐としていますからね」
ユコ「ホームシックとまではいかないですけど、京都はやっぱり恋しいですね。あと、その段階で3人ともどこか落ち着いていたのもよかったですね」
マル「ベースは全然弾けなくなってましたけどね(笑)」
ゲイリー「(笑)。まぁ、タイミングですよね」
その場しのぎの生き方をしていると、人間の本質が見えてくる
酔っぱらいの戯言をしらふで紡ぎ上げていった感じですね
――しかし、『シャンゼリゼ』は本当にいいアルバムになりましたよね。
ゲイリー「嬉しいです。伝わればいいですけど」
マル「すごくいい曲ばかりだったので、休止中ずっとゲームばかりしてごめんなさいと思いました…」
ゲイリー「次のアルバムは、全曲マル作ってね!」
マル「無理無理! でも、ゲーム音楽のアルバムなら出来るかも(笑)」
ユコ「(笑)。最初にデモを聴いたときに、(モーモー)らしい曲が上がってきたなと思いました。スッと入ってくる曲が多かったので、アレンジも自然に浮かびましたね。とにかくメロディがよかったので」
――そのメロディに自然体の言葉というか、女々しかったり弱音だったりという、素直な言葉が乗っているのが本当によかったです。
ゲイリー「酔っぱらいの戯言をしらふで紡ぎ上げていった感じですね。昔はカッコつけていたんですけど、今は女々しいところや残念なところを出すのがイヤじゃなくなりました。真性の露出狂になれたというか(笑)、自然とああいう歌詞になりましたね。自分は一度も会社員をしたことがないですし、その場しのぎの生き方をしていると、人間の本質が見えてくるのかなと。まぁ人生、確実に訪れるのは“別れ”じゃないですか。でも、そういうところに悲観的にならず、ポジティブというかは、淡々と生きるというか。死にたくないけど、死んでもいいよ…なんていう言葉も出てきたんですけど、人生ってそういうもんかなと思いました。だからこそ、本当に休んでよかったなと」
ユコ「断捨離が済んで、何をしてもいいけど、やっぱり音楽がないとダメなんですよ。でも休止前は、その音楽をちゃんと守り切る余裕がなくて、でもライブが重なり過ぎて…」
ゲイリー「締切にも追われていたし…」
ユコ「でも、そこを超えないとって思い過ぎていたら、こんがらがってダメになっちゃって。だから、音楽が好きな気持ちを短時間で取り戻すためにも、休みを取って遊んでいたんです」
ゲイリー「休止期間に遊んでいたのを肯定しているだけでしょ! 自分に言い聞かせたいだけ(笑)」
ユコ「でも、それを肯定出来るアルバムが出来たと思うしね(笑)」
今のバンドは、すぐに普段着で平気にステージに上がりますからね!
――休止前のモーモーって本当に誠実で、音楽としてだけでなくスポーツとしてライブを楽しんでいるお客さんも、ちゃんと真面目に引き受けていたじゃないですか。
ゲイリー「引き受けちゃってましたね」
ユコ「だって、イベントやフェスに呼んで貰えるのも嬉しかったですから」
ゲイリー「お客さんに喜ばれるとダメだよね。“お前らの笑顔が、俺たちをどれだけすり減らしていると思っているんだ! でも、ありがとう!!”みたいな(笑)。だから、何回も言いますけど、休んでよかったんですよ!! 全国ツアーを6回して、その内3回がワンマンツアーで、1回のツアーで20ヵ所廻るんですよ。くまなく常に全国を廻っている先輩バンドの皆さんには、後輩の分際で申し訳ないなとは思いましたけど、自分らのためにも休ませてもらいました!」
ユコ「モーモーにはいい意味での無責任さがあるんです」
ゲイリー「あなたの無責任さを全力で形にするのが、モーモルルギャバンですから!(笑)」
――(笑)。今回のアルバムの何がいいって、いわゆるキッズの大好物な早い四つ打ちが控え目になっていて、じっくりと聴かせる曲が多い。だから切なさが倍増していて、これはキッズたちにも沁みるんじゃないかと。
ゲイリー「うん、何か切ないですよね、今回のアルバムは」
ユコ「マニアックに聴いてもらっても楽しめるし、普通に聴いてもらっても涙が出てくると思うんです。ちゃんと2つの視点があるというか」
ゲイリー「楽しいだけの音楽なんて興味がなくて。グッとくる音楽がやっぱり好きなんですよ。何とかしてそういうグッとくる部分、切ない部分も伝えていきたいです。まぁ、今は不安はないですよ。目先のことに惑わされなくなったし、真面目に音楽をやっていれば大丈夫だと。(マキシマム ザ )ホルモンとかも本当に真面目にやっていて、でも楽しいし、ちゃんとグッとくるし、憧れます」
――最後に、モーモーはちゃんと衣装でかぶいているのが、カッコいいんですよね。
ゲイリー「今のバンドは、すぐに普段着で平気にステージに上がりますからね! ポカーンとしちゃう人もまだ多いかもですが、そんなことには負けずに頑張ります!」
――(笑)。ツアーでも、この新曲たちの良さが伝わることを心から祈っています。ありがとうございました!
(2015年9月11日更新)
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