「当時、すごく聞かれましたよ。“あれ、誰が歌っているの?”、“誰がギター弾いているの?”って(笑)。『オルカ』に入っている『see you there』は元々映画のために作った曲で、それを’08年から作り始めて。ちょうど芸能界に復帰して俳優活動も始めて、名前がちょっとずつ知られてきた頃ですね。あの後ボン・イヴェールとかフリート・フォクシーズとか、音楽的に『オルカ』とも近いフォークを基調にしたミュージシャンが続々と出てきましたよね。ただ、ちょっと前だったら“あれもできるよ、これもできるよ”って自慢できたけど、今の時代はマルチプレイヤーが珍しくないですからね。僕も『オルカ』を作るまでは歌ったことも撮ったこともなかったから、自分がどんなものなのかを精査するいい機会でしたね。それから2枚アルバムを出してライブもやるようになって歌うことにも慣れてきましたけど、一番得をしているなと思うのは、ボーカリストの気持ちを知れたことで。ステージ上で一番消費カロリーが多いのはギター&ボーカルなんですよ。見た目でドラムと思われがちですけど、そうじゃない。JESSE(vo&g)もしかり、ギターを弾きながら歌うことの大変さ、ブレスのタイミング、間の取り方とか、どれもシンプルなことなんだけど、自分がボーカルを経験したことが、すごく役に立っていますね」
「ですね。RIZEのツアーは春と秋にガッツリ計画しています。それとともに制作においては、プロディジーやロイクソップとか、“アルバムを作らない”と宣言しているアーティストもいる中で、改めてアルバムアートの在り方が問われてもいると思うんですね。その辺も考えつつ、曲も作り、アルバムも作りたい。去年の夏以降はRIZEだけに集中していたところもあったんだけど、RIZEの強みって、外に打って出てバシバシやっているヤツらが母艦であるRIZEに帰ってきて、大立ち回りをやっちゃうところなのかなと思うんですね。それが例えばフェスだったら、JESSEだったらThe BONEZで、俺だったらAA=とかKenKenもDragon AshとかLIFE IS GROOVEとか、いろんなバンドで出演しつつRIZEとなったらステージに集合して、ガツンッ!と鳴らしてそこら中駆逐して、“じゃ!”ってそれぞれの持ち場へまた帰っていく感じが、自分たちでもクールだと思う。だから、アニバーサリーと言えどRIZEにかかりっきりになるより、いろいろやってる方がいいのかなと思ったり(笑)。俺が思うにドラムはゴールキーパーで、しかも俺はフリーキックを蹴るゴールキーパー。で、外したらダッシュでゴールに戻るタイプ(笑)。キーパーだけどシュートのカーブはえげつなくて、でも基本的にはみんなをサポートして、ステージを守る立場。それを楽しみたいし、バンドカルチャーはもう何十年も変わらないよさがあって、デビュー当時からのお客さんはライブに子供を連れて来たり、単純に轟音を浴びたくてずっと来てくれている人もいる。それも誇らしいことだし、そんな中でロマンを持ってやっている音楽との関わり方として、ソロは超リアルタイムなんですよね。映画でも何でもタイミングが合えば出ていくし、劇伴を作るような裏方として現場に入っていくことも改めて欲張ってやっていきたい。自分のキャリアは子役で始まって、バンドを組んでデビューして、俳優として芸能界に復帰して、これ以上やれることはないだろうと思ったけど、まだあったなって。次は裏方です(笑)」
DVD 『Captured』 発売中 4500円(税別) Village Again Association PDX-0118 ※収録時間84分
<DVD収録内容> ・document record/photo/dance/day/other
・Live EX THEATER ROPPONGI
・MV オルカ/Historia/Take me home/Firebird/Captured(新作)/Call My Name(新作)
Profile
かねこ・のぶあき…’81年生まれ。幼馴染のJESSEと共にRIZEを結成。’00年シングル『カミナリ』でデビューし、全米、アジア(韓国・北京・台湾)などの海外ツアーも成功させる。以降、RIZEとして現在までに7枚のオリジナルアルバムを発表。現在は、AA=にもドラマーとして参加している。金子ノブアキとして’09年に1stソロアルバム『オルカ』、’14年に2nd『Historia』を発表。パワーのあるドラミングとは対極とも言える繊細で無垢なボーカルも話題を呼んだ。’15年にはギターにPABLO(Pay money To my Pain)を迎え、キャリア初のソロライブを春に行い、秋には東名阪でソロツアーを開催。映像と音楽をシンクロさせた総合芸術を表現したステージが好評を博した。’16年5月には3rdソロアルバム『Fauve』を発表。『Tour 2016 Fauve』のファイナルとなった東京EXシアターでの公演には、パフォーミングアーツカンパニー “enra”とのコラボレートによるステージが実現。‘17年1月18日に発売された初の映像作品『Captured』に伴い、2月4日(土)ビルボードライブ東京、11日(土)ビルボードライブ大阪にて『金子ノブアキ showcase 【Captured】』と題したライブを開催。さらに、3月18日(土)にはソロ初の中国公演『金子ノブアキ showcase in Shanghai 2017』が控える。俳優としても、現在公開中の映画『新宿スワンⅡ』、WOWOWで放送中のドラマ『楽園』をはじめ、数多くのドラマやCMなどに出演している。