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様々なアーティストとのコラボを経て3rd ALBUM
『What's A Trunk?』をリリースしたKeishi Tanakaが
“NEW KICKS”という重要なテーマを含めて語るインタビュー
fox capture plan、LEARNERS、ROPESという 様々なアーティストとのコラボを経て3rd ALBUM 『What's A Trunk?』をリリースしたKeishi Tanakaが “NEW KICKS”という重要なテーマを含めて語るインタビュー
“NEW KICKS(=新しい刺激)”というテーマを掲げて2016年を精力的に駆け抜けたKeishi Tanaka。そのテーマ通り、自身が主催する『ROOMS』そして『NEW KICKS』と題したライブイベントを継続的に開催し、2016年に入ってからはジャズロックバンドのfox capture planや、CHABEこと松田岳二率いるLEARNERS、さらには宇多田ヒカルやきゃりーぱみゅぱみゅとのコラボレートでも知られるTokyo Recordingsをアレンジに迎えたシングル3作品を次々にリリース。11月に発売した最新アルバム『What’s A Trunk』では、ジャズやブラックミュージックを咀嚼した音の広がりも華やかなそれらのシングル曲とともに、2016年のはじめにツアーを共にしたRopes(Achico+戸高賢史)とのミュージシャンシップのもとに誕生した、冴え冴えとした冬空の情景も豊かな『冬の青』も聴ける。このアルバムを携えた全国ツアーの関西公演が1月19日(木)神戸、2月4日(土)大阪で開催。地に足の着いた自由な表現者として、オールラウンダーのシンガーソングライターとして、2017年はさらに大きな飛躍が期待できるKeishi Tanakaにアルバム『What’s A Trunk』までの道のりを通して2016年を振り返りつつ話を聞いた。
「例えばfox capture planの持っている感覚と、LEARNERSの持っている感覚はまったく違うと思うんですけど、どちらも僕が曲と歌詞を書いて歌っていて、演奏する人たちが違うだけなんですよね。その同じ部分と演奏者によって変わっていく部分を両方楽しんでほしい。アルバムタイトルの『What’s A Trunk』のTrunkって“主流”とか“木の幹”という意味があるんですけど、そこは変わらない部分で、枝や葉の部分は今まで以上に大きな振り幅で作っているから、その辺がおもしろいものになればいいなと思いながら制作していましたね」
――アルバムのオープニングの『What A Happy Day』、ミュージックビデオも公開されていた『Another Way(is so nice)』(M-2)から最後の『Hello,New Kicks』まで、とてもカラフルで発色の良い曲、外に向けて強い色を放つ曲が続いていて。今って政治や経済も含めて世界中が重たい灰色の空気に覆われているように思うんですが、それをサァーッと塗り替える勢いと、色の鮮やかさを感じました。
「確かに、1曲目から3曲目の『I Like It』(M-3)ぐらいまでは、そういうことを考えて作っているところもあります。人によっていろんな聴き方があるし、中には僕の音楽にある影の部分を好きだと言ってくれる人もいるんですけど、僕の音楽に対して向けられる表現の中で多い言葉に、“多幸感”というのが圧倒的に多い気がしているんです。そんなことをふと考えていて、じゃ1曲目は思いきり突き抜けたハッピーな曲を作ってみようと思って、タイトルにも“Happy”と入れて(笑)。今まで意図的にハッピーな曲を作ろうと思ったことがなかったけど、たとえば、昨日まですごく憂鬱だった気分が、1日のはじめに『What A Happy Day』を聴いたことでパァッと晴れるかもしれないし、そうできるぐらいの曲を作ってやろうみたいな感じがありました。実際に人の命を救うまではいかなかったとしても、そうやって音楽が何か誰かの役に立つこともあるのかもしれない。一瞬だとしても、音楽にはそれだけの力があるよなって。やっとそれくらいのことを思える歳になった。あと、色の話で言えば、僕はどんな色の曲も今は歌っていたいんです。淡い色も好きだし、濃い目の紺色みたいな曲も書きたいし、今回のアルバムで言えば『真夜中の魚』(M-5)みたいな曲があることも自分の中では重要だと思っていて」
――あと、『I Like It』(M-3)もとても軽快で晴れ晴れとした曲調で、でもよく聴くと“憧れが消えてく”とか、“罠のような夜に毒を見せる”とか、“綺麗ごとに聞こえたって 構わない”とか、ネガティブにとらえがちなことをそのままでは終わらせないというメッセージがちりばめられているように感じました。
「だいたいの歌詞は自分も含めたことを書いているし、それが聴いてくれた人のものにもなれたらいいですよね。歌詞の中の“僕”は僕自身でもあるし、聴いてくれた人が“これ、わかるな”と感じてくれたら、その人が“僕”になる。同じように、“君”や“彼”が、僕自身や聴いてくれる人になったりもするし、主語の選択はその時々によって変わってもいいと思っていて。『I Like it』は、簡単に言ってしまうと“全部OKなんだよ”と歌ってるんですけど、きっとそれは全部OKと言ってもらいたい自分がいるからそう書いている気もするんですね。僕自身、ライブひとつをとっても会場も様々だし、バンド編成だったり、アコースティックなライブもやる。それは楽曲もライブも、バンドでもアコースティックでも、どちらにも触れてみて欲しいという想いがある。僕自身も人を見る時に1つの面だけで判断するわけじゃないし、ふだん見えていない裏側の考え方も知りたいなと思う方なので」
「この曲に関しては早くからライブでもやってたんですけど、誰かにアレンジしてもらうのも楽しいんじゃないかなと思ってTokyo Recordingsにお願いしました。自分の楽曲にアレンジャーをつけるのは人生で初めてのことだったんですけど、それがいい刺激になったし、この作品がきっかけになってfox capture planとの『透明色のクルージング』、LEARNERSや沙羅マリーちゃんとの『Just A Side Of Love』の、2016年のシングル3部作につながっていったんですね。自分の曲を“好きにアレンジしてください”と人に託せることは、自分にとっても大きな変化だったし、そこには新たな感情も生まれてきて。そういう新しい刺激をテーマに活動していった2016年だったし、この曲は自分にとっても重要な曲になったから2016年に出すアルバムを締めるという意味で最後に置いたんです」
3rd Album 『What's A Trunk?』 発売中 2700円(税別) Niw! Records NIW-127
<収録曲> 01.What A Happy Day/幸せが降る日 02.Another Way (is so nice)/もうひとつの方法 03.I Like It/君は最高さ 04.Just A Side Of Love/恋のすぐそばで 05.Swim At Midnight/真夜中の魚 06.Our Town/僕らの住む町 07.To U Me I Sho Ku/透明色のクルージング 08.Blue In Winter/冬の青 09.Peaceful Christmas/クリスマスの願い 10.Hello, New Kicks/新しい靴
Profile
ケイシタナカ...Riddim Saunter解散後、ひとりのミュージシャンとして活動をスタート。2016年に3rdアルバム"What's A Trunk?"をリリース。触れてきた様々な音楽や演奏者をコラージュすることで、楽曲そのものや歌の強さが感じられる作品が完成した。2015年までに、"Fill"と"Alley"のフルアルバム2枚の他、詩と写真で構成された6曲入りソングブック"夜の終わり"や、絵本"秘密の森"など、自身の世界観を表現する多様な作品をリリースしている。細部にこだわりをみせる高い音楽性を持ちながら、様々なラジオ局でパワープレイに選ばれるなど、幅広い層に受け入れられる音楽であることを証明してみせた。最大10人編成で行われるバンドセットから弾き語りまで、場所や聴く人を限定しないスタイルで活動中。自主企画として、バンド編成の"NEW KICKS"と、アコースティックの"ROOMS"を不定期に開催。
Live
3rd Albumを引っ提げて 全国リリースツアー
『3rd album “What's A Trunk?” release tour』
【栃木公演】 ▼1月15日(日)18:30 HELLO DOLLY 【兵庫公演】 ▼1月19日(木)20:00 THE GARDEN PLACE SOSHUEN 【愛媛公演】 ▼1月20日(金)20:00 コスモシアター 【福岡公演】 ▼1月21日(土)18:00 住吉神社能楽殿 【広島公演】 ▼1月22日(日)18:00 LOG
チケット発売中 Pコード313-873 【宮城公演】 ▼1月27日(金)19:00 LIVE HOUSE enn 2nd 【岩手公演】 ▼1月28日(土)18:00 the five morioka 【福島公演】 ▼1月29日(日)18:00 LIVE STAGE PEAK ACTION オールスタンディング3900円 [共演]the band apart(naked) ノースロードミュージック仙台■022(256)1000
「インタビュー中にKeishiくんが歌詞の話をしながら“夜の終わり……”と歌いだした時、真昼間のインタビューだったにも関わらず一瞬フッと、音もない真夜中の匂いを感じてハッとしました。その場の空気を変える歌声って、こういう声なのだなと改めて実感。3曲目の『I Like It』の“Ordinaly days~”の一節に同名の映画を思い出したり、テリー・キャリアーやキュリオシティ・キルド・ザ・キャットがポッと浮かんだり、シングルの『Just A Side Of Love』ではチェット・ベイカーも歌ったスタンダードのカバーも聴けたり、Keishi Tanakaの音楽を通じて時代も国も軽く飛び超える音楽の旅を2016年も思いきり楽しませてもらえました」