「やっぱりバンドは楽しい。それがきっと音楽を続けてる理由」
よりメロディックに、オルタナティブに邁進する
元FACTのメンバーによる世界照準の新バンドが語る夢のつづき
Joy Opposites『Swim』全員インタビュー&動画コメント
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“沈むか浮かぶか”、“死ぬか生きるか”。そんな“Sink or Swim”という決死の想いからインスパイアされた1stアルバム『Swim』をもって始動した、Joy Opposites(ジョイ・オポゼィッツ)。国内外のラウドロックシーンでその名を馳せたFACTとしての’16年のキャリアに終止符を打ち、Adam(vo&g)、Tomohiro(b)、Eiji(ds)に、ロンドンを拠点に様々なバンドを渡り歩いてきたImmy(g&vo)が加わり結成されたのがこのバンド。初ライブとなった『SUMMER SONIC 2016』の舞台裏から、LAにてアット・ザ・ドライヴイン、ブロック・パーティらを手掛けたアレックス・ニューポートをプロデュースに迎え、フー・ファイタイーズのデイヴ・グロール(vo&g)所有のStudio 606にて行った充実のレコーディング、曲作りや好きなバンド、今後の夢を語る姿まで、まぁ4人の仲むつまじいこと! ここにきて「やっぱりバンドは楽しい」と語った、グッドヴァイブなインタビュー。よりメロディックに、オルタナティブに邁進する世界照準のバンドは、何処へ向かうのか――!?
観に来てくれた人たちにも、周りのスタッフにも
すごく感謝してますね。あの素晴らしい景色が観られて
――バンドとしてはサマソニが初ライブでしたが、まずは振り返ってその率直な感想を聞きたいなと。
Eiji(ds)「いろいろ収穫はあったかなと。ただ、ちょっとブランクがあったんでバタバタして」
Tomohiro(b)「課題が見えた、みたいな感じだね。ただ、お客さんがいっぱい来てくれて、待っててくれた人がいたのは単純に嬉しかったかな」
Adam(vo&g)「なかなか1stライブ、2ndライブであんな場所ではできないから(笑)。観に来てくれた人たちにも、周りのスタッフにも、すごく感謝してますね。あの素晴らしい景色が観られて」
Immy(g&vo)「最高だった! 東京は初めてのショウだったから少し難しかったけど、大阪はだいぶよくなって」
――Immyさんは日本のフェスに出るのは初ですよね。そういう意味ではどうでした?
Immy「アメイジング!(笑) 全然違いますね」
Adam「海外だとあんなにいっぱいスタッフはいないんですよ。“勝手にやれ”みたいな(笑)」
Tomohiro「この時間に来て、この時間にセッティングして、“はい、出ろ!”って言われるだけなんで。例えば、コンセントがどこにあるかも教えてくれないし、コードを持ってきてもくれない(笑)。サマソニぐらいになると、もう完璧じゃないですか。あんなにステージ上にスタッフがいるのは日本だけだと思う」
Adam「海外バンドの友達が日本に来ると、ツアーマネージャーはだいたい暇ですよ、やることがなくて(笑)」
――そういう文化の違いもあるんですね。サマソニはFACTにとっても思い出深い場所だったと思いますけど。
Eiji「何か…気持ちがいろんなところに行き過ぎてよく分からなかった(笑)。とりあえず必死にやってたっていう」
Tomohiro「確かに、それまでは日本でやっても300人ぐらいの前での話だったのに、イギリスの『Sonisphere Festival』に出させてもらって、大ブーイングを喰らったけどすごくいい経験になって日本に帰ってきて、初めてのサマソニで幕張のマウンテンステージに立ったら2万人近くいる。訳が分かんなかったですからね(笑)」
――でも、ここまで音楽を続けて、また“1st”とか“初めて”の体験がもう1回やってくるのはおもしろいですよね。
Tomohiro「そうですよね。しかも俺とえっくん(=Eiji)は特に、もう14~15年一緒にやってきて、変わらない関係性があって、今でも2人で練習しようぜ、遊びに行こうぜっていう仲で。そこからAdamとも仲良くなって、それが当たり前になったと思ったら、今度はImmyちゃんが入ってくれて…これでまたいいスタートが切れたじゃないですけど、“またここからやっていきたい”という気持ちでサマソニはできましたね」
Adam「えっくんとは彼がFACTに入ってすぐの頃から知り合いだし、Immyとも10年ぐらい付き合いがあって、Tomohiroとも6~7年ぐらいの仲で。結構深いよね」
Tomohiro「不思議な感じはするけど、友達とまた新しいことをするワクワク感が単純に嬉しいじゃないですか」
――AdamさんとかImmyさんのキャリアを見ていると、レーベル勤務やツアーマネージャー等の経験もあるなど、ちゃんと音楽業界の裏方としても働いてきたのに、プレイヤーとしても変わらず活動してるのは、日本ではあまりないスタンスですね。全然キャリアに隔たりがない。
Tomohiro「だからこそ、俺らが知らないことを2人はすごく知ってて。本当にAdamはいろいろやってきたもんね」
Adam「そうね。ディズニーランドでも働きましたから(笑)」
――アハハハハ!(笑)
Tomohiro「ただ、海外でのスタンダードが日本では違っていたり、2人からすると葛藤はあったと思うんですけど、特殊な形態のバンドなんで、それも含めてみんなでこれから探していく感じですね」
そう言えば、ライブを1回もやらないでアルバムを出したんだもんな(笑)
――今回の1stアルバムに向けて、何かビジョンはあったんですか?
Adam「最初はそこまでビジョンはなくて、ただ3人で曲を作ろうって」
Tomohiro「で、スタジオに入ったんですけど、ゴールが見えなさ過ぎて失敗して(笑)」
Adam「そのジャムの後は、全部データでやり取りしてね」
Immy「ただ、20~30曲作って、まずどの曲をレコーディングするのか選ぶのが、ちょっと難しかったね」
Adam「そこからアメリカのスタジオに行って、ようやく見えてきたというか。何となく選んだ曲を生で演奏して初めて、いろいろと明確になって」
――Tomohiroさんも、結成間もないバンドだからまだ核が出来上がっていないし、ある程度曲を書いていかないとバンド像が見えてこないと話していましたね。
Tomohiro「昔に比べると見えてはきてると思うんですけど、多分またライブを重ねて、作る曲は変わっていくんじゃないかなっていう楽しみはありますね」
Eiji「確かに。そう言えば、ライブを1回もやらないでアルバムを出したんだもんな(笑)」
Adam「でも、この作り方が合ってる気がする。あと、チーム的にもすごくいい状態というか、1人1人だったら多分できないと思う。このチームだからこそできる。例えば、最初はあんまり気に入らなかった曲があって、1曲はシングルの『In My Bones』(M-2)。もう1曲は『Swirl』(M-3)で」
――えぇ~! どっちもいいのになぁ。俺、『Swirl』が一番好きなのに(笑)。
Adam「俺も今ではその曲が一番好き(笑)。だけど、そのギターパートを作って“まぁ悪くはないかぁ”ぐらいでTomohiroとえっくんにパスして、クリスマスに一旦イギリスに帰ったんだよね。帰ってきたら2人がそれにベースとドラムを加えてて、すごいことになってて。今はもう、何かすごく好きな曲になって(笑)」
Tomohiro「驚かせたいんですよね。Adamが俺らにパスしてくれたとき、きっと頭の中でドラムとかベースが鳴ってるじゃないですか。それを超えていきたいんです。えっくんはそこでちゃんと超えてくるし、そしたら俺はさらに超えないといけないんで」
FACTでできなかったことをやろうと思ってるんです
――FACTが解散して、それぞれがプレイヤーとして生きていくのもいいし、新しいバンドが6組できてもいい中で、Adam、Tomohiro、EijiさんはJoy Opposites、Hiro(vo)、Takahiro(g&vo)、Kazuki(g&vo)さんはSHADOWSと、2つのバンドに分かれたら思うところはやっぱりありましたけど、『Swim』を聴いて一連の話を伺うと、このメンバーじゃないとこうはならなかった感じはすごくありますね。
Tomohiro「個人的にはやっぱり、FACTでできなかったことをやろうと思ってるんです。ベースのフレーズ1つとっても、ギターが3人いて、ドラムが速くてっていうところでの考え方と、今みたいにスペースがいっぱいある中で、どれだけトライしていけるのか。やり切れてなかったわけではないと思うんですけど、支えるところは支えるバランスも含めて、もうちょっとこのJoy Oppositesで試したいのはありましたね。メンバーがそれを喜んでくれるんで」
Adam「4曲目の『Somewhere Down The Line』は、ベースがメインだと思ってる。ベースがこの曲をすごい…」
Tomohiro「言うなよ、ライブでやるとき緊張するから(笑)」
Adam「アハハ!(笑) ベースが曲をすごくドライブさせてる。ギターはシンプルで、スペースを作ってるからね」
Eiji「レゲエとかヒップホップとかも、ベースとドラムで曲が進んでいくじゃないですか。何か俺もそういうイメージでトライしてましたね」
Tomohiro「この曲は4パターンぐらいベースラインを作って、時にはスラップ的なものも入れたりして。ただ、Adamはスラップが好きじゃないんで(笑)、自分としても“これはちょっと雰囲気壊すかなぁ?”っていう感じで、どんどんフレーズを絞っていって」
Eiji「FACTでは考えられない曲だよね(笑)。大胆な方向転換というか。でも、新しい音楽を作りたい気持ちは、FACTのときから変わってないんですよね。何か新しいことやりたいよね」
――同じことを続けるならFACTでもいい。そういう意味では、FACTというブランドイメージがあって逆にできなかったことをやる。そこにむしろ意義があるのかなと。
(2016年10月 6日更新)
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