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「やっぱり歌によって助けられたり、救われたりしたんですよね」
ソロ活動15年、元宝塚歌劇トップスター姿月あさとが
シャンソンに挑んだ3年ぶりのアルバム『Chante~シャンテ~』
歌への想いを語る撮り下ろしインタビュー&動画コメント (1/2)

 ‘00年まで宝塚歌劇団宙組の男役トップスターとして多くのファンを魅了、退団後も高い歌唱力を活かし、ソロボーカリストとして音楽活動を続けてきた姿月あさと。彼女が3年ぶりのニューアルバム『Chante~シャンテ~』をリリースした。フランス語で“歌う”という意味を持つ『Chante』は、シャンソンのカバー曲を中心とした内容で、『バラ色の人生』などの名曲から、秋元康作詞によるオリジナル曲『約束の花束』『夜明け』などのセルフカバーまで収録。姿月の包み込むようにやわらかく優しい歌声が心地よく響く、大人の香りに満ちた1枚に仕上がっている。本作に懸けた想いや、11月26日(木)、ビルボード大阪で開催されるセルフプロデュースのライブシリーズ『THE PRAYER』について話を聞いた。

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今、いろんな経験を重ねて歌うと、同じ曲でも全然違う
シャンソンは年を重ねるほどにおもしろくなるジャンルなのかなと
 
 
――まず、シャンソンのアルバムを出すことになったきっかけから教えてください。
 
「今年の春頃に、プロデューサーの方からお声がけいただいたのがきっかけですね。私自身はシャンソンに特別な思い入れがあったわけではないのですが、声をかけていただいたこと自体が大変ありがたいことなので。そこから、プロデューサーさんと一緒にいろんな候補を出し合って曲を決めていきました。個人的にはオリジナル曲は絶対入れたいという想いはありましたね」
 
――今年は越路吹雪さんのトリビュートコンサート『越路吹雪音楽祭』にも出演されたりと、シャンソンはこれまでもいろんなステージで歌ってこられていますよね。
 
「そうですね。今年に限らず、歌わせていただく機会はたくさんありました。元々、最初にシャンソンに触れたのは宝塚音楽学校時代で、シャンソンの授業があるんですよ。だから、宝塚を卒業されている方はみんな、シャンソンの基礎には触れてきていますね。越路吹雪さんは宝塚の先輩でもあり、シャンソン歌手としても大変有名な方ですので、出演させていただけて光栄でした」
 
――シャンソンの魅力はどのように感じられていますか?
 
「音楽学校の頃は15歳でしたから、その頃はちゃんとは理解出来てなかったですね。とりあえずいろんな曲を歌って、シャンソンを知るという感じでした。今、いろんな経験を重ねて歌うと、同じ曲でも全然違うんです。その良さとおもしろさを実感しているところですね。私が60歳になったら、今歌っている曲も随分と変わるでしょうし、年を重ねるほどにおもしろくなるジャンルなのかなと思っています。それに、メロディが耳に残るし、歌詞が深いですよね。シャンソンのコンサートに行かれたことがある方は少ないと思うんですが、ちょっとしたフレーズは聴いたことがあると思うんです。私は存じ上げなかったのですが、宮崎駿さんの映画にも使われていたりもして、シャンソンとは知らなくても、いろんな形で耳に入っているんだと思います」

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シャンソンは、歌い上げるというより
“語る”とか“話す”という意識で歌うので、歌詞がすごく大切
 
 
――今回のアルバムの選曲はどのように選ばれたんですか?
 
「ありとあらゆる楽曲を出し合って、その中からどう残ってきたんでしょうね…(笑)。自分が好きな曲だったり、みんな聴いたことあるんじゃないかな?と思って選んだ曲もありますし。『人の気も知らないで』(M-6)と『爪』(M-7)は知らない曲だったんですけど、プロデューサーさんや事務所の先輩の松崎しげるさんが薦めてくださったんです。歌ってみて、すごく好きな曲になりましたね」
 
――収録されている中で、特に思い入れが深い曲というのは?
 
「『約束の花束』(M-4)『夜明け』(M-9)は自分のオリジナル曲で、秋元康さんが歌詞を書いてくださったんです。シャンソンは歌い上げるというより、“語る”とか“話す”という意識で歌うので、歌詞がすごく大切なんです。それで言うと、秋元さんはすごく素敵な歌詞を書いてくださったので、多くの人に聴いていただきたいなと思います」
 
――普通の曲を歌うときとはまた違う意識なんですね。
 
「イメージとしては“喋る、話す、語る”という感じですね。在団中は大劇場とか大きな舞台で“歌い上げる”ことが多かったのですが、退団してソロになって15年、いろんなステージで経験を積んで、そういう繊細な歌い方がようやく出来てきたような気がします」
 
――今までもシャンソンに触れることがあったとは言え、今回のリリースでガッツリとその世界に入り込むことが出来たのではないですか?
 
「日本だったらペギー葉山さんとか雪村いづみさんとか、クミコさんとか、皆さんが抱いてらっしゃるシャンソンの歌手の方がいて、その下の年代として、自分もその場所にいられたらいいなと思いますね。次に続く方がなかなかいないじゃないですか。日本のシャンソンには日本語ならではの良さがありますし、それはずっと伝えていかなければいけないなと思うんです」

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本当に素敵な歌をいただいたなと思います。私の一生の宝物ですね
 
 
――先ほど仰ったオリジナル曲の『夜明け』は、最初の頃は涙なしでは歌えなかったとのこと。今はいかがです?
 
「そうなんです。’10年に秋元さんに書いていただいて、それから5年が経ったんですけど、時を重ねても歌うたびに胸に響く部分が違うので、本当に素敵な歌をいただいたなと思います。私の一生の宝物ですね」
 
――歌詞ももちろんですが、姿月さんの優しい歌声がまた深みを与えているというか、グッときます。
 
「嬉しいですね(微笑)。男女問わず、聴かれる方のその時々の状態に当てはまる歌詞を書かれているので、すごいなと思います。それによって私も救われましたし、一歩踏み出すことが出来たので、この歌を聴いた方が同じように、ふっと心が軽くなっていただけたらいいなと思います」
 
――ボーナストラックには、今年7月の『麗人 REIJIN~Showa Era~』コンサートで歌われた、五輪真弓さんの『恋人よ』(M-11)が収録されていますね。
 
「この曲も、プロデューサーさんに薦められて歌ったんですが、五輪真弓さんが作詞作曲もされていることを知らなくて、その才能にも驚きました。こういう素晴らしい楽曲があることを知らない人も、最近では多いと思うんですよね。沢田研二さんの『時の過ゆくままに』(M-8)もそうですけども。こういう曲を誰かが歌い継いで、いろんな方に伝えた方がいいと思うんですよね。新しいものが生まれていくのは素晴らしいけど、いいものもちゃんと残していかないといけない。若い人は、シャンソンに古いイメージを持つかもしれないですけど、例えば、秋元さんが私の歌詞を書いてくださっているというところで、少しでも興味を持っていただけたらいいなと思うんです。年配の方には懐かしく感じていただけるでしょうし、老若男女に聴いていただきたいですね」
 
 

 


(2015年11月20日更新)


Check

Movie Comment

アルバムとライブを自らナビゲート
姿月あさとからの動画コメント!

Release

シャンソンのアレンジで蘇る名曲たち
3年ぶりのニューアルバム!

Album
『Chante~シャンテ~』
発売中 3240円
ビクターエンタテインメント
VICL-64432
※CDエクストラ仕様

<収録曲>
01. バラ色の人生
02. 夢の中に君がいる
03. ジェラシー
04. 約束の花束
05. ラ・メール
06. 人の気も知らないで
07. 爪
08. 時の過ぎゆくままに
09. 夜明け
10. そして今は
ボーナストラック
11. 恋人よ(「麗人REIJIN -Showa Era-
  コンサート」より)

<CDエクストラ収録内容>
・『ジェラシー』ミュージックビデオ
・『時の過ぎゆくままに』『約束の花束』
  メイキング映像

Profile

しづき・あさと…’85年に宝塚音楽学校入学。’87年に宝塚歌劇団雪組で初舞台を踏み、’98年には65年ぶりに誕生した宙組のトップスターに抜擢される。’00年の退団後はソロボーカリストとして、コンサートやミュージカルなど音楽活動を中心に、様々な分野で活躍。クラシックから歌謡曲まで、ジャンルに捉われない全方位型の“姿月あさと”というジャンルを日々、表現し続けている。’02年には石井竜也とのスペシャルプロジェクトでのCDリリース、コンサートツアーも開催。同年、国立競技場で行われたサッカーキリンカップで国歌斉唱を務めた。’10年には秋元康作・演出のミュージカル『Actress』に出演、’12年に同タイトルでアルバムもリリース。最新作は、11月4日にリリースされた『Chante~シャンテ~』。セルフプロデュースのライブステージ『THE PRAYER』は’03年に初開催され、今年で10回目を迎える。

姿月あさと オフィシャルサイト
http://www.shizukiasato.net/


Live

自らプロデュースするライブシリーズ
が記念すべき10回目! 初日は大阪公演

Pick Up!!

【大阪公演】

『THE PRAYER X』
チケット発売中 Pコード276-208
▼11月26日(木)16:30/19:30
ビルボードライブ大阪
自由席8000円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※未就学児童及び高校生同士の入場不可。
18歳未満は成人の同伴­が必要。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【名古屋公演】
▼11月27日(金)名古屋ブルーノート
【東京公演】
▼11月29日(日)・30(月)コットンクラブ

Comment!!

ライター黒石悦子さんからの
オススメコメントはこちら!

「’98年に宝塚歌劇宙組の初代男役トップスターに大抜擢された姿月さん。’00年の退団公演では観客動員数が当時の史上最高を記録したという、実力も人気も圧倒的なスターでした。当時まだ宝塚歌劇に触れたことがなかった私は、残念ながら姿月さんのタカラヅカ在団中のお姿を観たことがありません…(泣)。しかし、梅田芸術劇場でのOG公演で拝見したとき、その素晴らしい歌唱力に鳥肌が立ち、引き込まれていきました。今回リリースされたCDは、姿月さんのやわらかくて優しい歌声がマッチした曲ばかりで、目を閉じて聴いていると、ふわ~っと吸い込まれていくようです。そんな姿月さんは大阪出身で、とても気さくなキャラクターも人気の理由の1つ。ライブでは、圧倒的な歌と共に、MCでも楽しませてくれるに違いありません!」