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ホーム > インタビュー&レポート > 担ってるのか、担わされてるのか、宿命なのか、使命なのか―― BRAHMANの壮絶なる20年を注入した『尽未来際』 映画『ブラフマン』を経たアニバーサリーロード to 幕張メッセ! TOSHI-LOW(vo)が変革の歳月を語るインタビュー


担ってるのか、担わされてるのか、宿命なのか、使命なのか――
BRAHMANの壮絶なる20年を注入した『尽未来際』
映画『ブラフマン』を経たアニバーサリーロード to 幕張メッセ!
TOSHI-LOW(vo)が変革の歳月を語るインタビュー

 2枚組全42曲の物語を巡っていくと、いかにこのバンドが独立独歩の道を歩んできたかを、音で、言葉で、突きつけられる。結成20周年のアニバーサリー企画盤にしてフルボリュームの最強ベスト『尽未来際』(仏教用語で“永遠の未来”)のリリース、さらには、クリエイティブ・ディレクター箭内道彦が、初めて映画監督を務めたドキュメンタリー映画『ブラフマン』も公開されるなど、この男たちの激闘の20年を祝うプロジェクトが続いている。そして現在は、『尽未来際~畏友~』と題された対バンツアーをいよいよスタートさせ、各地で盟友とわたり合うBRAHMANは、その旅の終着点として11月14日(土)・15日(日)に幕張メッセ国際展示場にて、縁あるバンドが一同に集う『尽未来際~尽未来祭~』という盛大な宴を開催する。その生命を燃やし尽くすような絶え間なきライブデイズを礎に、紆余曲折を経た今もなお消えないヒリヒリを抱えたTOSHI-LOW(vo)が、この20年の心の機微を語ってくれた、4人のバンドマンの新たなる未来を描くインタビュー。



これが使命なのか宿命なのかは分からないけど
感覚としては“続けた”というよりは“続けさせられている”気がする
 
 
――今年は結成20周年ということで、こうやってインタビューされる機会も多かったと思いますが、話すことでまた自分の中で何かが変わってきたり、整理されたりすることはありました?
 
「逆に話すこととか20周年がなければ、気付かなかったことの方が多いというか。今も話してる中で、自分で20年をまとめていく作業をしてるから。普通はこういうタイミングのインタビューって、まぁどうしても似通ってくるでしょ? でも今回は何かね、あんまり似通ってこない。聞いてくれる人もあるんだろうけど、(BRAHMANを)見てる視点がやっぱりそれぞれ違うんだなぁって。だから結局、自分たちだけの20年だけじゃなくて、こうやって“見てもらってる”20年というか。そういう意味では、すごくおもしろい作業をさせてもらってる気がする。10年でこれをやっても、多分何も気付かなかったと思う」
 
――10周年のときは“昨日も今日も明日も10年も変わらない”みたいなことを他のインタビューでも言ってましたもんね。ヘンな話、このバンドのために祭りをしようと思う人たちがこれだけいるのが、20年というのはありますよね。
 
「うんうん。だからね、最終的には祝ってもらってる感がすごいある」
 
――単純に思ったんですけど、TOSHI-LOWさんってBRAHMAN以外で20年続けてることってあります?
 
「生きてることぐらいでね…でも何かね、何をやっててもバンドのこと、歌うことに結びつけちゃうの。何だろう…? 子育てをしてても、家のことをやってても、“これはこうしたらいいんじゃないか?”って、歌のことばっかり考えてる。でもそれはね、初めっからそうだった気がするというか」
 
――そういった意味で言ったら、音楽って何をしてても還元出来るじゃないですけど、悔しくても悲しくても楽しくても、何かしら音楽にはなりますよね。
 
「それ太字で行きましょう!」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「そうなんだよね。だから、決して“幸せなこと”が=“いい歌を作る”わけじゃない。自分の中の浮き沈みであったり、社会の中での浮き沈みも、全てがフィードバックして戻ってくる歌は、やっぱりおもしろい表現方法ではあるなぁって。今はたまたま生きてるけど、もし死んだとしても、それはそれで曲が残ったときに、例えば“短い生涯をこの曲に込めた”ものになったとすれば、作品としてはすごいものになるじゃない?」
 
――何かこう、もう手が届かないというか、変えようがないものだからこそ美しく見えたりもしますもんね。
 
「逆に長く続けちゃって美しくなくなっていくものの方が多いじゃん? この業界に入って、大人とか社会の裏側を見ちゃった、みたいなこともあるわけじゃん。そうなると、ワクワクすることや、ピュアな気持ちがドンドンなくなっていく…はずなのに、今年20周年をこうしてやらせてもらってて、まだまだバンドにも、音楽にも、ワクワクしてる自分がいるのは、この20周年をちゃんと振り返らせてもらってるからなんじゃないかなぁって。何かね、話せば話すほど、やっぱりバンドを始めた頃だったり、20年前のことから話すじゃない? そうするとさ、やっぱりそのときの鼻の奥に残ってた“匂い”みたいなものが蘇ってくるの。自分の気持ちが何かヒリヒリする感覚が、まだまだ残ってて。俺、大人になってその感覚が消えちゃったんじゃないかな?って思ってたの。そうしたらさ、まだまだこんなに残ってたんだ~!ってさ」
 
――いろんな経験を積むから分かることもあれば、分かってしまったからこそ出来なくなることもある。怖いもの知らずだったからこそ行けた場所とか、出来ることがあるように。そんな20年の中で、そのヒリヒリがまだ自分の体内にあるんだと確信出来るのは嬉しいですね。結局、自分だけは誤魔化せないですから。
 
「そうなんだよ。普通さ、若い頃は飛び降りられたけど今は出来ない、みたいなことになるじゃない? けどね、俺は今それがすごく分かった上で、それでも飛び降りられると思ってるの。むしろ20年前より全然強いというか…自分の中の矛盾みたいなところで生き辛かったところが、もしかしたらズルいのかもしれないし、力がただ単に強くなったのかもしれないけど、“抱えられてる”というか」
 
――いろんなことを知った上で尚、実行出来る自分がいた。でも、それは=出来ない自分を感じた時期も、この20年にはあるということですよね?
 
「感じてたよ、ずっと。前にも話した、震災前にもう音楽を辞めようと思ってたときは、多分どちらかを諦めてたんだと思うし。今みたいなヒリヒリした感覚はもうないんだって、思い始めてたんだと思う」
 
――そこで辞めていたら、今のこの感覚を味合わずに音楽人生が終わっていたと思うと、不思議ですね。続けることってやっぱり。
 
「簡単に“それが運命だった”とかは言いたくなくて、これが使命なのか宿命なのかは分からないけど、感覚としては自分が“続けた”というよりは“続けさせられている”気がするというか。どういう風に進んでも結局こうなった気もするし、結果は、今っていう人生は、1つしかないから」
 
――何かの道を選んだら、同時にもう1つの道はなくなりますもんね。
 
「そう。だから、決まってるんだけど決まってない、でも、決まってないことを選んでるみたいな感覚というか。それが良かったか悪かったかで言うと、そこは十分幸せだと思ってるし、嬉しいなと思うことはいっぱいあるんだよ」
 
 
効率とか数字とか、そういうことで物事を考えてしまったら
俺たちの20年は絶対にない
 
 
――アニバーサリーの企画盤『尽未来際』は、そんなBRAHMANの壮絶な20年の歴史をたどれるわけじゃないですか。ただ、このテンションとかエネルギーでバンドを続けるのは凄まじく消耗する。ヘンな話、若いときに限った表現であっても何らおかしくない。それでこのバンドが20年歩んできたのは、改めてすごいことだなと。
 
「初めはもちろん“若さの爆発”だったんだろうね。だけど結局、自分たちは“若さの爆発”ではなく、もっと大きく“生命の爆発”であることを選んだんだと思うし。さっきの話じゃないけど、その間にあったいろんな事故だったり、トラブルだったり、過酷なライブだったりは何のためにあったのか? 生命をここまで爆発させられるように、鍛えてもらったっていうことだったんじゃないかなぁと思う」
 
――今、振り返ると、それすら何かに導かれてるような気がするというか。
 
「そうそうそう。決まってたんじゃないかなって、思うぐらい」
 
――あと、過去は変えられないけど、その過去を変える唯一の手段が未来を変えること、というか。これからの“行動”で過去の意味合いすら変化してくるのは、すごく力をもらえる気付きですよね。
 
「そう。箭内(道彦)と映画『ブラフマン』を作らなければ、自分の中でも“消化”し切れない過去が多分あったと思うし、それをさらに“昇華”してもらったというか…NABE(初代b)の弟とかのためにとも思ってやったけども、結局はそうじゃなくてさ、俺に対して、今後の未来に対して、胸のしこりが1つ取れることになるから。その結果、過去=変えられないものが変わって、未来も変わってくっていう、ありえないことが起きていくというか」
 
――しかもバンドだけではなかなかどうにもならなかったことが、BRAHMANを知る周りの誰かにきっかけをもらって、そうやって変えていけるのは。
 
「やっぱり映画もほら、観に来てくれる人がいなければ成り立たないじゃない? 実際、“俺らなんか映画にしておもしろいのかよ?”って思ってたし。ただ、やっぱり観てくれた人の反応とかを見ると、それをみんながもう1つ踏み越えてくれたというか…結局、DAISUKE(元g)のことも、NABEのことも、みんなに観てもらったことによって…何だろうな。多分彼らにも、わだかまりはないんじゃないかな?って想像が出来るというかね」
 
――自分たちを愛してくれる人たちが、ちょうど20周年のタイミングで作品として関わってくれたことによって、何か全てを拾い上げてくれる感じというか。他にも、“こんな感じで曲を作ってるんだ”っていう単純なところからも含めて、映画は興味深かったです。ああいう風に最初にサウンドやアレンジを作り込んでいけば、そっちの良さは極めていけると思うんですけど、がっつり出来上がったそこに後からメロディを乗せるのは、かなり難しくないですか?
 
「ムズいね。いいとこ取られちゃってるんだもん。ただ、最後にメロディを乗せる段階でね、みんなが少し変えられる余地を残してくれてて、少し未完成のまま完成を迎えてるの。その全部やり切ってない感じも、俺はすごくいいんじゃないかなって実は思ってて。昔の浮世絵とかってさ、完成させなかったっていうんだよね。要は9割5分ぐらいで完成してないから、そこに人が入る隙間があって、心が、勝手に物語を作れる。完璧なものを押し付けて“これはこうなんだ!”って言うんじゃなくて、そこにちょっとだけ相手が入れる間を作ることによって、俺がそこにスッと入ったり、逆にちょこっと隙が残るんだけど、そういうところが聴いてる人が何か自分のものにしてもらえるところなのかな?って、この間思った(笑)」
 
――その肌感覚みたいなものを共有出来ているメンバーなんですね。いや~でもおもしろかったですよ。メンバー同士で割と言いたい放題言う感じとかも(笑)。
 
「言うよね、みんな(笑)。何かね、自分でも俺はワガママだと思うし、突出してるとは思うけど、それでもね、みんなもホントキ●ガイだよ?(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)。いや、でもそうでしょうね。あの引っ張り合いがないと、この四角形にはならない。
 
「そうなんだよね。誰かが弱かったり、誰かが誰かのことをカバーしちゃったりっていう感じだと、こういうバンドにはならないんだよ。ただ、フロントマンとして自分が前に出ていくことはすごくあったし、バンドとしては基本的には歌詞しか言葉を持たないバンドだったから、自分が行ってとりあえず説明するというかさ。そのやり方が一番やりやすかったんだよね。ワントップでやっていく見え方が、当時の自分たちが進むスピードとしては、流線型として一番速かったんだよ。ただ、震災以降はもう歌詞以外の言葉を話すようになったし、メンバーも目に見える人格以外におもしろいところがあることを、別に隠す必要がなくなったというか。でも、四角形ってすげぇ風当たりが強いじゃん? けど、今よりもっと速いスピードで走りたいの。そんなの無理だって分かってんだよ? 無理だって分かってるけど、絶対そうしたいの。分かる?」
 
――そうやってここまでこのメンバーでやってきて、それでもまだ“こういうことがしたいんだ”って今すごく楽しそうに喋ってる。それですよね。
 
「それでぶっ壊れて終わりたい。それで風に耐えられなくてぶっ壊れるんだったら全然いいんだよ。そんな未来系の形にならなくていいのよ。もう四角くて無骨なまま300キロ出たりとか(笑)」
 
――それで“ボカーン!”ってね(笑)。
 
「そういうこと! そこからが勝負だから。風圧に負けるのか、それとも俺たちが走り切れるのか。普通の人だったらそんなこと考えないだろうけど(笑)」
 
――そうですよね。ここまで続いたものを、わざわざ終わる可能性もはらんでる方向には進もうとは思わないかもしれないですね。
 
「もっと楽な方法があるよね。例えば、何に関しても効率とか数字で考えていけば、そんなの間違ってるって思われるだろうけど、俺はむしろそっちが間違ってると思ってるから。効率とか数字とか、そういうことで物事を考えてしまったら、俺たちの20年は絶対にない。あったとしても、この形では絶対にない。何かもっと普通のバンドだったと思う。明日が来るのか、10年後が来るのか、30周年を迎えられるかもしれないし、ただ30周年を迎えるための活動をしたいわけじゃないからさ」
 
――長く続けること自体が目標ではないと。
 
「あくまでも、走ってたらそこにいたっていうことが目標であってね。そりゃ普段はみんなケンカしない努力はしてると思うし、お互いに気を使ってると思うし。でもたまにはね、“何だよ、その言い方?”みたいなのもあっていいと思うんだよ。男の子だからね、俺たち(笑)。ただ単に気を使って丸くなってくのはつまらないよね」
 
――映画の劇中でも、メンバーがそれぞれ“BRAHMANとは?”と聞かれて、“バンド”と同じ答えが返ってきたりもして。それこそまさに“バンド”だなぁって。
 
「バンド以外の表現は、別に俺は求めてないんだよね。だから、“バンドで何を表現したいんですか?”じゃなくて、“バンドになりたい”んだよ。何でバンドマンになりたかったのかって言ったら、金持ちになりたいとかそういうことじゃないの。“バンドマンになりたかった”の。だから、始まったときが、もうゴールなわけだよね。始まったときに夢の真っ只中にいるわけだから。そこから後は、バンドマンとしてカッコよくありたいなとか、そういう風に努力したいっていうだけの話でさ」
 
 
回り道は多いけどそれで知ったこともたくさんあるし
つまづいて気付くこともいっぱいあったから
 
 
――あと、映画『ブラフマン』の主題歌でもある『其限』(M-8:DISC2)で、ある種のテーマをもらって詞を書くということにTOSHI-LOWさんは挑戦してましたよね。
 



「でもね、この間改めて思ったんだけど…これは誰にも言ってないけど、種を明かせば、多分箭内があのテーマをくれなくても、同じテーマを自分で自分に出したんだと思う。初めにメロディだけでフムフム言って、何となく言葉を弾き出すことがあるんだけど、もうその段階で命題が決まるのよね。じゃあそのときに何をしてるかというと、自分で自分が今書くべきことを捻り出してるわけ。俺は多分、箭内があの一通のメールをくれなくても書いてたと思うし、もっと言っちゃえば毎回それをしてきてたんだと思う。ただ、今回みたいな明確な形はもちろんなかったけど」
 
――なるほど。じゃあヘンな話、“答え合わせ”みたいなところがありますね。
 
「あるある! いや、むっちゃ答え合わせというか、すごく試されてる感じがしたよ(笑)。いつもはさ、自分だけの正解のない答え合わせになっちゃうけど、今回はちゃんと出題者がいて、しかもそれを作ってる過程から見てるから、この曲が何点なのか、みんなが分かるわけ。だから逃げも隠れも出来ないし。でもね、『其限』の歌詞がよかったかどうかは全員が採点していいんだけど、今回はそれが気にならないのよ。人の目とか評価って、多分100%中2%ぐらいだと思うけど、やっぱり気にしてる自分もいるわけで。それが『其限』に関してはないんだよね。かと言って別に“別に何点でもいいよ、あんたの好きなようにして”とか放り投げてるわけじゃなくて。でも、別に自信があるとかでもない。じゃなくて、苦しんでるけど、本当に心の中から素直に書いたんだろうなって気がするんだよね」
 
――今改めてそれが出来たのは何なんでしょうね? まだ成長してるということなのか。
 
「そうねぇ~っていうか、この程度しか成長しないで20年やってこれたことがすごいなって思うの(笑)。逆に言えば不器用でよかったと思う部分もあるし、まぁ回り道は多いけどそれで知ったこともたくさんあるし、つまづいて気付くこともいっぱいあったから。それが自分にとっては一番の、もしかしたら近道だったのかな?とも思うし」
 
――弱さとか矛盾って若い頃は素直に認めたくないというか、もちろん改善したいものだし、解決したいことですけど、その上でどうするのか?っていう境地になっていくのが、年齢もそうですし、さっきから話してきた導きもそうですし…何か今はいろんなタイミングが集まってる感じがしますね。
 
「だからおもしろいよね。20周年とかでグッと集まる。だから、自分たちがやってることなんだけど、やっぱり自分たちがやってない気がしちゃうんだよね(笑)」
 
――『其限』の歌詞って、要は歌詞カードを見なくても頭に入ってくるぐらいじゃないですか。今年のフジロックでTOSHI-LOWさんがTICAのフィーチャリングで歌ってて。ゆらゆら帝国のカバーとかをやってたときに改めて、TOSHI-LOWさんの声が好きだなぁと思ったんですよね。今回の『其限』が特になんですけど、BRAHMANの音楽には言葉のパワーがめちゃくちゃあるけど、この声だから入ってくるというか、納得出来るんだろうなぁって、そのときにちょっと思ったんですよね。
 
「へぇ~。何か自分で自分の声が好きって思ったことがないからさ。これしかないからヘンな自己愛はあるけども、やっぱり他の人のことが羨ましいし。でも歌はさ、練習すれば上手くなるけど“声質”は変わらない。そういう意味で、自分の声を聴いてくれて“声がいい”って言われることは、もう存在を認められてるようなもんじゃん。それはすごく嬉しいよ、やっぱり」
 
 
20年続いたものに関して感謝や喜びや楽しさがあるんだったら
それもちゃんと伝えていかないとズルいなって今は思ってて
 
 
――こういった今回の一連のプロジェクトの流れを組んだのは?
 
「流れも何も、基本的にはもう全部、出たがりディレクターが…ね?(と言ってスタッフを見る) インタビュー受けます?(笑)」
 
(一同笑)
 
ディレクター西村氏「今回は取材とか立ち会うのホント辛い…」
 
「アハハ!(笑)」
 
――映画でもめっちゃ喋ってましたもんね(笑)。あと、友人で俳優の(井浦)新さんとかもすごく的確というか。ずっとBRAHMANを観てきた人ならではコメントで。
 
「新と西村に関してはカチン!ときましたけどね、こっちとしてはね(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「まぁみんなね、それだけ愛情があるってことはすごく感じるところだから。本当のことだしね、全て(笑)」
 
――映画もアニバーサリーの企画盤もあって、今年はホントに“祭り”だなぁって感じがして。嬉しいですね何だか。
 
「うん。だけど今まではさ、音楽に関しては、嬉しくなったり楽しくなったりしちゃいけないと思ってたんだよね。短く、太く、激しく、刹那に終わっていくことがカッコいいと思ってたから。でもさ、20年続いたものに関して感謝や喜びや楽しさがあるんだったら、それもちゃんと伝えていかないとズルいなって今は思ってて。だから、喜ぶところはみんなで“20年よかったね”って言わないと。これからの未来に対してまたヘンな嘘をついちゃっても、ドンドン自分たちが弱くなってしまうから。今まで歌ってきた死に対して、生きてく矛盾に対して、それを超えた何かを得るためには、やっぱり喜びとか楽しみもしっかり踏まえて、そのときにまた何かが出てくるのかもしれないし。何かさ、“BRAHMAN”と“喜び”の組み合わせって、あんまりないじゃん?」
 
――そうですね(笑)。
 
「“BRAHMAN”と“楽しみ”とかもあんまないでしょ?」
 
――喜怒哀楽で言ったらない方の感情ですよね。
 
「でも、みんなバンドが楽しくてやってるんだよね。4人ともそうだと思うし、観に来てるヤツもあんな顔してグァーッ!って暴れてるけど、楽しんでるんだよね」
 
――TOSHI-LOWさんって、ライブ中にお客さんの顔を見て泣きそうになったりすることってないですか?
 
「お客さんの顔を見て泣きそうになることはないけど、最近は自分が支えられてることがすごく分かってるから…まぁ実際に上に乗っても支えてもらってるけど(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) 物理的にね(笑)。
 
「そうそうそう(笑)。あと、俺らの歌ってあんまりシンガロングじゃないんだよ。と言うのも、そこまで難しいことはやってないけど、やっぱりヘンなメロディを付けてるし、ちょっと分かりづらいところもあるから。プログレッシブな意味じゃなくて、自分の手癖みたいなね。それがさ、今はすごいんだよ。『鼎の問』(M-9:DISC2)に関しては、結構みんな歌うのね。それこそ泣きながら歌ってるヤツとかもいて。あれが何かさ、泣きそうになるとかグッとくるじゃなくて、すごく心地いいところにいる気がする。“黙ってろ! 俺が歌ってんだよ!”みたいな感覚ではなくて、かと言って“じゃあみんなで歌いましょう!”っていうのも一生やらないと思うけど、ああやって自然にブワーッて歌声が聴こえてくるのは、何だか夢の中にいるみたいだなぁって、すごく思う」
 
――これを“職業”と言っていいのか分からないですけど、すごい役割を担ってますね。担ってるのか、担わされてるのか。宿命なのか、使命なのか。
 
「ね。ま、それがあるとしたら全うするだけだなぁと思ってる。全うするためには何が必要なのかを考えて生きていけばいいし、そこに対してはまだまだいけるんじゃねぇか?って思ってるし。もちろんこの20年は大変だったと思ってるんだけど、本当に100%努力したのか?って言われたら、やっぱりしてないんだよ。好きなことだし、好きなことだから努力と感じないのは当たり前だし、何をやったって苦しいことだって楽しんだよ。さっきの話で言ったらさ。だけど、自分がなりたいものに関して、もっと努力出来るんじゃないか?って最近は思ってきてて。何故なら努力と感じてないんだから、まだまだ出来るでしょ?って。努力するのは苦しいと思うぐらい、まだ出来ると思ってる。それが楽器を覚えることなのか、音楽理論を知ることなのか、人間的に豊かになっていくことなのか、肉体的に強くなることなのか、何をすればいいか的確に分かってるわけじゃないけど、まだまだ努力出来ると思ってる」
 
――うわぁ~20年走ってきたバンドに“まだまだ努力出来ると思ってる”って言われたら、その背中を見てるバンドは、もうやるしかないですね。
 
「“自己最高記録出してぇ!”って、いまだに思ってるからね。これ、言ってることが誰かに似てるなと思ったら、武井壮だね(笑)」
 
(一同笑)
 
――肉体のフォルムもね(笑)。この一連のイイ話で、まさか最終的に武井壮にたどり着くとは(笑)。
 
「ヤベェなぁ~対談しようかな~(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) そして、ツアーでは大阪に2回来るというありがたい話で。何で大阪だけ2回なんですか?
 
「大阪が好きだからじゃないですか?(笑) でも、大阪も何か一時期全然縁がなくてね。でも、最近はまた来るようになって、そうすると友達もやっぱり増えるし、横とか縦のつながりがドンドン出来てくるし」
 
――その終着点として幕張で2DAYSがありますけど、ここには本当に最強の仲間たちがいっぱい集まってきますね。
 
「まぁでもね、ここはお祝いされる側なんで。ライブの良し悪しとかじゃなくて(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) 何で今からエクスキューズ入れるんですか!(笑)
 
「いや何か、楽しみたいなぁって」
 
――“楽しみたいなぁ”ってライブに関して言うのは、何だか新鮮ですね。いいですね。
 
「うん。多分言ったことがないと思うんだよね。でも、楽しみなんだよね。楽しみだし、楽しみたい。もちろんライブは毎回楽しみだよ。ワクワクするよ。だけど、この日は本当に、心からリラックスした状態で、楽しみたいなって思ってます」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2015年10月 5日更新)


Check

Release

激闘の歴史を凝縮した全42曲
20周年をたどる2枚組ベスト!

Best Album
『尽未来際』
【初回限定盤A
(20th Anniversary Edition)】
発売中 11111円(税別)
TOY'S FACTORY
TFCC-86528
※プレミアムBOX+2CD+2DVD+
写真集(三吉ツカサ撮影・監修の
豪華写真集 オールカラー)
+DEMO TAPE(1995復刻版)

<DISC1収録曲>
[THE EARLY 10 YEARS]
01. TONGFARR
02. FOR ONE'S LIFE
03. SEE OFF
04. GOIN' DOWN
05. GREAT HELP
06. BASIS
07. SHADOW PLAY
08. PLASTIC SMILE
09. BOX
10. BEYOND THE MOUNTAIN
11. DEEP
12. NO LIGHT THEORY
13. Z
14. 時の鐘
15. ARRIVAL TIME
16. THAT'S ALL
17. THERE'S NO SHORTER WAY
IN THIS LIFE
18. ANSWER FOR…
19. NEW SENTIMENT
20. ARTMAN
21. THE SAME

<DISC2収録曲>
[THE LAST 10 YEARS]
01. 初期衝動
02. THE ONLY WAY
03. 賽の河原
04. THE VOID
05. 露命
06. EPIGRAM
07. SPECULATION
08. 其限
09. 鼎の問
10. A WHITE DEEP MORNING
11. DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
12. CIRCLE BACK
13.( a piece of)BLUE MOON
14. 遠国
15. FAR FROM...
16. CAUSATION
17. LOSE ALL
18. 警醒
19. PLACEBO
20. 霹靂
21. 虚空ヲ掴ム

<DVD1収録内容>
[20th Anniversary Movie 尽未来際]
過去のインタビュー映像やライブ映像、
未公開映像など、BRAHMAN20年の歴史に
迫るハイライト映像集

<DVD2収録内容>
[CLIPS]
01. DEEP
02. ARRIVAL TIME
03. PLASTIC SMILE
04. BASIS
05. A WHITE DEEP MORNING
06. THE VOID
07. CAUSATION
08. SPECULATION
09. HANDAN'S PILLOW
10. 逆光
11. SILENT DAY
12. ROOTS OF TREE
13. 賽の河原
14. 霹靂
15. 露命
16. 警醒
17. 鼎の問
18. 初期衝動
19. 其限


【初回限定盤B】
発売中 4167円(税別)
TFCC-86529
※2CD+2DVD

【通常盤】
発売中 3,000円(税込)
TFCC-86530
※2CD

<収録曲>
同上

Profile

ブラフマン…写真左より、KOHKI(g)、RONZI(ds)、TOSHI-LOW(vo)、MAKOTO(b)。‘95年結成。パンク、オルタナティブ、ハードコア、ラウドミュージック、フォークロアをも飲み込んだ独自の音楽性と、圧倒的なライブパフォーマンスを持ち味に、精力的なライブ活動を展開。インディーズ時代より絶大な支持を得る。今年、結成20周年を迎え、7月には2年10ヵ月ぶりとなる新曲『其限』を、8月12日にはアニバーサリーベスト『尽未来際』を発表。クリエイティブ・ディレクター箭内道彦が、初の映画監督を務めたドキュメンタリー映画『ブラフマン』も全国ロードショーされるなど話題に。9月29日の愛知を皮切りに対バンツアー『尽未来際~畏友~』がスタート、11月14日(土)・15日(日)には千葉・幕張メッセ国際展示場にて『尽未来際~尽未来祭~』を開催する。

BRAHMAN オフィシャルサイト
http://www.brahman-tc.com/
BRAHMAN 20周年特設サイト
http://brahman20th.com/

Live

アニバーサリーイヤーを飾るツアー
ラストは狂乱の幕張2DAYS!

 
『尽未来際~畏友~』

【愛知公演】
▼9月29日(火)名古屋ダイアモンドホール
[ゲスト]clammbon
【大阪公演】
▼10月1日(木)なんばHatch
[ゲスト]envy
【福岡公演】
▼10月4日(土)福岡 DRUM LOGOS
[ゲスト]EGO-WRAPPIN' AND
THE GOSSIP OF JAXX

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼10月6日(火)19:00
BIGCAT
オールスタンディング3500円
[共演]locofrank
GREENS■06(6882)1224/
SMASH WEST■06(6535)5569
※中学生以上は有料。小学生以下は保護者同伴に限り無料。

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼10月8日(木)名古屋クラブクアトロ
[ゲスト]toe
【宮城公演】
Thank you, Sold Out!!
▼10月18日(日)仙台Rensa
[ゲスト]HAWAIIAN6
【新潟公演】
Thank you, Sold Out!!
▼10月23日(金)NIIGATA LOTS
[ゲスト]高橋優
【北海道公演】
▼10月30日(金)サッポロファクトリーホール
[ゲスト]MIGHTY CROWN

Pick Up!!

【千葉公演】

『尽未来際~尽未来祭~』
チケット発売中
Pコード272-142/781-780(2日通し券)
▼11月14日(土)・15日(日)昼12:00
幕張メッセ 国際展示場
オールスタンディング8500円
2日通し券15000円
[11/14(土)共演]BACK DROP BOMB/COCOBAT/COKEHEAD HIPSTERS/HUSKING BEE/MONGOL800/SCAFULL KING/SLANG/他
[11/15(日)共演]ACIDMAN/THE BACK HORN/エレファントカシマシ/HEY-SMITH/the HIATUS/MAN WITH A MISSION/SiM/ストレイテナー/10-FEET/他
ホットスタッフ・プロモーション
■03(5720)9999
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。

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チケット情報はこちら

 

Column1

声を上げる覚悟はあるか――?
震災を越えたどり着いた
5年ぶりのアルバム『超克』、
『AIR JAM』復活の舞台裏etc
BRAHMANの今を裏話満載で語る
TOSHI-LOW公開インタビュー!

Column2

LOSTAGEの五味岳久(vo&b)と
TOSHI-LOWが熱く語る!
人気連載『奈良からの手紙』で
ガチンコ対談が実現!!

Comment!!

トイズファクトリー大阪宣伝
豆畑宏さんからのオススメ!

「今ではこうしてBRAHMANとお仕事させていただいていますが、そもそも僕は高校1年生のときに初めてBRAHMANの音楽に出会い、大げさかもしれませんが、僕の人生に大きな影響となり、それがまさかこうして仕事をご一緒出来るとは、まさに青天の霹靂です。そんなBRAHMANは結成20周年というアニバーサリーイヤーです。11月14日(土)・15日(日)には『尽未来際~尽未来祭~』と、幕張メッセ国際展示場で大きいライブも控えています。幕張メッセを含め、ライブ会場で会いましょう! そして今のBRAHMANを感じてください」