「曲で人とつながれた瞬間に、一気にエクスタシーが来る」
ライブと喪失感が起動させた真性ポップマエストロ
ビッケブランカの輝けるニューモードを語れ――
ツアー開幕に捧ぐ『GOOD LUCK』インタビュー&動画コメント
リスナーの好奇心を刺激しまくる洋邦ハイブリッドなポップミュージック、軽やかにスウィングするファルセットボイスで、シーンに衝撃を与えた1stミニアルバム『ツベルクリン』から10ヵ月。ビッケブランカが早くも2ndミニアルバム『GOOD LUCK』を完成させた。今作では、己の“過去”が作らせた前作に伴うワンマンツアー、そして、思いがけず人生に訪れた過去最大の喪失感を得た真性ポップマエストロが覚醒! 以前から親交のあった佐々木ヤスユキ(g・ex.bonobos)、山崎英明(b・ex.School Food Punishment)、畑利樹(ds・ex.東京事変)ら名うてのプレイヤー陣と己の音楽的DNAを信じ、3日間で瞬殺レコーディングした躍動感溢れるバンドサウンドに、お得意のストーリーテリングを超えた生身の感情をえぐり出した言葉の弾丸7発を装填し、問答無用のポップアルバムに転換させた会心の1枚だ。音楽家として抜群のバランス感覚を持ちながら、人としてのアンバランスさに日々翻弄される愛すべきピアノマンは今、失っても高らかにこう歌う。“人生 Fabulous(=最高)”! 音楽に突き動かされ、音楽でコネクトする、ビッケブランカのセカンドステップに迫る。
ワンマンライブで感じたことが、今回のアルバムにはすごく影響を与えてます
――今回の音源には間違いなくつがってると思うけど、前作『ツベルクリン』(‘14)以降の日々はどうでした?
「今思うと、『ツベルクリン』で、ギター、ベース…全部の楽器、責任を持って1人で音楽を作るということをちゃんとやり切れた感じがしますね。ただ、そういうアルバムを引っ提げたワンマンライブで、伝えたいこととか歌いたいことは何となく分かってはいるけど、やっぱり自分1人で作ったものを外に向けて人に届けるとき…ギャップがあっていいのかもしれないですけど、それが“ある”と感じられたのが、結構大きい収穫だったのかなって。まぁノリ切れないわけでもないし、あのツアーはやり切れたんですけど、同時に“もっとやれるな”ってすごく感じた。ワンマンライブで感じたことが、今回のアルバムにはすごく影響を与えてますね。本当にきっかけでしたね、ワンマンが」
――それはでも、今までのライブでは感じなかった感情なんやね。
「感じなかったですね。何なのかな…僕は元々、ライブを観て“うわ、カッコいい! この人になりたい!!”って思った人間じゃなくて、マイケル・ジャクソンを聴いて“何これ!?”ってCDから音楽に入っていった人間なんで、やっぱり音源化することが自分の中では意外に大きいことだったんですよね。それまでは、曲はあるけどそれが形になってたわけでもないし、ライブはしてたけど別に音源はない。初めの核が出来たことが大きかったんだなぁと。だからリリースありきのワンマンでの気付きだとは思うんですけど」
――そう考えたら、ようやく真っ当なミュージシャンの手順を踏んだ、みたいな。
「そうなんですよ。それを感じてます。」
――曲はストックも含めて結構あるでしょ? でも、それだけじゃ違う感じがしたんやね。
「ストックはだいぶあるんですけど、もうないものと考えようって。ハードルを引っ張り上げて、昔、自分が思い付いたメロディや歌詞のアイデア程度のものは当てにしない。そういう意味でも、『GODD LUCK』では“今の自分”をしっかり出し切れたかなと。あのとき感じた感覚…『ツベルクリン』のツアーで“この言葉をもっと強く伝えたいんだけど何でだろう? 歌詞が違うのか、サウンドが違うのか、何なんだろう?”って考えて、もっとバンドサウンドとか勢いのある音に、しっかり言葉を乗せて届く音楽を作りたいと思ったんですよね。あとね、やっぱり音楽に関わってるときは、もう楽しくて楽しくて仕方がない。今回は3日間でバババーン!と録ったんですけど、毎日ずーっとフルテンション(笑)。だからか、レコーディングが終わった後に、バターン!と寝ましたけどね(笑)」
――そして、人と一緒に音楽を作り上げるおもしろさに。
「気付いちゃいましたね。今までは、ドラムとかベースのラインもガッツリ作ってたんですけど、今回は歌が届くようにっていう最低限のものだけにして、あとはそれぞれ、餅は餅屋でと。それぞれが信頼出来る楽器の天才だと思っているのでその人たちに任せて、俺は歌詞を書いて歌う。そういう分業がしっかり出来たのがよかったなと」
実は俺、大失恋したんですよ!
――シンガーソングライターにとって言葉の持つ役割はデカいけど、ビッケブランカに関しては、やっぱりサウンド的な面白味が持ち味だと思うから、言葉に意識を持っていくのはある種のチャレンジだったんじゃないかと。
「洋楽をずっと聴いてきたところから日本語にトライしていく中で、ユーミンとか竹内まりやの歌詞に触れ、“日本語だと逆にこういうことが出来るわけか”とか、“グッとくるってこういうことか”と知って。音楽的なハイブリッド感とか楽しさは自然と培ってきたものだから意識しなくても自ずと出るんで、今は歌詞を書く喜び、言葉のすごさに気付いたビギナーが、そこともっともっと向き合って上げていくところというか。サウンドはある程度のアレンジでもちゃんとやりたいことはやれてるんで、今まで培ってきた自分の感覚を信じて、歌詞に集中しようみたいな」
――意識的に歌詞に取り組んだとき、自分のハードルを超えるものがすんなり書けたもんですか?
「『GOOD LUCK』も『ツベルクリン』と同じように、自分の1つの経験から脚色していって監督みたいに話を作っていく方法だったんですけど…実は俺、大失恋したんですよ!」
「アハハハハ!(笑)」
――でも、今までにないレベルの喪失感があると。
「そう! “俺の今までの失恋は何だったんだ!?”っていうぐらい、強烈だったんですよね。“これが引きずるっていうことか…”みたいな」
「それはそれで、まだ今でも夢に見たりするんですけどね(笑)」
――アハハハハ!(笑) 基本的にビッケブランカの歌詞を見ていると、強烈なインパクトがあった相手が過去にいて、その後に一応いろんな人と恋をするんだけど、やっぱり常にその人と比べちゃって、それだと目の前にいる人も失っちゃうので、それはそれでまた曲が出来ていく、みたいな(笑)。
「アハハハハ!(笑) まさに!(笑)」
――でも、男ってそういうもんだなと思うしね。
「元々は自分の小さな体験、昔の一瞬を書いてきて。その小さな自分の分量が、今回はすごく増えたと思う」
――最も新しい記憶が追加されたんやね。
「そうなんです。なので、あまり脚色する余地がないぐらい、言いたいこと、伝えたい気持ち、“この気持ち分かってくれる?”っていうハッキリした感情が、そこで生まれてきちゃったんで。『SPEECH』(M-2)とか『TARA』(M-6)もそうなんですけど、自分の想いがポンポン出てきて、それが良いか悪いかは分かんないですけど、自分という人間の分量を増やして、自分の心をもっと深くえぐって、歌詞に出来たと思いますね、今回のアルバムは」
――例えば、学生時代を思い返してそれが強烈な体験だったとしても、不思議なもので時が流れると、思い出しはするけどやっぱり痛みは薄れていくというか。
「そうなんですよ。強烈に残ってて、絶対に忘れなくても、ハッキリとした絵だったものが、どんどん風景画みたいになっていく。何か無駄にキレイな絵になっていったりするんですよね」
――そう! いい思い出だけが美化されて残っていくもんね。まぁでも、『GOOD LUCK』に入っているのは、まだ十分にお腹が痛くなれる曲たちですね(笑)。
「ホントそれ(笑)。そう感じることによって、“俺もこんな風に思ったことあるなぁ…分かるわ、コイツの気持ち”って思ってもらえたら、このアルバムが出来た意味がある」
――やっぱり、ミュージシャンっていい職業やね。痛みすら曲になるから。
「そうですねぇ。初めてそれをね、すごく実感した(笑)」
音楽をやる意味が多少なりとも変わってきてるのに気付いた
――アルバムの冒頭を飾る『Wednesday』(M-1)はパリに行って詞を書いたとのことだけど、曲は昔からあったの?
「随分昔から、19歳の頃からありました。そのときは全然違う英詞で」
――『Wednesday』は詞だけ新たに書いたと。何か、『SPEECH』なことがあって、傷心旅行でパリ行って『Wednesday』を書いた、みたいに見えるよね。
「フフフ(笑)。もう完全に今の流れがドンピシャなんですけど!」
――アハハハハ!(笑)
「元々は東京で出会ったポールくんっていう友達が今はパリにいて。でも、『Wednesday』には、その大きな喪失感は1ミリも入ってないんです。なぜなら、そのときは記憶があまりに近過ぎて、まだ向き合えてなかったから(笑)。ただ、初めての1人旅でヨーロッパに来て、そこは全く別世界で、日本とは違う音楽が溢れてて、知らないことがいっぱいあって。まだまだ俺は行けるわってっていうことを、正直に歌ってる感じですね」
――そして、その発端となる『SPEECH』は、こんなやりとりを何百年も前から男はやってるんじゃないかと(笑)。やっぱり男は、好きな女に“好き”とはなかなか言葉にしない。女の人はやっぱり言葉にして欲しいんでしょうか?
(視線が集まる)
スタッフ「一斉に見るんですかこっち(笑)。いや、言葉にして欲しいと思いますよ」
――言わなくても分かるじゃん、じゃないんや。
スタッフ「いや、してもらえた方が嬉しい」
「それって毎日言われたいですか?」
スタッフ「毎日はちょっといいですけど(笑)、たまには」
「どれぐらいの頻度で?」
スタッフ「そういうもんじゃない(笑)」
――アハハハハ!(笑) 1年とか言われないと、不安になる?
スタッフ「1年はちょっと不安ですね」
「でもそれがさ、自分のことを大切にしてくれてるって肌で感じてもダメなんですか?」
スタッフ「でもたまには…」
「やっぱりちゃんとした言葉が要るんだ(笑)」
――だって“お前のこと好きだわ~!”とか改めて言わんよね? 好きだから付き合ってるんでしょうに。
「そうそう! 男ってそう考えるんですよね。好きだから一緒にいるに決まっとるやん!」
スタッフ「じゃあ言ってよって思いますよね」
「あぁ~もう食い違い! ハンパじゃない!」
(一同笑)
――男女の関係って難しいね(笑)。ただ、『SPEECH』は今に限りなく近い自分とは言え、結局はこれも過去じゃないですか。そう考えたら、これはやっぱりビッケブランカの真骨頂で。過去の恋愛で常に曲を書く男っていう(笑)。
「そう! それはもう全く変わってないです。全てにおいて、全部の曲で変わってない(笑)。その時間差が、ちょっと近くなってきてるだけ」
――そう考えたら、その言葉を搾り出すのは辛くはなかった? むしろそれによって自分が解放されたりするのか。
「うーん…辛くはね、やっぱりないんですよね。かと言って、全部吐き出せて気持ちいいわけでもない。そういう気持ちとか自分に起きた出来事を言葉にするのって、しっかり向き合わなきゃ書けないし、えぐり出せないわけで。逆に言うと、そうすることで向き合うことが出来る→歌詞を書く→想いをしっかり乗せることが出来る。それでもまだ嬉しくなくて、それを聴いてくれた人が“いい”って言ってくれたり、“分かるわ~”って言ってくれたり、その曲で人とつながれた瞬間に、一気にエクスタシーが来るというか」
――なるほど。そこはミュージシャンとしての成長が伺えるというか、しっかり自分の外とコネクトしてる。
「その感覚は実は『ツベルクリン』の頃からあったんですけど、自分では全く理解が出来てなかったんですよね。俺はマイケル(・ジャクソン)に憧れて、“こんな曲が自分でも作れた!”っていう喜びから始まってるから、どこかにまだその初期衝動があるものだと思ってたけど、やっぱり成長していく中で音楽をやる意味が多少なりとも変わってきてるのに気付いたんですよ。誰かが音楽によって変わる、何なら別に“嫌い”でもいい。何かを感じて、その曲がその人の人生で役に立つ。音楽で一瞬でもその人を慰めることが出来た瞬間に、“俺、本当に生まれてよかった”って思えるようになったんですよね、最近」
――今回、俺が何気にフックアップされたのは、『アシカダンス』(M-4)の“いざとなったらできるはずなのに僕たち”で。気付きがあって書き下ろした歌詞もそうやけど、昔からある詞でも、こういうパートが刻まれてたんやね。
「そうなんですよ。当時はそこに気付くことが全く出来なかった。それはリリース、ワンマンっていう経緯の中で、ゆっくりゆっくり気付いていった」
――そうなると、その気付きがあって、自分が過去に書いた曲を歌うとまた違うよね。今まで歌ってきた感覚とは。
「全然違います。俺もそれをすごく思いました」
そのドロドロを歌に変えている時点で、感覚がポジティブに切り替わってる
――さっき話にも出たけど、『TARA』は本当にロマンチックな曲というか、レパートリーの中でもかなりスウィートなラブソングで。サビの“逢いたくて すぐに逢いたくて”とかは何て素直な! でも、それが本当の気持ちだと。
「そうなんです(笑)。やっぱりそれしかないんですよ。どう遠回しにも言えない。“もうそれ以外、何て言えばいいの?”って感じなんですよ」
――で、『TARA』って何?(笑)
「最初にサビ頭の“TARA 君を忘れにきた 金曜日のフロア 想い出の唄よ”辺りの雰囲気が出来たんですよ。その後の展開は、その“想い出の唄”を君のいない街で口ずさんでる設定だったんですけど、リアルな気持ちがそこにあるから、歌詞を書いていく内にどんどん変わっていっちゃって。ただ、歌を口ずさんでる設定だった頃の“タラ~タラララ~♪”っていう鼻歌のフレーズが残っちゃったっていう(笑)」
――あと、今回のリードトラックの『ファビュラス』(M-3)は、ミーカとかバグルスの要素も感じさせるポップソングのオイシイとこどりみたいな曲で。歌詞の“さよなら バスは行く”は、ゆずとは関係あるの?(笑)
「ないです(笑)。ちなみにこの曲ってどう聴きました? 何でバスが行っちゃったと思います?」
――例えば、街を歩いてて“うわ、あの娘めちゃかわいい!”って思っても、その瞬間に何もアクションを起こさなかったら、多分もう二度と会わない。でも、それを奇跡と信じて行動にはなかなか移せない。そうやって通り過ぎて行ってしまった運命の残像みたいなものを描いたのかなって。
「なるほど。そういう風に“たった一度の奇跡があったのに、なくなってしまった”って捉えてくれる人が多いんですけど、バスが通り過ぎたのは何でかと言うと、今までの僕がいないからなんです。孤独で退屈だった寂しい日々にあなたと出会って“たった一度の奇跡で運命がガラリと変わる”ことによって、バスの運転手さえ気付かないぐらい、昔の自分はもういない。それぐらい僕は変わったって言いたいんですよ」
――すごい。何か予備校の講義みたい(笑)。
「アハハハハ!(笑) でも、意外とみんなにはそういう風に伝わってなかったっていう(笑)。要は最後のサビの“今までの僕なんて いなかったかのように/グレーの煙あげて 素通りしてったの停留所/Fu Fu さよなら バスは行く”が実はすごく言いたいことで、今まではチョンと書いた点をバンッと広げてたんですけど、この曲は広げてないんですよ。バスが通り過ぎて行った瞬間をパーン!って切り取ってるんです」
――なるほどね~。一転、全編英語詞の『You chick over』(M-5)は、何となく憂いみたいなものも感じますけど。
「これは5年ぐらい前にくすぶってたときに書いた曲で、“俺はこんなにいい曲を書いてるのに、何でお前らは気付かない?”みたいなことを歌ってる(笑)。自分が何も出来てないのに人に物を言うみたいなガキならではの不甲斐なさが、逆におもしろく出てるなって。すさみ、ひがみ、ねたみ、みたいな(笑)」
――もうドロドロのビッケブランカ(笑)。
「ただ、そのドロドロを当時の俺は歌っていたという事実。人に文句ばかり言うんじゃなくて、ちゃんとそれを歌に変えている時点で、もう感覚がポジティブに切り替わってる。それは逆にすごいことだと思ったんですよ。その感覚を歌に乗せて言葉に出来たという意味で、すごい好きな曲なんです。一番パーソナルで、めちゃくちゃ個人的な歌」
――そう考えると、『GOOD LUCK』には最も近しい自分も、5年前から地続きの自分も、ちゃんと今の解釈で入ってる。それこそ、アルバムの最後を飾る『Wake up sweetheart』(M-7)は、『MINAMI WHEEL 2012』の時点で反響があった曲が、ようやく音源化されて。ラストにふさわしい曲ですね。
「ビッグリズムというか大きいビートで、俺の中ではちょっとアンセム感がありますね。あと、『GOOD LUCK』というアルバムを、“昨日にSay Goodbye!”という言葉で締め括れたのがすごくよかった。俺はまだ未来を歌えないというか、今の自分を何とか変えるところまでしか歌えないし、ビジョンも全くないんですよ。未来をどうこうしたいわけじゃないから。“今”だから。“昨日にSay Goodbye!”は、そういう今の自分の歌詞が作る意味とか、大事にしてることもすごく含んでるから、それを最後にバーン!と言いたくて」
――『GOOD LUCK』というタイトルも、別れというちょっとネガティブなシチュエーションに“幸運を”というポジティブな言葉が共存してるのが、ビッケブランカの音楽を表しているようだと。過去に執着してきたビッケブランカが、今を言葉に出来るようになって、いつか未来を歌えるようになるかもしれない。
「そうなのかもしれないです。過去を見つめてた『ツベルクリン』、過去を見つめて今をどう幸せに生きようかと歌った『GODD LUCK』…ここからが大変だとは思うんですけど、いつかそうなっていくのかもしれない」
――今作に一貫してるのは、ポジティブな方向に人が向かう音楽というか、自分と向き合うだけじゃなくて、そこから一歩前進出来る。
「そう、その一歩が、前作との決定的な違いなんですよね」
ライブで完結させるぐらいのつもりでこのアルバムを作り始めたんで
――このレコーディングにも参加してくれたメンバーと巡るツアーもあって。ビッケブランカにとってライブもすごく重要なものになってきてますね。
「元々のテーマとして『GOOD LUCK』は前回のワンマンで思ったことから生まれてるから、次のワンマンではそういうことを1つ1つ解決したいし、ちゃんと伝わるものにしたい。その1つの方法として、レコーディングを共にしたメンバーとそのままの勢いでツアーをする。ライブで完結させるぐらいのつもりでこのアルバムを作り始めたんで、すごい楽しみですよ」
――やっぱり音楽を続けてたら、自分の中での言葉の位置付けとか、ライブへの感覚も変わるもんやね。
「そうですね。変わらないかと思ってたけど、変わりましたわ、やっぱり。でも、変化していくのが昔から好きだから。これからも変化していきたいし、もっともっと成長していきたい」
――いろんな後悔もしながら、いつか幸せに…幸せになれるのかな?(笑) 当分、幸せにならなさそうだし、ならない方がいい曲が書けそうだけど(笑)。
「ちょっと!(笑) でもね、もし俺が幸せになれたら、それは結局初めてのことなんですよ。初体験の驚きとか衝撃でバーン!と曲が生まれることがあるんで、そうなれる相手を見つけて将来を想像した瞬間、ブワーッと未来のことが書けるようになるかもしれない。それはもう分からないから、ただ真っ当に生きていく。生きていく中で」
――それが結局、曲になる。ビッケブランカの生き様が、やっぱり音楽になっていく。これからのビッケブランカはどうなっていくのでしょう?
「ちゃんと自分のやるべきことを理解して、何で自分が生きているかを考えて、心を開いて吸収しながら、音楽を作ってみんなに聴いてもらう。それだけをやろうと思います。“音楽しか出来ない”と言ってきた自分が、“どう音楽をやるべきか”というところまで、やっと考えが追いついてきたんで。一生懸命って簡単な言い方だけど、そうやって向き合うことかな、毎日と」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2015年8月20日更新)
Check
Movie Comment
とにかく勢いがあるのを伝えたい(笑)
ビッケブランカからの動画コメント!
Release
天性のポップセンスと言葉を磨いた
充実の2ndミニアルバムが誕生!
Mini Album
『GOOD LUCK』
発売中 1944円
No Big Deal Records
NBDL-0029
<収録曲>
01. Wednesday
02. SPEECH
03. ファビュラス
04. アシカダンス
05. You chick over
06. TARA
07. Wake up sweetheart
Profile
ビッケブランカ…’87年生まれ、愛知県出身。本名:山池純矢。軽やかな鍵盤と美麗なファルセットボイスを武器に、良質なポップソングを奏でるシンガーソングライター。『MINAMI WHEEL 2012』では楽曲人気投票で『Wake up sweetheart』が1位に。’14年7月に配信で『追うBOY』を先行リリース後、同年10月に満を持して1stミニアルバム『ツベルクリン』を発表。収録曲『秋の香り』がFM802の10月度ヘビーローテーションを獲得し話題となる。俄然注目度の高まる中、今年8月5日に2ndアルバム『GOOD LUCK』がリリースされた。ビッケはポルトガル語で“海賊の下っ端”、ブランカはポルトガル語とスペイン語で“白”を意味し、海賊という粗暴な現場で一生懸命雑用をしている人間が、後々船長になるという願いが込められている。
ビッケブランカ オフィシャルサイト
http://vickeblanka.com/
Live
強力なレコーディングメンバーと巡る
東名阪ワンマンツアーが遂にスタート
『GOOD LUCK TOUR 2015』
【名古屋公演】
チケット発売中
▼8月21日(金)19:00
ell.FITS ALL
スタンディング3000円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100
※3歳以上有料。
Pick Up!!
【大阪公演】
チケット発売中
▼8月22日(土)18:30
心斎橋JANUS
オールスタンディング3000円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※3歳以上は有料。
【東京公演】
チケット発売中 Pコード266-783
▼8月30日(日)18:30
SHIBUYA TAKE OFF 7
オールスタンディング3000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。
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Column1
監督、脚本、主演ビッケブランカ
過去に囚われ、過去に生かされる
ハイブリッドなピアノマンの
先天的音楽人生をたどれ――
希望のファルセットが導く
前作『ツベルクリン』インタビュー
Column2
ポピュラリティもユニークさも
ないまぜに奏でる音楽のマジック!
稀代のポップマジシャンの
1stワンマンツアーレポート
Comment!!
ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!
「彼と久しぶりに再会したのは、前作『ツベルクリン』のインタビュー。そこでも書いてますが、彼の音楽を摂取すると得体の知れないワクワクを感じるんですよ。初めてアメリカを旅したとき、雲の上というシチュエーションで聴いたジェイソン・フォークナーが、自分にとって欠けがえのない感覚となったような、あの感じ。ともすれば“お仕事”になりがちな音楽を、大好きだー!と再確認させてくれるカンフル剤のようなハイエナジーなポップソングは、手放しで褒めることをしたくない自分ですら、賞賛したくなる生命力に満ちています。以来、イベントやら何やらで彼と会う機会が増えるたび、その音楽的な魅力は人間的なそれから来ていることを確信してます。彼の音楽はただブチ上げるだけじゃなく、アップテンポでもふいに泣けてくれる瞬間をくれる。自分にとってスペシャルなこの音楽が、みんなの日常になる日を楽しみに」